「ゼロの未来」ネタバレ解説|ラストの解釈、定理の意味など考察! | 映画鑑賞中。

「ゼロの未来」ネタバレ解説|ラストの解釈、定理の意味など考察!

ヒューマンドラマ(青春)

映画「ゼロの未来」について解説、考察しています!

『生きる意味を教えてくれる電話』を待ち続ける孤独な中年男・コーエン(クリストフ・ヴァルツ)が、周囲の人間との関わりを通じて『幸せとは何か』を学ぶ物語。
『12モンキーズ』(1996)、『Dr.パルナサスの鏡』(2009)のテリー・ギリアム監督作品。

原題:THE ZERO THEOREM
制作年:2013年
本編時間:107分
制作国:アメリカ、ルーマニア
監督:テリー・ギリアム
脚本:バット・ラッシン

キャスト&キャラクター紹介

 


(引用:http://actoroscar.blogspot.com

コーエン・レスクリストフ・ヴァルツ

マンコム社の優秀なプログラマーのアラフィフ男性。
かなりの変わり者で、火事で焼けた教会に住んでいたり、自分のことを「我々」と呼んだりする。
外出も人付き合いも人に触れられるのも苦手。
過去に一度だけかかってきた『生きる意味を教えてくれる電話』がまたかかってくるのを待ち続けている。

 

ベインズリーメラニー・ティエリー

コーエンがジョビー主催のパーティーで出会った若い女性。
変わり者なコーエンに興味を持つ。

 


(引用:http://shamelesspile.blogspot.com

ボブルーカス・ヘッジス

ハードウェアのプロでマンコム社の社長の息子。
基本面倒くさがりでジャンクフードが大好き。

 


(引用:http://shamelesspile.blogspot.com

ジョビーデヴィッド・シューリス

コーエンの上司でマンコム社の管理職員。
コーエンのことをいつも『クイン』と呼び、その度にコーエンに指摘されるが直す気は無い。
能天気でお祭り騒ぎが大好き。

 


(引用:https://www.listal.com

マネージメントマット・デイモン

神出鬼没なマンコム社の社長。
光学迷彩のスーツを着ていて特異な雰囲気を醸し出している。
コーエンの前に突然現れては仕事の話をしていつのまにか居なくなる。

 

・その他のキャスト

シュリンク・ロム博士(精神科医)…ティルダ・スウィントン
医師…ピーター・ストーメアベン・ウィショーサンジーヴ・バスカー
CMタレント…グウェンドリン・クリスティールパート・フレンドレイ・クーパーリリー・コール
ボブを届けに来た男…エミール・ホスティナパブリック・ネメス
宅配ピザの女…ダナ・ロゴス ほか

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あらすじ:起

舞台は近未来。中年男のコーエン・レス(クリストフ・ヴァルツ)はマンコム社の『存在意義リサーチ部』で『エンティティ解析』を担当している優秀なプログラマーだ。
仕事は早く優秀だが、自分のことを『我々』と呼び、髪の毛はストレスで全て抜け落ちて丸坊主、人付き合いが大の苦手で、火事で一部が焼けた元教会に住んでいて、いつも電話を待っているかなりの変わり者だった。
コーエンは過去に一度だけ、未知なる存在から『生きる意味を教えてくれる電話』がかかってきたことがあり、その電話がまたかかってくるのを今も待ち続けていた。

コーエンは会社に出社して働いているが、本当は自宅で24時間電話を待っていたいので在宅勤務を強く望んでいた。
希望を上司のジョビー(デヴィッド・シューリス)に申し出るも「それは俺では決められない。マネージメント(社長)に直談判してみろ」と断られた上、精神科医に診てもらうことを勧められた。


(マンコム社で仕事中のコーエン 引用:http://lecerclerouge.jp

コーエンは最近体調不良が続いていたので今年で3度目の健康診断の予約を既に取っていた。
その日の午後。コーエンは、彼の3回目の診察をした3人の医師(ピーター・ストーメア、ベン・ウィショー、サンジーヴ・バスカー)に、半ば呆れられながら『身体は馬並みに健康、ただし精神科の診察が必要』と診断された。

コーエンは医師にも在宅勤務を申し出たが「それは経営陣が決めることだ」と突っぱねられた。
この時、コーエンは医師に「なぜ君は1人なのに自分のことを『我々』と呼ぶ?」と聞かれたとき「1人に見えるだけだ」と答えた。


(健康診断を受けるコーエン 引用:https://www.filmidee.it

仕事を終えて帰宅する前、コーエンはジョビーからホームパーティーに誘われた。
最近ジョビーの叔父の屋敷が差し押さえられて今は空き家なので、無断でパーティーを開くそうだ。
コーエンは人付き合いも人が集まる場所も苦手なので行きたくなかったが、ジョビーが「マネージメントも誘ってる」と言うので仕方なく行くことにした。

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その日の夜。
パーティー会場に入ったコーエンは早々に人混みに酔い、誰もいない物置部屋でため息をついてると、目の前のソファでマネージメント(マット・デイモン)が読書していた。
コーエンは「自宅でも出来る業務なのに、わざわざ通勤する意味がわからない、在宅勤務をさせてもらえたら我々の生産性は2倍に上がる!」と熱弁し、電話を待っていることも明かして在宅勤務を希望した。
マネージメントは「君は本当にイカれてる」と文句を言いつつも、コーエンの能力を見込んで特別なプロジェクトを任すことを条件に、在宅勤務を認めてくれた。

パーティー屋敷に居る間、コーエンがオリーブを喉につまらせて死にかけた所を、たまたまその場に居合わせたベインズリー(メラニー・ティエリー)という若い女に助けられた。
ベインズリーは自由奔放な性格で、心配性の父親は彼女に男が寄り付かないようにダサい服しか着させないが、ダサい服は脱ぎたくなってしまうため結局男が寄ってきてしまうと語った。
ベインズリーはコーエンに興味を持ち、電話番号を彼の腕にマジックで書いた。


(パーティーで出会ったコーエンとベインズリー 引用:http://shamelesspile.blogspot.com

翌日。コーエンは出社すると同時にジョビーに呼ばれ、『完全な管理下』での在宅勤務について説明を受けた。
現在コーエン宅にマンコム社のパソコンなどを設置していて準備が整い次第在宅勤務に移り、これからは『ゼロの定理の証明』をするのが彼の仕事になるのだそうだ。
今まで何人かのプログラマーが『ゼロの定理の証明』を任されたが、誰も成功した者はいないらしく、過去にジョビーもやらされたが3週間で気が変になりそうになり、現在の管理職に落ち着いたらしい。
コーエンはジョビーに『ニューラル・ネット・マンクライヴ』という、プログラマーが解析したデータが集められる巨大な装置を見せてもらった。
ここはマンコム社の中枢といえる装置で、近くには仕事をしていたボブ(ルーカス・ヘッジス)という青年がいた。
ボブは人の名前を覚えるのが面倒らしく、話しかける人を全員『ボブ』と呼ぶような変わった青年だが、ハードウェアのプロでもあり、ゼロの定理の証明に挑戦した今までのプログラマーの仕事ぶりを見てきた男だ。
ボブはコーエンを一目見るなり「2週間持たないね!」と笑った。

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あらすじ:承

その日の午後からコーエンの在宅勤務が始まった。
パソコンからは職場に居た時と同様に「解析済データを1時間以内にアップしてください(制限時間は仕事内容により変化する)」と音声の指示が出ている。
コーエンはパソコンに映る沢山のブロックを組み合わせ、まるでゲームでもするかのように仕事をする。
コーエンの仕事は現在93%台の『ゼロ』を100%にすることだ。

今までの仕事と比べてゼロの定理の証明は難易度が格段に上がり、コーエンは度々ミスをするようになった。


(クリスマスも仕事に打ち込むコーエン 引用:http://shamelesspile.blogspot.com

コーエンは数か月間誰とも会わず、外にも出ず、電話を待ちながら仕事と食事と睡眠を繰り返すだけの日々が続き、2月になった。
93%台だったゼロは97%台になったが、パーセンテージを上げることが出来ずにいた。
仕事が行き詰まり精神的に参ってきたので、シュリンク・ロム精神科医師のプログラムを受診した。
ロム医師の「何に喜びを感じる?」という質問に、コーエンは「今は何の喜びも感じない。かつては食べ物に喜びを感じたが、好物が何だったかも覚えてない。
次々にデータ提出を求められて追い詰められいる。」と心中を明かした。
ロム医師は「あなたは相当な変わり者ね。とりあえず混乱しそうになったら深呼吸をすること」というアドバイスをくれただけだった。
コーエンの精神疲労はひどくなり、寝ている時もデータ提出を求めるAIの声が聞こえた気がして目を覚ましたり、どうしようもなく寂しい時にはベインズリーと会った時のことを思い出した。

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そんな日々が続いて約半年が経った。
コーエンはとうとう発狂してパソコンと電話をカナヅチで叩き壊し、今までに無い位熟睡した。
翌朝、ジョビーがパソコンの修理に現れた。
コーエンは正直に「アップロードの予定に追いつけない、エンティティの動きが奇妙だし、そもそもゼロの定理は証明不可能だ」と訴えた。
ジョビーは「マネージメントが証明できると言ったらできるんだ、悩む必要はない!
彼を信じて仕事を続けろ!君は神経過敏になってるだけだ。
こんな時にピッタリの友人を紹介してやるよ!」と言って帰っていった。


(ジョビーに悩みを打ち明けるコーエン 引用:https://apps.derstandard.at

その日の夜、コーエン宅にエロい看護師のコスプレ姿のベインズリーが来た。
コーエンは彼女に見とれながらも戸惑っていると、ベインズリーが「指を怪我しちゃった、痛いから指にキスして」と指を差し出してきた。


(キスを催促するベインズリー 引用:https://www.popoptiq.com

その時、パソコンの画面にロム医師が現れて「この女は父親に捨てられた悩みをあなたにぶつける気よ!心を許してはだめ!」と警告してきた。
ベインズリーはパソコンの画面を消して「捨てられたんじゃない、父親は死んだの!勘違いしないで!
それに、私は結婚するまでセックスだけはしない主義なの」と囁いた。
その後、ベインズリーは部屋の掃除をしてくれた。
この時、電話を待っている理由をベインズリーが尋ねると、コーエンは答えた。
「我々は普通とは違うユニークな感覚を持ちたかった!
だが客観的に分析すると、我々はありふれた存在だった。
大きな群れの中のつまらない一匹の働き鉢でしかない、他の大多数と同じでひたすら命令に従うだけ。
不満を紛らわせるために酒やドラッグやセックスに明け暮れた時期もあったよ、遠い昔の話だけどね。
そんな時、ある出来事がおこった。
ある夜中、かかってきた電話を取ると声が聞こえて、名前を呼ばれた。
電話線の奥に渦巻く果てしないパワーを感じたよ、そして感じたことのない大きな喜びに震えた!
我々はわかっていた。あの時『はい』と答えれば、電話の主が人生の意味を教えてくれる、我々の使命が何なのか示してくれる、 存在の理由をあかしてくれるのだと!
だが興奮のあまり受話器を落としてしまって通話が途絶えた。
それからまたかかってくるのを待っているんだ。」
ベインズリーは諦めたように「あなたに協力するわ、すぐ戻るから待ってて!」と出てった。

あらすじ:転


(ベインズリーの帰りを待つコーエン 引用:http://lecerclerouge.jp

コーエンはベインズリーの帰りを眠らずに待ち続け、朝になった。
チャイムが鳴ったので急いで出てみると、現れたのはベインズリーではなく天才プログラマーのボブと、ヒョウ柄のハットとネクタイに白スーツの男2人組だった。
ノッポとチビの2人組は配達受領書を取り出し、コーエンにサインさせると「4時間後に迎えに来る」と言って出て行った。
ボブは「親父に頼まれて君を助けに来た」と言うと、パソコンで何やら作業を始めた。
この時、ボブがマネージメントの大事な1人息子で、今はマンコム社でアルバイト中だということが判明した。
また、人の名前を覚えないはずのボブがコーエンに『Q』というニックネームを付けた。(名前のスペル”Qohen”から)
コーエンが「我々は燃え尽きた、もう辞めると決めた」と本音を明かすと、ボブは「気持ちはわかるけど辞めるのは無理だ」と答えた。

ボブの話ではジョビーもマネージメントの指示通りに発言・行動しているだけで、ベインズリーも彼が雇ったただのコールガールだそうだ。
友達だと思っていたジョビーもマネージメントの差し金だったことを知り、さらに嫌気が差したコーエンが退職の意思を示すと、ボブは「仕事を続けてくれるなら見返りとして、僕の力で君が待ってるという電話をかけさせる」と条件を出してきた。
信じられない話だったが、コーエンはわずかな希望に賭けて仕事を続けてみることにした。

あっという間に4時間が経ち、ボブは「明日の朝また来る」と告げて帰った。
ボブが帰る前か後かわからないが、ベインズリーがコーエンの所に戻ってきた。
彼女は真っ赤なフィットスーツを着ていて、コーエン用の真っ赤な悪魔のコスプレのような衣装も持っていた。


(ベインズリーのサイトに行く準備をしているコーエン 引用:https://blog.goo.ne.jp

衣装は長いケーブル付きでパソコンと繋ぐとVR体験が出来るそうで、マネージメントからプロジェクトの一環だと渡されたそうだ。
ベインズリーは「このスーツを着て真夜中に私のサイトにアクセスして」と言い出ていった。

その日の真夜中。コーエンは衣装を着てベインズリーのサイトにアクセスした。
すると、気が付いたらコーエンは水着姿でビーチに寝転んでいた。
何故か頭に髪の毛も生えている。
驚く間もなく水着姿のベインズリーが現れて、コーエンの隣にレジャーシートを広げ、飲み物と食べ物を出した。
ベインズリーは「ここでは何をしてもいいのよ、だからリラックスして。
それに、何を食べても太らないのよ!」と笑いながらチキンを食べてシャンパンを開けた。
コーエンがここはどこかと聞くと、ベインズリーは「ここはあなたか私の頭の中の世界、とにかく安全よ」と答えた。
その後、コーエンは海で遊んではしゃぎすぎて気を失い、ベインズリーに助けられてキスをした。
今までに無い幸福感に包まれたコーエンが「ここで死んでもいいかな?」と聞くと、ベインズリーは「ダメよ、あなたには生きていてほしい」と答えた。

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翌朝、コーエンはボブについてロム医師に相談した。
いくらマネージメントの息子とはいえ、昨日のような仕事を彼が任されるには若すぎるし、何かがおかしいと感じたのだ。
ロム医師は「ボブは天才だから、何も心配することないわ!」と叫んでカツラを脱ぎ丸坊主になったと思ったら、サングラスをかけてラップを歌いだした。
その後、ボブが現れて、彼がロム医師のプログラムにイタズラしていたことがわかった。
ボブは「親父は今あんたに夢中だ、なぜならあんたは特別で、選ばれた人間だから。
いつか僕らの前に現れると預言された人間だ」と明かした。
コーエンにとってそんな事情は関係ないので、またボブに辞めたいと申し出たが断られた。
ボブが帰った後。コーエンは仕方なくまた仕事を再開したが、ゼロは93%台に戻っているし、何よりもやる気が出ない。
コーエンは今まで食べたいと思ったことがなかった宅配ピザを頼んで食べ、ベインズリーのサイトに遊びに行くことにした。
サイトにアクセスしようとした時、ロム医師のポップアップが出てきて「この子は精神状態に問題があるし、あなたは精神的に死んでる!だからもう会わない方がいい!」と止めようとした。
苛立ったコーエンがプログラムをいじると、バグったロム医師は「もう大丈夫です」と笑顔で消えた。

改めてコーエンがサイトにアクセスすると、場所は前回と同じビーチだった。
しばらく一緒に沈まない夕日を眺めていると、ベインズリーが「どこか別の場所に行きたい」と言い出した。


(夕日を見つめるコーエンとベインズリー 引用:https://www.pinterest.jp

想像さえすればVRプログラムの力でどこへでも行けるというので、コーエンは目をつぶって想像してみた。
次に目を開けた時、コーエンとベインズリーは暗い宇宙に裸で浮いていた。
コーエンは暗い表情でブラックホールを見つめ、ベインズリーは最初ははしゃいでいたが次第に怖がり、やがて2人はブラックホールに飲み込まれた。
気がつくと、コーエンはビーチに戻っていてベインズリーにひざ枕されていた。
ベインズリーは「怖かったけどもう大丈夫。
コーエン、私に『愛してる』と言って、私を信じて!」と何度も言い、キスをした。
興奮したコーエンは「君を信じるし、愛するよ!
もう電話を待つのもやめる、探究もしない!
これからは君への愛だけに生きる!」と言ってベインズリーに抱きつきセックスを迫った。
するとベインズリーは焦ったように「やめて!マネージメントが…」と言い出した。
コーエンが構わず続けようとすると、ベインズリーは「だめよ!彼を甘く見ないで!」と叫んで突き飛ばした。
その勢いでコーエンとパソコンを繋いでいたコードが抜け、現実に戻った。

翌日。またボブがやってきてコーエンの仕事ぶりを見届けると、ベインズリーがくれた衣装とケーブルを持って帰ってしまった。

その日の夜、コーエンがベインズリーのサイトを覗いてみると、パソコン画面に下着姿で踊るベインズリーが映っていた。
彼女はコーエンがログインしたとわかると慌てて胸を隠したので、焦ってログアウトした。
その後、もう一度ベインズリーのサイトに入ろうとしたが、アクセス拒否されてログインできなくなっていた。

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あらすじ:結

翌日。ふてくされていたコーエンの所にまたボブが来た。
ベインズリーがくれた衣装を『魂を探す装置』に改造したから着てほしいと言う。
コーエンが「君は何も信じないんじゃなかったのか?」と文句を言うと、ボブは「僕は若いから何でも信じられるんだ」と答えた。
その直後、玄関のベルが鳴ったので出てみると、普段着のベインズリーが深刻な表情で立っていた。
ベインズリーは、ジョビーから『協力すればVRスーツを着れる』と言われて興味を持ち、ジョビーの指示で、パーティーでわざとコーエンに近づいたと打ち明けて謝り、コーエンに愛の告白をした。
さらにベインズリーは旅に出ようと荷物を車に積んでいて、一緒に来てほしいと誘った。
ボブは「行けよ!親父から逃げるチャンスだ!」と叫んだが、コーエンは彼女と目も合わせようとせず「我々には仕事がある」と断った。
ベインズリーはコーエンの頭にキスすると、黙って出ていった。


(ベインズリーの愛を拒絶するコーエン 引用:http://lecerclerouge.jp

ボブは「もったいない!気分が悪いからとりあえず外に出よう!」と言い、コーエンは1年以上ぶりに外に出た。
広場のベンチで話した際、コーエンには若い頃にはちゃんと恋人がいた事や、離婚歴があることが判明した。
コーエン宅に戻った後、コーエンは自然に自分のことを『私』と呼ぶようになった。

その後、ボブが体調を崩してダウンし「少し眠りたい」と言ったまま気を失ってしまった。
コーエンはボブをソファに運ぶ際、監視カメラがパソコン周辺だけでなく家のあちこちに仕掛けられていることに気付き、カメラを片っ端からハンマーで壊して回った。
警報機が鳴り出したのでそれも壊して静かになると、ボブの隣で眠った。

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翌朝。白スーツの2人組が駆けつけて「大変なことをしてくれたな、管理官に報告する!
明日、人を寄越すから何も触るな!」と怒鳴り、ボブを連れて出ていった。
コーエンは何もやる気が起きず、ボブを寝かせていたソファに倒れ込むようにして眠った。

翌日。ジョビーがコーエンに会いに来た。
ジョビーはコーエンの管理責任を問われてマンコム社をクビになり、不満を吐き出して帰っていった。
その後、コーエンはボブが作った『魂を探す装置』を身に着けてコードをパソコンに繋いでみた。
するとすぐにエラーが出てコードから火花が散り、意識が飛んだかと思ったら、次の瞬間にはパジャマ姿でマンコム社の中枢『ニューラル・ネット・マンクライヴ』の傍に立っていた。
そこはボブが作業をしていた場所で、目の前にあるいくつもの画面には、コーエンがボブをお風呂に入れている様子や、仕事をしている様子、ベインズリーなどが映っている。
「息子は入院したよ」と声が響いたので振り返ると、マネージメントが立っていた。
コーエンが「あの子は無事ですか?」と聞くと、マネージメントは「容態は良くない。あいつは元々体が弱いんだ。
守ってやろうとしても嫌がる」と淡々と答えた。
コーエンは「何故あなたはゼロの定理を証明したいんだ?何故すべては『無』だと証明したいんです?」と聞くと、マネージメントは答えた。
『すべてが無』だ、などと私は一言も言ってないし、”無”のものなど無い。
私はただの実業家だ。無秩序とはすなわち商機だ、金になる。
カオスには豊かな金脈が眠ってる。マンコムはそれらを採掘して儲けるのだ。
神を信じたがる人間の悲しい一面とは、より崇高な目的を求めるあまりに人生が無意味に思えることだ。
すべては『永遠』への通過点でしかなくなる。
君を選んだ理由はかなり皮肉だ。君は私のプロジェクトとは正反対だからだ。
君は信念の人だ。『電話が人生の意味を教える』と頑なに信じた。
君はその電話を待ち続けるあまりに無意味な人生を送った。
すまんが、もう君を必要とはしない

気が付くとマネージメントはコーエンの隣から消えていた。
コーエンは怒り狂い、ボブの作業場のパソコンやディスプレイを放り投げて壊し、マンクライヴから伸びているいくつものコードを全部引っこ抜いた。
満足してその場に座り込んだ直後、引っこ抜いたコードが勝手に動いてプラグに刺さり、元に戻ってしまった。
コーエンは落ちていたハンマーでマンクライヴのボディを思い切り叩くと、そこからヒビが入って亀裂が広がり、マンクライヴは震えて爆発した。
マンクライヴの中から無数の人間のホログラム写真が舞い散り、その中にはボブやベインズリー、ジョビーの写真もあった。
爆発の衝撃でマンクライヴの傍にブラックホールが生まれ、写真はブラックホールに飲み込まれていく。
コーエンはその場から逃げようとしたが、思い直したように歩みを止めると、落ち着いた表情で自らブラックホールの中に落ちていった。


(ブラックホールに飲み込まれるコーエン 引用:http://mralansmithee.blog.fc2.com

気が付くと、コーエンはベインズリーと楽しいひとときを過ごしたビーチに全裸で立っていた。
ベインズリーは居ないが、彼女が持っていたビーチボールやレジャーシート、コーエンが彼女からはぎ取った水着はビーチに残っている。
コーエンが沈まない太陽に手を加えると、太陽は沈み辺りは暗くなった。
太陽が沈んだ空を見上げ、満足気な表情でビーチに立ち尽くした。

・主題歌
『CREEP』Kren Souza

 

ゼロの未来【動画配信】

 

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解説・考察や感想など


(引用:https://www.popoptiq.com

ずっと気になっていた作品で、この度やっと観ることが出来ました。
噂では聞いていましたが、謎が多くて解釈が中々難しいです。
ラストは特にもう何がなんだかわからなくてポカーン状態でした。
でも、こういう作品こそ考察のしがいがあるので、考えてみようと思います。

『エンティティ解析』『ゼロの定理』って何


(引用:https://www.forumcinemas.lv

コーエンは仕事の内容について「エンティティ解析をしている」と答えていましたが、エンティティって何?と思った方が多いと思います。
これはストーリーにはあまり関係ないとは思いますが、気になって調べたので残しておきます。

エンティティ(entity)は『実体、存在』というような意味の英語で、何かを説明する時に使ったりする枠組みそのもののことを指したりする言葉で、プログラミングで使われる用語だったりもするようです。
言葉だけだとわかりにくいのでもう少し具体的に示すと

好きな俳優
・綾野剛
・ユアン・マクレガー
・アーノルド・シュワルツェネッガー など
好きなキャラクター
・スヌーピー
・ピングー
・土方十四郎(銀魂) など

↑このようにジャンルなどを分けて見やすくするために使っている『赤色の線(枠組み)』がエンティティです。

この『枠組み』を解析することに意味があるとはとても思えません。
つまり、コーエンの仕事は『無意味なもの』と言い換えても良いかと思います。
もちろん、仕事をすること自体に生きる意味を見出す方も沢山いらっしゃるかと思いますが、コーエンにとって仕事は『電話を待つ傍らにしていること』で、生きる価値を見出したわけではないので、『仕事』とは『無意味なもの』ということになります。

ちなみにベインズリーが言っていた『遠隔的タントラ・インターフェイス』は、『タントラ』はざっくりと言うと『性欲の解放』を意味するヒンドゥー教の言葉で、『インターフェイス(interface)』は『接点、境界面』という意味のIT用語です。
つまり、ベインズリーのエッチなサイトを難しい言葉で言い換えただけです。

ゼロの定理についてはボブが説明してくれていので、抜粋しておきます。

ボブ「ゼロの定理ってなんだと思う?」

コーエン「どうでもいい」

ボブ「ウンコだ すべてはウンコ ウンコでしかないんだ

宇宙はなんの意味もないことを証明しようとしてる
全ての物質 エネルギー 何もかもは 一度のビッグバンによる偶然の産物だ
膨張し続ける宇宙はやがてブラックホールに飲み込まれる
あまりに強い重力で 全ては0次元である『点』に収集されて 空間 時間 生命 来世 何もかも消える
何もない ゼロだ」


コーエン「やめろ!そんな恐ろしいこと誰が信じる?」

ボブ「何が恐ろしい?僕は信じる
完璧で永遠なものはない そう思えば何も心配いらない」

コーエン「・・・ゼロの定理は君が探究すべきだ」

ボブの説明を聞いていると、死んだ後の世界には来世も何も無く、ただ『無』しかないという説がありますよね。
そういう死後の世界の一説の話をしているようにも感じました。
それに『生まれたことそのものが偶然で何の意味もないです』なんて言われたら、生きる意味を探しているコーエンみたいな人にとっては考え方を全否定された気持ちになりますよね。

それに、死後の世界や、もしも宇宙がブラックホールに飲み込まれたらどうなるか、なんて実際にそうなってみないとわかりません。
つまり、『ゼロの定理の証明』は、『答えが出ない問いの答えを出せ』と言っているのと同じということになります。

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コーエンが『我々』と呼んでいた理由

コーエンはずっと自分のことを『我々』と呼んでいて、周囲から変人がられていました。
なぜコーエンの一人称が『我々』なのかというと、恐らく答えは意外と単純でコーエンは孤独に耐えかねていたからで、少しでも孤独感を和らげるために我々と呼んでいただけです。
ギリアム監督が『コーエンは現代の若者を象徴している』とも発言していた気がするので、ひとりを嫌がっていつも誰かと繋がりたがる若者を表現しているのかもしれません。
物語の終盤でようやく一人称が『私』になるのも、ボブがそばにいてくれたことで孤独感が薄まったためだと思われます。

ベインズリーを振った理由

結局ベインズリーと結ばれませんでしたが、なぜコーエンはベインズリーを選ばなかったのでしょうか?
大前提として、恋愛もコーエンの探している『生きる意味・価値』ではなかったからだというのは明確なんですが、あれだけベインズリーに入れ込んでいて、ビーチでは「君のために生きる!」とまで言っていたのに振ってしまった具体的な理由は挙げるのがちょっと難しいです。

整理しながら考えてみると、コーエンが何よりも耐え難かったのは『我々』からわかるように『孤独感』ですよね。
コーエンも一時期は気持ちが盛り上がってベインズリーにVRビーチで愛を告白しますが、拒絶されています。
その後、彼女のサイトを訪れた際もアクセス拒否されたので、これは完全に嫌われたと思いますよね。
この時コーエンはいつにも増して孤独感に苛まれたはずです。
その後、ベインズリーに告白されてコーエンは嬉しかったはずですが、同時に『恋愛はこんなに苦しいんだ』ということも思い出したのでしょう。
恐らくコーエンの中では恋愛について回る「緊張、孤独、嫉妬」などのネガティブな面を耐えがたいと感じ、「もう恋なんてしない」モードに入ってベインズリーを受け入れられなかったのではないでしょうか。 

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ラストの解釈を考察

No.510] ゼロの未来(The Zero Theorem) <80点> 【ネタバレ感想】 - SF
(引用:http://mralansmithee.blog.fc2.com

物語のラスト、コーエンがマンコム社にワープした辺りから意味がわからなくなりました。
なぜさっきまで自宅に居たのに次の瞬間にパジャマ姿でマンコム社に居たのか、なぜブラックホールが突然現れたのか、ブラックホールに入ったらなぜVRのビーチに出てくるのか、さっぱりわかりません。

こういう話の繋がりが支離滅裂な時って大体夢落ちか、幻覚・妄想か、途中でその人が死んでいて死後の世界に切り替わっていると解釈しないとまとまらないというか納得できないんですが、コーエンの場合は『死んだ』というのが一番濃厚じゃないかと考えています。
コーエンが死んだのはボブが作った『魂を探す装置』を着て感電した時で、以降の世界はコーエンの死後の世界だと考えた方が個人的にはしっくり来ます。
そうでないと、さっきまでVRスーツを着て自宅にいたのに、次の瞬間にパジャマ姿でマンコム社にいたり、画面に映っているコーエンの姿の時系列がバラバラだったり、突然ハンマーやブラックホールが現れたりすることの説明がつきません。

恐らくコーエンは、あり得ないことが次々に起きたことから徐々に現実ではないと気付き、ブラックホールを見た辺りから自身の死を悟ったのではないでしょうか。
ブラックホールがコーエンの心の闇を象徴、具現化した物体として登場していたので、それが現れたということは、コーエンは彼自身の精神世界の中にいるということになるので。
大量に舞うホログラムがブラックホールに吸い込まれているのを見たとき、コーエンは思い切って闇に飛び込んでみることにします。
この時に恐らくコーエンはもう孤独感を乗り越えていたのでしょう。

次にVRビーチに出た時、そこにはベインズリーの姿はないけれど、彼女が持ってきた物や身につけていたビキニだけはそこに残されています。
これは恐らくコーエンの中でもうベインズリーは美しい思い出に変わったということと、孤独を受け入れたということが現れているような気がします。
沈まない夕日を自らの手で沈ませて満足気にただずむ姿は、孤独も死も受け入れて精神が解放された様子だったのではないでしょうか。
『人間生まれる時と死ぬときはひとり』みたいなことわざありますよね、あんな感じを噛み締めているのかな〜と思います(曖昧ですみません)
そしてベインズリーがコーエンを呼ぶ声(恐らくコーエンの脳内再生)が聞こえ、切なく物語が終わります。

エンドロールの一番最後にキリストの像の頭の部分が監視カメラになっている映像が再び映ります。
これはマンコム社の体制からしても監視社会を表現していたんだと思いますが、監視(管理)する側は、マネージメントのキャラクターからしても神様になったつもりでいる、というような風刺表現ですよね。

解釈については自信がない部分も多々あるので、何か気付いたことがある方はコメントくださいm(*_ _)m

 

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・テリー・ギリアム監督作品

 

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