『キャラクター』ネタバレ解説考察|4人家族を殺す理由、夏美が感じた視線、辺見の正体、ラストなど | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『キャラクター』ネタバレ解説考察|4人家族を殺す理由、夏美が感じた視線、辺見の正体、ラストなど

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サスペンス

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辺見に清田を殺させたのはなぜ?

・両角が殺したいのは『幸せな4人家族』だけだから
・両角にとって『清田殺し』は雑用同然で、アシスタントである辺見の仕事だから

検察の「なぜ自分で清田を殺さなかったのですか?」という質問に、両角は『僕のやることじゃないから』と答えました。
『僕のやることじゃない』は『僕がやるまでもない』もしくは『僕はやりたくない』という意味です。

両角がやりたいのは『幸せな4人家族を殺すこと』と『34の再現』だけで『逮捕を逃れるために清田を殺すこと』は両角にとって雑用だったのです。
雑用はアシスタントである辺見の仕事です。

また、上の項に書いたように辺見が『実際には殺人したことがない男』だったとすると、両角は辺見に清田殺しをさせることで『人殺しになりたい』という辺見の夢を叶えたことにもなります。

なので辺見が清田を殺したことは、両角と辺見の需要と供給が一致した事件でもあったような気がします。

 

辺見がわざと誤認逮捕されたのはなぜ?

辺見は両角の崇拝者だったから
辺見は人を殺したことが無いので『殺人犯』という肩書にも憧れがあった

辺見は両角のファンであり崇拝者で、両角いわく『アシスタント』でした。

極道の世界では殺人の罪を下っ端がかぶるように、辺見も両角の配下にあったため自ら罪をかぶったと思われますが、冤罪逮捕された時点でまだ殺人をしたことが無かった辺見にとっては逮捕されることで得られる『殺人犯』という前科(肩書)にも憧れるものがあったのではないでしょうか。

なので、辺見は1件目の船越一家の事件の罪をかぶろうとしていましたが、その後両角は『34』の凶器の伏線回収のために船越一家事件の凶器を使ったため、冤罪が発覚して辺見は無罪放免になりました。

清田を殺した後に自首しなかったのは、恐らく本物の殺人犯になったことで『肩書』が不要になり、また、両角の犯行を助けるためだったと思われます。




両角はなぜ4人家族殺しにこだわるのか


©2021映画『キャラクター』製作委員会

両角は世間に家族を奪われたと思い、恨んでいた
両角が失った幸せを持っている『4人家族』を見ると殺意が沸いた

両角が九条村コミュニティの生き残りだったことが分かると、清田は両角の犯行動機を『九条村で4人家族を引き離された恨み』と言いました。

両角は幸せな4人家族を殺し、彼らから『幸せ』を奪うことで恨みを晴らしていたと思われます。

九条村が解散させられた1989年当時、まだ幼かったはずの両角がどのように育ったのかはわかりませんが、4人家族に対する執着の強さから『4人家族=幸せ』を奪われたことを恨みながら生きてきたのでしょう。

両角の自宅にあった大量のスクラップや写真から、山城が目撃した船越一家の事件が初犯ではないのは明らかです。

余談ですが、両角の指にはいつも血が付いて汚れていたのに、部屋の壁に貼られていた新聞記事の切り抜きがシミもシワも無くきれい過ぎたのが結構気になりました。

 

両角はなぜターゲットを変えた?

『山城、両親、妹』の家族よりも『山城、夏美、双子』の方が幸福度が高く見えたから

両角の行動には優先順位がありました。
最優先は『幸せな4人家族を殺すこと』、その次が『漫画34で起きた殺人事件をリアルに再現すること』です。

山城は両角が34を再現しようとすることを逆手に取り、自らの親と妹を罠にして両角を実家に来させようとしましたが、山城の実家は両角のお眼鏡にかなう家庭ではありませんでした。

両角が殺すのは『両角が見て嫉妬と殺意を抱く程度に幸せそうな4人家族』なので、逆に言うと殺意が沸く程幸せそうでなければ殺さないし、殺した時により報復感を得られる『幸福度の高い家族』を選びたがります。

両角は無差別殺人犯ではなく彼なりのこだわりがあるし、人殺しの大変さも語っていたので、漫画の再現よりも殺した時に得られる満足度が大きい方を優先したのです。

どうやってか両角は入念にターゲットの下調べをして幸せ度を測っていたので、山城が実家の家族とは父の再婚を理由に不仲だったことを見抜き、より幸せ度が高く殺しがいがあると判断した『山城、夏美、双子』をターゲットにしました。

 

ラスト考察

キャラクター
©2021映画『キャラクター』製作委員会

山城と両角の入れ替わりを暗示する描写がちりばめられていました。
私が気付いたシーンを挙げていくと、

1つは、山城の「あいつと目が合った時、あいつが俺の中に入って、俺があいつに入った」という発言
2つ目は、山城は真壁が止めるのを無視して両角を殺そうとした(殺意を抑えられなかった)点
3つ目は、2人が倒れた位置が、山城の漫画とは真逆になっていた点
4つ目は、裁判中の両角の「僕は誰なんだ?」という発言にかぶせて、眠りから覚める山城が映される点です。

少なくとも山城には両角の殺人衝動が乗り移り、悩まされることになると思われます。
難しいのは両角がどう変わるかですが、山城はいわゆる『イイ奴』だったので、普通の人間性を手に入れることになるのか、あるいは山城の家で漫画を描く道具に興味深々だったので、過去の経験を元に獄中で漫画制作を始めてしまうかもしれません。

 

夏美が感じていた視線の正体

辺見の視線

山城よりも早く回復して元気な双子を産んだ夏美は、外出中に視線を感じる素振りを見せていました。

恐らく視線の主は逃亡中の辺見で、彼は両角が失敗した『山城、夏美、双子』の4人家族殺しを両角に代わって遂行しようとしているのではないでしょうか。

めちゃくちゃイヤミスな雰囲気が漂っていますが、無事失敗してくれることを祈るばかりです。

以上です!お読みくださりありがとうございました。
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