映画「インビクタス/負けざる者たち」についての解説と考察をしています!
「ラグビー派の白人とサッカー派の黒人」「黒人ボディガードが白人との仕事を嫌がった理由」「地元の黒人観戦客が南アを応援しなかった理由」「マディバが妻と娘から嫌われていたのはなぜ?」について書いてます。
制作年:2009年
本編時間:132分
制作国:アメリカ、南アフリカ
監督:クリント・イーストウッド
脚本:アンソニー・ペッカム
主題歌:『INVICTUS 9,000 Days』Overtone and Yollandi Nortjie
出演者:モーガン・フリーマン(ネルソン・マンデラ)、マット・デイモン(フランソワ・ピナール) ほか
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ラグビーをしていた白人の若者とサッカーをしていた黒人の子どもたちについて
Invictus © 2009 Warner Bros. Entertainment Inc.
冒頭の、ラグビーをしている白人の子どもたちと、道路をはさんで向かいの広場でサッカーをしていた黒人の子どもたちのシーンについてです。
当時、南アフリカでラグビーは『白人か富裕層の者たちがするスポーツ』という印象がありました。
ラグビーのルールは複雑で、教育が行き届かない貧困層の者たちには小難しいイメージがあり受け入れられなかったのでしょう。
そのため、貧困層の若者たちの間で人気のスポーツはサッカーでした。
このシーンは、南アのそういった状態を表している場面です。
ラグビーをする広場とサッカーをする広場の間の道をマンデラが乗る車が通った時、
黒人の子どもたちは大喜びして車に手を振りますが、
白人の子どもたちは黒人たちが喜ぶ様子を見てキョトンとしていました。
マンデラは黒人にとっては大人から子供まで知っているような超有名人でしたが、
白人の子どもたちにとっては日々の生活にあまり関わりのない(興味がない)人物だったことが現れています。
黒人が喜ぶ一方で白人男性が「この国は終わった」というようなことを言うのは、
アパルトヘイトに満足している白人たちからすれば、
アパルトヘイト反対派のマンデラが釈放されたことは
白人だけが優遇される今の生活が脅かされることを意味しているからです。
黒人ボディガード(ジェイソン)が白人公安と仕事することに抗議したのはなぜ?
マディバの就任初日、黒人ボディガードのジェイソンが警備の増員として現れた白人たちを見て、マディバに「俺たちを殺そうとした奴らと一緒に働けるか!」と抗議をします。
この白人たちは公安なので、※シャープビル虐殺事件の時に黒人を攻撃した人たちだったのでしょう。
詳細を知りたい方はWikipediaをどうぞ!
ジェイソンの抗議に対し、マディバは「『和解』の見本を示せ」と教えて説得しています。
地元黒人客が南アフリカを応援しなかったのはなぜ?
(引用:UNSPLASH)
南ア対イングランドの試合が行われた際、黒人の観客は自国の南アではなくイングランドを応援していました。
なんだか不思議な光景ですが、これは実際にも起こっていたことです。
今まで南アは国としてアパルトヘイトを実施していたため、白人に優しく黒人に厳しい国でした。
なので南アに住む黒人はずっと差別され続けてつらい思いをたくさんしてきました。
しかも当時ラグビーは南アでは『アパルトヘイトの象徴』だったので、黒人は南アを応援したくなかったのでしょう。
マディバの妻と娘がマディバを遠ざけていた理由は?
マディバの妻と娘は、彼が出所して大統領になった後もマディバに会いに来ていません。
27年間という長期間の服役がマディバと家族の心の距離を作ってしまったのかもしれませんが、
恐らくマディバの考え方に妻と娘が付いて行けなかったことが原因と思われます。
特に大統領になってから、マディバは常に国民を家族と考えて、国の未来のことばかりを考えています。
マディバは娘のジンジに、フランソワと会った事について意見を求めたにも関わらず、
「不快に思った」というジンジの感想に理解を示そうとせず、国の未来の理想について話していました。
たしかに黒人たちにひどい扱いをしてきた白人と関わりを持ってほしくないと思うジンジの気持ちもわかります。
恐らくジンジにはマディバが理想論を押し付けてばかりで、家族の気持ちは考えてくれないと不満に思っていたことでしょう。
マディバとジンジが上手くいかない場面は、マディバも悩みを持つ1人の人間だということを示すシーンでもあります。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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・参考サイト様
読売新聞:南アフリカ<中>初出場V 歓喜で一つに
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