映画「犬鳴村」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
考察内容は「犬鳴村の歴史」「ふたしちゃろの歌の意味」「ラスト考察」「元ネタになった怖い話や事件の紹介」などについて書いています。
鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2020年
本編時間:108分
制作国:日本
監督:清水祟
脚本:保坂大輔
キャスト紹介
森田 奏…三吉彩花
福岡住みの臨床心理士。
犬鳴トンネルに行ったまま行方不明になった兄と弟を捜索する。
※三吉彩花の他出演作…ドラマ「エンジェル・ハート」、映画「ダンスウィズミー」ほか
森田 悠真…坂東龍汰
奏の兄。犬鳴村に行った直後に自殺した恋人の敵討ちのために再び犬鳴村へ行き、そのまま行方不明になる。
※坂東龍汰の他出演作…映画「十二人の死にたい子どもたち」、ドラマ「王様に捧ぐ薬指」ほか
籠井摩耶(犬鳴村住人)…宮野陽名
康太(奏と悠真の弟)…海津陽
遼太郎(奏の患者)…笹本旭
中村隼人(彩乃の父)…石橋蓮司
山野辺(晃の知人)…寺田農
明菜の祖父…田中健
晃(奏の父)…高嶋政伸
彩乃(奏の母)…高島礼子
優子(遼太郎の母)…奥菜恵
圭祐(遼太郎の父)…須賀貴臣
医師…戸田昌宏
西田明菜(悠真の恋人)…大谷凛香
ヒロ(悠真の友人)…きづき
リュウセイ(〃)…草野大成
ユウジ(〃)…室井響 ほか
あらすじ紹介
福岡に住むカップルの森田悠真(坂東龍汰)と西田明菜(大谷凛香)は有名な心霊スポット犬鳴トンネルと廃村の犬鳴村に肝試しに行き、しっかり恐怖体験をして帰宅します。
肝試しに行った直後から明菜の様子がおかしくなり、彼女は不気味な歌を歌うなど奇行を繰り返した末に飛び降り自殺してしまいました。
明菜の葬式の後、彼女が妊娠していたことを知った悠真は友人3人を連れて復習のために再び犬鳴トンネルに行きます。
この時、悠真の弟で小学生の康太(海津陽)もこっそり悠真について行き、トンネルに入った悠真と康太はそのまま神隠しのように消えてしまいました。
悠真と康太の母 彩乃(高島礼子)は警察と一緒に犬鳴きトンネルに行きますが、それから獣に取り憑かれたようになってしまいました。
森田家の長女 森田奏(三吉彩花)は悠真と康太の行方を探るうち、彩乃と犬鳴村に関わりがあったことを知ります。
解説・考察・感想など
犬鳴村の歴史をおさらい
まずは映画の中の犬鳴村の歴史をおさらいします。
その昔、犬鳴村の人々は野犬を狩猟して食肉にするなどして生活していました。
そんな中、犬鳴地域にダムを作る計画が上がり、その建設予定地はちょうど犬鳴村とかぶっていました。
ダム建設に関わる会社の人間は犬鳴村の人々を差別し、村から住人を追い出すよりも皆殺しにした方が早いと判断して彼らを村ごとダムの底に沈めてしまいました。
ダム建設側の人間は事前に犬鳴村に関する悪い噂を周辺地域に流し、村と住人が消えても非難されないように対策していました。
その悪い噂が「犬に呪われた村」「村の女は犬と交わっている」などです。
「村の女が犬と交わっている」はデマだったようで、「犬に呪われている」は取り憑かれて獣のようになった人がいたことから本当だったように見えますが、ダムに沈められた村人たちの怨念と村人たちに狩られた野犬たちの霊がタッグを組んだようにも見えます。
奏たちと犬鳴村の関係は?
犬鳴村で奏たちを襲った摩耶という女の霊と、奏が幼い頃から目にしていた青年の霊 健司は犬鳴村に住んでいた夫婦であり、奏たちの曾祖父母にあたる人物でした。
なので奏が健司から託された赤ちゃんは摩耶と健司の子であり、奏の祖母です。
奏が赤ちゃんを託した中村隼人(石橋蓮司)は奏の祖父でもあり、隼人の親は犬鳴村をダムに沈めたグループの一味でもあります。
奏の患者 遼太郎の正体は?
奏の患者だった男の子の遼太郎もまた犬鳴村の人間の末裔でした。
遼太郎の親だった優子(奥菜恵)と圭祐(須賀貴臣)は育ての親であり、遼太郎の本当の母親は遼太郎を産んですぐに亡くなってしまったようです。
この亡くなった遼太郎の本当の母親は犬鳴村出身の女性だったようですが、詳しく明かされないため奏の祖先と血縁かどうかなどは不明です。
恐らくですが、犬鳴村がダムに沈められることを事前に察知して逃亡した家族の生き残りだったと思われます。
ラスト考察:奏も獣化したのはなぜ?
奏は摩耶と健司の子どもを中村隼人に預け、健司、摩耶、兄の悠真の遺骨を埋葬もして先祖供養し、これで一件落着したかのように見えましたが、ラストでは奏にもキバが生えていました。
これは、奏が先祖供養した程度では犬鳴村の呪いは消せなかったことを意味しています。
このあと奏がどうなるかはわかりませんが、明菜と同じ流れで行くと自殺してしまうのかもしれません。
個人的には遼太郎とタッグを組んで呪いと共存しながらたくましく生きていってほしいです笑
村の歌の意味
(臭かろ 悪かろ)
こめこもできなきゃ ふたしちゃろ ふたしちゃろ
(米こもできなきゃ 蓋しちゃろ)
わんこがねぇやにふたしちゃろ
(犬こが姉やに蓋しちゃろ)
あかごはみずにながしちゃろ
(赤子は見ず・水に流しちゃろ)
さむかろ あつかろ
(寒かろ 暑かろ)
いねもできなきゃ ふたしちゃろ
(稲もできなきゃ 蓋しちゃろ)
わんこがねぇやにふたしちゃろ
あかごはみずにながしちゃろ
いたかろ こわかろ
(痛かろ 怖かろ)
はなもさかなきゃ ふたしちゃろ
(花も咲かなきゃ 蓋しちゃろ)
わんこがねぇやにふたしちゃろ
あかごはみずにながしちゃろ
呪われた明菜や彩乃が歌っていたのは犬鳴村の村人たちが作った歌で、村人たちは差別・迫害されている自分たちのことを自虐的に歌っていたようです。
歌詞は全てひらがなですが、漢字に直すと意味がわかりやすくなります。
「わんこ(犬)がねえや(若い女性)に ふたしちゃろ」は村の女性が犬と性交していることを思わせる歌詞になっていて、
「あかご(赤子)はみず(水・見ず)に ながしちゃろ」は、犬との性交で生まれた子どもを殺しているのでは?と思わせるような歌詞です。
生物学的に考えれば犬と人間の間に子供が生まれる可能性は当然ありえませんが、オカルトなのでその辺の理論的な話は置いといた方が楽しめます。
この歌詞からすると、犬鳴村のある場所は気候や土壌に恵まれず農業がうまくいかず、周辺には野犬しかおらず、犬の狩猟に頼らざるをえなかったのかな?というのがにじみ出ているように感じました。
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2ページ目は元ネタになった怖い話や実際に起きた事件の紹介です。
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