映画「ジョジョ・ラビット」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
「ジョジョのママはなぜ?」「アドルフの正体」「ロージーとキャプテンKの関係」「ラストのその後考察」などについて書いています。
鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2019年
本編時間:113分
制作国:アメリカ、ドイツ
監督・脚本:タイカ・ワイティティ
OP曲:「KOMM,GIB MIR DEINE HAND」The Beatles
※「I Want to Hold Your Hands」のドイツ語版
ED曲:「HEROES」David Bowie and Brian Eno
キャスト紹介
ヨハネス・”ジョジョ”・ベッツラー …ローマン・グリフィン・デイビス
ドイツ人の男の子。10歳にして立派なナチス信者でドイツ国首相アドルフ・ヒトラーを崇拝している。
母ロージーと2人暮らしで、父親は戦争に行ったと聞かされている。
※ローマン・グリフィン・デイビスの他出演作…映画「サイレント・ナイト」など
エルサ…トーマス・マッケンジー
ジョジョの家に隠れ住んでいたユダヤ人の少女。
※トーマス・マッケンジーの他出演作…映画「ラストナイト・イン・ソーホー」など
ロージー・ベッツラー…スカーレット・ヨハンソン
超絶美人なジョジョのママ。夫は戦争で出征中。
ジョジョに内緒でエルサを匿い、反ナチ運動にも参加している。
※スカーレット・ヨハンソンの他出演作…映画「アベンジャーズ」シリーズ、映画「マリッジ・ストーリー」など
アドルフ…タイカ・ワイティティ
ジョジョの妄想のヒトラー。ジョジョにナチス的なアドバイスをして激励する。
※タイカ・ワイティティの他監督作…映画「ソー:ラブ&サンダー」など
ヨーキー(ジョジョの友達)…アーチー・イェーツ
フィンケル准士官(キャプテンKの部下)…アルフィー・アレン
ミス・ラーム(〃)…レベル・ウィルソン
クローン…ギルビー・グリフィン・デイヴィス
ディエルツ大尉(秘密警察)…スティーブン・マーチャント
クリストフ(先輩兵士)…ルーク・ブランドン・フィールド
ハンス(〃)…サム・ヘイガース ほか
あらすじ紹介
舞台は第二次世界大戦中のドイツです。
10歳のジョジョ・ベッツラー(ローマン・グリフィン・デイビス)は当時のドイツ国首相アドルフ・ヒトラーを崇拝し、10歳にして立派なナチスの兵士ですが、優しくて臆病なので先輩兵士から「ジョジョ・ラビット(臆病者)」と呼ばれバカにされていました。
そんなある日、ジョジョは家で母ロージー(スカーレット・ヨハンソン)を探していて、キッチンの裏に隠れ住んでいた20歳の美女エルサ(トーマス・マッケンジー)を見付けました。
エルサはユダヤ人で、ナチスの迫害から逃れるためにジョジョの家に隠れていたのです。
ジョジョは通報しようとしますが、エルサに「私が捕まったらロージーとお前はユダヤ人の仲間だと言いふらす」と脅すので、ジョジョはどうすることもできませんでした。
ジョジョはエルサを追い出す方法を考えますが、話すたびに少しずつエルサが好きになっていきます。
解説・考察・感想など
ジョジョが喋っていたヒトラーは?
ジョジョが「アドルフ」と呼び、ジョジョにナチス視点からのアドバイスをくれていたこの男性はジョンのイマジナリーフレンド(空想の友達)です。
アドルフが落ち込むジョジョの悩みを聞いて励ます様子から、ジョジョは理想の大人の男をイマジナリーフレンドにすることで父親のいない心細さを補っていたのかもしれません。
アドルフがタバコをすすめ、ジョジョが断るやり取りが何度かあるのはジョジョの中に「早く大人になりたい気持ち」と「子どものままでいたい気持ち」の両方があるからでしょう。
ジョジョがナチスの恐ろしさに気付くにつれてアドルフの言動も徐々に過激になっていき、秘密警察が家に来てからのアドルフはもうジョジョの味方ではなくナチスの思想をわめき散らすだけの怖い人になってしまいます。
アドルフの態度の変化にはジョジョが大人から教えられて盲信していた様々な価値観に対する違和感と、ジョジョ本来の物事の見方や価値観が芽生えたことが示されています。
これはファシズムだけの話にとどまらず、周りに流されず物事を見極める力をつけることがいかに大切かというメッセージにも受け取れます。
ジョジョのママはなぜ処刑された?
ロージー(スカーレット・ヨハンソン)が処刑されてしまったのは、ロージーが反ナチス運動に参加していたことが警察にバレてしまったからです。
ジョジョがロボットの着ぐるみを着て金物の回収をしていた時、ロージーらしき服装の女性が外にあるテーブルに紙切れを置いて去っていきました。
彼女が置いた紙には「BEFREIT DEUTSLAND – BEKAMPFT DIE PARTEI(ドイツに自由を – 政党と戦おう)」と書かれ、反政府活動をしていることを意味します。
ジョジョの家に秘密警察が来たのはロージーが反ナチスだとわかったからで、仲間の情報が無いか、誰かを匿っていないかなどを探りに来たのです。
ジョジョがママの靴紐を結んであげようとした理由
ジョジョは吊るされているママの靴紐がほどけていることに気付き、結んであげようとしますが結べませんでした。
ロージーはダンスが好きだったので、幽霊になっても踊れるように結んであげたかったのかもしれませんし、落ち着くためにとっさにとった行動(ママがしてくれたことを真似する)なのかもしれませんが、結局靴紐は結べませんでした。
キャプテンKとロージーの関係は?
キャプテンKとロージーにはどこか打ち解けた雰囲気が漂っていましたが、2人はどういう関係だったのでしょうか?
2人は少なくとも古くからの友人で、元恋人だった可能性も捨てきれません。
キャプテンKとフェンケル(アルフィー・アレン)が同性カップルだったのは間違いないですが、ロージーのヒザ蹴りと、キャプテンKの急所を蹴られても頭が上がらない雰囲気を深読みすると、キャプテンKはゲイであることを隠して(もしくは同性愛の自覚がないまま)ロージーと交際し、発覚して別れた過去があるのではないかと想像してしまいました。
ジョジョの怪我はほぼ自爆なので、キャプテンKは監督不行き届きと言われればそうかもしれませんが急所を狙われるほど悪いことはしていません。
なのでロージーの蹴りにはジョジョの怪我の件だけでなく「過去の恨みに対する仕返し」が感じられましたし、突然蹴られても怒らずロージーの言いなりになるキャプテンKはやっぱり元恋人じゃないとしっくりこないというか、多分そうだなと今思いました。
キャプテンKはジョジョの父親を知っている風だったので、3人は幼馴染み同然の間柄だったのではないでしょうか。
そうだとすると、秘密警察が来た時にキャプテンKがエルサを守ったのも、アメリカ兵に捕まったジョジョを助けたのもうなずけます。
次のページに続きます!
2ページ目は「ジョジョがエルサに嘘をついた理由」「ジョジョとエルサのその後考察」です。
感想などお気軽に(^^)
たしかナチスは同性愛も迫害対象だったはずなので、そういった点でキャプテンKも反ナチスとしてつながっていたのかもしれませんね。