映画『七つの会議』のあらすじ紹介と解説、考察をしています!
「七つの会議振り返り」「七つの大罪との関連」について書いてます。
鑑賞済みの方のための解説記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
本編時間:119分
制作国:日本
監督:福澤克雄
脚本:丑尾健太郎、李正美
原作小説:『七つの会議』池井戸潤 著
主題歌:『Make You Feel My Love』ボブ・ディラン
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キャスト&キャラクター紹介
©2019「七つの会議」製作委員会
八角民夫(やすみ たみお)…野村萬斎
中堅電機メーカー『東京建電(TKD)』の営業一課 係長51歳バツイチ子持ち。
『ぐーたらはっかく』とも呼ばれ、なぜ花形部署に居るのか不思議に思われている。
自由気ままで怠けてばかりに見えるが、実は鋭い洞察力を持つ。
©2019「七つの会議」製作委員会
原島万次(はらしま ばんじ)…及川光博
TKDの営業二課 課長(実質の主演)。
優しいが臆病な性格。一課課長を突然任命されて困惑する。
部下の浜本と共に営業一課で起きた騒動の真相を調べる。
©2019「七つの会議」製作委員会
浜本優衣(はまもと ゆい)…朝倉あき
TKD営業一課で経理を担当している女性社員、入社6年目。
数か月後に寿退社する予定。
社内環境改善のため社内での無人ドーナツ販売を企画し、現在試験販売中。
©2019「七つの会議」製作委員会
北川誠(きたがわ まこと)…香川照之
TKDの営業部長。
部下からは『鬼』と呼ばれ、営業部社員の誰もが恐れる絶対的存在。
毎月行われる定例会議での売り上げ報告の場では、目標達成できなかった部下たちを徹底的に罵倒して過度なプレッシャーを与える。
©2019「七つの会議」製作委員会
梨田元就(なしだ もとなり)…鹿賀丈史
TKDの親会社ゼノックスの常務取締役。
ゼノックスの型落ち商品の販売を毎月TKDに大量に依頼して宮野や北川を困らせる。
かつてはTKDに出向して八角と北川の直属の上司だった時期がある。
冷酷で権威主義的な性格で、目下の人間を常に嘲笑する。
村西京介(TKD副社長、ゼノックスの人間)…世良公則
佐伯(東京建電英兵部二課、原島の部下)…須田邦裕
坂戸宣彦(さかどのぶひこ|TKD営業一課課長)…片岡愛之助
佐野健一郎(TKDカスタマー室長、元営業一課)…岡田浩暉
加茂田久(かもだひさし|TKD経理部課長)…勝村政信
新田雄介(TKD経理部、加茂田の部下)…藤森慎吾
三沢逸郎(みさわいつろう|ねじ六社長)…音尾琢真
三沢奈々子(ねじ六の社員、逸郎の妹)…土屋太鳳
江木恒彦(えぎつねひこ|トーメイテック社長)…立川談春
徳山郁夫(とくやまいくお|ゼノックス社長)…北大路欣也
飯山孝実(いいやまたかみ|TKD経理部長)…春風亭昇太
TKD人事部長…緋田 康人
坂戸崇彦(さかとたかひこ|坂戸の兄)…橋本さとし
淑子(としこ|八角の元妻)…吉田羊
仁科(カスタマー室の女性社員)…吉谷彩子
前川(TKD前橋工場長)…赤井英和
奈倉翔平(TKD商品開発センター員)…小泉孝太郎
星野(八角の客の息子)…溝端淳平
田部(ゼノックス副社長)…木下ほうか
ゼノックス重役…井上肇
加瀬(弁護士)…役所広司
TKDの女性社員…ぼくもとさきこ ほか
あらすじ紹介
あらすじ①:坂戸課長のパワハラ事件
(八角を罵倒する坂戸 引用:https://eiga.com)
2018年5月。東京にある中堅電機メーカー『東京建電(TKD)』で起きた出来事です。
自社製品の営業販売を担う花形部署の営業一課には、社内でも特に問題児扱いされている万年係長の八角民夫(野村萬斎)という社員がいます。
八角は営業ノルマは必要最低限しかこなさず、周りがどんなに忙しそうでも定時帰宅する図太さがあり、最近では居眠りまでする始末です。
そんな八角ですが、営業部長の北川誠(香川照之)はなぜか八角に怒らないため、我慢できなくなった一課長の坂戸宣彦(片岡愛之助)は八角にパワハラするようになります。
ある日、毎月有給休暇を申請する八角に坂戸がブチ切れて有休を拒否すると、八角は「訴えてやる!」と坂戸に宣戦布告しました。
それから八角は本当に坂戸を訴えますが、坂戸はエリートなので実質おとがめ無しだろうと誰もが思っていました。
しかし数週間後、坂戸は人事部に異動が決まります。
これは坂戸が出世コースから外されたこと、北川が坂戸を見捨てたことを意味しているため社内は大騒ぎになりました。
その後、北川は坂戸の後任を営業二課課長の原島万次(及川光博)に決めました。
一課長の業務にも慣れてきた頃。
原島は、北川が八角を一課に残す理由が気になり、課長以上しか見られない人事台帳で八角の経歴を拝見しました。
すると、八角は1990年入社で北川と同期だったこと、そして入社して最初の10年は驚く程の高評価だったものの、一課の係長に昇進したタイミングで一気に最低評価に下がって現在に至っていました。
原島は八角に何があったのか気になります。
あらすじ②:経理部の粗探し
(加茂田と新田 引用:https://twitter.com)
営業部を忌み嫌う経理部の加茂田課長(勝村政信)は「3日後の役員会議までに営業部を叩くネタを探してこい」と部下の新田(藤森慎吾)に命じました。
加茂田と上司の飯山経理部長(春風亭昇太)は、若くして出世した北川にライバル心を燃やして蹴落とそうと必死です。
新田が営業部の経費伝票をチェックすると、八角が5月中頃に約10万円もの接待飲食費を経費で落としているのを発見しました。
接待相手は『ねじ六』というTKD下請けの老舗ねじ工場で、下請け相手に高額な飲食費を払うのはおかしいです。
翌日、新田は八角を直接問いつめますが、八角に悪びれる様子はありませんでした。
悔しくなった新田がその後も調べると、ねじ六とTKDは長期にわたる取引先だったものの、約2年前に坂戸がコストを理由に取引を切っていた会社だとわかりました。
坂戸は『ねじ六』より安価なねじを売る『トーメイテック』というベンチャー企業に転注していましたが、八角は坂戸が異動した直後にねじ六との取引を再開し、トーメイテックとは取引をやめていました。
このことで、月に約90万円もコストが増えていることも判明します。
新田は営業部の誰かがねじ六と癒着している可能性を加茂田課長に報告すると、加茂田は大喜びでこの件を飯山に報告しました。
役員会議の日、飯山はねじ六の件を議題に出しますが、北川も宮野社長(橋爪功)も「営業部の事情に経理部が口を挟むな」と言うだけでした。
そんな中、元営業一課で現カスタマー室長だった佐野(岡田浩暉)が突然 福岡に異動になりました。
佐野は営業一課に戻るチャンスを狙っていた人物で、八角と北川の『何か』を突き止めようとして異動になったことは明らかでした。
原島と営業一課社員の浜本優衣(朝倉あき)は、北川と八角には何か裏があると確信して調べることにします。
原島と浜本はまず坂戸(元一課長)から話を聞こうとしますが、坂戸は現在『長期休暇中』で、しかも人事部長を通してしか坂戸と接触出来ないという異常事態になっていました。
坂戸は自宅にもずっと帰っていないらしく、なぜか会社ぐるみで隔離されているようです。
あらすじ③:ドーナツ無人販売とドーナツ泥棒
(新田と浜本 引用:https://ameblo.jp)
社内には最近『ドーナツ無人販売所』が設置され、美味しいと人気です。
ドーナツ無人販売を企画したのは、6月末で寿退社する営業一課の浜本です。
浜本の本当の退職理由は結婚ではなく社内不倫でした。
浜本は経理部の新田と付き合い始めた直後に彼が妻子持ちだと知りました。
浜本は新田の「離婚するつもり」を信じてずるずる3年も付き合ってしまい、別れてもう顔を合わせたくないため退職を決めました。
黙って去るつもりでしたが、周囲に退職理由をしつこく聞かれて「結婚です」と言ってしまい現在に至ります。
浜本は今まで恋愛にかまけてろくに仕事していなかったことに気付き、ドーナツの無人販売を思い切って会議で提案すると、村西京助副社長(世良公則)の承認で試験販売させてもらえることになりました。
浜本が個人経営のお店からドーナツを取り寄せて販売すると売れ行きは好調でしたが、ちょこちょこ無銭飲食が発生して困っていました。
浜本は八角の指摘で水曜日に泥棒が来ていることに気付きます。
水曜日の夕方、浜本と原島が隠れて見張りをしていると、経理部の新田がドーナツ泥棒だったことが発覚します。
浜本と原島が問い詰めると、新田は観念して土下座しました。
翌日、原島がまだ新田のことを上層部に報告もしないうちに、新田は東北への左遷が決まりました。
左遷理由が『ドーナツ泥棒と社内不倫』ということも既に知れ渡っていたので、原島と浜本は混乱します。
これはほぼ確実に八角からの原島と浜本に対する警告です。
怖くなった原島は「もう八角を調べるのはやめよう」と言いますが、不倫をバラされて怒った浜本は「どうせ辞めるから最後に真実を暴いてやる」と調査を続けます。
その後、ドーナツ無人販売はドーナツに魅了された北川の後押しで正式採用されました。
あらすじ④:八角とセルーラのねじ
翌日。原島と浜本は定時退社した八角を尾行します。
八角は数軒のオフィス用品店で自社の折り畳みイス『セルーラ』を見て回った後、飲食店で元妻の淑子(吉田羊)と2人で食事をして帰宅しました。
原島と浜本は、八角が収入には釣り合わないボロアパートに住んでいることを知り、彼が私利私欲で動くタイプではないようだと結論付けました。
その後原島と浜本は、以前会議中に突然壊れたイスも『セルーラ』だったことを思い出します。
しかもその会議の後、北川の命令で会議室のイスが全て交換されていたこともわかりました。
原島はセルーラが壊れた時にネジが折れていたことを思い出し、ネジを調べることにします。
(工場に忍び込む原島と浜本 引用:https://twitter.com)
翌日。原島はカスタマー室で過去5年分のセルーラに関するクレーム一覧表を手に入れます。
すると、セルーラのネジを『ねじ六』から『トーメイテック』に転注した後からクレームが大量発生していたことがわかりました。
これは、トーメイテックがTKDに不良品のネジを納品していた可能性が高いことを示しています。
後日、原島と浜本は前橋にある自社工場からトーメイテック製のネジを持ちだすと、商品開発センターの奈倉(小泉孝太郎)にネジの強度検査をしてもらいます。
すると、セルーラのネジも、飛行機の座席用のネジも、全て規定の強度の半分程度しかないことが発覚しました。
つまりトーメイテック製のネジをつかった商品は全て不良品であり、八角と北川は『リコール隠し(不良品を世間に公表せず秘密裏に対処して隠し通そうとすること)』をしていたのです。
カスタマー室の佐野が左遷されたのはリコール隠しに気付いたからで、坂戸(元一課長)はネジの強度を偽装して発注コストを抑えるという違法行為で売り上げ目標を達成していたことになります。
原島と浜本が八角に調査結果を突きつけて「社長に報告すべきだ」と訴えると、八角は「もう報告した」と答えました。
今から約2か月前の4月、偶然ネジの強度問題を知った八角は、すぐ北川に報告して対処を求めました。
しかし数日後、八角は社長、北川、人事部長に呼び出されて「ネジの強度偽装の犯人は坂戸だから、営業部から追い出すきっかけを作ってほしい」「ネジの発注先をトーメイテックから ねじ六に速やかに戻してほしい」と頼まれました。
(坂戸を訴えるよう命じられている八角 引用:https://eiga.com)
違和感を感じた八角は「それよりも今はネジの件を世間に公表してリコールすべきだ」と訴えると、社長は「現状を把握したいから2か月待て」と答えました。
八角はその2か月間、社長を信じて坂戸をパワハラで訴え、ネジの発注先をトーメイテックからねじ六に戻す作業を行いました。
そして原島と浜本がネジ問題に気付いて八角を問い詰めた時が、ちょうど約束の2カ月が経った頃でした。
翌日。八角は社長から「リコールはしない」と告げられました。
リコールを行った場合の費用は2000億円以上かかることがわかり、TKDは当然そんな資産を持ち合わせていないからです。
八角は抗議しますが、社長は「部長らがちゃんと監督していればこんなことにはならなかった 私は被害者だ!」と責任転嫁する始末でした。
あらすじ⑤:八角の過去と反抗
数時間後。リコール発表が無いのを不思議がる原島と浜本をよそに、八角は明日の有給申請書だけ提出して無言で帰ってしまいました。
八角は約20年前から、毎月必ず同じ日に有給休暇を取得しています。
翌日。八角のことが気になった原島と浜本が社用携帯のGPSを頼りに八角の行き先に行ってみると、そこはお墓でした。
20年以上前、『期待の新人』と呼ばれていた頃の八角と北川の直属の上司は、現ゼノックス常務の梨田でした。
当時の八角と北川は、梨田が命じる無茶苦茶なノルマの達成に必死でした。
八角はノルマ達成に奮闘するあまり、時間に余裕のある老夫婦相手に強引な訪問販売を続けた結果、星野という八角のお得意様が自殺しました。
八角の必死な姿が不憫で断れなかった星野は経済的にパンクしてしまい自殺したのです。
それから20年間、八角は星野の月命日に有給を取っては罪滅ぼしの墓参りを続けています。
八角がいつも喪服のような黒スーツを着ているのも、戒めの気持ちからでした。
その後、八角は宮野社長との約束を破ってゼノックス所属の村西副社長に『ネジの強度不足に関する報告書』を匿名で提出します。
全てを知った村西は「今週中にゼノックスで御前会議(ゼノックス社長が参加する重役会議)を開くから、そこで全て説明してください」と宮野に告げました。
宮野は「頼むからゼノックスには報告しないで」と訴えますが、村西は聞きませんでした。
御前会議まであと数日あります。
八角は原島、浜本と共に『ネジの偽装は本当に坂戸の単独犯なのか』を調べることにしました。
坂戸の性格的にも偽装工作するとは考えにくかったからです。
結末と考察は次のページです
2ページ目は結末と考察です!
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