映画『LAコンフィデンシャル』の解説・考察をしています!
ナイト・アウル事件の真相、ロロ・トマシなどについて書いています。
鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
本編時間:138分
制作国:アメリカ
監督:カーティス・ハンソン
脚本:ブライアン・ヘルゲライド、カーティス・ハンソン
原作小説:『L.A.コンフィデンシャル』ジェームズ・エルロイ 著
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キャスト紹介
© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.
バド・ホワイト巡査…ラッセル・クロウ
LA市警の警察官。情に厚く正義感も強いが、怒りっぽくすぐ手が出てしまうのが玉にキズ。
元相棒を殺した犯人を捜す。
© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.
エド・エクスリー…ガイ・ピアース
スピード出世した刑事課の警部補。とある事件で殉職した『伝説の刑事』を父親に持ち、署内の誰よりも賢い男。
出世のためなら平気で仲間を売るが、癒着や隠ぺいはしない主義。
所内の誰よりも早く出世の道を突き進む。
© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.
ジャック・ビンセンズ…ケヴィン・スペイシー
LA市警 麻薬課の巡査部長。
LAで人気の犯罪ドキュメンタリー番組に出演したり、刑事ドラマ『名誉のバッジ』の監修も行い俳優並みに知名度が高く、彼自身もそれを生き甲斐にしている。
週刊誌記者のシドと組んで話題作りに励む。
© 1997 Regency Entertainment (USA), Inc. in the U.S. only.
ダドリー・リーアム・スミス…ジェームズ・クロムウェル
刑事課 警部。クリスマス騒ぎでクビ寸前だったバドを助けて殺人課に配属させる。
シド・ハッジェンス(週刊誌『HUSH HUSH』の記者)…ダニー・デヴィート
ピアス・パチェット(風俗店オーナー)…デヴィッド・ストラザーン
ロウ検事…ロン・リフキン
ディック・ステンズランド(ホワイトの相棒)…グレアム・ベッケル
警察署長…ジョン・マホン
マット・レイノルズ(役者の卵)…サイモン・ベイカー
リーランド・ミークス(元刑事、愛称バズ)…ダレル・サンディーン
スーザン・レファーツ(リタ・ヘイワース似の娼婦)…アンバー・スミス
スーザンの母…グウェンダ・ディーコン
市議…ジム・メッツラー
レナード(黒人ボクサー)…ロバート・バリー・フレミング
シュガー・レイ・コリンズ(黒人の容疑者)…ジェレミア・バーケット
ルイス(〃)…サリム・グラント
タイ(〃)…カリーム・ワシントン
イネス(監禁被害者)…マリソル・パディーラ・サンチェス
ブルーニング巡査(ダドリーの部下)…トーマス・アラナ
カーライル巡査(〃)…マイケル・マクリーリー
酒屋の店主…ウィル・ザーン
シルベスター(監禁男)…ジェフ・サンダーズ
ローランド・ナバレット(麻薬の売人)…スティーブ・ランバート
ミッキー・C・コーエン…ポール・ギルフォイル
ジョニー・ストンパナート(コーエンの用心棒)…パオロ・セガンティ
カレン(レズビアン報道された女優)…シンバ・スミス
ラナ・ターナー…ブレンダ・バーキ
『名誉のバッジ』の俳優…マット・マッコイ ほか
あらすじ紹介
舞台は1950年代のロサンゼルスです。
ロスでは長い間ミッキー・C・コーエンという男が裏社会を牛耳っていましたが、ロサンゼルス市警はついにコーエンを逮捕しました。
コーエンは脱税の罪で10年間の服役が決まり、ロスにようやく平和が訪れたかに見えましたが、裏社会ではコーエンの後釜を狙う者たちがひそかに動き始めていました。
クリスマスの夜、この日は警察官たちも穏やかに過ごそうと署内でパーティーを開きますが、巡査のバド・ホワイト(ラッセル・クロウ)、バドの相棒ステンズランド、麻薬課巡査部長のジャック・ビンセンズ(ケヴィン・スペイシー)は署に拘留していたメキシコ人たちを相手に暴行騒ぎを起こしてしまいます。
この騒ぎはたまたま署に取材に来ていた新聞記者にすっぱ抜かれ、翌朝の新聞の一面に掲載されてしまいました。
この騒動は裁判にまで発展し、ロス市警の警察署長は何とか市民が納得する決着の付け方に悩みます。
そんな中、警部補昇進のためのテストをトップで通過した男エド・エクスリー(ガイ・ピアース)が署長に『上手な解決方法』を提案し、クリスマスの騒動はエクスリーのおかげで見事に解決しました。
このクリスマス騒動でエクスリーは刑事課の警部補に異例の大出世を果たし、バドは刑事課長ダドリー(ジェームズ・クロムウェル)の希望で停職処分に留まり、ステンズランドは元々問題児だったことがアダとなり解雇に、ジャックは生き甲斐だった刑事ドラマの監修役を外され、麻薬課から風紀課へ移動(左遷)になりました。
その後、コーエンの直属の部下だったいわゆる幹部陣3名が立て続けに殺され、大量の麻薬が盗まれる事件が起こりますが、犯人は『2人組の男』という情報しかなく、捜査は行き詰まります。
バドはダドリーに呼ばれて殺人課の刑事として職場復帰してコーエンの部下殺人事件を調べますが、手がかりはつかめませんでした。
その後、ステンズランドは警察官として最後の出勤を終えて警察を去りました。
バドは「今夜飲みに行こう」と誘いますが、ステンズランドは「今日はデートなんだ」と断るので、週末に会う約束をして2人は別れました。
その日の深夜、ダウンタウンにあるカフェ『ナイト・アウル』で店主と客など計6人が惨殺される大きな事件が起こります。
6人の被害者の1人にはバドの相棒だったステンズランドが含まれていました。
バドはステンズランドを殺した犯人を捕まえるために捜査を始めます。
解説・考察・感想など
この映画の複雑さは、事件がまず複雑なことに加えて登場人物の呼び名が統一されておらず、『バズ』や『バド』など名前が似ていて覚えにくいことや、名前の紹介がなかったキャラが突然名前だけ出てきて全然ピンと来ないのが原因ではないかと思います。
それでも演技派役者揃いで見ごたえのある大好きな映画です。
事件のピースがちりばめられている感じで頭の中でつなげるのが大変なので、時系列順に流れを整理してみます。
クリスマスの署内の暴動の経緯と変化を整理
クリスマスの夜、警察署内に多くのメキシコ人が連行されると、バドの相棒ステンズランドを先頭にメキシコ人に対する暴行騒動が起きました。
先日、犯罪グループを逮捕しようとした警察官2人が返り討ちにあって半殺しにされる事件がありました。
被害にあった仲間のために刑事たちが引っ張って来たのがこのメキシコ人たちです。
ステンズランドは仲間への敵討ちと仕返しのために彼らを痛めつけました。
バド(ラッセル・クロウ)とジャック(ケヴィン・スペイシー)も騒ぎに加わってしまい、新聞記者に撮られて新聞に掲載され、裁判にまで発展しました。
ロス市警のイメージアップに尽力していた署長は怒り、市民を納得させる決着のつけ方を考えなければならなくなります。
署長が主導で聞き込み調査が行われる中、エクスリー(ガイ・ピアース)は出世を見返りに『上手な解決方法』を提案しました。
それは『騒動の原因を恩給確定者(定年退職間近の警察官)になすり付けて辞職させ、騒動の中心だったステンズランド、バドは懲戒免職処分にしよう』というものでした。
署長は納得し、次は『誰が裁判で証言するか』に話が進みます。
ステンズランドとバドにとって不利な証言をするのはエクスリーに決まりますが、恩給確定者に罪を着せる証言は、職場の大先輩を裏切ることになるので誰もやりたがりません。
そこでエクスリーは「ジャック・ビンセンズを『証言しなければドラマの監修役をやめさせる』と脅せばやるのでは」と提案します。
署長とダドリーがエクスリーに言われた通りの内容をジャックに話すと、ジャックはあっさり引き受けました。
ジャックが芸能界での活躍を生き甲斐にしていることをエクスリーは見抜いていたのです。
ちなみに裁判の日、ジャックがエクスリーに「俺は定年間近の老人を売るだけだからマシだが、お前は出世したさにステンズランドとバドを売るんだから大きな恨みを買うぞ(後で痛い目を見るぞ)」と指摘したときにエクスリーが鼻で笑うのは、そもそもこの解決策を考えたのがエクスリーだとジャックが知らずに先輩面で警告するのが馬鹿っぽく見えたからでしょう。
その後、エクスリーはダドリー(刑事課長)と相談したうえでステンズランドだけを解雇し、バドは停職処分のみにとどめました。
コーエンの部下殺害の犯人と真相
裏社会のボスだったミッキー・コーエンが逮捕された後、刑事課警部のダドリー・スミス(ジェームズ・クロムウェル)はコーエンに代わって裏社会を支配しようと企みます。
ダドリーは悪仲間の元刑事リーランド・ミークス(愛称バズ)と、バドの相棒ディック・ステンズランドに依頼してコーエンの幹部陣3名を次々に殺させました。
コーエンの部下を殺した犯人の手がかりが『2人組の男』しかなかったのは、ダドリーが2人を守っていたからです。
しかし、ミークスとステンズランドは殺したコーエンの部下が持っていた大量のヘロインをダドリーに無許可で盗んでしまいます。
その後、ミークスとステンズランドはヘロインの分け方などで喧嘩してしまい、ステンズランドがミークスを殺してスーザン・レファーツの実家の床下に隠しました。
※スーザンはステンズランドの恋人です
ナイト・アウル事件の真相
ステンズランドはミークスを殺してヘロインを独り占めしていましたが、ダドリーに見つかってステンズランドとスーザンはナイト・アウルカフェで殺されてしまいました。
本当の標的はステンズランドだけでしたが、強盗の仕業に見せかけるために他5名を殺してレジの金を奪ったのです。
勝手な想像ですがステンズランドとスーザンはナイト・アウルで落ち合った後は高飛びしようとしていたのではないでしょうか。
ナイト・アウル事件の実行犯は、ダドリーの部下のブルーニング巡査とカーライル巡査です。
ただ、現場検証で「犯人は3人いたようだ」と言われていたので、ダドリーも犯行に加わったと思われます。
エクスリーとジャックよりも先にブルーニングとカーライルがレイ(黒人青年)の車庫に居たのは、ナイト・アウルの証拠品をレイの車に置いていた瞬間だったのです。
エクスリーとジャックはねつ造に気付かず、ダドリーの思惑通りに黒人青年のレイ、タイ、ルイスを逮捕して、最終的に3人とも殺してしまいました。
ダドリーは黒人3人を最初から殺すつもりだったので、彼らが警察署から逃げたのはダドリーが部下に命じて逃がしたと思われます。
ちなみにカーライルはエクスリーと黒人3人の銃撃戦で命を落としています。
こうして公式には決着が着きますが、その後、エクスリーは監禁被害者の女性イネスの発言から、ナイト・アウルの犯人は別にいることが発覚します。
ロロ・トマシの意味は?
ジャックはダドリーに撃たれた後、『ロロ・トマシ』とつぶやいて息絶えました。
ロロ・トマシはエクスリー(ガイ・ピアース)がジャックに語った警察に入った理由です。
エクスリーの父親はひったくり犯を捕まえようとして殺され、父を殺したひったくり犯はその後も正体不明で逮捕もされていません。
エクスリーは、父を殺して逃げおおせたひったくり犯に『ロロ・トマシ』と勝手に名付けて教訓にしていました。
エクスリーが警察に入った理由は、罪を犯して償うことなく逃げ続ける『ロロ・トマシ』を一人でも多く成敗するためでした。
エクスリーがロロ・トマシの話をしたのはジャックだけでしたが、ジャックが殺された後、ダドリーがロロ・トマシを口にします。
これはジャックなりのエクスリーにあてたダイイング・メッセージで、ダドリーもまたロロ・トマシであることをエクスリーに伝えようとしていたのです。
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2ページ目は『俳優マット(サイモン・ベイカー)が殺された理由』『不倫報道の真相』『その他細かい疑問』です。
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