映画『死刑にいたる病』原作ラストとの違い、榛村大和が快楽殺人者になった原因、雅也の過去など解説考察② | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『死刑にいたる病』原作ラストとの違い、榛村大和が快楽殺人者になった原因、雅也の過去など解説考察②

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死刑にいたる病 サスペンス

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雅也の母 衿子の過去※胸糞注意

衿子は母親からの虐待が原因で拒食症と異食症を患い、入院した時に虐待が発覚して榛村織子の養子になりました。
衿子が受けた虐待は、主に母親からの言葉の暴力でした。

彼女の母は衿子を産んで退院した直後から衿子がよく泣くことに悩まされ、我慢しながら世話するうちに衿子が大嫌いになってしまいました。

母親は育児放棄や身体的暴力はしませんでしたが、衿子が言葉を覚え始める頃から悪口や罵倒を浴びせ、小学校に上がってからは言葉の暴力に経済DVが加わりました。
具体的には『産まなきゃよかった』、『あんたは何をやらせてもダメだ』などの自尊心を傷つける言葉や、文房具などを買い与えず物乞い行為をさせたりなどです。
結果、衿子は自傷行為をするようになりました。

成長とともに大人の体に近づいてくると、母親は「いやらしい、汚い」と非難するので、衿子は体の成長を止めるために拒食症と異食症を発症して普通の食事をほとんど食べず、体毛や土を食べました。

衿子が入院して虐待が発覚すると、衿子の父親は離婚ではなく衿子を手放す選択をします。
衿子を榛村織子に預けるとき、衿子の母は「もしいらなくなってもこっちに戻さないでください」と言い放ちました。

衿子の母がここまで衿子を憎む心理的要因もまた衿子の母の生い立ちにありますが、それは割愛するので気になる方は小説を読んでみてください。

ちなみに映画では衿子が強姦による妊娠で産んだ子は死産で、遺体は衿子と大和が焼却しましたが、小説では赤ちゃんは生きて生まれた直後に衿子が殺してしまい、遺体は大和が預ります。
大和が赤ちゃんの死体をどう処理したのかは不明です。

また、別の項にも書きましたが榛村大和は衿子が榛村織子の養子になった経緯も、織子が性的なことを嫌っていることも知っていたので、衿子の強姦事件も大和が企てたものと思われます。

 

榛村大和の過去※胸糞注意

原作小説で一番時間をかけて描かれていた榛村大和の過去が、映画ではほとんど削られていたのも地味に驚きでした。
榛村大和の生い立ちについて触れておきます。

まず、小説の榛村大和は『超絶イケメン』という設定でした。
大和が誰にでも好かれ、ターゲットの高校生を容易に虜にするのは愛想の良さはもちろんですが、何よりもルックスが大きく関係していました。
映画の大和(阿部サダヲ)は誰もが認めるイケメンというわけではないですが、人間的な魅力で皆を懐柔していました。

大和は男遊びの激しい女性を母に持ち、幼少時は主に母親の彼氏から遊び半分の暴力と性的虐待を受けて育ちました。
幼少時に受けた暴力と性暴力が大和の性的趣向に大きな影響を与え、嗜虐心を植え付けたとされています。

大和は3~6歳の頃はちょっと目を離すと必ず『危険な遊び』をしている子どもで、カッターやマッチで遊んだり、子猫をいたぶったりしていました。
小学生になると、大和は母親が悪い意味で有名人だったために同級生に無視されたりいじめられることが多く、同世代が苦手になります。

大和は知識欲旺盛な子でしたが、自宅で勉強したり本を読むと母親の彼氏に教材を捨てられるため、大抵は図書室で本を読みました。
本を読める時間が限られていたため、大和はこの頃に自然と超速読の技を身に着けています。

そして14歳の頃に女子小学生に対する暴行事件を起こして少年刑務所送りになります。
大和が収監中に受けた精神鑑定テストでは、IQ130を超える結果を出しています。
出所後は保護司に引き取られますが、17歳の頃に小学生の男の子の拉致監禁・暴行事件を起こして再び少年刑務所で過ごした後、19歳の頃に榛村織子の養子になりました。

その後、同じく養子になった衿子と出会い、ボランティア活動で金山一樹、根津かおると出会い、榛村織子の援助でパン屋を始めることになります。
また、映画ではPG12を守るためなのかカットされていましたが、大和は監禁した高校生たちを漏れなく強姦もしています。




大和の母について※胸糞注意

大和の母 実葉子は、容姿はどこぞの女優さんに見えるほど美人でしたが、喋ると違和感を覚えるようないわゆる知的ボーダーに分類される人物で、さらに『演技性人格障害者』でした。

■演技性人格障害(演技性パーソナリティ障害)の主な特徴

  • 常に注目されていないと不満

  • 性的にしか異性と関われず、そのため同性とのトラブルが多い

  • 他人の注意を惹くために派手な服装や過度な露出をする

  • 虚言癖、大げさな感情表現

  • 他者からの影響を非常に受けやすい

実葉子は小学校高学年でセックスを覚え、クラスメイトの女の子に避妊具を見せて自慢するような少女でした。
多くの男と関係を持っていたため大和の父親は不明です。
実葉子は大和以外にも3人子どもを産んでいますが、大和以外は全員亡くなっていて、原因はネグレクトではないかと言われています。

実葉子の彼氏は彼女の性的誘惑に簡単に釣られるような男ばかりで、大和は頻繁に入れ替わる彼氏達から暴力や性暴力を受けてきました。
そんな中でも実葉子は1人だけまともな男と付き合っていた時期があり、大和がまともに育てられた時期もありましたが、実葉子と男が別れてしまって疎遠になりました。

実葉子が絶え間なく男と交際するのは彼女なりの理由がありました。
実葉子は大和との生活のためにもお金が必要でしたが、知的ボーダーのため国の援助を求める知識が皆無で、とにかく男に頼る方法しか知りませんでした。
実葉子はろくでもない男たちと付き合う内に薬物依存に陥り、大和が17歳の頃にオーバードーズで亡くなっています。
どうしようもない母親でしたが、大和が母の愛に飢えていたことを象徴するのが『爪への執着』です。
実葉子はいつもきれいなネイルをしていて、大和は実葉子の爪を見るのが好きでした。
大和の爪への執着は母親に対する執着でもあり、映画では雅也が「母の爪はきれいだったか」と大和に質問することで暗示されています。

 

養母 榛村織子の過去

大和と衿子の養母であり、被虐待児の救済活動に熱心だった榛村織子もまた虐待を受けて育った人物です。
織子は生まれてすぐ母親が亡くなり父親に育てられますが、彼女は実の父親から暴力と性的虐待を受けて育っています。
そのため織子は生涯独身を貫き、特に性的な事柄は虐待を思い出すため忌み嫌いました。

20歳のときに妊娠した衿子が織子に相談できず、妊娠がバレると追い出されてしまったのはそのためです。

 

原作と映画のラストの違い

結末の大筋は大体一緒ですが、小説の方が後味の悪いラストになっていました。
映画ではラストで加納灯里も榛村に洗脳されていることが判明して終わります。
小説では、灯里が榛村に洗脳されている暗示があり、雅也自身は灯里と榛村が繋がっていることに気付かないまま終わります。

さらに、小説では弁護士の佐村も榛村に取り込まれつつあり、榛村が元ターゲットたちに手紙を送るのに協力している様子が描かれていました。
映画では取り込まれていたのは弁護士ではなく看守の男性でしたね。

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