映画『プリデスティネーション』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
数奇な運命の下に生まれた作家のジョンが、偶然出会ったバーテンダーと共に時空を飛び交い運命の終結を目指す。
制作年:2014年
本編時間:97分(ノーカット版138分)
制作国:オーストラリア
監督・脚本:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
原作小説:『輪廻の蛇』ロバート・A・ハインライン著
主要キャスト紹介
(引用:https://themoviemylife.files.wordpress.com)
バーテンダー…イーサン・ホーク
本作の主人公。犯罪を未然に防ぐ謎多き秘密結社のメンバー。
潜入していたバーで男性客のジョンと出会い、ジョンをタイムスリップ装置で過去に連れて行く。
(引用:https://themoviemylife.files.wordpress.com)
ジョン…サラ・スヌーク
幼い頃…オリヴィア・スプレイグ、モニーク・ヒース
もう1人の主人公。バーテンダーが潜入するバーに現れた男性作家。
『未婚の母』というペンネームで女性向け雑誌に掲載されるドロドロした恋愛話を執筆している。
バーテンダーに連れられて過去にタイムスリップする。
エージェント…クリストファー・カービイ、クリス・ソマーズ
フジモト医師…クニ・カシモト
ベス(孤児院長)…ケイト・ウルフ
クラーク医師…ベン・プレンダーガスト
ジェリー(バーの店主)…クリストファー・ブンワース
市長…デニス・コード ほか
≪U-NEXT≫で『プリデスティネーション』が見られます! 31日間無料キャンペーン実施中。
※このページの情報は2022年4月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
あらすじ紹介
1970年11月6日のニューヨーク。
女性が好む暴露話の執筆で売れっ子作家になった25歳のジョン(サラ・スヌーク)は、バーテンダーの男(イーサン・ホーク)に成り行きで自らの数奇な身の上を語って聞かせます。
それは孤児に生まれて寂しい幼少時代を送り、18歳の頃に出会った元恋人に人生を狂わされた話でした。
ジョンの半生に真剣に耳を傾けていたバーテンダーは、突然『時空警察のエージェント』を名乗り「復讐のチャンスを与えてやる」と告げ、ジョンをタイムスリップマシンで7年前の、ジョンが最も憎む人物と出会った時代に連れてきました。
一方、エージェントであるバーテンダーのミッションは、近頃世間を騒がせている爆弾魔の犯行を阻止することです。
エージェントの狙いは?ジョンと爆弾魔の関係は?謎の多いサスペンスミステリーです。
解説・考察、感想など
面白かったんですが過去と未来がごちゃごちゃしてて複雑でしたね。
観た後にジョンの始まりを考えてしまってわけわからなくなる余韻が楽しかったです。
時系列の整理やジョンとロバートソンの行動を考察します!
時系列整理
ジョンが複数人現れて複雑なので、ジョン1人を基準に半生と行動を追いかけます。
1945年9月13日:ジェーンが孤児院に預けられた日
1963年4月3日:ジェーンとジョンが出会った日
1970年11月6日:ジョンとバーテンダーが出会った日
1985年8月13日:ジョンがエージェントになった日
1970年3月某日:タイムスリップしたジョンが爆弾魔と戦って怪我する日。日にちが定まらず多少前後する。
1975年3月某日:ボマーによる爆破事件で約1万人が死亡する日。
・1945年9月13日:ジェーン0歳
新生児ジェーンはオハイオ州のクリーブランド孤児院に置き去りにされ、孤児として育ちます。
義務教育を終えたジェーンはロバートソンの紹介で、宇宙研究機関『スぺース・コープ』の宇宙飛行士の慰安婦募集に応募します。
知力、体力共に成績トップで通過しますが、身体精密検査の結果により不合格になってしまいます。
ロバートソンの指示で不合格の本当の理由はジェーンに知らされません。
・1963年4月3日:ジェーン18歳
ジェーンは夜間学校で謎多き男性と出会って初恋を経験します。
しかし、約2カ月で恋人は忽然と姿を消してそれきりになりました。
その後、ジェーンの前に『スペース・コープ』のロバートソンが現れて「うちに戻って来ないか?」と打診されました。
この時、『スペース・コープ』が政府お抱えの秘密組織のスカウト機関だったことがわかりました。
ジェーンがロバートソンについて行こうと決めた矢先、妊娠が発覚しました。
ジェーンは悩んだ末にシングルマザーになる覚悟を決めて元気な女の子を出産します。
出産直後、ジェーンには生まれつき男性器と女性器が両方備わっていると告げられ、さらに出産の過程で女性器を全摘出したので今後は男性として生きるしかないと医師から告知されました。
男性になったら将来的に改名することになると思い至り、我が子にジェーンの名前をプレゼントしました。
その2週間後、赤ちゃんが何者かに誘拐されます。
ジェーンは誘拐犯は元恋人だろうと推測して恨みを募らせました。
約1年間入院して3度に渡る手術の末に完全に男性になり、仕事を求めてニューヨークに移住。この時に名前をジョンに変えました。
事務員として働く中、女性向け雑誌に掲載される短編暴露小説の不屈の人気を知り、独学して『未婚の母』というペンネームで作家デビュー。人気作家になりました。
・1970年11月6日:ジョン25歳
『フィズル・ボマー(不完全な爆弾魔)』が爆発事件を起こして世間で話題になっています。
ジョンは偶然立ち寄ったバーで出会ったバーテンダーの男(イーサン・ホーク)に自身の数奇な半生と元恋人への恨みを語ると、バーテンダーはジョンの話をやけに熱心に聞いてくれました。
半生話が終わると、バーテンダーは突然「俺は時空警察のエージェントだ。ロバートソンの指示で来た。元恋人に会わせてやるから、代わりに俺の後継者になって欲しい」と言い出し、ジョンを1963年4月3日にタイムスリップさせます。
↓タイムスリップ
・1963年4月3日:ジョン25歳とジェーン18歳が出会う
タイムスリップしたジョンは夜間学校に行き、ジェーンの元恋人がジョン自身であることを知り、ジェーンと愛をはぐくむようになります。
同年6月24日、バーテンダーがジョンを迎えに来ます。
ジョンは「この時代に残ってジェーンと生きる」と反抗しますが、バーテンダーもまた未来のジョン自身だと気付いて1985年8月12日の秘密組織内部にタイムスリップしました。
↓タイムスリップ
・1985年8月13日:ジョン25歳エージェントになる
秘密組織で目覚めたジョンは、バーテンダーの後継者として彼が残したエージェントとしての心得テープを聞きながら犯罪防止に邁進します。
・1992年:ジョン32歳 中堅エージェント
7年が経ち中堅エージェントに成長したジョンは多くの重大犯罪を阻止して政府も認める有能なエージェントになりますが、爆弾魔『フィズル・ボマー』だけは未だ止められずにいました。
↓タイムスリップ
・1970年3月:ジョン32歳 顔に大やけど
ジョンはニューヨークに行き、フィズル・ボマーが起こそうとしていた爆破を未然に防ぐことには成功しますが、ボマーには逃げられ、ジョンは顔面に重度の火傷を負いました。
火傷を負った直後、苦しむジョンにタイムスリップマシンを差し出した男はバーテンダーでした。
↓タイムスリップ
・1992年2月21日:治療開始、顔の再構築
ジョンは未来に戻って火傷の治療を受け、皮膚の再構築手術を受けて長期療養生活を送ります。
火傷の治療を受けた際、ジョンは医師から『精神病の初期段階にある』と診断を受けました。
組織の人間からは「次が最後の仕事だ。指示があるまで療養しろ」と告げられました。
傷が癒えて髪の毛も生えそろった頃、ジョンはバーテンダーの顔に生まれ変わっていました。
同じ頃にロバートソンから最後の仕事の辞令が来ます。
その辞令は『25歳のジョンと18歳のジェーンのキューピッドになること』でした。
↓タイムスリップ
・1970年10月:ジョン33歳、バーに潜入
ジョンは過去の自分と出会う前の1970年10月にタイムスリップし、バーの従業員になって25歳の自分が現れる11月6日を待ちます。
25歳の自分と会うと、『組織の人間』とだけ明かしてジェーンとジョンが出会った1963年4月3日に連れていきました。
↓タイムスリップ
・1963年4月3日:ジョン33歳、若い2人の自分を出会わせる
ジョン25歳とジェーン18歳の出会いを見届けた後、ジョン33歳の次の任務はジェーンの赤ちゃんを1945年の孤児院に連れて行くことでしたが、ジョンはその前にフィズル・ボマーと最後の戦いを決意して寄り道します。
↓タイムスリップ
・1970年3月2日:フィズル・ボマーとバトル
ジョンは爆破現場でフィズル・ボマーを追い詰めますが、それもまた失敗します。
ボマーが逃げた後、ジョンは爆破現場で火傷を負った直後の過去の自分(ジョン32歳)を目撃し、タイムスリップマシンをそっと渡しました。
↓タイムスリップ
・1964年3月2日:赤ちゃんが生まれた頃
ジョンはジェーンの赤ちゃんを誘拐しました。
この時ロバートソンが現れたので、ジョンは『寄り道』で回収したフィズル・ボマーの爆弾の破片を渡します。
↓タイムスリップ
・1945年9月13日:孤児院に託す
ジョンはクリーブランド孤児院に赤ちゃんを託しました。
↓タイムスリップ
・1963年6月24日:ジョン25歳を未来に連れ戻す
ジョン33歳はジェーンと交際中のジョン25歳の前に現れて「エージェントになれ」と命じます。
ジョン25歳は反抗しますが、運命を受け入れてジョン33歳に従います。
↓タイムスリップ
・1985年8月12日:ジョン25歳を組織に預ける
ジョン33歳はジョン25歳を組織に預けました。
ロバートソンと再会したジョン33歳は組織からの引退を告げます。
ロバートソンは「未来への種蒔きを忘れるな。すべての任務が終わったらタイムスリップマシンは勝手に動かなくなる」と説明してジョン33歳にに封筒を渡しました。
↓タイムスリップ
・1975年1月7日:ジョン引退
ジョンは1975年1月7日に飛んで引退生活を始めます。
タイムスリップマシンは一度は使えなくなりますが、その直後にエラーが表示されて再び使えるようになりました。
ジョンは疑問を感じつつロバートソンにもらった封筒を開けると、中にはジョンがロバートソンに渡した爆弾の部品から得られた調査資料が入っていました。
資料からフィズル・ボマーの明日の居場所がわかったジョンが指定の日時にコインランドリーに行くと、そこに居たのは中高年に差し掛かり、精神病に侵された未来のジョン自身でした。
フィズル・ボマーの正体はジョン自身、つまり全員自分だったのです。
フィズル・ボマーは「俺は組織を抜けてからも仕事を続けた。大きな事件が起きる前に俺が爆破して被害を最小限にとどめた」、「俺を殺せばお前がフィズル・ボマーになる。俺を殺しても意味がない」と語りますが、ジョンは憎しみに駆られてフィズル・ボマーを射殺しました。
これからジョンの本当の引退生活が始まりますが、その表情から怒りは消えていませんでした。
フィズル・ボマー(不完全な爆弾魔)の由来
フィズル・ボマーは組織を成長させるほどの知能犯だったはずですが、ついた通り名は『不完全な爆弾魔』でした。
このように呼ばれるのは、恐らくエージェントになったジョンがフィズル・ボマーの犯行を未然に防いだことが何度もあったからです。
世間にジョン達の組織の存在は知られていないので、第三者から見れば、想定より爆破被害が少なかったり爆弾が爆発しないのは、単純に爆弾魔のミスに見えるからです。
次のページに続きます!
2ページ目は『ロバートソンの種蒔き』、『フィズル・ボマーの犯行動機』、『失顔症の可能性』、『その他伏線など』です。
感想などお気軽に(^^)
タイムマシンがあるならクローン技術、遺伝子操作、デザイナーベビー制作技術もあるだろうと思うので、この映画の出来事は無限ループの輪を閉じる任務だったのだと推測できます。それぞれの役のデザイナーベビークローンを用意すれば可能かもしれませんね。ロバートソン役の人の顔がなんとなくバーテンダーに似ているのは前の世代の個体なのかも。
時代設定について1900年代後半に設定してるのって
もしかしたらDNA鑑定が出来ないようにする為なのかなと思い調べてみたら
FBIがDNA鑑定を犯罪捜査に利用し始めたのが1988年だそうです
この映画内で考えると組織は1992年にも存在しており、また再生医療なども進んでいることから
DNAについて確実に知識があり、その点からもジェーン、ジョン、フィズルボマーの正体をとっくに把握していた可能性が高そうですね
ホント良く出来てますね
すごく参考になりました。
ただ、失顔症の部分は別の考察です。
失顔症だと、ロバートソンの顔も覚えられないし、爆弾魔は+15歳ぐらいなのに一瞬で自分だと理解できたからです。
人間関係が異常に少なかったせいで、顔の差の認識力が弱い程度かと・・・
(昔の私の写真を見て「え、これ本当に私の写真?」となる事もありますけどね)
恋しているジョンは楽しそうな笑顔のお坊ちゃん風でしたが、それ以外のジョンは苦悩する貧乏青年でしたからね。
おそらく、笑う事もほぼなく、笑顔で鏡を見るなんて事は無かったでしょう。
恋しているジェーンは彼をプラスで見るけど、憎き男になってからはマイナス要素に記憶が上書き。
2カ月後の去り際のジョン青年は、なんだか別人のようで一番幼い感じがしました 笑