映画『楽園』で「豪士の部屋について」「警察署から出たときの笑顔の理由」「チンピラが暴れた理由」「五郎が豪士を犯人と決めつけたのはなぜ?」について解説考察しています!
ネタバレありきの記事なので、まだ見ていない方はご注意ください。
本編時間:129分
制作国:日本
監督・脚本:瀬々敬久
原作小説:『犯罪小説集

キャスト:綾野剛(中村豪士)、杉咲花(湯川紡)、佐藤浩市(田中善次郎)、村上虹郎(広呂)、柄本明(藤木五郎)、片岡礼子(久子)、黒沢あすか(中村洋子)、根岸季衣(藤木朝子)、モロ師岡(洋子の恋人)、嶋田久作(リサイクル店員)、品川徹(区長、久子の父)、吉村実子(久子の母)、石橋静河(田中紀子)、渡辺哲(町民)、田中要次(刑事)、三浦誠己(ヤクザ)、諏訪太郎(町民)、テイ龍進(刑事) ほか
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※本ページの情報は2025年8月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
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豪士の部屋について
豪士の部屋にあったのは心の病を示唆する大量のビニール袋です。
制作側の意図は明確にはわかりませんが、
赤ちゃんがビニールのカサカサ音を聞くと落ち着くようなホワイトノイズ的な意味合いがあったのではないかと推測しています。
つまり豪士の幼児性がこの部屋に反映されていたのではないかということです。
一方で、原作小説の豪士の部屋は玄関からキッチン、リビングは異様な程きれいに片付いているのに、
ふすまで隔てられていた寝室は同じ人間の部屋とは思えない位に散らかっていました。
このちぐはぐな部屋には豪士の二面性が表現されていたと思われます。
警察から出たときに豪士が笑ったのはなぜ?
豪士は取り調べが終わって警察署から出るとき何となくにやついていました。
豪士は愛華には好感を持ちましたが、村の大人たちのことはどちらかと言うと憎んでいます。(いじめられたり冷たいので)
なので警察署から出るとき、愛華がどうなったのか、
村の大人たちが必死に知りたがっていることを
自分だけが知っているという優越感を感じていた
というのがにやけの真相だった気がします。
チンピラ(三浦誠己)が洋子の出店で暴れていたのはなぜ?
冒頭のシーンでチンピラ(三浦誠己)が夏祭りの洋子の出店に怒鳴り込んできた理由がよくわかりませんでしたが、原作小説に理由が書かれていたので紹介します。
あのチンピラは金に困っていた元ヤクザで、
洋子が偽ブランド品を販売していることを知り、
イチャモンをつけて暴れて洋子から金銭をふんだくろうとしていたようです。
そして目的通り、示談金代わりに偽ブランド品を大量ゲットしていました。
五郎(柄本明)が止めに入った来た時、
五郎はチンピラが洋子に絡んだのが金銭目的だとわかっていました。
五郎としては町の行事を荒らされても困るものの、
かといって町の権力者の1人である五郎が洋子をかばうと
偽ブランド品の販売を認めたようになってしまうので
それも困ると考えた五郎は、酔っていて面倒臭くなったこともあり
チンピラの要求を飲み洋子に折れてもらうことでこの場をおさめました。
というのがチンピラ襲撃の詳細だったようです。
五郎はなぜ豪士を犯人と決めつけた?
(C)2019「楽園」製作委員会
誘拐された愛華ちゃんの祖父の五郎(柄本明)は犯人が見つからないまま12年という年月を過ごしてきました。
その間、五郎はずっと怒り、悲しみ、憎しみが喉につっかえたような状態で生きていて精神的に限界を迎えていました。
五郎が紡に辛らつな言葉を浴びせるのも、「犯人」という明確な怒りの矛先がなく八つ当たりしていたのです。
高齢になり感情のコントロールがきかなくなりつつあったのも原因かもしれません。
五郎が負の感情に支配される過程は原作小説に書いてあったので紹介します。
五郎は愛華ちゃん事件以降、村の男たちを一通り怪しみましたが、
豪士が犯人かもと思ったことはありませんでした。
どちらかというと直感的に「あの兄ちゃん(豪士)には出来ないだろう」と思っていました。
12年後にひなこちゃんが行方不明になったと聞いた時、
五郎は愛華ちゃんの時のことをリアルに思い出してしまいます。
そして紡の父が豪士が怪しいと言い出して、皆が賛同し始めた時、
五郎はふと「あの兄ちゃんが犯人だとしたら、この感情に区切りがついて楽になれるはずだ」という考えが頭をよぎりました。
五郎はそれはいけないと思いますが、周囲の動向を見ているうちに五郎自身もヒートアップしていき、
豪士の部屋から愛華ちゃんの声(幻聴)が聞こえた瞬間に理性を失いました。
朝子(五郎の妻)が愛華ちゃんの幻聴を聞くシーンがあったので、
五郎にもPTSDで似たような症状が少なからずあったのでしょう。
豪士が飲食店に立てこもり、駆けつけた洋子が「あの子は犯人じゃない!」と訴えた時、
五郎は「わかってる」と頭では言おうとしたのに
気付いたら「ならなぜ逃げた」「死んで詫びろ」と怒鳴っていました。
五郎はあの瞬間、特定の誰かを犯人だということにして制裁を加えなければ、
このままでは自分も息子夫婦(愛華の両親)もみんなダメになるという考えに憑りつかれていました。
そして豪士が焼身自殺した時、炎とチリと煙が空に上がっていくのを見ていると
五郎が12年間抱えてきた負の感情も一緒に燃え尽きていくのを感じました。
豪士がひなたちゃんの誘拐犯ではないとわかった時、
豪士を追い詰めた村人たちは、豪士が自殺しても「疑われる方が悪い」と言わんばかりの態度は胸糞悪くなります。
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