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博士の遺言の意味
ブランド博士は死に際にマーフを呼び出して遺言を残しました。
『君に隠していたことがある。本当はプランAが実現不可能なことはずっと前から分かっていた。本当に申し訳ない』というような発言です。
博士が『プランAが実現不可能』と言った真意はマン博士の補足説明によると、プランAが実現可能かどうかを計算するのにブラックホールの中にある『特異点の情報』が必要だけれど、情報を得る方法が見つからないため計算できていなかった(実現不可能と判断していた)ということでした。
私はそもそも教授とマーフが具体的に何を計算していたのか、文系の私にはさっぱりなので曖昧になってしまいますが、マーフが何度も計算していたのは恐らく、特異点の情報を省いた計算式だったのでしょう。
特異点の情報がプランAとどう関わってくるのか、なぜプランBには特異点の情報が要らないのかも私には理解できていません。申し訳ないです。
少なくともプランAが不可能だと思っていたブランド博士がアメリアをクーパーに同行させたのには、『娘に生き残って欲しい』というエゴが含まれていたことはわかります。
そして、受精卵の父親的な役目をクーパー、ドイル、ロミリーに託していたことになります。
ミッション自体も調査が済んだ星に行くことだったので、前12回の派遣に比べたら生存可能性はかなり高かったはずです。
そうなると地味に疑問なのは、プランBが具体的にどのような想定をしていたのかということです。
たしかにクーパーの船にはしっかり受精卵5000個が積まれていましたが、代理母となる女性がアメリア1人だけという想定だったとしたら、新しい星に着くまでに死んでしまうかもしれないことを考えると頼りなさすぎませんか。
それに母となる女性を1人と想定していたとすると5000個って多すぎませんか。
受精卵もある程度は死んでしまう可能性を考慮して、さらにアメリアが生んだ子ども達も受精卵を使ってさらに子どもを産む想定だったのでしょうか。
アメリアが移住した後、再び代理母を一定数移住させるつもりだったのではと勝手に思っていましたが、そういうわけでも無さそうな雰囲気でしたよね。
どちらにせよ最後はプランAがうまくいったので、この際Bがどうだったのかは考える必要はないのかもしれません。
教授の詩について
老いても怒りを燃やせ 終わりゆく日に
怒れ 怒れ 消えゆく光に
死の淵で賢人は闇が正しいと知る 彼らの言葉は稲妻を裂けなかった
穏やかな夜に身を任せるな 怒れ 怒れ 消えゆく光に
Do not go gentle into that good night.
Old age should burn and rave at close of day.
Rage, rage against the dying of the light.
Though wise men at their end know dark is right,
Because their words had forked no lightning they
Do not go gentle into that good night.
Rage, rage against the dying of the light.
ブランド博士がクーパー達に読み聞かせた詩です。
有名なイギリスの詩人ディラン・トマス(1914-1953)の最も有名な詩の一部で、父親の死を嘆き怒るトマスの心境が綴られています。
この詩は、死ぬ可能性が非常に高いラザロ計画に参加してくれた隊員達に対して、ブランド博士が「絶望や死に直面しても、最後まで諦めるな」というメッセージを送っていたように感じられます。
宇宙探査隊のクーパー達は、何度も死の危険に直面しますし、太陽や自然から遠ざかり宇宙という暗闇と狭い空間で長期的に生活すると、ある程度訓練をしていても鬱状態に陥りやすくなります。
クーパー達の部隊も、宇宙に行ったことがあるのは元宇宙飛行士のクーパーだけで、他のメンバーは全員科学者なので宇宙に行くのは恐らく初めてです。
宇宙飛行士の人数も限られるので、恐らく過去12回の隊員達も、経験があるのはほんの数人で、初めて宇宙に行く人がほとんどだったのではないでしょうか。
ここでちょっとだけ心理学の話になりますが、絶望して何もかも諦めてしまうような状態から抜け出して、奮い立つのに手っ取り早いのは『怒りの感情』だというのが研究でわかっています。
『ターミネーター3』でも、マシンのシュワちゃんがそんなこと言ってました。(笑)
例えば映画やドラマでも『復讐』が目的の作品って沢山ありますし、特に悪役は大体『怒り』を抱えて生きています。
復讐に燃える彼らは『怒り』が生きるエネルギーになっていますよね。
復讐心は本作とは関係無いですが、それと同じで、ブランド教授は隊員達に対して「絶望に直面した時は『怒り』を思い出せ」と自分で自分を奮い立たせる方法を教えているのでしょう。
『怒れ 怒れ 消えゆく光に(もしくは終わりゆく日)』は、『生きる希望が消えゆくと感じた時は、怒りを思い出せ』という意味にも取れますし、『生命を排除しようとしている地球に対して怒れ』という怒りの理由も同時に与えているように思えます。
怒れ怒れとただ言われても理由がないと怒れないですもんね。ちゃんと理由を与えてくれているので親切だと思います。
『死の淵で賢人は闇が正しいと知る 彼らの言葉は稲妻を裂けなかった』は、『彼ら(今までの人類)は奇跡を起こせなかった(稲妻を裂けなかった)ので、死の淵に立たされた賢人(未来人)は闇(宇宙)が正しいと知る(答えがある)』と意訳できそうです。
『稲妻を裂く』というのは、聖書において神様が奇跡を起こした時に使われる表現というか兆候のようなものです。
ワームホールでアメリアが触れたもの
ワームホールを通って別の銀河に行くとき、アメリアの隣に透明な液体の塊のような物が突き出てきました。
あれは未来のクーパーが過去のアメリアに手を伸ばした結果、発生した時空の歪みだったんですが、過去のアメリアから未来のクーパーが透明に見えたのは、『時間を自由に超えられるのが重力だけ』だからで、透明なやつは重力を可視化したようなものです。
トムの長女ジェシーの死因
トムは結婚した後に女の子ジェシーを授かりましたが、その後のメッセージでジェシーが死んでしまったことが明かされています。
ジェシーの死因は、トムの妻も2人目の子クープも病気にかかっていたこと、マーフの「また子供を死なせるの?」という問い詰めから、ジェシーも2人と同じ病気に幼い頃にかかったことが原因と思われます。
病名は不明ですが、砂の吸い込みによる呼吸器疾患だったのではないでしょうか。
クーパーがエドマンズの星を否定した理由
2つ目の星を決める時、クーパーはマン博士の星に行きたがって、アメリアはエドマンズの星に行きたがって意見が分かれます。
クーパーがマン博士の星を推した理由は『マン博士が天才科学者で信頼度が高い』、『現在地から近かった』からです。
アメリアがエドマンズの星を推した理由は『マン博士の星はミラーの星に近いので、ミラーの星と状況が似ている可能性が高い(住めない可能性が高い)』、『エドマンズ博士の情報が信頼できる』という理由からでした。
しかし、上に描いた理由はあくまで科学的根拠に基づいた理由の一部で、2人の本音は別にあります。
クーパーはマン博士の星の方が近いので、早く仕事を終わらせて家族に会いたかったのです。(確かエドマンズの星は現在地から行くのに数か月はかかると発言されていました。)
アメリアも同様で、恋人であるエドマンズに会いたかったのが本心なので、結局2人は同じ理由でそれぞれの星を推していたのです。
この争いはクーパーが「私情を挟むな」と自己紹介的な攻撃をアメリアに繰り出して、アメリアが折れる形になりましたが、クーパーはこの時点でアメリアに少なからず好意があったように思うので、彼女がエドマンズに向ける愛情に少なからず嫉妬していた可能性もある気がしています。
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次は『マンがクーパーを殺そうとした理由』、『クーパーの役目とは』、『クーパーが助かった理由』、『エドマンズとアメリア』、『クーパーがアメリアを助ける理由』、『ジェシーの死因』などです!
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