映画『母性』ネタバレ解説考察|ルミ子はなぜ首を絞めた?ラスト考察など | 映画の解説考察ブログ

映画『母性』ネタバレ解説考察|ルミ子はなぜ首を絞めた?ラスト考察など

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母性 サスペンス

映画『母性』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
ラスト考察、ルミ子が首を締めたのはなぜ?などについて書いています。

鑑賞した方向けの考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください(_ _)

母性

制作年:2022年
本編時間:115分
制作国:日本
監督:廣木隆一
脚本:堀泉杏
原作小説:『母性』湊かなえ 著
主題歌:『花』JUJU

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キャスト&キャラクター紹介

廣木隆一監督の代表作品…映画『ストロボ・エッジ』(2015)、映画『オオカミ少女と黒王子』(2016)、映画『ナミヤ雑貨店の奇跡』(2017)など

田所 ルミ子戸田恵梨香
地元の名家の息子 田所家に嫁いだ女。
実の母が大好きで、彼女を喜ばせるためだけに生きている節があるが、ルミ子自身は自分が重度のマザコンであることに気付いていない。
※戸田恵梨香の主な出演作…『DEATH NOTE』シリーズの弥海砂 役、ドラマ&映画『SPEC』当麻紗綾 役 など

田所 清佳永野芽郁
幼い頃…落井実結子
ルミ子の娘。母に愛されるために奮闘するが、報われず心を病んでいく。
※永野芽衣の主な出演作…映画『地獄の花園』直子役、映画『そして、バトンは渡された』森宮優子役 など

ルミ子の母大地真央
ルミ子の実の母。いつも優しく愛情溢れ、まさに母親の鏡のような人物。
清佳が5歳の頃に起きた火事で亡くなってしまう。
※大地真央の主な出演作…宝塚ミュージカル『情熱のバルセロナ』フランシスコ・ラフォーレ侯爵役、宝塚ミュージカル『マイ・フェア・レディ』イライザ役 など

哲史の母高畑淳子
ルミ子の義理の母。『鬼姑』を具現化したようなキャラクターで、ルミ子には日常的に執拗なモラハラを行う一方で、実子の律子と哲史には甘い。
※高畑淳子の主な出演作…『3年B組 金八先生』シリーズの本田知美役、ドラマ『魂萌え』関口敏子役 など

田所 哲史三浦誠己
寡黙なルミ子の夫。
ルミ子が義母にひどい嫌味を言われても見てみぬふりを貫く。
※三浦誠己の主な出演作…映画『木屋町DARUMA』坂本役、吉田の弟役、映画『火花』大林役 など

仁美…中村ゆり
律子(哲史の妹)…山下リオ
神父…吹越満
中谷亮(清佳の同級生)…高橋侃
谷口恭一(本物の谷口大祐の兄)…眞島秀和
後藤美涼(本物の谷口大祐の元恋人)…清野菜名
小菅(ボクシングジム会長)…でんでん
柳沢(元ボクサー)…カトウシンスケ
茜(エックスのバイト先の同僚)…河合優実
悠人(里枝の息子)…坂元愛登
初枝(里枝の母)…山口美也子
花(里枝とXの娘)…小野井奈々
伊東(役所の職員)…きたろう ほか

 

あらすじ紹介

大阪市内で女子高生が飛び降り自殺する事件が起きました。
警察は事故と自殺のどちらなのか原因を調べています。

高校教師の清佳(永野芽郁)は、自殺した女子高生の母親がマスコミに「愛能う限り大切に育てて来た娘が、こんなことになるなんて信じられません」とコメントしていることを知ると、彼女自身の生い立ちを振り返りながら『母性』について考え始めます。

清佳の母 ルミ子(戸田恵梨香)はそれなりに裕福な家庭に生まれた、いわゆるお嬢様育ちの娘でした。
ルミ子の父親は早くに亡くなっているものの、ルミ子は優しい(大地真央)と2人で幸せに暮らしていました。

ルミ子は24歳の時、同じ絵画教室に通っていた田所哲史(三浦誠己)と交際し、3回目のデートでプロポーズされて結婚します。
ルミ子は田所がどちらかと言えば嫌いでしたが、ルミ子の母が田所を気に入ったので、ルミ子は母を喜ばせるために結婚しました。

田所の実家はその地域ではかなりの影響力を持つ名家です。
夫婦は田所の親に費用を出してもらい、山際の閑静な場所に可愛らしい一戸建てを建てて結婚生活を始めます。

やがてルミ子は妊娠しますが、妊娠がわかった瞬間、ルミ子は「この生き物は私の血肉を奪いながら成長し、私のからだを突き破って出てくるのか」と恐怖します。

ルミ子の母は妊娠をとても喜んでくれたので、ルミ子は「母が喜ぶなら」と子どもを産む決意をしました。
約半年後、ルミ子は元気な女の子を生み、名前は哲史の母が『清佳』と名付けました。
ルミ子は母と義母を喜ばせたい一心で清佳を大切に育てます。




感想や考察など

湊かなえと言えばイヤミス(読後、嫌な気持ちになるミステリー)で有名ですが、今作は個人的にはイヤミス要素が少なく比較的健康的な感じを受けましたが、皆さまはいかがでしたか?

以下、個人的に気になった点など考察します。

冒頭の女子高生の事件との関係は?

冒頭で注目されていた女子高生転落事件にはどんな意味があったのでしょうか。
まず、女子高生の母親が『愛能う限り』と言っているところが清佳に母ルミ子を思い出させ、清佳が「母性」について考えるきっかけになっています。

次に、女子高生の転落について清佳の同僚教師が「母親がうさんくさい」と発言したり、女子高生の母親が犯人ではという推理が出ますが、真相はわかりません。
この事件は、この後に続くルミ子と清佳の過去もまた真実はわからないと強調するための演出だったように思います。

『ルミ子の目線』と『清佳の目線』で交互に描かれる話は、全て2人の主観で再現されているので、かなり個人的な感情が組み込まれているからです。
一見ルミ子の回想が捻じ曲がっていて清佳の回想が正解であるかのように見えますが、必ずしも清佳の回想が正しいとは言い切れないのです。

ただ重要なのは正解や間違いを探すことではなく、私たち自身も普段の人間関係で勘違いしていることがあるのではないか?と自分に当てはめてみたり、人との付き合い方を振り返ってみることではないでしょうか。

 

哲史の日記が律子の部屋にあった理由

哲史の日記がなぜ律子の部屋にあったのか、映画では理由が明かされていなかったので紹介します。

原作小説では、律子が家出してしばらく経ってから、哲史は『もう読まないけど手放したくない本』を律子の部屋に勝手に置いていました。
哲史は昔の日記も一緒に律子の部屋に置いていて、清佳に見つかって読まれてしまいました。

 

ルミ子の母はなぜ自殺した?

母性

©2022映画『母性』製作委員会

ルミ子の母が自殺したのは、清佳を守るためです。
ルミ子の母と清佳がタンスの下敷きになってしまった時、ルミ子が真っ先に助けようとしたのは母親で、清佳は二の次でした。

母は清佳を助けるように説得しますが、ルミ子は興奮状態で言うことを聞きませんでした。
家では火事も起こり、このままでは最悪3人とも死んでしまいます。
母は、ルミ子に清佳を助けさせるには自分が死んだ方が早いと判断し、ハサミをノドに突き刺して自殺しました。

ルミ子がグダグダ言わず素早く行動していれば、全員助かっていたのではないかとモヤモヤせずにはいられません。

また、原作小説とは少し流れが変わっているので補足しておきます。
小説ではこの火事に哲史も駆けつけていました。
ルミ子は火事の時に『どうやって家から出たか覚えてない』と言っていましたが、哲史がルミ子と清佳を連れて外に逃げていたのです。
しかし、哲史は家族を助けるよりも先に、ルミ子の母が褒めてくれたバラの絵を保護していました。
火事の時に人ではなく物を保護する点で、哲史が過去に執着するタイプだとわかります。

そして哲史は、人命救助を先決していればルミ子の母は死なずに済んだかもしれないと罪悪感を感じ、それが哲史が家に帰れなくなった理由のひとつでもありました。
母の死に絶望しているルミ子が見ていられなかったのです。

また、原作小説では母は自分の舌を噛み切って死んでいます。
映画ではどうなるのかと気になっていましたが、ハサミに変更されて少し安心しました(笑)

次のページに続きます!

次のページはラスト考察などです。




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