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地元黒人客が南アを応援しなかったのはなぜ?
(引用:UNSPLASH)
南ア対イングランドの試合が行われた際、黒人の観客は自国の南アではなくイングランドを応援していました。
なんだか不思議な光景ですが、これは実際にも起こっていたことです。
今まで南アは国の政策としてアパルトヘイトを進めていたため、白人に優しく黒人に厳しい国でした。
なので南アに住む黒人はずっと差別されて続けてつらい思いをたくさんしてきました。
しかも、当時ラグビーは南アでは『アパルトヘイトの象徴』だったので、黒人は南アを応援したくなかったのでしょう。
マディバの妻と娘がマディバを遠ざけていた理由
マディバの家族である妻と娘は、彼が出所して大統領になった後もマディバに会いに来ていません。
27年間という長期間の服役がマディバと家族の心の距離を作ってしまったのかもしれませんが、恐らくマディバの考え方に妻と娘が付いて行けなかったことが原因だと思われます。
特に大統領になってからは、マディバは常に国民を家族と考えて、国の未来のことばかりを考えています。
マディバは娘のジンジに、フランソワと会った事について意見を求めたにも関わらず、「不快に思った」というジンジの意見に理解を示そうとせず、国の未来の理想について話していました。
恐らくジンジにはマディバが国のことばかりで、家族のことは考えていないように見えたのでしょう。
マディバとジンジが上手くいかない場面は、マディバも悩みを持つ1人の人間だということを示すシーンでもあります。
タイトル「インビクタス」の意味
インビクタス(invictus)は、タイトル右側の「負けざる者」という意味です。
invictusはラテン語で『征服されない』『屈服しない』という意味を持つ言葉で、邦題タイトルで「負けざる者」と訳されています。
マディバが愛読した詩と、登場人物たちの自身に打ち勝つ精神を表した良いタイトルだと思います。
名言紹介
マディバが口を開けば良いことしか言わないので、まとめるのが大変でした(笑)
以下、名言を抜粋します。
ほとんどマディバですが、マディバ以外もあります。
マディバの出所後、国はいつ内線が起こってもおかしくない緊張状態になります。
そんな中、マディバがANCの支持者たちに和平を求めた言葉です。
観客は歓声を上げ、マンデラの言葉に賛同しています。
マディバが大統領に就任した際の発言です。
人種差別の文化があるような国は恥ずかしいことだと説いています。
もちろん辞めることは皆さんの自由だ
もし どうしても新政権の下で働きたくないなら 辞める方がいい 今すぐに
だが 荷造りをする原因が 言語や 肌の色の違いを恐れるせいであったり 前政権の職員だったからクビだと思うなら そのような恐れは必要ないと言おう
『過去は過去』なのだ 我々は未来を目指す
皆さんの力が必要だ 協力してほしい
残ってくれる者は 祖国に多大なる貢献をすることになろう
私が望むのは 皆さんが全力を尽くし 真心を込めて仕事をすることだ 私もそうしよう
我々が努力すれば この国は世界を導く光となるだろう
マディバの就任初日、前政権の下で働いていた白人たちが荷物をまとめているのを気にしたマディバが、職員全員を集めた時の発言です。
特に白人職員は集められた当初は「クビにされるだろう」と思い難しい顔をしていましたが、マディバの言葉に心を打たれ、優しい顔になっています。
マディバ「警護班は公の場で国民の目に触れる 私を象徴する存在なのだ
『虹の国』は君たちから始まる 和解のあり方を見せるんだ」
-中略-
ジェイソン「『同士』大統領 奴らは俺たちを殺そうとした連中ですよ?大勢殺された!」
マディバ「分かってる 赦しが第一歩だ 赦しが魂を自由にする
赦しこそ恐れを取り除く最強の武器なのだ
頼むジェイソン 努力してくれ」
白人が仲間に加わることに抗議した黒人ボディガードのジェイソンに対して、マディバが説得した時の言葉です。
『虹の国』というのは、様々な肌の色の人々が住む国という意味です。
評議会でボクスのエンブレム、チーム名、チームカラーを変えると聞き、重要な会議をすっぽかして評議会の会場へ向かおうとしたマディバに対し、秘書のブレンダは「勝手な行動は独裁者だと思われるので危険です」と言い止めようとしました。
このブレンダの言葉に対してマディバが返した言葉です。
この言葉を聞いたブレンダは説得を諦めました。
「私はスプリングボクスを継承すべきと信じる
チームの名前とエンブレム チームカラーを変えてはいけない 理由を言おう
刑務所にいたとき 看守は全員ヨーロッパ系白人(アフリカーナ)だった
私は27年間 彼らを観察した
彼らの言語を学び 彼らの本や詩を読んだ
敵を熟知しなければ勝利は不可能だからだ
そして我々は勝利した 違うか? ここにいる皆が勝利したのだ
アフリカーナはもはや敵ではない 彼らは我々と同じ南アフリカ人だ
民主主義における我々のパートナーだ
彼らにはスプリングボクスのラグビーは宝物
それを取り上げれば 彼らの支持は得られず 我々は恐ろしい存在だという証明になってしまう
もっとおおらかに彼らを驚かすのだ 憐れみ深さと奥ゆかしさと寛大な心で
それらは我々に対し 彼らが拒んだものばかり
だが今は卑屈な復讐を果たす時ではない 我々の国家を築く時なのだ
使えるレンガは全て利用せねば たとえ緑と金色のレンガであっても
諸君は私を指導者に選んだ 諸君を導かせてくれ
…私に賛成の者は?」
(スポーツ会議の人々に語り掛けるマディバ 引用:https://movieboom.biz)
評議会の会場に着いたマディバが、スプリングボクスを変えるという決定を覆すために行った演説です。
この演説のおかげで、スプリングボクスのエンブレム、チームカラー、チーム名は変更されずにすみました。
「サッカーは暴れ者が戦う紳士のスポーツ
ラグビーは紳士が戦う暴れ者のスポーツだ」
フランソワ・ピナールを知らなかった黒人ボディガードに対して公安の白人フェイダーが言った、南アフリカでは有名なジョークです。
『ラグビーは紳士が戦う暴れ者のスポーツ』とは日本にも浸透している位有名な例えですが、これはこの例えをブラックジョークにしたものです。
サッカーをする黒人は野蛮人で、ラグビーをする白人は紳士だと黒人をバカにしている意味が込められています。
「我々は士気を必要としている
国を築き上げるためには 誰もが持てる以上の力を発揮せねばならん」
フランソワを大統領邸に呼び出したマディバがフランソワにかけた言葉です。
大統領の他の職員への態度などを見てマディバの人間性に感心したフランソワは、マディバの願いを叶えようと奮い立ちます。
私を覆う漆黒の夜 鉄格子に潜む奈落の闇
どんな神であれ感謝する 我が負けざる魂に
無残な状況においてさえ 私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ 血を流そうと 決して頭は垂れまい
激しい怒りと涙の彼方には 恐ろしい死だけが迫る
だが 長きにわたる脅しを受けてなお 私は何一つ恐れはしない
門がいかに狭かろうと いかなる罰に苦しめられようと
私は我が運命の支配者 我が魂の指揮官なのだ
マディバがフランソワに贈った詩です。
これは、イギリスの詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩『インビクタス』の一節で、病気になったヘンリー自身が自分を奮い立たせるために書いた詩です。
マディバ自身も収監されていた頃、この詩を励みにしたと語っていました。
作中で何度も繰り返されている最後の二節「私は我が運命の支配者 我が魂の指揮官なのだ(I am the master of my fate : I am the captain of my soul.)」という部分は最も有名です。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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・参考記事
AFP:故マンデラ氏がラグビー殿堂入り、南アで95年大会を開催
読売新聞:南アフリカ<中>初出場V 歓喜で一つに
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