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花子が荒川と原に嫌われた理由
花子が荒川と原と上手くやれなかったのはなぜなのでしょうか。
花子の不用意な発言が原因かもしれませんし、原と荒川は最初から「消えた女」だけが欲しかったのかもしれないと感じる瞬間もありました。
花子と原と荒川の印象に残ったやりとりを振り返ります。
早く飛び降りろと言ったおじさんの件
花子は街で飛び降り自殺しようとしている人に向かって「早く飛びおりろ」とヤジを飛ばしたおじさんが印象に残り、似たようなシーンを脚本に組み込みますが、荒川と原は「そんな冷酷な人いるはずない ありえない」と苦い顔をします。
花子は証拠を見せようとしますが、カメラに映像は残っていませんでした。
それでも花子は信じてもらうために「私も実際に早く飛び降りないかなと思った」と危ない発言までしてしまいました。
私自身も飛び降り自殺の現場に居合わせたことはないし、自殺しようとしている人にヤジを飛ばす人を見たことはないですが、もしいたらその人は自殺ほう助罪にあたりそうな気がします。
それにしても荒川と原が飛び降りろおじさんの話を信じず、荒川にいたっては馬鹿にするような態度なのは、荒川が花子にライバル心があったからだと思われます。
お金の話
花子は「映画を撮りたい理由」を聞かれた時に「お金が欲しい」と言ってしまいます。
この質問は花子があえて厳しい映画業界に入ろうとしている理由を聞いていて目標や理想の話を求められていたので、「お金が欲しい」は見当違いな答えでした。
この時荒川が笑ったのは、花子が映画業界や質問の意図をわかっていなかったからです。
「映画監督」を生業にできるのはほんの一握りでしょうし、無名な今の時点でお金の話をしても印象を下げるだけです。
花子は恐らく生活をかけて「消えた女」に取り組んでいるという意気込みをアピールしたかったのかもしれませんが、原と荒川からすればお金の話は白けるだけです。
考えをきちんと伝えられない
花子は映画監督になりたい理由も赤が好きな理由もまともに言えませんでした。
恐らく花子は好きな理由はあるけど言葉にできていないか、物事を直感だけで判断していて理由まで考えたことがないかのどちらかです。
花子は直感を最重要に生きていて理由や意味づけをしたがりませんが、荒川のような合わない人とも関わっていくなら理由や考えをうまく伝えることは重要になってきます。
赤が好きな理由はさておき、花子は映画監督になりたい理由を明確に伝えられなかったのも株を下げる大きな要因だったと思われます。
この飲み会で花子が蒸発した母親の話をすると荒川がバカにしたのも、恐らく「なんでこんな奴が監督なんだ」というイライラが出てしまったのでしょう。
荒川とのサシ飲みを拒否した
荒川は原を帰した後で花子の部屋に戻ってきて飲み直そうとしますが、花子は荒川を部屋に入れませんでした。
荒川が戻ってきたのが下心だったのか関係修復したかったからなのか微妙なところですし、ガチの2人きりは怖いので入れなくて正解だったとは思います。
荒川の論破傾向は腹が立ちますが、花子ももう少し荒川を「大事な仕事の先輩」として扱う必要があった気がします。
鬼頭三郎の出演
原が父親役に大御所俳優の鬼頭三郎はどうかと言い出した時、花子は「私の父親には全然似てない」と否定的なコメントをしてしまいます。
花子は「監督なら起用する俳優を選ぶ権利があるはず」と思ったからそういう反応をしたと思われます。
しかし原は「あなたにお金が支払われるのはプロジェクトが成立してからよ」と釘を刺します。
原は、花子はまだ「監督を頼む予定の人」であって監督ではないから決定権はないと言いたいのです。
原の視点では「消えない女」の予算をゲットするには決め手に欠ける状態で、大御所俳優の出演話は願っても無いチャンスです。
なので、花子が素直に喜ばない態度は生意気に見えたことでしょう。
さらに、花子はこのタイミングで原に先日の飲み会代を請求してしまい、さらに機嫌を逆なでしています。
ちなみに原は「飲み代は荒川が払ったと聞いた」と言いますが、荒川は飲み代を払っていないので、荒川は原に「ちゃんとした人」と印象付けるために嘘をついたと思われます。
荒川に「黙れ」と言ってしまう
撮影に使わせてもらう病院の下見の時、花子が荒川に「黙っててくれませんか」と言ってしまった件です。
この日、花子はカメラを回す必要のない状況でカメラを回したので、荒川はダメ出しします。
荒川としては原から花子の教育を任された立場なので、花子に一応「従来のやり方」を教える必要があったのかもしれません。
しかしこの時点で荒川は花子が嫌いなので、言い方はキツいです。
花子は口論を避けるために話を終わらせようとしますが、荒川は口論を続ける割に花子の話を理解しようとしないため、花子は怒って「黙ってもらえますか」と言ってしまいました。
恐らくこの時に荒川は花子とやっていくのは難しいと判断したと思われます。
人間ドックを断ってしまう
撮影に使わせてもらう病院から「映画スタッフから数名うちで人間ドックを受けてほしい」と依頼されます。
人間ドックは万単位のお金がかかるので、お金のない花子は「私は若いから大丈夫です」とあっさり断ってしまいます。
恐らく普通なら、こう言う時は監督が先導を切って受けるべきで、すんなりそれができれば好感度が上がる場面ですが、花子は逃げて他のスタッフに押し付けてしまい、原をはじめ周囲をがっかりさせました。
花子は映画とスタッフとの関係のために「受けたいけどお金がない」など金銭的に余裕がないことを打ち明けて協力的な姿勢を見せることが大事だったと思われますが、荒川にボロクソに言われた直後だったので、周囲に気を配る気力すら残っていなかったのかもしれません。
大島が映画を降板になった理由
花子が降板になるのと一緒に大島も役から外されてしまいました。
原は「大島は折村さんが連れてきた俳優だったので、折村さんと一緒に降りた」と大島自ら降りたかのように説明していましたが、実際にはどうだったのでしょう。
俳優が監督で出演を決めるのはあり得る話ですが、大島はまだ売り出し中なのでせっかくもらった役を自分から降りるのは考えにくい気がします。
大島と映画関係者との絡みシーンは全く無いですが、大島の「神も仏もない」発言や原の言い方から、恐らく原の方から「折村の病気」を理由に丁重に出演をお断りしたのではないかと推測しています。
大島はなぜ自殺した?
大島の自殺も花子が言っていた「突発的な出来事」のひとつです。
大島はバイトに行くのが本当に辛そうだったので、今のバイトでギリギリの生活をしながらオーディションを受けまくって落ちまくって神経をすり減らす日々に限界がきていたのです。
雰囲気からバイト自体も楽しめていないことがわかります。
そんな時に大島は「消えた女」のオーディションで花子に気に入ってもらえて役をゲットし、ようやく夢に向かって一歩前進したと喜びます。
大島は「消えた女」をきっかけに俳優として活躍してバイトも辞められる未来を妄想したことでしょう。
しかし花子が監督を降りることになり、大島も一緒にチームから外されてしまいました。
大島は花子に選ばれた喜びが大きかった分、大きな精神的ダメージを受けてしまい、またバイトとオーディション生活に逆戻りかと考えただけで苦しくなって衝動的に自殺を図って運悪く成功してしまったのでしょう。
しかも原のせいで大島は花子が病気で監督業を続けられなくなったと思っていのたで『消えた女がダメでも今後の折村花子の別の映画で役をもらえるかも』という希望も持てず、精神的に詰んでしまったのです。
花子の価値観を考察
荒川が理解不能と言った花子の発言を考えてみます。
カメラを向けられた人は演じ始めます それこそがその人の真の姿です
前提として、花子は「人間は常に演技をしていて、演じている姿こそが人間ならではの姿である」と信じているようです。
演じることは人間特有の性質だと花子は考えていたのでしょう。
確かに人間は社会生活を送る上で誰もが無意識のうちに何かを演じていて、本音をむき出しにしてしまうと何かと支障が生じます。
長男の誠一が良い例で、誠一は秘書として社長を尊敬している演技をし、社長の引き立て役を演じることで仕事をこなしていましたが、妹をバカにされた時に怒りで演じられなくなると、途端に見放されてしまいました。
花子も原と荒川に対して上手く演じられなかったから嫌われたと言ってもいいのかもしれません。
「カメラを向けられた人は演技を始め、それこそが人の真の姿」とは、「演技」は人間特有の性質であり、演技をする姿を最大限に引き出せるのがカメラを向けたときであると言いたかったのではないかと解釈しています。
檻の中のライオン
花子は「動物園で檻の中をグルグル歩き続けるライオンは本来の姿ではないと言われるが、私はライオンのそういう姿もまた真実だと思う」というようなことを言います。
花子は恐らく「演技は人間の特性である」を理解してもらうために「動物は演技しない」という観点からライオンの話をしますが、荒川は花子の言いたいことをわかろうとする気もなくなっているため「意味わからん」で片付けてしまいました。
檻の中を歩き回るライオンは、動物園で生きることになったライオンが身につけた生き残る術のひとつであり、人間が処世術として身につけた演技と類似していると言いたいのかな?と思いますが、どちらにせよもう少しわかりやすく説明してもらわないと意図が全く掴めない話になってしまいます。
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