『機動警察パトレイバー2 the Movie』ネタバレ解説|台詞を元に考察しました | 映画鑑賞中。

『機動警察パトレイバー2 the Movie』ネタバレ解説|台詞を元に考察しました

SF
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劇場版『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』の解説・考察をしています!
前作から約1年後。横浜ベイブリッジが爆破された事件を発端に自衛隊絡みの事件が次々に発生した結果、政府と警察の間に大きな亀裂が生じ、平和だったはずの日本は内戦がいつ起きてもおかしくない危機的状況に陥った。
特車二課第二小隊長の後藤は爆破事件後、突然接触してきた謎の男 荒川と共に、一連の事件の犯人である元陸上自衛隊員 柘植行人の行方を追う。

制作年:1993年
本編時間:113分
制作国:日本
監督:押井守
脚本:伊藤和典
原作:漫画/ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』

機動警察パトレイバー(1巻)【電子書籍】

 

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://twitter.com

後藤喜一(ごとうきいち)…大林隆介

特車二課第二小隊長の警部。
元は公安所属だったが、頭が良すぎたために特車二課に左遷された。
第一小隊長で課長代理の南雲しのぶに好意を抱いている。
『横浜ベイブリッジ爆破事件』を発端とするクーデターを起こした犯人逮捕に尽力する。

 


(引用:https://twitter.com

南雲しのぶ(なぐもしのぶ)…榊原良子

特車二課第一小隊長の警部兼課長代理に昇進した。
元々は出世コースに乗る非常に優秀な人物だが、『柘植学校』時代の柘植行人との不倫が明るみになり、現在の地位に落ち着いていることが明らかになる。
柘植行人がベイブリッジ爆破事件を指揮した容疑者になっていると知り動揺する。

 


(引用:https://type-r.hatenablog.com

荒川茂樹(あらかわ しげき)…竹中直人

陸幕調査部所属の謎多き男。
『横浜ベイブリッジ爆破事件』発生後、後藤としのぶの前に突然現れて柘植行人捜しの協力を依頼する。

 


(C) 1993 Production I.G All Rights Reserved.

柘植行人(つげ ゆきひと)…根津甚八

レイバーに軍事的価値を見出して『機関研究会多目的歩行機械運用研究準備会』、通称『柘植学校』を設立した元陸上自衛官。
東南アジアにレイバーを派遣しようとして敵兵に襲撃され、その後消息を絶っている。
クーデターの主犯。

 

・その他のキャスト
松井(警視庁捜査課の刑事)…西村知道
篠原遊馬(元第二小隊員)…古川登志夫
泉野明(元第二小隊員)…富永みーな
太田功(元第二小隊員)…池水通洋
シバシゲオ(整備班主任)…千葉繁
山崎ひろみ(元第二小隊員)…郷里大輔
榊清太郎(整備課長)…阪脩
進士幹泰(元第二小隊員)…二又一成
佐久間(教官)…仲木隆司
ブチヤマ…立木文彦
海法部長(警視庁警備部長)…小島敏彦
山寺(警備部長)…大森章督 ほか

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あらすじ前半

2002年の日本。産業ロボット『ヒト型作業機械』である『レイバーシステム』が一般社会に普及し、レイバーが人間に代わって重労働を行う時代。
人間はレイバーに乗り込んで操縦することで、どんな重労働も楽にこなすことができた。
前作から約1年が経過し、当時東京の首都圏にしか所有がなかったレイバーは大阪や愛知などの全国主要都市に広まり、伴ってレイバー絡みの犯罪も増加しつつあった。

当時の第二小隊は解体され、隊長の後藤喜一を残してその他のメンバー(遊馬、野明、太田など)は他部署に出向していた。
第一小隊長だった南雲しのぶは特車二課の小隊長兼課長代理に昇進したものの、レイバー部隊は解散を待つばかりの状態だった。

その日の夕方。警視庁本部で会議を終えたしのぶは二課に戻る道中の高速道路で渋滞に巻き込まれ、その原因が『横浜ベイブリッジに違法駐車している車に爆弾が仕掛けられている』と通報があり、神奈川県警交通機動隊員が対処のために交通規制をかけているからだと知った。
かなり時間がかかりそうだとため息をついていた時、しのぶの目の前でベイブリッジが爆発した。


(爆破したベイブリッジを見る人々 引用:https://twitter.com

事件は『横浜ベイブリッジ爆撃事件』と名付けられて日本全体を震撼させ、世界的にも大きなニュースになった。
マスコミが公開した爆破当時の映像から、通報通り違法駐車していた車が爆発したのではなく、どこからともなく現れた米軍戦闘機『F-16J』がミサイルを放ち、爆破させたのだと明らかになった。
日本で唯一戦闘機を保有する機関である自衛隊は関与を否定しており、警視庁は特別調査委員会を設置した。

松井刑事が後藤に頼まれて、マスコミに爆撃の映像を提供した映像会社から元データを押収しようと会社を訪ねたが、映像会社は松井が来る前に現れた他の刑事にデータを渡してしまったと答えた。
何者かが刑事に成りすまして映像を持ち去ってしまったのだ。
謎の男にデータを渡してしまった担当者は「その人もあなた(松井)と同じ位 刑事らしい風貌だったから、疑いもしなかった」と語った。
松井は担当者に「映像に不審な何かが映っていなかったか」と尋ねると、担当者は「不審な物は無いように見えたが、何かが映っていたから持って行ったんだろう」と答えた。

後藤が松井刑事とやりとりしているのに気づいたしのぶは「何かする時は、こそこそしないで私に報告してちょうだい!」と怒った。
その直後、陸幕調査部別室の荒川と名乗る、住所も連絡先も明かさない謎の男が後藤としのぶを訪ねてきた。

陸幕調査部:陸上幕僚監部調査部の略称。防衛省の特別機関で、電波情報収集での諜報活動を専門に行う。

荒川は、後藤としのぶに「ベイブリッジ爆破事件の真相究明に協力してほしい」と言うと、独自のルートで入手したというベイブリッジ爆発の直前までの映像(カラオケ用の背景映像)を見せた。
そこに映り込んでいた米軍機はマスコミに流れた映像とは違う機種であり、それはマスコミに流れたのは加工された映像であることを意味していた。
荒川が持参した映像に映っていたのは最新式のF-16戦闘機であり、それは日本航空自衛隊が所有していない機種だった。


(VHSを見る後藤、しのぶ、荒川 引用:http://maczek.blog66.fc2.com

荒川の話では、該当の機種は日本は所有していないが、米軍基地で所有していて日本国内にはあった。
そして「事件発生前夜の夜間発着訓練中に失踪した米軍機がある」と、米軍が非公式に報告してきたという。
しかし、依然として犯人は不明で、決して米軍の意思ではないという。

荒川は、彼らが約1年前から内偵をしている組織『国防族』の存在を告げた。
国防族は日本の政治家や幕僚OB、米軍の人物などで結成された組織で、彼らはいつまでも軍備の増強を図ろうとしない日本に対して危機感を持たせることを目的とする組織だった。
そして日本の平和ボケを覆すべく軍事的茶番劇を思いつき、それが『ベイブリッジに違法駐車されている車に爆弾が仕掛けられている』という通報だった。
国防族が決行した茶番劇は『車の違法駐車と通報のみ』で爆弾はウソだった(危機感を持たせることがだけが目的で、爆破事件を起こすつもりは無かった)が、彼らの行動を知った何者かが計画を利用してミサイルを撃ち込んだのではないかと語った。
幕僚たちは事の顛末の公表して自衛隊への疑惑を晴らすように迫っているが、証拠が無いため政府は渋っていた。

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荒川は、柘植行人という人物が容疑者になっているので捜索に協力してほしいと言う。
柘植は国防族創立当初からのメンバーで、3年前から現在に至るまで行方不明になっていた。
柘植はレイバーに関わる警察関係者ならその名を知らない者はいない人物だ。
後藤が答えに迷っていた時、三沢基地から米軍機3機が東京に向かって来ていると報告が入った。

府中COC(東京都府中市にある空軍通信施設、戦闘指揮所)はモニターで『ワイバーン』と呼ばれる米軍機3機を確認し、無線で連絡を取ろうとしたが無反応だったので、すぐに戦闘機ウィザードを派遣してワイバーンが首都圏上空に到着するまでに打ち落とすよう命じた。
ウィザードはモニター上、ワイバーンと衝突しかねない程近くなったが、パイロットはワイバーンどころか飛行機らしき機体すら発見できなかった。
その直後、ワイバーンは忽然とモニター上から姿を消した。
一時的にモニターがハッキングされていて、あたかも東京に米軍戦闘機が向かって来ているように見せられていたのだ。
この事件は『スクランブル騒動』と名付けられた。


(ハッキングされていたことに気付き呆然とする司令官 引用:https://twitter.com

その後、後藤は荒川と接触して『スクランブル騒動』の全貌を知った。
モニターをハッキングした犯人はドイツの情報サービス会社のゲートウェイからアメリカのとある大学のネットを経由して、在日米軍基地のシステムに潜り込み、府中COCをハッキングしていたことがわかった。
府中COCは最近システムを一新したらしく、新システムを導入したメンバーの中に国防族の一味が居たと見られるが、ハッキングされた事実を隠蔽したい政府と防衛庁は何も公表していない。

後藤は「柘植は戦争でも始める気か?」と問うと、荒川は「戦争はもう始まっている。どうケリをつけるかが問題だ」と答えた。

二課に戻った後藤は、荒川と内緒で会っていたことをしのぶに責められた。
その時突然、警備部部長から練馬駐屯地の警備をするよう命令が下った。
後藤が二課に戻ってくる30分前に、三沢基地の各飛行隊に警察から飛行禁止命令が出た。
自衛隊の基地司令官は抗議のため東京に向かおうとしたところを、青森県警は司令官を連行してしまった。
警察の行為に対して防衛省は怒り、自衛隊の各基地では籠城による抗議を始めた。
警察は自衛隊がこれ以上騒動を起こすのを防ぐため、後藤としのぶを含めた部下達に駐屯地を警備するよう命じたのだ。
後藤は出動を拒否したが、しのぶが行ってしまったので仕方なくついて行ったものの、「レイバーが壊れた」とウソをつき、ただその場にいるだけにとどめた。

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あらすじ後半※ネタバレしてます


(戦車と自衛隊員の前で記念撮影する市民 引用:https://twitter.com

籠城事件の責任を取って数名の幕僚長が辞任したものの、ここまで警察と政府の関係が悪化してしまった後では『横浜ベイブリッジ爆破事件』の真相を明かしても意味がなかった。
数時間後、政府は警察が信用できないと公共の場で宣言し、治安維持のためと称して自衛隊を首都圏各所に配備して、警察の仕事を奪い始めた。
東京の街に武装した自衛隊員や戦車が配備され、物騒な景色に一変した。
特車二課整備班は臨戦態勢に備えてコンビニにある食料をすべて買い占めた。

そんな中、松井刑事は荒井からの資料を元に金の流れを辿っていかにも怪しげな飛行船会社にたどり着いていた。
約1年前までは廃業寸前だったが、防衛省買収されて持ち直した
半年前にアメリカ製の飛行船を3機購入し、その飛行船は先日から都内を飛び回っている。
ベイブリッジ爆破事件の1週間前にも、アメリカから『かなり高額な物を3つ購入した履歴』があった。
米軍経由で購入していて税関をスルーしているので、何を買ったのかはわからなかった。
松井は会社に侵入して手がかりを探ろうとするが、ボディガードに捕まってしまった。

同じ頃、柘植から数年ぶりに連絡を受けたしのぶは、驚きながらも拳銃を持って待ち合わせ場所に向かうが、その場所には後藤と新井が待ち受けていた。
しのぶの母親が心配して後藤に連絡していたのだ。
柘植は2人の存在に気付き、しのぶとは一切接触することなく仲間らしき男たちと共に逃げて行った。
しのぶは「止まりなさい!」と柘植に銃を向けたものの発砲できなかった。

翌朝。後藤としのぶは警察上層部に呼び出され、許可無しに神奈川県警に出動要請していたことへの忠告を受けた。
会議の途中、松井刑事からの電話で席を外した後藤は、15分前に戦闘機3機が飛び立ったと報告した。
後藤はすぐ特車二課に電話を掛けるが誰も出ず、その戦闘機が二課を襲撃したことを悟る。
後藤が会議に戻ると、上層部に口答えしたしのぶは第一小隊長兼課長代理の地位をはく奪され、身柄を拘束すると告げられていた。
後藤は保身に夢中で事態の深刻さを理解していない上層部に怒りを覚え、しのぶと共に行動すると告げた直後、自衛隊戦闘機3機が二課に保管されていたレイバーをすべて破壊した後、東京湾横断橋を襲撃したと報告が入った。

その後、戦闘機3機は首都圏の主要な電波塔や橋を次々に破壊し、警察庁も襲撃され、東京は大混乱に陥った。
騒ぎに乗じて身柄の拘束から逃れた後藤としのぶは、『整備の神様』と呼ばれたの自宅に逃げ込んだ。


(榊宅で考え事をするしのぶ 引用:https://twiman.net)

後藤は「こんな状況になっても政治的要求など何も無いということは、混乱させることそのものが目的だったんだ。これはクーデターを装ったテロ行為だ。犯人を捜しだして逮捕する以外に、解決の方法は無い」と告げた。

後藤はいざという時のために元第二小隊員達に召集をかけるよう榊やシバに依頼していた。
後藤は榊に「くれぐれも強制はしないで欲しい(バレたら警察をクビになるから)」と念を押していたが、後藤が去った後、榊は集まってきた隊員達に「仲間をありったけ集めろ!嫌がる奴は首に縄付けてでも引っ張ってこい!」と命令した。
こうして、榊の元にシバをはじめとする整備課の同僚が大勢集められ、野明、しのぶ、太田が乗るためのレイバー3台を急ピッチで修復した。

同じ頃、ここ最近毎日のように東京上空を飛んでいた3機の飛行船の内の1機を警察部隊が威嚇射撃したところ、無人だった飛行船はみるみる下降して街に不時着し、同時に黄色いガスが周囲に充満した。
街は大パニックに陥ったものの、その直後、それはただ着色されただけの虫も死なないほぼ無害のガスだと判明したが、飛行船の中には本物の毒ガスが入っていると思われるボンベが積まれていた。

後藤は荒井から、野戦用の強力なパラボラアンテナを立てている18号埋め立て地の写真を見せられた。
荒井は、そこは飛行船を操縦するための基地になっていて、柘植もそこに潜伏しているに違いないと語った。
その写真は米軍から提供されたもので、米軍も柘植の動向を見張っていたことが明らかになった。
明日の朝7時までに和解の方向に向かわなければ、米軍が政治と警察の喧嘩に介入すると大使館を通して通告があった。
荒川は「この国はもう一度戦後からやり直すことになるのさ」と笑った。

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後藤の元には柘植に奇襲を仕掛けて捕えるための要員として南雲しのぶと、元第二小隊員の篠原遊馬、泉野明、太田功、進士幹泰、山崎ひろみが集まった。
18号埋め立て地は見晴らしが良く海上や陸上から行くとすぐ見つかってしまうので、バビロンプロジェクト進行当時に使われていたレイバー搬入用の海底トンネルから攻めることになった。

その日の深夜、現在は使われていない地下鉄の駅からしのぶと元第二小隊員達を柘植を逮捕するよう命じて送り出した後、残った後藤は呼び出していた荒井を逮捕した。
荒井も国防族の一員で柘植の仲間だったのだ。
荒井は柘植が姿をくらました後、今回の事件を企てていることを知って窮地に立たされていた。
公な捜査も出来ない状況だったので、荒井は後藤としのぶに目をつけて捜査協力を仰ぎ、柘植を暗殺するチャンスを見計らっていたのだ。
しのぶが柘植に呼ばれた夜、荒井が柘植を目の前にしても逮捕しようとしなかったのは、生きて柘植が逮捕されて色々と喋られてしまっては困るからだった。

柘植逮捕のために海底トンネルを進んでいたしのぶと第二小隊員は、トンネルの奥にアメリカ陸軍が開発した移動砲台ロボット『グスト』が3台設置されているのを確認。
激闘の末にグストを破壊したが、海底トンネルの壁に穴が開いてしまい、トンネルは海水で満たされた。
しのぶだけが柘植の元にたどり着き、残りの隊員は全員撤退した。


(柘植行人としのぶ 引用:https://animeanime.jp

埋め立て地に居たのは無数のカモメと柘植ただ1人だった。
「この街は幻だ」という柘植に、しのぶは「私は幻じゃない」と告げ、柘植を逮捕した。
柘植がしのぶの手を握ると、しのぶは切なげな表情でしっかりと握り返した。
2人の様子をヘリから見ていた後藤はしのぶへの想いが届かないことを悟った。

後藤と松井を乗せたヘリが現れて、しのぶと柘植を連行した。
松井が「これだけの事件を起こして、なぜ自決しなかった?」と聞くと、柘植は「もう少しこの街の未来を見ていたかった」と答えた。

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解説、考察、感想など

理解できれば面白かったんですが、個人的には観たことを後悔するくらい難解でした(笑)
押井監督は本作について、戦争や、日本の自衛隊が抱える問題について考えて欲しかったと、ジブリの宮崎駿氏との対談で語っています。
さっきも言いましたが私には難解過ぎて、押井監督が提起していた問題について考えるまでに至らず、あらすじの咀嚼だけでいっぱいいっぱいでした(汗)

柘植行人について


(引用:https://spice.eplus.jp

事件の犯人だった柘植行人の過去は荒川さん大体語ってくれていたのでおさらいします。

元陸上自衛隊員の柘植はレイバーシステム創設当時、その軍事的価値にいち早く注目した人物で、『多目的歩行機械運用研究準備会』、別名『柘植学校』を発足し、自衛隊技術研究本部と民間企業との連携に多大な成果を上げました。

この『柘植学校』には当時キャリア組のエリートだった南雲しのぶが本庁代表として派遣され、その後しのぶと柘植は不倫関係になります。
このスキャンダルが原因で、しのぶは出世コースから外されて特車二課に左遷されています。
この2人の不倫騒動は、本庁の人間なら誰もが知っている有名な話で、漏れなく後藤もこの件を知っています。

そして本作の舞台から約3年前、PKO(国際連合平和維持活動)にレイバーの派遣が決まった際、柘植は自ら名乗りを上げて部下と共にカンボジアへ赴きますが、目的地に到着するまでに敵兵に襲われてしまいます。これが冒頭のシーンです。

敵兵から攻撃を受けた際、柘植は上層部に応戦許可を求めますが許可はおりず、柘植はいよいよ自らの命が危険となった時に上層部を無視し応戦して何とか生き残ったものの、部下は全滅しました。
その後、柘植は日本に帰国してそのまま行方をくらまします。

柘植は日本国家に対する恨みを晴らすと同時に『偽物の平和』に甘んじている日本に危機感を持たせるため、国防族のメンバーと共に過激な方法で目的を果たそうとします。

ちなみにですが、本作を見た宮崎駿さんは柘植について「押井ワールドとして楽しんだけど、柘植についてはリアリティがなさすぎる」と異論を呈していました。

宮崎:帆場映一が悪意をもっていろいろ仕掛けをして、東京を引っかき回したいと思うのは、何となくわかった。
でも柘植に関しては、全然わからなかった。
押井さん自身にも、実は現在の東京への関心はずっと薄くなっているのだと思う。
そもそも、クーデターを起こすほどの組織力の持つ人間は、前線指揮官にはならないからね、普通に考えれば。
でも、そんなことは押井さんは全部わかってやっている。だから話しにくい。
(中略)
これはもう、押井さんの内面世界に自分たちが引きずり込まれるということだから、リアリズムから出発して、ああでもない、こうでもないと言ってもそれはしょうがないこと。
この時間を押井ワールドとして楽しむしかない。  (引用:「アニメージュ」1993年10月号より)

上記はほんの一部で、宮崎さんと押井さんのやり取りは全体的に面白かったので、気になる方は押井守監督作品に関するインタビュー記事をまとめた『すべての映画はアニメになる 』をご一読ください。

個人的には、柘植の自衛隊時代や柘植学校時代、しのぶさんとの馴れ初めなどの精神的に健康だった頃の描写が欲しかったです。
アニメか漫画にはあるんですかね?探してみようかな。

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飛行船にカラス、埋立地にカモメなど、鳥が登場する場面が多くありました。
前作の犯人帆場暎一が鳩とカラスにメッセージ性を持たせていたので、今回も何か意味するところがあるのかな〜と思いながら見ていたんです。

例えば特に印象的だった飛行船のカラスは、帆場暎一のような純粋な悪意が柘植にもあるのかも?と視聴者に疑いを抱かせるためだったのかなと考えていました。
実際には柘植に悪意は無かったし、沢山のカモメと一緒に埋立地に立っていた柘植からは純粋さを感じました。
ということはあのカラスは、後藤隊長や我々が飛行船を『危険な仕掛けがあるかもしれない』と思っていた気持ちが反映されていたことになり、柘植の感情が反映された鳥ではなかったようです。

などと書き連ねていたんですが、押井監督のインタビュー記事を拝見していたら、鳥は無意味なノイズであるとコメントされていたようです。

鳥そのものにメッセージ性は無く、ただ雰囲気作り(正確には『世界観に奥行きを持たせるため』)のために描いたとのことです。
とは言え意味が無いことにも意味があったようで、『様々な解釈のきっかけになって欲しい』という思いが込められているとのことです。

アニメという性質上、意味の無い物は描かないだろうという前提で見ていたので驚きの答えでしたが、意味が無いことに意味があるってなんだか不思議な感覚になると共に勉強になりました。

鳥さんに関しては以下の記事を参考にさせて頂きました。

pixivision:偶然性まで意図して描く、だから世界が”奥行き”を持つ。『METHODS 押井守「パトレイバー2」演出ノート』 〜レジェンド本を学ぶ〜

 

後藤、しのぶ、元第二小隊員のその後

後藤としのぶは騒動に乗じて上層部の拘束から逃げたり、遊馬と野明などの部下を招集して勝手にレイバーを使って柘植に奇襲を仕掛けたり、やりたい放題していましたね。

本来なら解雇されてもおかしくない暴れっぷりでしたが、柘植の逮捕は日本中の誰もが待ち望んでいたことで、大きな功績になるのは間違いありません。

ということで、柘植の逮捕に免じて全員お咎め無しになる可能性が高そうです。
辞める気で海法部長や山寺警備部長とやり合ったしのぶさんが心配ですが、彼女こそ逮捕に大きく貢献したので、しばらくは彼らも何も言えないでしょうし、しのぶさんも肝が座ってるので問題無いと想像します。

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名言抽出と考察

印象に残った台詞の引用をしながら、作品理解のために補足をしてみます。

走る車の中に

荒川:走る車の中にいると落ち着く性分でね 考えがよくまとまるんですよ 走ることで自らが限りなく静止に近づき 世界が動き始める 

荒川が後藤としのぶにコンタクトを取り、柘植の話をするためにドライブに誘った時のセリフです。
走る車の中に座っていることで自分自身が静止している実感が持てて、同時に外の景色が変わっていくことで世界が動いている実感も沸く、というような意味でしょうか。

 

正義の戦争と不正義の平和

荒川:後藤さん 警察官として自衛官として 俺達が守ろうとしているものってのは何なんだろうな?
 前の戦争から半世紀 俺もあんたも生まれてこのかた戦争なんてものは経験せずに生きてきた

 平和 俺達が守るべき平和
 だがこの国のこの街の平和とは一体なんだ?

 かつての総力戦とその敗北 米軍の占領政策 ついこの間まで続いていた核抑止による冷戦とその代理戦争
 そして今も世界の大半で繰り返されている内戦・民族衝突・武力紛争
 そういった無数の戦争によって構成され 支えられてきた血まみれの経済的繁栄 それが俺たちの平和の中身だ

 戦争への恐怖に基づく なりふり構わぬ平和
 正当な対価を よその国の戦争で支払い そのことから目をそらし続ける不正義の平和

後藤:そんなキナ臭い平和でも それを守るのが俺達の仕事さ
 不正義の平和だろうと正義の戦争よりよほどマシだ

荒川:あんたが正義の戦争を嫌うのはよくわかるよ
 かつてそれを口にした連中にろくな奴はいなかったし その口車に乗って酷い目に遭った人間のリストで歴史の図書館はいっぱいだからな

 だがあんたは知ってるはずだ 正義の戦争と不正義の平和の差はそう明瞭なものじゃない
 平和という言葉が嘘吐き達の正義になってから 俺達は俺達の平和を信じることができずにいるんだ
 戦争が平和を生むように 平和もまた戦争を生む
 単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は いずれ実態としての戦争によって埋め合わされる そう思ったことはないか?
 その成果だけはしっかり受け取っていながら モニターの向こうに戦争を押し込め ここが戦線の単なる後方に過ぎないことを忘れる いや、忘れたフリをし続ける
 そんな欺瞞を続けていれば いずれは大きな罰が下される

後藤:罰?誰が下すんだ?神様か?

荒川:この街では誰もが神様みたいなもんさ
 居ながらにしてその目では見ない その手で触れることの出来ぬあらゆる現実を知る 何一つしない神様だ

『神がやらなきゃ人がやる』
いずれわかるさ 俺たちが奴に追いつけなければな

後藤と荒川が水族館で密会した後のセリフです。
この時の荒川の発言が押井監督の伝えたい内容のほとんどを代弁しているようです。

・『血まみれの経済的繁栄』とは、日本が戦闘機などの戦争に使う道具を作って戦争をする国に売って得た莫大な利益を指しています。
日本はどこかの国で起きた多くの戦争のおかげで経済が潤った ということを批判的に表現しています。
日本は法律に則って戦争に参加せずとも、戦争に関する商売で得た利益で平和に暮らしているんだよ と荒川は主張しています。

・『正当な対価をよその国で支払う』というのは、恐らくですが、日本は法律にある「戦争の放棄」を理由に戦争に参加しない代わりに、戦争で貧困に陥った国に金銭的援助も行った過去を指しています。
代表的な例は1991年の湾岸戦争で、この時日本は多国籍軍に対して1兆円を越える資金援助を行っています。
簡単に言ってしまえば、荒川は日本は平和を金で買ったと言いたいのでしょう。

・『モニターの向こうに戦争を押し込める』ことも、本作で押井監督が意識して行った描写のようです。
『モニター越しの戦争』に関する押井監督のインタビュー記事を引用します。

湾岸戦争の時、強烈に印象に残ったのは、コンピュータのモニターを通じて戦争が行われているということでした。
現場で爆弾を投下している兵士たちもモニターを通して、標的を見ているし、その戦争自体を、僕らはテレビ画面というモニターを通して見ている。
おそらく多国籍軍の司令官ですら、モニターを通してしか、戦争の現場を見ていないだろう。 
そういう意味では、現場の兵士も、我々も、戦争の司令官も、同じようにしか戦争には関わっていないと言えるかもしれない。
では、現場で戦争を見ているジャーナリストは、モニターを通さずに見ているかと言えば、そうでもなかった。
むしろジャーナリストなど最低で、送られてくる映像を、何も考えずに流し続けることしかできなかったのではないでしょうか。
現実とモニターの中の世界が、どんどん区別がつかなくなっている。
だから、ふと窓の外を見ると、そこで戦争をやっていたというのと、毎日のようにTVを通じて送られてくる戦争の映像というのは、実は大差がないのではないか。
そんな、いままでとは全く違った”戦争観”を、今回の映画では提出してみたいと思っています。  (引用:「アニメージュ」 1993年4月号より)

 

「戦争」というテーマそのものが、要するに「モニターの中の映像」というふうに言ったらいいのかな。
戦争が自分の外側にもなければ内側にもないという、こちらにも向こうにもないというか、要するに今の僕らが現実を見るとしたら、フィルターの間(物と物、時と時の間)にかかっている、境界線、幕に見ているんですよ。
モニターの蛍光面だとか、絶えず、一種の幕を通してしか現実に触れざるを得ないところまできている。
その幕を突き破ることは、もう誰にもできなくなっているのではないかと思う。
「湾岸戦争」の例でも、あの時、実際にバグダッドに降り立っても多分その状況は変わらないという気がする。
それは2次映像であれ、肉眼で見た光景であれ、その中にどれだけ差があるだろうかということを最近考えてしまうんです。  (引用:「アニメージュ」 1993年6月号より)

 

・『正義の戦争と不正義の平和の差はそう明瞭じゃない』は、戦争を行っている国と、平和を金で買って戦争していないだけの日本に大きな差は無い という意味だと捉えました。

・『平和という言葉が嘘吐き達の正義に ~ 信じることが出来ずにいる』は、平和を盾に問題から目を背ける警察や政界の上層部に対し、俺達(警察官)は彼らの言う『平和』が信用出来なくなった という意味でしょう。
しのぶさんと海法部長の口喧嘩のシーンで、しのぶの追及に対して海法部長が「社会を混乱させたくない」と平和を盾に言い逃れしているのが良い例です。

・『戦争が平和を生むように 平和もまた戦争を生む』の意味は、その次の『単に戦争でないというだけの ~ 埋め合わされる』が説明してくれています。
消極的で空疎な平和が国防族のような思想を持つ人間に不満を抱かせ、彼らが行動を起こすことで埋め合わせが起こる という意味だと解釈しました。

・『その成果だけはしっかり受け取っていながら ~ いずれは大きな罰が下される』は、戦線の後方にも銃弾が飛んでくる可能性はゼロではないのに、上層部はここまでは飛んでこないだろうと高を括っている。
そして柘植は『大きな罰』を仕掛けているとほのめかしているのでしょう。
後藤が「罰は誰が下す?神様か?」と聞くのは、ほのめかしを察したかどうかはわかりませんが、荒川が『大きな罰』を下す存在をどのように考えているのか確かめたかったのかもしれません。

・『何一つしない神様』は伝え方が難しいですが、荒川は問題を知っても行動しようとしない人々を神様と皮肉っているんだと思います。
例えば偽物の平和を疑うこと無く生活している多くの人々は、日本が抱える様々な問題をいくらでも知る手段や機会があり、その気になれば解決できるはずなのに、自分達は安全な立場にいる安心感から何もしようとせず、ただ問題の成り行きを見守るだけです。
『奇跡を起こすポテンシャルはあるのに、何もしない人々』が『何一つしない神様』の意味するところではないでしょうか。
柘植は、神(どこかの誰か)が何かしてくれるのを待っていても、いつまでもその時は来ないと悟り、神がやらなきゃ人(=柘植)がやる、つまり行動することにした、ということです。
そして、人間(=柘植)が下す大きな罰がどのようなものかは、柘植を自由にさせておけば(捕まえられなければ)そのうち犯行が起こるからわかる、と告げました。
書き方が良くない気がするんですが、直し方がわからない(笑)意味わからなかったらすみません。。

全体的には、荒川は困った状況に置かれながらも、柘植の思惑に賛成し、犯行によって生じる混乱そのものは楽しんでいたように感じました。

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『何かしなくちゃ』『何かしよう』

後藤:ねぇ 落ち着いて考えてごらんよ 俺たちが今何をするべきなのか
 それぞれの持ち場で『何かしなくちゃ』『何かしよう』その結果がここまで状況を悪化させた そうは思わないか?

しのぶ:でも万一の事態に対応出来るようにやれるだけのことはやっておく必要が…

後藤:『万一の事態』って一体何だい?

しのぶ:…

後藤:誰もが『まさか』と思い 同時に『もしや』と疑いを否定出来ない あのベイブリッジ以来ね こないだのスクランブル騒ぎが良い例さ
 府中の防空司令は撃墜命令まで出しちゃったって言うじゃない
 あのたぬき親父…この機会に点数を稼いで警備部の権限を拡大しようって腹だろうが こんな情勢下に警察がその矛先を自衛隊に向けたら…
 柘植って男 もし今回の事件の首謀者だとしたら大した戦略家だ
 わずか一発のミサイルでこれだけの状況を作り出し しかも事態はなお進行中だ
 やっぱり明日の出動やめようよ~

後藤が荒川と密会して帰ってきた直後のしのぶとの会話です。
権限を拡大しようとしていた警備部長の山寺は、恐らくクーデターの犯人を自衛隊関係者だと思っていたので、籠城騒ぎに乗じて自衛隊を監視して、何か問題(事件)が発生すればいち早く対処して、逮捕した人間の中にクーデターの犯人が居ればラッキーだとでも考えていたのではないでしょうか。
自衛隊と警察の関係に緊張が走っている中、後藤としてはこれ以上自衛隊を刺激するような真似も、山寺警備部長の手足にもなりたくなかったし、犯人が柘植だと知っている以上、駐屯地で時間を無駄にするよりは情報収集に走り回りたかったのでしょう。

舞台はミスキャストでいっぱい

荒川:俺だ テレビは拝見してるよ 宮仕えは辛いってとこか

後藤:子分の勇み足で引っ込みがつかなくなって頭に血が上ったのさ
 馬鹿な親分の下にいると苦労するよ

荒川:こちらも同じさ 悪い軍隊なんて物は無い あるのは悪い指揮官だけだ ってね
 各地の籠城の責任を取るってことで陸海空の幕僚長達が一斉に辞任したよ

後藤:本当か?

荒川:30分程前だ じきに報道されるさ
 連中はこれで天下晴れてベイブリッジの一件をバラすつもりだが遅すぎたよ ここまでこじれた後じゃな 米軍が手の平返せばそれまでだ
 真相を公表するタイミングを逸しただけでなく事態を収拾するチャンネルも消えちまった また一つタガが外れたんだ

後藤:…

荒川:おい聞いてるのか?

後藤:あぁ 聞きたくなくなってきたがな

荒川:聞いてもらうさ ここからが本題なんだ 政府は自分達のことは棚に上げて ここまで事態を悪化させた警察を逆恨みしている 『頼るに値せず』ってな
 で シナリオは変えずに主役を交代することにしたってわけだ

後藤:おい、まさか…

荒川:そのまさかだ 舞台はミスキャストでいっぱい 誰もその役を望んじゃいないのにな 素敵な話じゃないか
 これが俺達のシビリアンコントロールってやつさ
 柘植は3年前自分の部下を死なせたのと同じルールで 今度は俺たちがどんな戦争をするのか それを見たがっているのかもしれんな

練馬駐屯地を警備中の後藤と荒川との電話の内容です。
ベイブリッジ爆破事件とスクランブル事件で、政府は責任追及を恐れて真相を明かしませんでしたが、真相を知らない警察が三原駐屯地の司令官を拘束したことで一気に関係が悪化します。
政府も悪かったのに、先に手を出した(司令官の拘束)警察を逆恨みし、防衛大臣や内閣総理大臣を引っ張り出して「警察力だけでは最悪の事態に対応できない」として、自衛隊を主要都市各地に配備して、本来なら警察の仕事である警ら活動を自衛隊にさせてしまいます。
シビリアンコントロールは、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣と防衛大臣は文民(職業軍人ではない人)でなければならない という日本の法律ですが、内閣総理大臣も防衛大臣も自衛隊上層部の意向に従ってしまっていて、シビリアンコントロールの意味をなしていないことを皮肉的に言っているのでしょう。

柘植はPKO派遣で攻撃を受けた際、上層部に「応戦するな」と言われて応戦しなかった結果、部下を失いました。
戦争が許されない日本で自衛隊と警察の関係を決裂させて当時の柘植と似たような状況に置き、もしこの状況下で命の危険が迫った時、彼らがどう行動するのかを試しているのです。

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買い占め部隊

整備部員:はい、こちら買い出し部隊

シバ:俺だ いいかよく聞け たった今からお前らは『買い占め部隊』だ!
 その店の食い物ありったけ買ってこい!今 増援部隊を送った!

整備部員:了解!直ちに買い占め突入します!

シバ:かかれ!

(中略)

ブチヤマ:馬鹿野郎!こんな所で何ジタバタやってやがる!
 ピクニックに行くんじゃねーんだ!ちったぁ保存ってことを考えんか!
 倉庫だ!倉庫行ってラーメンを箱で買え!箱で!
 おい姉ちゃん この店の食い物はたった今 特車二課整備班が買い切った!

内閣総理大臣と防衛大臣が記者会見を開いた直後のシバ達整備部員の会話です。
街に自衛隊が配置されれば、いつ自衛隊と警察官の間に争いが起こってもおかしくない緊張状態になります。
整備部員達も緊急事態にすぐ対応できるように、食料の買占めを行いました。

保存を考えろと後輩を叱った直後に店の食物をすべて買い占める(保存がきかない食料も結局買っている)ブチヤマ先輩の矛盾が面白いです。

器物破損 住居不法侵入

松井:器物破損・住居不法侵入・多分窃盗・もしかしたら暴行傷害…
 警察官のやることじゃねぇな こりゃ…

後藤の指示で飛行船会社に不法侵入した松井刑事が漏らした一言です。
警察官のやることじゃないと嘆きながらも結局侵入してしまう所(正義の味方的な部分)が、後藤隊長と松井刑事が懇意である理由なのかもしれません。

 

善意故に通報

荒川:やはり女か…

しのぶ:どうしてここを?

荒川:人は敵意でなく善意故に通報者になる 子どもの為なら何でもするのが親だ

しのぶ:あの人があなたに?

荒川:生憎俺はあの手のご婦人が苦手でね 意外な人間に人望があるもんさ…

しのぶが柘植に呼ばれて行った場所には、既に後藤と荒川と神奈川県警交通のレイバー隊員が待っていました。
しのぶがなぜここにいるのかと荒井に聞くと、荒井はしのぶの親が心配して後藤に連絡したのだと告げます。
荒川が『あの手のご婦人は苦手』と言っていましたが、しのぶの母は事務的な伝言と着物姿しか登場しなかったので、どんなご婦人なのかわかりませんでした。
この件もアニメか漫画を見ればわかるんですかね。

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楽観主義が現実に取って代わる

山寺:今朝未明 神奈川県警交通機動隊レイバー隊に対し特車二課課長代理名をもって出動要請がなされた
 南雲警部、これは一体どういうことか?

しのぶ:その前にここにお集まりの方々に申し上げたい

山寺:君の意見など求めてはおらん 警備部長である私の承諾も得ず…
 これは全くの越権行為だ 君の行ったことは警察内部の秩序を乱し 引いては社会に無用な混乱を招く軽率な行動だったとは思わんのか?

しのぶ:では 確たる根拠も具体的な要請も無しに行われた自衛隊駐屯地への警備出動や 基地司令に対する予防検束に等しい不当な拘束は軽率ではなかったのか?
 今回の非常事態を招いたそもそもの原因は一連の事件によって醸成された社会不安に乗じ 上層部内の一勢力がその思惑を性急に追及したことにあることは ここにいる全員が承知のはずです

上層部:貴様!

海法:南雲君 警察内部に一種の政治的策謀があったとする君の発言は聞き捨てならんが『上層部内の一勢力』とは一体誰のことかね?

しのぶ:ご自分の胸に聞かれてはいかがですか?

(中略)

しのぶ:首都圏の治安を盾に要らざる警備出動を繰り返して彼らの危機感を煽り 事態をここまで悪化させた責任を誰がどのように取るのか?
 部内の秩序を論じるなら まずそのことを明らかにして頂きたい

海法:防衛庁内部には警察OBも多数居ることを知らんわけではあるまい?
 事は既に政治の舞台に移されている
 今は彼らを刺激することなく その行動において協調を図り撤収の早期実現を模索すべきだ

しのぶ:そのためにも警視庁上層部がその責任を明確にし 自らの非を世間に正されてはいかがですか?

海法:この地上には我が国だけが存在するわけではない
 この日本において 万に一つとはいえ内戦まがいの状況が出現することにでもなれば 米軍の介入すらあり得る
 治安を預かる警察が自らの失態を認めるかのごとき行動はいたずらに社会不安を増長させることになる

しのぶ:この期に及んでもまだそんな言い逃れを… あなた方はそれでも警察官か!?

(中略)

海法:後藤君 君はどう思うかね?

後藤:戦線から遠のくと 楽観主義が現実にとって代わる そして最高意思決定の段階では現実なるものはしばしば存在しない 戦争に負けている時は特にそうだ

海法:何の話だ?少なくともまだ戦争など始まってはおらん

後藤:始まってますよ とっくに 気付くのが遅すぎた
 柘植がこの国へ帰ってくる前 いや そのはるか以前から戦争は始まっていたんだ…
 突然ですが あなた方には愛想が尽き果てました
 自分も南雲警部と行動を共に致します

しのぶと海法部長の喧嘩のやり取りです。
言い回しや単語が小難しすぎて聞く気が失せましたが、会議を全く聞いていなかった後藤隊長の気分を感じて欲しくてあえてそうしたのかもしれません。
後藤隊長が喋るまでかなり長いやり取りが続きますが、しのぶさんが怒っていて、海法は言い訳ばかりしているということだけがわかれば良くて大した中身はありません。

しのぶは海法に、警察の非を認めて謝罪のひとつでもしたらどうだと詰め寄りますが、海法は「下手に責任追及すれば自衛隊を刺激しかねないので、穏便に撤収させる方法を検討したい」「警察が非を認めれば社会不安を煽ってしまうから」など、まさに平和を盾にして動こうとしません。

一方、後藤隊長は会議そっちのけで小さな声で独り言を言っていましたが、このブツブツの内容は頑張って聞こうとしても聞き取れないし、一部本当に『ブツブツ』と聞こえたので(笑)後藤隊長が何を言っていたのか知る必要はありません。
ここは、後藤隊長は今後どのように行動するか頭の中で計画を立てていて会議を聞いていませんでしたが、しのぶの「あなた方はそれでも警察官か」の怒鳴り声で我に返る という流れを表しているだけなんだと思います。

『戦線から遠のくと ~ 特にそうだ』はどこかからの引用なんじゃないかと思っていましたが、違うようです。
意味は、厳しい現実から目を背けてしまって、都合の良い情報しか取り入れようとしない状態を指しています。
特に戦争に負けかけている時は、負けているという状況から目を背けてしまい、現実的な対処が出来ないと言っている(今の上層部は楽観主義に囚われていて間違った対応しかできない)んだと思います。

そして、海法の「戦争はまだ始まってない」という発言からの、柘植の戦闘機攻撃で後藤隊長がブチギレという素敵な流れになります。
普段は喜怒哀楽の『楽』しか見せない後藤隊長が怒ってしまう貴重なシーンです。


(引用:https://twitter.com

 

後藤:しのぶさん 辞めるつもりだったでしょ 今降りちゃだめだ
 奴を止めることは出来なかったけど 俺達の勝負は終わっちゃいない

しのぶ:でもどうやって…もう二課にも戻れないし…

後藤:二課は壊滅したよ 多分
 だが戦力はある 戦力はまだあるさ

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土をほじれば

山崎:土をほじれば虫も居るし 寒さはビニールハウスで凌げますよね…

シバ:あぁ きっと大丈夫さ 二課育ちは逞しさが信条だからね

整備部が柘植隊に攻撃された後、日本に内戦が始まれば職を失いかねないと感じた山崎とシバの発言です。
呑気なようで切ないです。

 

反乱を起こさなきゃならん理由

後藤:そりゃまぁ不平や不満はあるでしょうけど 今この国で反乱を起こさなきゃならん理由がたとえ一部であれ 自衛隊の中にあると思いますか?
 しかもこれだけの行動を起こしておきながら中枢の占拠も政治的要求も無し そんなクーデターがあるもんですか
 政治的要求が出ないのは そんなものが元々存在しないからだ
 情報を中断し 混乱させる それが手段ではなく目的だったんですよ
 これはクーデターを偽装したテロに過ぎない それもある種の思想を実現するための確信犯の犯行だ
 戦争状況を作り出すこと いや 首都を舞台に戦争という時間を演出すること 犯人の狙いはこの一点にある
 犯人を探し出して逮捕する以外に この状況を終わらせる方法は無い

榊:しかしわからねぇな 一体何のために?

後藤:想像は出来ますが 捕まえて聞くのが一番でしょうね

(中略)

後藤:親父さん 念のために言っときますが くれぐれも…

榊:『若ぇ連中に命令も強制もするな』 だろ?わかってるよ

後藤:じゃ

榊:…南雲さんよ 出来なかった事悔やんでも始まらねぇ
 これからどうするか そのことを考えようや

榊整備課長の自宅でのやり取りです。
後藤は柘植の狙いが日本に内戦状況を作り出すことだったと理解し、柘植逮捕に全力を注ぐ決意をします。

しのぶさんは長い間音信不通だった柘植と久しぶりに接触したことで過去を思い出したり、想い人である柘植の逮捕を確信して葛藤と戦っていたのかもしれません。
もしかしたらしのぶさんはこの時どうにかして柘植と再会して一緒に逃亡してしまう未来もよぎっていた可能性もありますが、第一にしのぶさんは真面目な警察官ですし、どの道どう頑張っても後藤の鋭い観察眼はごまかせないことはしのぶさんが一番わかっています。
なので、多くは柘植を逮捕する覚悟を固める時間だったと思われます。

 

 

榊:二課は壊滅したそうだが俺達はまだ目瞑っちゃいねぇ!
 落とし前はこの手でキッチリつけてやる!
 ありったけの兵隊かき集めて八王子に連れて来い!
 ゴタゴタ抜かす奴は首に縄付けてでも引っ張ってくるんだ!

榊課長が後藤隊長の配慮を完全無視して部下に強制命令を出す頼もしいシーンです。

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レイバーが好きなだけの女の子でいたくない

遊馬:ここから引き返しても良いんだぞ 正規の任務じゃない
 行けば警察官の資格はもちろんレイバーの搭乗資格はく奪ってこともあり得る
 それでも良いのか?

野明:私より遊馬の方が迷ってるみたい

遊馬:迷うだろ 普通

野明:私 いつまでもレイバーが好きなだけの女の子で居たくない
 レイバーが好きな自分に甘えていたくないの… お願い 車出して

本作では出番が少ない野明と遊馬の数少ない台詞です(笑)
後藤の後に従えば警察をクビになりかねないため、遊馬は野明に意思を確認します。
野明に迷いがないのは、『レイバーが好きで警察官になった女の子』から成長して『正義の味方』になりたいと考えていたからなのでしょう。

 

国家に真の友人は居ない

荒川:国家に真の友人は居ない 連中にとっては願っても無いチャンスだ そうだろう?
 この国はもう一度戦後からやり直すことになるのさ

『国家に真の友人はいない』は、1923年生まれのアメリカの政治家ヘンリー・アルフレッド・キッシンジャーの有名な発言の引用です。
また、『連中』とは米軍を指しています。
台詞の引用からは省略していますが、荒川の情報で米軍は柘植が犯行を企てた当初から厳重に柘植を監視していました。
柘植が用意した戦闘機や飛行船などは全てアメリカから購入、または米軍基地を通して購入しています。
米軍は柘植と結託していたかどうかまではわかりませんが、少なくとも柘植が日本にテロ行為を起こすことを『横浜ベイブリッジ爆破事件』が起こるよりも以前から既に知っていて黙っていたということになります。

少なくとも米軍は柘植が日本でテロを起こしたことを、日本をアメリカ支配下に置く絶好のチャンスと捉え、軍事介入出来る瞬間を待ち望んでいた ということです。
『もう一度戦後からやり直す』は、もし米軍が軍事介入すれば日本は第二次世界大戦後(敗戦してアメリカに支配された)と似たような状況になることを意味しています。

 

待ってるからさ

後藤:しのぶさん 刺し違えても なんてのはごめんだよ?
 彼を逮捕して必ず戻るんだ 俺 待ってるからさ…

18号埋め立て地にしのぶと隊員達を送り出した際、後藤がしのぶにかけた言葉です。
後藤のしのぶに対する好意が込められていますが、しのぶは返事をせずに行ってしまいました。

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悪党か正義の味方

荒川:なぜだ どうしてあんたは行かない?

後藤:俺にはやらなきゃならん事が色々あってね
 さんざっぱら世話になっといてなんだけど あんた逮捕するよ

松井:全員そこを動くな!荒川茂樹 破壊活動防止法・その他の容疑で貴様を逮捕する!

荒川:説明はあるんだろうな?

後藤:今回の一連の事件に関してあんたの情報は恐ろしく性格で素早かったよ そりゃそうだ あんた自身内偵を進めていたって言う例の組織の一員だったんだから
 あんたは柘植の同志だった そして奴に裏切られたんだ
 政治的デモンストレーションに過ぎなかった計画を変更し 本気で戦争を始めるために奴が姿を消したことで あんたは窮地に立たされた
 事の性格上 公に捜査することも出来んしな
 そこで特車二課に目を付けた 南雲警部の監視も兼ねて一石二鳥だからな

荒川:全部あんたの推測じゃないか

後藤:決起の前夜 あんたは柘植を見逃した 例え当たらなくても一発でも発砲すれば治安部隊が殺到する 狭い水路だ 奴を逮捕出来る可能性は高かったのに あんたはそうしなかった なぜだ?
 あんたはどうしても奴を自分の手で押さえる必要があったからさ
 柘植の企ては阻止しなければならないが、奴の口から組織の全容が公表されてしまっては元も子もない
 もうひとつ この期に及んでも正規の部隊を動かさず独立愚連隊同然の俺達に頼らなければならなかったのが決定打さ
 まともな役人のすることじゃない

荒川:それはお互い様じゃないのか?

後藤:まともでない役人には2種類の人間しかいないんだ 悪党か正義の味方だ
 荒川さん あんたの話面白かったよ
 欺瞞に満ちた平和と真実としての戦争
 だがあんたの言う通りこの街の平和が偽物だとするなら 奴が作り出した戦争もまた偽物に過ぎない
 この街はねぇ リアルな戦争には狭すぎる

荒川:ふふふ…戦争はいつだって非現実的なもんさ
 戦争が現実的であったことなどただの一度もありゃしないよ

後藤:なぁ 俺がここにいるのは俺が警察官だからだが あんたはなぜ柘植の隣にいないんだ?

荒川:…

荒川を逮捕した時の会話です。
荒川が国防族の一員であり、柘植の仲間だったと後藤が確信するまでの経緯が語られています。

最後、後藤が荒川に『あんたはなぜ柘植の隣にいない?』と聞くのは若干疑問ですが(柘植に裏切られたから暗殺を決意したことまで推理していたから)、後藤は荒川の口調等から、荒川が本当は柘植の目的や意思に賛成していることを察していたからなのでしょう。
嬉しそうに柘植の思惑を語る荒川を見ていた後藤は、荒川は柘植と添い遂げたいというのが本音だったのではと感じたのでしょう。
荒川が柘植を暗殺しようとしたのは裏切られてプライドが傷つき、国防族に戻ることが出来なくなったからだったのではないでしょうか。(荒川さんプライド高そうですし笑)

 

蜃気楼のように見える

柘植:ここからだとあの街が蜃気楼のように見える そう思わないか?

しのぶ:たとえ幻であろうと あの街ではそれを現実として生きる人々がいる
 それともあなたにはその人達も幻に見えるの?

柘植:3年前この街に戻ってから俺もこの幻の中で生きてきた
 そしてそれが幻であることを知らせようとしたんだ
 結局最初の砲声が轟くまで誰も気付きはしなかった
 いや もしかしたら今も…

しのぶ:今こうしてあなたの前に立っている私は幻ではないわ

しのぶが柘植と再会した時に交わしたやり取りです。
『蜃気楼』や『幻』は、荒川の言うような『偽物の平和』に日本がどっぷり漬かっている状態であることを意味しています。
日本国民は偽物の平和という幻(もしくは蜃気楼)をずっと見せられていて、それが幻だとは一部の人間以外は気付きもしない現状を変えたかった。国民の意識を変えたかったのでしょう。
柘植は、日本の平和が偽物であることを国民に知らせようとしたが、もしかしたら今もその意図は幻の中にいる人々には伝わらなかったのかもしれない、と言っています。

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我 地に平和を与えるために

しのぶ:我 地に平和を与えるために来たと思うなかれ 我 汝らに告ぐ
然らずむしろ争いなり 今から後一家に5人あらば 3人は2人に 2人は3人に別れて争わん 父は子に 子は父に 母は娘に 娘は母に

柘植:あれを覚えていてくれたのか

しのぶ:帰国したあなたが最後にくれた手紙にはそれだけしか書かれていなかった あの時はそれが向こうでの体験を伝えるものだとばかり…

柘植:気付いた時にはいつも遅過ぎるのさ だがその罪は罰せられるべきだ 違うか?

しのぶ:柘植行人 あなたを逮捕します

柘植が最後にしのぶに送った手紙の内容で、新約聖書の一節です。
しのぶは手紙を受け取った時、柘植のカンボジアでの体験を意味しているものだと思い込んでいましたが、柘植は日本でテロを起こすと決めたことを彼女に伝えようとしていたのでしょう。

気付いた時はいつも遅すぎるのに、気付くのが遅いことは罪で罰せられるとなると、毎回罰さなければいけないことになるのでシビア過ぎる気がします(笑)

なぜ自決しなかった?

松井:先ほど連絡が入ったが ボートで脱出したお前の部下達は全員治安部隊に投降したそうだ
 死傷者不明 被害総額がどれ位になるか見当もつかん
 ひとつ教えてくれんか?これだけの事件を起こしながら なぜ自決しなかった?

柘植:もう少し見ていたかったのかもしれんな…

松井:見たいって何を?

柘植:この街の未来を

柘植が日本の法律でどう裁かれるのか結末はわかりませんが、松井刑事の発言からも考えると柘植の死刑判決はほぼ確定ということになるのでしょう。
松井刑事は『逮捕されてもどうせ死刑になるのに、なぜ今自殺してしまわなかったのか』ということです。
質問に対して柘植はもう少し日本の未来が見ていたかったから死ななかったと答えます。
柘植は根底には愛国心というか日本を守りたくて(防御力を上げたくて)事件を起こしたというのもあったんだと思います。(幻の中で生きようとした時期もあったことから)
だから今は死なず、死刑になる日まで生きて日本を見守りたくなった、というのは自然なのかもしれません。

 

以上です!お読みくださりありがとうございました(^o^)

 

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