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あらすじ④:
数か月経ち、清子のお腹が大きくなってきた頃。
一晩のうちに浜辺に大量のドラム缶が遺棄され、ワタナベがいなくなっていました。
状況から察すると、ドラム缶を不法投棄しにどこからか船が現れて、浜辺を寝床にしていたワタナベは船に気付いて助けてもらったようです。
ワタナベが救助を送ってくれると信じ、清子たちは浜辺に拠点を移して救助を待つことにしました。
「この島で一生暮らす」と語っていたGMを始めフリーター集団も、助かる希望が見えてくるとみんな浜辺に拠点を移しました。
しかし救助は現れず、フリーター集団のミユキが精神崩壊してしまい、何も見えないのに「船が来た!」と叫んで海に入って行き、そのまま溺れ死んでしまいました。
その後、出産間近になった清子の所にマンタがやって来て「出産をぜひスターハウス寺院でして欲しい」と言いました。
スターハウス寺院はマンタが住んでいる洞窟のことで『スターハウス』の由来は、かつてマンタが住んでいた集合団地の中の分譲棟の名前でした。
マンタの実の姉カズコは、その屋上から落ちて死んだとマンタは語ります。
清子は「縁起悪くない?」と苦笑いしますが、マンタは気にしていませんでした。
そこに、ゲイカップルの犬吉とシンちゃんが現れて「さっき中国人たちを見た!岬の下の岩場にいた!」と清子に教えてくれました。
あらすじ⑤:結末
数日後。清子は中国人たちの方が頼りになりそうと考え、ヤンに会いに行くことにします。
サイナラ岬の崖を降りた清子はすぐにヤン達と再会しましたが、彼らは見知らぬ5人の若い外国人女性と一緒でした。
彼女たちは世界各国を旅する踊り子で、出稼ぎに行くために乗っていた船が事故に遭い、救助ボートに乗って東京島にたどり着いたそうです。
清子がヤンに妊娠を伝えると、ヤンは喜びました。
この時、清子はイラン人女性のキム(サヘル・ローズ)と仲良くなりました。
キムは故郷イランに2人の子どもが居て、いつか一緒に暮らすのが夢だと清子に語ります。
ある日。清子はキムたちが乗ってきたエンジン付きの救助ボート(修理中)を見せてもらっていた時に破水し、洞窟で元気な女の子と男の子の双子を出産しました。
清子は女の子にチキ、男の子にチータと名付けました。
(赤ん坊を抱く清子とキム 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)
その後、清子は踊り子の1人でフィリピン人のマリア(大貫杏里)から、救助ボートが直ったらどうするつもりか教えてもらいます。
ボートには5~6人しか乗れないので、マリアと踊り子3人とヤンの5人が乗り、キムは「もう若くないから一緒に働けない」という理由で島に置いて行くつもりだと言いました。
さらにマリアは「ヤンの恋人役をしてくれるならあなたも連れて行ってあげる。
でも子どもは邪魔になるから置いてきて欲しい」と告げました。
翌日の夜明け、オラガが発狂しました。
オラガは大事にしていた黒縁メガネを叩き壊すと「全員に島からの脱出を禁じる!出ていこうとする者、俺の意見に反対する者は殺す!
まずは中国人達を殺す!清子もあいつらと一緒にいるなら、殺す!」と言い出しました。
GM以外のフリーター集団がオラガの意見に賛成し、中国人を襲います。
騒ぎに気付いた清子とキムは逃げようとしますが、オラガがチータ(男の子)を捕まえて殺そうとしました。
その時、GMが駆けつけてチータを守りました。
ボートが何とか動いたため、清子はキム、チキと一緒にボートで島から脱出しました。
この時初めてチータを抱いたGMは「この子は俺が育てる!」と決心しました。
10年後。東京島で生き残ったフリーター集団、中国人グループ、踊り子グループは和解して1つのグループになり、今では仲良く暮らしています。
この10年の間にGMとマリアが結婚して村長になり、チータは『王子』と呼ばれ、2人の子どもとして大切に育てられていました。
他の元踊り子もそれぞれ夫を持ち、子どもを設けたりして家族を作りました。
同性愛カップルもちらほらいます。
ドラム缶には10年前の抗争で死んだオラガなどの名前と、島から脱出したキム、清子、チキの名前が刻まれています。
その日、東京島ではチータ10歳の誕生祭が開かれていました。
チータは皆の前で島の平和と繁栄を願う立派なスピーチを終えた後、ドラム缶の位牌の前で手を合わせました。
その時、どこからともなく清子の「お誕生日おめでとう」という声が聞こえ、チータは空を見上げます。
そんなチータの様子を、ヤンは隣で微笑みながら見ていました。
(ドラム缶に手を合わせるチータとヤン ©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)
無事に生還した清子、キム、チキは日本で一緒に暮らしていました。
3人はマンションの屋上でささやかなチキのお誕生日会を開きます。
清子は日本に帰還した後でワタナベも日本にいる事を知り、今日の誕生日会に呼んでいましたが、現れませんでした。
食事が済んだ後、清子はキムと相談して、チキに東京島での出来事を話すことにしました。
解説・考察や感想など
(引用:https://ameblo.jp)
元ネタのアナタハン事件の記事を最近読んだので、気になって観てみました。
実際の事件が小説になって、小説を映画化した作品なんですね。
実際の事件はもっとドロドロしていたので、だいぶソフトに仕上がっているな~という印象でした!
窪塚洋介氏の演技も相変わらずで(^o^)
というわけで、元ネタとなったアナタハン事件を知らない方のために、この事件に紹介していきます。
小説の元ネタ「アナタハン事件」とは?
本作は1945~1950年にかけて孤島で起きた悲劇『アナタハンの女王事件』と呼ばれる実際に起きた事件を元に描かれたフィクションです。
舞台はグアム近辺の孤島アナタハン島です。
沖縄出身の女性 比嘉和子(ひがかずこ)は、第二次世界大戦が終戦した1945年前半に、国策会社員の夫とその上司と海軍隊員29名の計32人(全員日本人、女は和子だけ)と共にアナタハン島に派遣されました。
※国策会社:日清戦争~第二次世界大戦終結までの間に国家の発展を目的として設立された半官半民の会社のこと。
彼らが派遣された当時はまだ戦時下にあり、戦争はまだ続くと思われていました。
彼らは和子の夫の会社からの物資支援を定期的に受けながらほぼ自給自足の生活を送りますが、男性陣が全員10代~20代の若者だったこともあり、次第に男たちが和子を巡って争うようになります。
彼らが何月に島に来たのかは不明ですが、終戦する同年8月までの間に男性2名が行方不明になっています。
終戦後、アメリカ軍がアナタハン島まで出向いて和子たちに終戦を知らせましたが、和子たちはアメリカ人が信じられなかったのか、誰も島から出ていこうとせず数年間放置されます。
また、終戦後は会社からの物資支援がなくなったため、和子たちは本格的な自給自足生活を強いられました。
それでも和子たちは戦争が終わったとは思っていませんでした。
翌年の1946年には島に銃が漂着し、和子を巡る争いは本格的な殺し合いに発展して和子の夫が死にます。
それから和子は男たちが選んだ新しい夫をパートナーとして生活を続け、彼女の夫は3回変わったそうですが、実際は和子は夫以外の男でもセックスを求められると応じていたようです。
彼らが島から救助された1950年には男の生存者は19人なり、12名が死亡もしくは行方不明になりますが、病気や事故で亡くなった人も含まれているので実際には何人が和子絡みで亡くなったのかは不明です。
また、この12名の中には1人でこの島から脱出している男がいて、その人物が窪塚洋介演じたワタナベのモデルです。
この事件は日本で記事にされてブームになり、『アナタハンの女王』と呼ばれた和子の写真は当時バカ売れしたそうです。
和子や生き残りの男たちは記者からの取材を受けていますが、和子を巡る争いの話になると誰も多くを語らなかったんだとか。
(1952年に撮影された比嘉和子のブロマイド 引用:Wikipedia)
ちなみに和子本人は取材で「私を巡って死んだのは2人だけで、記事の内容は誇張されている」と主張していたそうですが、彼女が知らない水面下の争いも多々あったでしょうから、真実は今となっては誰にもわかりません。
染谷将太が演じたマンタの中のもう1人の人格だった『カズコ』という名前は、恐らくこの比嘉和子が由来だと思われます。
以上です!読んでいただきありがとうございました。
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後半のマリアとキムの表記がごっちゃになっていて「?」となる部分が多かったですが、結局キムが脱出してマリアが島に残ったってことですよね?
匿名さん
見事ごっちゃになってました(-_-;)
おっしゃる通りで、清子と島から脱出したのはキム、島に残ったのはマリアです。
修正しました!ご指摘感謝です!ありがとうございました(^^)