映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察 | 映画鑑賞中。 - Part 3

映画『愚行録』ネタバレ解説|登場人物についてなど14の考察

ミステリー

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宮村が殺された理由


(引用:https://twitter.com

彼女が殺された理由は、持ち前の鋭い洞察力で犯人が光子ではないかと言い当てて、武志にその推理を披露したからです。
それに加えて、宮村は光子について『あぁはなりたくない』など光子を蔑む発言も連発していたのも、余計に武志の殺意を煽ったと思われます。

なお、映画では武志は宮村を店内で殺して犯人を尾形に偽装しようとしていましたが、小説では、宮村を帰宅中の夜道で殺し、通り魔の犯行に見せかけています。

 

田中光子と夏原友季恵

夏原友季恵と田中光子の関係について考えます。
光子は夏原の紹介で内部生を何人も紹介されて、恐らくその全員と肉体関係を持っています。
光子は将来有望な結婚相手を捕まえるために大学入学したようなものでした。
そのため光子は『昇格』した夏原に憧れていたこともあり、次々に紹介を受け入れました。

しかし、内部生は『普通の家柄』の光子と真剣交際する気はなく、最初から体目当てでした。
光子は父から受けた虐待のせいか貞操観念が低すぎたのと、『金持ちなら誰でも良い』と思っているのがにじみ出ていたことも要因になり、せっかく紹介してもらっても上手くいきません。
光子が大学で結婚相手を見つけられなかったのは、田向と渡辺の後輩の山本礼子と同じ理由です。
光子に対する内部生男子の考えは、浩樹の「そんな軽い女、イヤじゃん」と同じです。

夏原は、そういう内部生の目的を知った上で光子を彼らに紹介し続けました。
本当に友達だったら光子に多少の注意や警告をするはずですが、そのようなことも一切していません。

恐らく夏原は、光子がルックスの良さで男子生徒から注目を集めていたのが内心気に入らず、光子の大学進学理由が婚活だったことにも呆れていて、内部生に対する『点数稼ぎ』や光子の女性としての評判を落とすために紹介していたと思われます。
完全に推測ですが、夏原が好意を抱いた生徒も光子と仲良くなりたがったなど、嫉妬したり男に失望したりする出来事もあったのではないでしょうか。

夏原が文應時代に付き合ったのが尾形孝之だけだった点や、モテるはずなのに親戚の紹介で田向と出会うまで独身だったのも、男に不信感を抱いていたせいかもしれません。




田向浩樹と夏原友季恵

2人の馴れ初めが気になっていたんですが、映画でその辺は一切出てきませんでした。
小説にもあまり書いてなかったんですが、田向が働いていた会社の上司の姪が夏原友季恵です。
田向はその上司に気に入られて友季恵を紹介されると、当時付き合っていた彼女数人をバッサリ切り捨ててすぐに友季恵との結婚を決めたと書かれています。
田向がすぐ友季恵と結婚したのは彼女に運命を感じたからというよりも、上司に対して誠実さをアピールするためで、出世したいがためだったのではないでしょうか。
田向は恐らく出世が絡まないと結婚に本気になれずにいたんでしょうね。

 

光子が笑う理由


(引用:https://www.youtube.com)

千尋が死んだことを杉田医師から知らされた時、光子は笑っています。
我が子が死んだのに笑うなんて不自然ですが、光子は落ち込んだ時や憎い両親を思い出した時などに笑ってしまう癖があるようです。
辛すぎるから雰囲気だけでも明るくしたくて笑う癖がついているというか、壮絶な過去を持つ人は「もう笑うしかない」「笑い話にしないとやってられない」など自虐的な発言をされているのよく見る気がするので、光子もそういう心境だったのではないでしょうか。
何回かそれらしいシーンがあって、ひとつは光子が内部生の大友と肉体関係を持った翌日、大友が行く幼馴染の家族との食事に光子が一緒に行きたいと言いますが、大友は断ります。
断られたのが家柄のせいだと悟った時、光子は笑っています。
杉田医師に対して、両親からの虐待について詳しく話す時も、独り言で田向一家を殺した時のことを話すときも、笑っています。
千尋が死んだ後に武志と面会で会った時も、目に涙をためながら、笑顔で「ごめんね」と謝罪してます。
小説の光子も、ずっと笑いながら喋っているんじゃないかな、と思うような口調で台詞が書かれています。

千尋が死んだことを聞かされた時、光子は絶対になりたくないと思っていた『虐待する親』に彼女自身がなってしまっていたことに対し、辛すぎて笑ってしまったように私には見えました。
「でもね、私はあの子に手をあげたことは一度もなかったよ」と言ったのは、彼女が『あの両親とは絶対に違う』ということを武志に認めてもらいたかったからでしょう。

もう一つ光子の気になった癖が、耳たぶをよく触ることです。
心理学的に、耳たぶを触るのは『体の一部を触って安心したい』『感情をコントロールしたい』『甘えたい』などがあります。
他にも理由はありますが、光子に該当しそうな理由は上記3つでした。

 

犯行動機

犯行動機について、光子は「頭の中で何かがプツッと切れた」、「もう夏原さんのようにはなれないと言われた気がした」と発言していました。
小説でも、犯行動機を光子本人は「私にもわからない」とも発言していますが、嫉妬心からの犯行であることが明かな描写をされています。

田向浩樹は、光子が『まさに捉まえたかったような男』だったので、ムカムカして殺し、リビングに居た男の子(映画には登場しない田向家の長男)は『頭も育ちもよさそうで、許せなかった』から殺し、夏原は、『光子がなりたかった通りの素敵なお母さんになっていた』から殺し、女の子は『かわいそうかなと思ったけど、1人だけ残してもしょうがないし、いい女になったらムカつくから』殺したと書かれています。

小説での光子が語った犯行動機について、印象に残ったフレーズを一部引用します。

それでどうして殺すことになるのかなんて、あたしに訊かないでよ。あたしだってわからないんだから。
ともかく、もう切れちゃったのよ。大事なものが切れたの。
それを切ったのは夏原さんだから、責任取ってもらわなくちゃって思った。  (引用:小説『愚行録』より)

 

嫉妬が原因なのはわかるんですが、光子は世の中で唯一特別で大好きな武志と結ばれて、その人との子供も授かって幸せだったはずなのに、なぜ田向一家を殺したのか不思議です。

やはり光子が探していた『兄のような男』と結ばれることが一番の願いで、兄本人と結ばれたことは最後の手段だったのかもしれません。
光子は自分の中にある嫉妬心をずっと心の底に隠して無視し続けていたけれど、夏原が幸せそうにしているのを見たのをきっかけに、あふれ出てしまったということではないでしょうか。

この告白は杉田医師が居ない間にひっそり行われていましたが、小説では武志を相手に語っていたものなので、映画においても、光子は目の前に武志がいるつもりで話していたのだと思われます。

 

武志が取材していた本当の目的


(引用:https://twitter.com

武志が田向家殺人事件を調べていた理由は、表向きは記事にするためですが、本当の狙いは、光子が犯人だと知る人物がいるかどうかを調べて、もしいたら、その人物を殺害することにありました。

小説にはもっと詳しく動機が書かれていて、光子を守るための他に、光子が一緒に殺してしまった田向浩樹が殺されても仕方ないような人物だったかどうかを確認するためでした。
その理由は、光子が『夏原さんの旦那さんには悪いことしちゃったな』と気に掛ける発言をしていたからで、武志は光子の罪の意識を少しでも軽減してやるために、ついでに田向浩樹の人物像も探ったということです。

 

武志と光子

「千尋の父親は誰にも知られたくない」という発言と、光子が受けていた性暴力のインパクトで、橘弁護士は千尋の父親が武志と光子の父親だと思い込みますが、千尋の父親は武志であることが明かされます。

年齢から計算すると、千尋は光子が33歳の時の子どもですが、光子が妊娠する前後の武志との暮らしは映画にも小説にも全く描かれていないので、詳細は謎です。
なので完全に推測になりますが、武志が警察署に行った時、光子は「半年ぶり位?」と発言していたので、少なくとも2人は一緒に住んではいなかったことがわかります。
光子は何度も発言していましたが『秘密が大好き』で、武志と離れて暮らした方がより秘密は守られるので、そうした方が良いと考えていた可能性が高いです。

一方武志は、光子の口から『秘密』と出る度に表情が暗くなります。
彼は『秘密』を重荷に感じていたようで、それは小説にも書かれています。
なので、武志にとっては秘密から物理的に離れるために一緒に暮らしていなかったと受け取れます。
しかし、光子が「私はお兄ちゃんだけだよ、大好きだよ」と言う時、武志は何とも言えない嬉しそうな表情をします。
恐らく、お互いにとってお互いだけが唯一無償の愛を注げて、与えてもらえる存在だったのです。

武志の行動自体は光子への愛や責任感であふれているので、武志は単純に光子との恋愛が『禁忌』であることが耐えられないだけなのかもしれません。
小説では、武志の光子に対する好意はもう少しはっきり表れていて、光子に「夏原さんより綺麗だよ」、「夏原さんは光子が美人だから嫉妬していたんだよ」というような発言をしている風に書かれています。

さらに小説にヒントを探すと、光子は『お兄ちゃんみたいなお金持ちの男』を求めて大学に入り、夏原さんに沢山紹介してもらったけど、全員ろくでもないヤリ逃げ男ばっかりで、光子がお兄ちゃんだけが特別な存在だとに気付いたのは大学卒業後と書かれいるので、2人が関係を持つようになったのは光子の大学卒業後なのでしょう。

ただ、母の孝子が2人の秘密を知っていたのが、一緒に暮らしていた大体の期間や、不仲だったことなどから考えてもなぜなのか謎ですが、女の勘で気付いてしまったんですかね。
ちなみに、小説には光子が話す昔話としての孝子は登場しますが、孝子本人は登場せず、橘弁護士も登場しません。
小説で千尋の父親が誰なのかわかるのは、光子の会話の中からです。

以上です!読んでいただきありがとうございました。
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