映画『溺れるナイフ』のあらすじと考察をしています!
「タイトルの意味」「夏芽とコウが別れた理由」「ペディキュア」「蓮目が自殺した理由」「カナが夏芽を嫌いになった理由、なぜ証拠隠滅した?」「夏芽が広能の映画に出れたのはなぜ?」など書いてます。
ネタバレありきの解説考察記事です。本作をまだ見ていない方はご注意ください。
本編時間:111分
制作国:日本
監督:山戸結希
脚本:井土紀州、山戸結希
原作漫画:『溺れるナイフ』ジョージ朝倉 著
主題歌:『コミック・ジェネレイションズ』ドレス・コーズ
挿入曲:『絶対彼女 』『ハンドメイドホーム 』大森靖子、『水星 』オノマトペ大臣&tofubeats、『めぐり逢えたら』堀越千史
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※本ページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
キャスト&キャラクター紹介
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
望月 夏芽…小松菜奈
親の都合で東京から浮雲町に引っ越してきた15歳の少女。
東京では芸能活動をしていて人気が出始めていたため、引っ越しを不満に感じている。
同級生の航一朗と恋に落ちる。
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
長谷川 航一朗(はせがわこういちろう)…菅田将暉
浮雲町にすむ15歳の少年。周囲からは『コウちゃん』や『コウ』と呼ばれている。
染めた金髪の髪がよく似合う。
地主の息子で態度がでかいが、周囲はそれを当然だと思っている。
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
大友 勝利(おおともしょうり)…重岡大毅(ジャニーズWEST)
夏芽とコウの同級生。漁師の息子でコウの親友。
コウと夏芽の恋を見守りながらも、密かに夏芽に恋心を抱いている。
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
松永 カナ…上白石萌音
夏芽とコウの同級生。
コウに幼い頃からずっと片思いしているが、叶わぬ恋と割り切って夏芽とコウの恋を応援している。
蓮目匠…嶺豪一
長谷川航司朗(航一郎の祖父)…堀内正美
望月芽衣子(夏芽の母)…市川実和子
望月鉄男(夏芽の祖父)…ミッキー・カーチス
望月直樹(夏芽の父)…斉藤陽一郎
望月竜太(夏芽の弟)…伊藤歩夢
教師…河原健二
夏芽のマネージャー…水澤紳吾
コウの友人…夛留見啓助
夏芽の同級生…金子理江、黒宮れい、國武綾
浮雲町の住民…水野愛子 ほか
あらすじ紹介
あらすじ①:
ある年の夏。東京に住む15歳の人気モデル望月夏芽(小松菜奈)は父親の故郷である※浮雲町に引っ越します。
※浮雲町は架空の地名です。
引越しの理由は夏芽の父 直樹(斉藤陽一郎)が実家の民宿を継ぐために脱サラしたからですが、夏芽は芸能活動をやめさせられたことや、ド田舎への引っ越しに不満だらけでした。
引っ越した日、夏芽は鳥居のある海で金髪の美少年長谷川コウ(菅田将暉)と出会いました。
(鳥居の向こう側のコウ 引用:https://www.instagram.com)
夏休みが終わり、転校した中学校に初登校した夏芽は、コウがクラスメイトだと知り驚きます。
転校初日、有名人の夏芽は同級生からチヤホヤされる中、コウだけは夏芽が写る雑誌を酷評しました。
怒った夏芽はコウが海の鳥居に入っていた事をバラすと教室がざわつきます。
その鳥居には『浮雲島の神様』がいると信じられていて、鳥居に入ると神様が怒って海が荒れるという言い伝えがありました。
クラスメイトの大友(重岡大毅)が怒ると、コウは教室から逃げていきました。
翌日。夏芽はコウが浮雲町の大地主の長谷川家の子だと知りました。
だからコウはこの島では何をしても黙認されるし、教師ですらコウを怒ったりしません。
あらすじ②:
その後、夏芽に有名写真家の広能晶吾(志摩遼平)から写真集のオファーが舞い込みます。
夏芽はコウに認められたい一心でオファーを受けました。
夏芽は完成した写真集をコウに見せて告白し、2人は付き合うことになりました。
それから夏芽は芸能活動や東京はどうでもよくなりました。
(キスする寸前の夏芽とコウ 引用:https://xn--vcki1fxhx43muydhn0fs65b.net)
写真集の発売から数週間後。今度は夏芽に映画のオファーが来ました。
夏芽は映画に出るかどうかをコウに決めてもらおうとすると、コウは不機嫌になったので、夏芽は自分で考えて映画のオファーを受けました。
浮雲町で毎年夏に開かれる『火祭り』の日になりました。
夏芽にとっては初めての火祭りで、夏芽はコウとお祭りデートを楽しみます。
お祭りのメインとなる『火祭りの儀式』は男性だけが参加します。
夏芽がコウの踊りに見とれていた時、夏芽の民宿の宿泊客 蓮目匠(嶺豪一)が現れて「君のおじいちゃんが倒れた 一緒に病院に行こう!」と言います。
慌てた夏芽は蓮目の車に乗りますが、これが悲劇の始まりでした。
蓮目は夏芽の熱狂的ファンで、2人きりになるために嘘をついたのです。
蓮目は夏芽に愛を告白し、林の中に車をとめてキスを迫りました。
(夏芽に愛の告白をする蓮目 ©ジョージ朝倉/講談社 2016「溺れるナイフ」製作委員会)
夏芽は車から飛び出して逃走します。
いち早く危険を察知していたコウが助けに来てくれましたが、コウは蓮目にボコボコにやられてしまいました。
夏芽は橋の下に隠れてコウを待っていると現れたのは蓮目だったので、恐怖のあまり気絶してしまいました。
その直後、通報を受けた警察と島の男性陣が助けに来てくれて夏芽は助かりました。
事件は示談になり、夏芽の『レイプ未遂事件』は世間を騒がせました。
夏芽はトラウマから芸能活動が出来なくなり、映画のオファーは断りました。
あらすじ③:
夏芽は高校一年生になりました。
夏芽とコウは火祭りの日以来会っていません。
夏芽の事件の噂は世間に広まり、尾ひれがついて「未遂」ではなく強姦されたことになっています。
夏芽はファンに襲われたトラウマから、おしゃれや肌の露出、目立つ行動は極力控え、人間不信から友達もまともに作れなくなっていました。
ある日の昼休憩。夏芽は大友と久しぶりに喋って一緒にお弁当を食べました。
夏芽はそれから自然と大友といることが多くなりました。
(椿の蜜を吸って遊ぶ夏芽と大友 引用:https://rf0818.hatenablog.com)
ある日、夏芽は下校中、不良友達とつるんでいるコウとすれ違います。
話しはしませんが、夏芽はコウから目が離せませんでした。
別の日、夏芽はコウを強引に捕まえて話をしようとしますが、コウは「もう俺に関わらんで」と夏芽を突き放しました。
その翌日、夏芽は大友に告白されて付き合うことにしました。
大友といるとコウを忘れられそうな気がしたからです。
数日後、久しぶりに夏芽のマネージャーから電話があり、広能監督から映画の主演のオファーが入ったと言われます。
夏芽は即答で断りますが、「読んでから決めて」と台本が送られてきました。
その台本には主人公がレイプされるシーンがあり、明らかに夏芽の強姦未遂事件をネタにした内容でした。
傷ついた夏芽は、その後マネージャーからの連絡を無視しました。
数日後、広能が浮雲町に来ましたが、広能は今の夏芽の姿を見て鼻で笑うと「会ってみたら撮る気なくした」とあっさり帰ってしまいました。
数日後、夏芽は喧嘩して傷だらけのコウと遭遇し、お祭り広場の傍にある隠れ家に入りました。
この時に夏芽とコウは初めて肉体関係を持ち、夏芽は改めてコウが好きだと確信します。
しかし、コウは「もう会うのは最後にしよう」と言います。
夏芽は東京に戻って芸能活動を再開し、コウは浮雲町で生きるのがそれぞれに合った生き方だから恋人にはなれないというのがコウの意見でした。
コウは「俺はお前に何もしてやれん」と泣きました。
コウはあの事件以来、自信を失っていたのです。
夏芽はコウが持っていたナイフをもらい、泣きながらコウと別れました。
翌日。夏芽は大友に「芸能活動を再開するために東京に戻るから別れよう」と切り出しました。
コウが本当の理由だと気づいた大友は、潔く「友達に戻ろう!東京でがんばれよ!」と笑いました。
あらすじ④:
夏芽にとって2回目の火祭りの日。
火祭の儀式が始まる頃、見慣れない天狗のお面をした不審人物がうろついていました。
それが蓮目だと直感したコウは一目散に走りだしました。
その頃、夏芽が隠れ家で思い出に浸っていると、天狗のお面を付けた蓮目が現れました。
夏芽はコウのナイフをとり出して威嚇しますが、蓮目に殴り倒されてしまいます。
夏芽はおぼろげな意識の中で、コウが蓮目をやっつけるところを見た気がしましたが、夢か現実かわかりませんでした。
夏芽が気絶している間、蓮目は夏芽を強姦しようとしていました。
駆けつけたコウは必死で戦いますが、ナイフは蓮目が手にしました。
緊張が走る中、蓮目は「僕は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と言うと、自ら首を切って自殺しました。
その後、目覚めた夏芽はカナから血まみれのナイフを見せられて、コウと蓮目の乱闘が現実だったことと、蓮目が死んだことを知りました。
カナは「明日、全部海に沈める もう二度とコウちゃんと会わんで!」と怒鳴りました。
蓮目の遺体、血の付いた衣類とコウのナイフは海に葬られました。
(授賞式の夏芽 引用:https://www.amazon.co.jp)
その後、上京した夏芽は広能監督の映画に出演し、ジパング国際映画祭で最優秀賞主演女優賞を受賞しました。
授賞式の最中、夏芽はコウに会い「これからも頑張る」と報告する場面を想像します。
それからも夏芽は東京で芸能活動、コウは浮雲町で生き、ふたりが再会することは無さそうです。
夏芽はコウの、コウは夏芽の『神さん』であり、お互いの心の支えです。
考察や感想など
(引用:https://eigaland.com)
原作未読です。
この映画がわかりにくいと言われるのは、コウちゃんの発言が常に遠回しで言いたいことがわかりにくい点にあると思いましたが、原作のコウちゃんもそんな感じだったんでしょうか。
とにかく小松菜奈と菅田将暉が美しい映画でしたが、個人的には意図がわからない追いかけっこのシーン(特に夏芽の写真集を見るまでのくだり)は要らなかったかなと思いました(笑)
あと蓮目が夏芽を襲うシーンは、蓮目役の俳優さんが小松菜奈に気を遣っている触り方をしているように見えて迫力がイマイチなのも残念でした。
全体的に主演2人のキラキラ感でカバーされていたな~というのが正直な感想です。
ここからは気になった点を考察します。
夏芽とコウが別れた理由
1回目の火祭りでの事件の後、夏芽とコウは自然消滅で別れています。
夏芽は別れた理由を「会わないことがお互いに傷つかない唯一の方法だった」と答えています。
コウは長谷川家という浮雲町の中では特権階級的な家庭に生まれ、小さい頃から何でも思い通りになる環境で育ってきたため、自信と全能感に溢れていました。
しかし蓮目に喧嘩で負けた時、コウは夏芽を助けられなかったことに絶望し、コウ自身がまだ大人には勝てない子どもであると実感させられたのでしょう。
言い換えると、コウは蓮目に負けた時が生まれて初めての挫折だったのです。
レイプ未遂事件から、コウは夏芽を見るとあの時の敗北感を思い出してしまうため、会えなくなったのではないでしょうか。
一方で夏芽は事件の後もコウが会いに来てくれるのを待ち続けていました。
夏芽がコウに自分から会いに行けなかったのは、付き合うのも別れるのも、会うのも会わないのも全ての『選択』をコウちゃん任せにしていたからだったように感じます。
夏芽の受け身っぷりは幼なさを示していたようにも見えました。
個人的な感想ですが、コウちゃんが蓮目に殴られている間、夏芽はコウちゃんを助けようともせず逃げたのが幼さの表れなんでしょうが、納得いかないというかものすごく薄情に見えました。
「適当な武器見付けてコウちゃんとこ行けよ!」ってめっちゃ思ってました。
あと、2回目の祭りの時に夏芽が気絶したり起きたりするのも『?』でした。
薬でも盛られてたならわかるんですが、何も無く突然気絶して、突然起きて「行けー!」とか叫んでたとしたら謎が深まります(笑)
夏芽のペディキュア
大友と映画デートに行く約束をした後、夏芽は久しぶりにペディキュアを塗ります。
そのペディキュアの色に、夏芽の心を占める人物と割合が現れています。
夏芽は5本の指の内、4本はネイビーを塗りました。このネイビーはコウです。
ネイビーなのは、夏芽の中でコウと海が結びついているからです。
そして、薬指だけに大友を表す鮮やかなえんじ色を塗っています。
大友がエンジ色なのは、椿の花で遊んだことが印象的だったからでしょう。
大友は指1本分しかありませんが、恋人を連想する薬指に塗っているところが『普通の幸せ』に憧れた夏芽が大友に傾きつつある様子を描いています。
その後、コウと再会した夏芽はやっぱりコウが好きだと再確認し、ペディキュアを全色ネイビーに塗り直します。
蓮目が自殺した理由
©ジョージ朝倉/講談社 2016「溺れるナイフ」製作委員会
蓮目は2回目の火祭りの際、また浮雲町に現れて夏芽を襲った末に自殺します。
この時、蓮目は「俺が死んだら夏芽ちゃんと俺の写真が並んで、俺は夏芽ちゃんの一生消えない影になる」と発言しています。
蓮目の目的は、夏芽と両想いになれないのなら、蓮目が死ぬことでもう一度世間を騒がせて、後に夏芽とセットで思い出される「あの人」的な存在になることで夏芽の『影』になりたい、ということだったようです。
しかしカナが証拠隠滅したので、蓮目の願いは叶いませんでした。
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感想などお気軽に(^^)
映画を見て、よく分からず..モヤモヤしたので、考察している方を探していました。
この方の考察ページが1番上に出てきて読んでみたら、もう分かりやすすぎて納得しました。頭のいい方なのだろうなぁと。
この考察・解説のおかげで、映画の評価が自分の中で上がったので、イイネボタンがないかと探していたところコメント欄があったので書かせていただきました。
すごく分かりやすくて感謝です。
他のも読ませていただきます!!
雫さん
こんにちは、管理人です。
わかりやすいと感じて頂けて嬉しいです!
雫さんのコメントを拝見していいねボタンを設置しました。
必要性を感じず設置していませんでしたが、私も頂けたコメントにイイネ出来るようになったので今では重宝しています。
ありがとうございました(^^)
とっても読みやすく、わかりやすく、丁寧な考察ですね。
きょう映画を観たばかりで、わからない部分もあったのですが、
こちらのブログを読んでとてもすっきりしました。
ぱずるさん
読みやすいと言っていただけて感動しました(T_T)
励みになります。コメントありがとうございました(^^)