映画『孤狼の血 LEVEL2』の疑問について解説考察しています。
内容は『チンタはなぜ日岡を殺そうとした?』『封筒の送り主は誰?』『瀬島の偽装』『瀬島のエスは誰?』『瀬島はなぜ殺された?』です。
鑑賞した方向けの記事のため、まだ観ていない方はご注意ください。
制作年:2021年
本編時間:139分
制作国:日本
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
原作小説:柚月裕子 著『孤狼の血』
出演者:松坂桃李(日岡秀一)、鈴木亮平(上林成浩)、村上虹郎(チンタ)、中村梅雀(瀬島)、西野七瀬(近田真緒) ほか
刺激の強い殺傷流血描写がみられるためです。(映倫より抜粋)
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解説・考察
チンタはなぜ日岡を殺そうとした?
©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
チンタは上林に追い詰められて日岡を殺そうとしますが、結局殺せませんでした。
上林はチンタに「なぜ極道に入った?残飯食らって生きても仕方ないから極道入ったんと違うんか?」と喝をいれます。
この言葉が恐らく、『在日』と虐げられて母親にも捨てられて寂しくひもじい幼少時代を過ごしてきたチンタの心の闇を揺さぶりました。
また、チンタが「やめたい」と言った時に日岡が許可していれば、こんな風に上林に目をつけられて苦境に立たされることも無かったので、チンタは日岡に怒りを覚えたのもあったと思います。
前置きが長くなりましたが、そういうわけでチンタが日岡を殺そうとしたのは、チンタは上林の持つ狂気に触発され、こんな状況に自分を追いやった日岡に恨みが沸いたからでしょう。
しかし、実際に日岡を殺すことは出来ませんでした。
封筒の送り主は?
上林にチンタと日岡が一緒に居る写真を郵送したのは瀬島で、恐らく県警上層部の意向に従ったと思われます。
日岡を排除したかった県警は、上林の怒りの矛先を日岡に向けるためにリークしました。
チンタは上林を怒らせる材料に使われてしまったのです。
チンタのことを暴露したのは記者の高坂だと日岡はミスリードしましたが、瀬島の収集した証拠がそのまま使われたと思われます。
瀬島の偽装
©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
瀬島は県警上層部の指令で日岡の内偵をしていた人物でした。
瀬島の初登場シーンで『ピアノ講師殺害事件』と書かれた半紙と嬉しそうに記念写真を撮っていた時に感じた妙な違和感は間違いではなかったのです。
日岡は県警から『瀬島』という偽の身分をもらって完璧に素性を隠し、公安時代に培った演技力と温かいご飯で日岡をすぐに信用させた熟練刑事でした。
『ロートル』と自虐する瀬島にとって、青臭さ漂う孤独な日岡を懐柔するのは簡単だったのでしょう。
瀬島は「極道は『自分は悪人だ』と自覚して悪事をはたらくからまだ扱いやすい。厄介なのは正義面して悪さする奴ら。己が正しいと思い込んでいるから始末に負えない』と語ります。
県警上層部の陰謀を念頭に置いている観客や日岡は上層部を指していると思ってしまいますが、瀬島は『正義面して悪さする奴ら』に日岡もひっくるめています。
瀬島が嵯峨の内偵だとわかった後、瀬島の自宅だったアパートも空っぽになっていました。
あのアパートも、本部が瀬島に用意した仮住まいだったのです。
忘れられていた『瀬島夫婦の死んだ息子の写真』は、日岡が調べた瀬島の過去が全て偽装だったことを示しています。
瀬島のエスは吉田だったのかもしれない

©2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会
上林組が尾谷組に襲撃に行った直後、吉田(音尾琢真)は慌ててどこかに電話していました。
その後、場面が県警本部に切り替わり、これから尾谷が襲撃を受けると情報が入っていたので、吉田は県警本部の誰かと繋がっていて情報提供していたと思われます。
瀬島も「エスがいる」と自慢げだったたので、もしかしたら繋がっていたのは吉田と瀬島だったのかもしれません。
瀬島はなぜ殺された?
上林の事件が終わった後、瀬島は事故に偽装されて殺されました。
瀬島を道路に突き飛ばしたのは真緒でした。
真緒が瀬島を殺したということは、上林にチンタがエスだと教えたのは瀬島だった証拠です。
真緒は恐らく日岡からチンタが殺されるまでの流れを聞いて、瀬島を殺したのでしょう。
真緒の殺しが鮮やか過ぎて若干疑問でしたが、突っ込んでも仕方ないので目をつぶります。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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