映画『OLD オールド』を見て気になった疑問などについての解説・考察②です!
『トレントが仲良くなった男の子イドリブの正体について』『プリスカが読んでいた本』『医師チャールズの「あの映画のタイトル」発言の意味』について書いています。
ネタバレありきの解説考察記事です。本作をまだ見ていない方はご注意ください。
『オールド』概要紹介
制作年:2021年
本編時間:108分
制作国:アメリカ
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
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あらすじ紹介
フィラデルフィア在住の4人家族キャパ一家は、とある海沿いのリゾート地に家族旅行にきました。
旅行2日目の朝、一家はホテル支配人から「今日は秘密のプライベートビーチで過ごしませんか?美しい場所ですよ」と声をかけられて行ってみることにします。
キャパ一家はもう1組の旅行者4人組と一緒に車に乗せられてビーチ付近に到着すると、運転手は「17時に迎えに来る」と言って去りました。
支配人が言った通り、そこは巨大な岩石に囲まれた美しいビーチです。
ビーチにいるのは先に居た1人と遅れてきた2人を合わせて総勢11名です。
各々遊んだり読書をしたりして過ごしていると、トレントが女性の水死体を発見して大騒ぎになります。
女性と一緒に早朝からビーチにいたというラッパーの男ミッドサイズ・セダンが怪しまれますが、セダンは「俺は何もしてない」と全否定しました。
そうこうしている内に、このビーチは海岸を囲っている特殊な鉱石の影響で時間の流れが異常に早く、1時間で約2年分もの月日が経っていることが判明しました。
ビーチに入った子どもたちは数時間でみるみる大人になっていき、高齢だった女性とペットの犬は老衰で死んでしまいました。
残された10人はビーチから脱出する方法を必死で模索します。
主要キャスト紹介
ガイ・キャパ…ガエル・ガルシア・ベルナル
フィラデルフィア在住。保険数理士(リスクコンサルタント)。
プリスカ…ヴィッキー・クリープス
ガイの妻。博物館のキュレーター(学芸員)。
最近腹部に原因不明の腫瘍が見つかり通院中。
トレント…ノラン・リバー
11歳…ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス
15歳…アレックス・ウルフ
大人…イーモン・エリオット
ガイとプリスカの息子6歳。パズルが好き。
マドックス…アレクサ・スウィントン
16歳…トーマシン・マッケンジー
大人…エンベス・デイヴィッツ
トレントの姉11歳。
チャールズ…ルーファス・シーベル
心臓外科医師。精神疾患持ち。
クリスタル…アニー・ビー
チャールズの妻。モデル(?)拒食症による栄養失調、骨粗しょう症の疑いあり。
カーラ…カイリー・ベグリー
11歳…ミカヤ・フィッシャー
15歳…イライザ・スキャンレン
クリスタルの娘3歳位。
パトリシア…ニキ・アムカ=バード
てんかん(脳疾患)患者。心理カウンセラー。
ジャリン…ケン・レオン
パトリシアの夫。看護師。
ミッド・サイズ・セダン…アーロン・ピエール
若者に人気のラッパー。
アグネス…キャスリーン・チャルハント
チャールズの母。愛犬を可愛がっている。
イドリブ…カイレン・ジュード
ホテルに住んでいた謎の少年5歳。
マドリッド(ホテル従業員)…フランチェスカ・イーストウッド
グレッグ(警察官)…ダニエル・イソン
運転手(監視役)…M・ナイト・シャマラン ほか
伏線:プリスカが読んでいた本
オールドビーチに着いた直後、読書を始めたプリスカは「何の本を読んでるかわかる?」とガイに尋ね、ガイは「知らない」と答えました。
この時プリスカが読んでいたのはキャロル・シーモア=ジョーンズの『A DANGEROUS LIAISON』という小説でした。
日本では出版されていない本で私も読んだことはないですが、タイトルの意味は『危険な連絡係』なので、彼らをビーチに連れてきた運転手(シャマラン)が製薬会社側の人間だったことを示す伏線だったと思われます。
また、プリスカがガイに何を読んでいるか聞いた理由はよくわかりませんが、プリスカはガイが本に興味が無さそうな様子を見て別れの決意をさらに固めていたように見えました。
伏線:JニコルソンとMブランドの映画
プリスカが倒れて腫瘍を取り出す手術をする時、医師チャールズは唐突に「ジャック・ニコルソンとマーロン・ブランドが共演してる映画は?」と聞き、周囲は動揺しました。
答えは恐らく1976年の『ミズーリ・ブレイク』という西部劇映画です。
この発言はチャールズの精神疾患の悪化を示唆するとともに、チャールズがこれから起こしてしまう事件を暗示しているように思えました。
タイトル『ミズーリ・ブレイク』は特定の地域の名称で『無数の切り傷に見えるほど激しい起伏がついた地域』を指します。
つまり、チャールズがミッド・サイズ・セダンをめった刺しにする暗示だと解釈しました。
また、チャールズ演じたルーファス・シーベルの演技からはどことなく『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスに演じ方がどことなく似ていたように感じました。
シーベル氏も『ファーザー』に出演されているので、ホプキンス氏から多くを学んだ結果だったのかもしれませんね。
赤ちゃんはなぜ死んでしまった?
ビーチに来たときは3歳位の女の子だったカーラは、成長してからトレントとの間に子供が出来ましたが、赤ちゃんはあっという間に死んで骨になってしまいました。
原因は新生児はこのビーチの磁場環境に耐えられなかったとも語られていましたが、
本来なら10ヶ月かけて生まれるところを20分で誕生した点、カーラがパスタしか食べておらず栄養失調状態で生まれていた可能性や、時間経過を考慮すると生まれてすぐに食事を与えるべきはずが、与えられなかったので餓死の可能性も考えられます。
伏線:「また問題は困る」
ビーチで被験者を監視していたドライバー(M・ナイト・シャマラン)が実験が終わったことを支配人に連絡した時、支配人は「また問題が起きたら困る」と言います。
それは以前に何らかの問題が起きたことを意味します。
振り返ってみると、キャパ一家がホテルに着いた時に内装の修復作業っぽい仕事をしている人がいましたね。
ホテルはビーチ実験のために作られていたようなので、実験開始を急ぎ過ぎて内装が一部未完成だったのかなとちょっと思っていましたが、もしかしたら以前の実験で脱走成功した誰かがホテルを襲撃した後だったのかもしれません。
不思議な男の子イドリブの正体は?
トレントが仲良くなり、支配人を「叔父さん」と呼んでいた男の子は誰だったのでしょうか。
男の子の存在が不自然だったのは、支配人と男の子は明らかに血縁者ではなさそうだったから(支配人は白人、男の子は中東系の顔立ち)です。
イドリブについては、もし『子どもはビーチ立入禁止』が本当にパンフレットに書かれていた内容だと考えたら繋がる仮説があります。
『子どもはビーチ立ち入り禁止』の約束は、元々は製薬会社が倫理観念から決定した禁止事項のようなものだったのではと推測します。
そして、初期はその条件を守ってターゲットが子どもをホテルに連れてこないように案内を工夫したり、連れて来てもビーチにいれないようにしていましたが、ターゲットが子供をホテルに連れて来てしまった場合、約束を守ると他の家族はビーチで死んで子どもだけが残ってしまいます。
つまり、イドリブは『子どもはビーチ立ち入り禁止』を守った結果残されてしまった子どもだったのではないでしょうか。
死んだ家族は失踪扱いにするため、支配人はイドリブを下手に警察に連れて行くこともできず、仕方なく育てていたのです。
この条件を守ると孤児を量産することになり困るため、今では条件は守られておらずグループ全員をビーチに入れるようにしていた(皆殺し)と考えればしっくりきます。
しかし、本来は人を救う薬を作るための実験なので、未来ある健康な子どももビーチに入れてしまうのは本末転倒な気がします。
ラスト、イドリブが大人になったトレントをじっと見るのは、トレントが本物かどうか確認していると同時に、自分の家族がどうなったのか気付いたシーンでもあったのではないでしょうか。
アップシーンの多いマドリッド
ホテル従業員でウェルカムドリンクを出していた女性マドリッド(フランチェスカ・イーストウッド)が意味深にアップで映されることが多かったものの、彼女の表情にどんな意味があるのかは語られませんでした。
ちなみに演じている女優はクリント・イーストウッドの娘さんでしたね。
忖度でアップが多かった可能性もなくはなさそうですが(笑)、純粋に映画の演出だったとしたら、彼女は恐らく身内に難病を患う人間が居て、彼女の家族が患っている病気の新薬が開発されるのを待ち望んでいたのかもしれません。
人々の失踪にホテルが関わっていたことが明るみになった時に彼女が呆然と座り込むのは、彼女の家族は既に命が危うい状況で、研究が止まることは家族の死に直結していたのかなと思いました。
以上です!また思いついた内容があれば随時更新します。
読んでいただきありがとうございました。
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