2013年版『華麗なるギャツビー』の解説考察をしています!
こちらの記事では『パーティーが開かれていた理由』『ギャツビーの正体、本当の生い立ち』『デイジーがトムを選んだ理由』などについて書いています。
『華麗なるギャツビー』概要紹介
制作年:2013年
本編時間:142分
制作国:アメリカ
監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン、クレイグ・ピアース
原作小説:『グレート・ギャツビー』F・スコット・フィッツジェラルド著
あらすじ
小説家の夢を諦め、野望を胸にウォール街に進出した青年ニック・キャラウェイは、ニューヨークに近いウェストエッグという地域にひとり暮らし用のコテージを借りました。
ニックは引っ越しを機に、近所に住む従姉のデイジー・ブキャナンと夫のトムと再会して一緒に過ごすことが増えました。
ニックの自宅の隣には、謎の大富豪として知られるジェイ・ギャツビーの豪邸があります。
ある日、ニックはギャツビー邸で毎週のように開かれているパーティーに招待されて、直々にランチに誘われました。
ギャツビーとランチに行ったニックは、ギャツビーに「デイジーに会いたいからお茶会をセッティングしてほしい」と頼まれます。
今から約5年前、ギャツビーとデイジーは真剣交際していたものの、事情があって結婚に至らなかった過去がありました。
ニックはただならぬ空気を感じますが、ギャツビーに好感を抱いていたためOKしました。
お茶会の日、ニックは約束通りデイジーとギャツビーを再会させると、2人は数時間後には当時の親密さを取り戻していました。
2人の嬉しそうな様子をひっそりと喜ぶニックでしたが、その後デイジーとギャツビーの関係は発展して泥沼化していきます。
主要キャスト
ニック・キャラウェイ…トビー・マグワイア
ウォール街の証券会社勤めの元作家志望。
ギャツビーの唯一の理解者。
ジェイ・ギャツビー…レオナルド・ディカプリオ
謎多き資産家。デイジーに思いを寄せている。
デイジー・ブキャナン…キャリー・マリガン
ニックの従姉。10代後半の頃にギャツビーと恋愛関係にあった。
トムの浮気癖に悩んでいる。
トム・ブキャナン…ジョエル・エドガートン
デイジーの夫でアメリカ有数の資産家の跡取り。
カーディーラーの妻と不倫している。
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解説・考察
パーティーが開かれていた理由
(引用:https://americanliteraturenhs.files.wordpress.com)
ギャツビーは誰でも参加できる豪華なパーティーを毎週のように開いていました。
ギャツビーがパーティーを開き続けたのは、デイジーが来てくれることを期待していたからです。
デイジーは『社交界の華』と呼ばれていたので、かつては貴族主催のパーティーによく顔を出していた時期があるのでしょう。
しかし、デイジーはギャツビー主催のパーティーにはギャツビーと再会するまで1度も参加しませんでした。
トムの浮気防止のためだったり、彼女がパーティーに積極的に参加していた頃は婚活中だったからで、実はあまりパーティーが好きではなかった、など何か理由があったと思われます。
いつまでたってもデイジーがパーティーに来てくれず、ギャツビーはデイジーの知人を探してニックとジョーダンに声をかけたという流れです。
ギャツビーがニックをウルフシャイムに会わせた理由
ギャツビーはニックを地下の秘密のバーに連れて行き、ウルフシャイムと会わせました。
ウルフシャイムが仕事の話をしようとすると、ギャツビーは「人違いだ」と遮ります。
考えた理由が正しいかどうかはよくわかりませんが、この時ギャツビーはニックにデイジーとのお茶会セッティングを頼もうとしていました。
一般的に考えれば、昨日知り合った男に突然『既婚者の従姉を紹介してほしい』と頼まれるのはかなり不自然で、普通の倫理観を持つ人間だったら不審に思って断る案件です。
そう考えると、ギャツビーはもしニックが金で買収できるタイプだったら、違法だけど簡単に儲けられる副業を紹介して金で操ろうと考えていたのではないでしょうか。
しかしギャツビーはドライブでの会話でニックがとても真面目だとわかったので、下手に違法な仕事を紹介すると『ギャツビーがデイジーに知られたくない裏社会との繋がり』が、ニックからデイジーに伝わってしまうかもしれないと思ったのです。
一方でウルフシャイムには事前に「仕事を紹介したい男がいる」と言ってしまっていたので、ギャツビーはとっさに「違う」と言ったのではないかと推測しています。
その後ニックの自宅前で再会した時、ギャツビーは『副業』を紹介しようとしますが、違法性は隠そうとしていました。
これもやはりギャツビーはニックに何らかの見返りを払わなくてはと考えた結果だったと思われます。
よく考えたらほぼ初対面で怪しいバーに連れて行かれたのに、ニックはよくギャツビーにデイジーを紹介してあげようと思ったなと思いました(笑)
ニックもニックでどこか感覚がおかしくなっていたのか、当時はそれくらい不倫は『よくあること』だったのでしょうか。
ジェイ・ギャツビーの正体
ニックが初めてギャツビーと出かけた時、ギャツビーが語った半生は前半が嘘だったことが発覚しました。
ジェイ・ギャツビーの本当の生い立ちを振り返ります。
ギャツビーは元々ジェームズ・ギャッツという名前で極貧家庭の生まれでした。
生まれながらにして上昇志向が人一倍強かったギャツビーは、貧しい生活に耐えられず16歳になると同時に旅に出ました。
そしてたまたま難破船に遭遇し、1人の老人を助けます。
その老人が大富豪の貴族ギャツビー氏でした。
ジェームズの夢を知ったギャツビー氏はジェームズを養子にし、この時ジェームズは名前をジェイ・ギャツビーに変えました。
ギャツビー氏はジェイに貴族としてのマナーや立ち振る舞いを叩き込み、現在のジェイ・ギャツビーが出来上がります。
その後ギャツビー氏が亡くなると、ギャツビー氏の本物の子息の間で遺産相続争いが起こり、遺産はすべて本物の子息たちに取られてジェイは再び一文無しになってしまいました。
そのあとすぐに戦争がはじまり、ジェイはアメリカ兵として戦争に行くことになります。
ドライブ中にニックに語った勲章の話はメダルもあったので恐らく本当です。
ギャツビーとデイジーが結婚できなかった理由
2人が出会ったのは第一次世界大戦中でした。
ギャツビーは当時アメリカ兵で、デイジーの故郷に慰問した時に当時学生だったデイジーと出会い運命的な恋に落ちました。
2人がデートを重ねたのは約1か月という短い間だけで、ギャツビーは戦地に戻ることになって離れ離れになってしまいます。
終戦後、デイジーはギャツビーが迎えに来てくれるのを待っていましたが、ギャツビーは現れませんでした。
ギャツビーはデイジーと再会したくてたまらなかったものの、遺産相続の件で一文無しに戻ってしまったため、会いに行くことができずにいました。
そこでデイジーに手紙を書いて「もう少し待っていて欲しい」と伝えましたが、デイジーがその手紙を受け取ったのはトム・ブキャナンとの結婚式の当日でした。
ギャツビーの思いを知ったデイジーは大慌てでトムと婚約破棄しようとしますが時すでに遅く、周囲にはマリッジブルーだと相手にされず結局結婚してしまいます。
デイジーは貴族家系のため、結婚にも結婚相手の身分や経済力が大きく関わってきます。
デイジーの両親にとってはトム・ブキャナンが結婚相手として最高だったので、デイジーが少々ごねた所で覆せるものではなかったのです。
「過去は変えられる」とは?
ギャツビーとデイジーの不倫が始まって数か月経った頃、ギャツビーはニックに「私はデイジーの夫になる。トムとは離婚してもらう」と決意を語ります。
ニックは「再婚は難しいと思う。一時幸せに過ごせただけで満足すべきではないか」と答えると、ギャツビーはかたくなに「過去は変えられる。本来ならデイジーの夫は私のはずだった」と譲りませんでした。
この時ギャツビーが語っていた『過去』は、すべて恋愛・結婚関係の『過去』についてです。
デイジーはギャツビーにフラれたと思い、その後出会ったトムと交際、結婚して現在に至ります。
ギャツビーはデイジーに「トムを愛したことは一度も無い」と言わせる(もしくは思わせる)ことで、トムとデイジーが築いた『恋愛・夫婦関係にあった過去』を帳消しにしようとしていたのです。
ギャツビーは、デイジーとトムは愛のない結婚だと信じていたので、デイジーはトムを当然愛していないと思っていました。
なぜならギャツビーはデイジーが結婚しても子供を産んでも、ずっと心は繋がっていて愛し合っていると信じていたからです。
もしかしたら「デイジーの親が無理やり結婚させた」など何かしら理由を付けていたのかもしれません。
一方デイジーは長年トムに対して愛されている自信も愛している自信も無いような状態が続いていたようで、ギャツビーとの件でトムを愛していたことを自覚しました。
デイジーが最後にトムを選んだのはなぜ?
(引用:https://postcardsfrompurgatory.files.wordpress.com)
自動車事故の後、デイジーは悩んだ末にトムと一緒にいることを選びギャツビーの前から消えました。
デイジーは危機に陥った時、総合的に判断してトムを選んだと思われます。
デイジーがトムとギャツビーを選ぶ時に重要視した点を想像すると、まずトムとは5年以上の付き合いでお互いの性格をそれなりに知っていて、一緒に暮らすことにも慣れています。
一方、デイジーがギャツビーと過ごしたのは学生時代の1か月間だけで、不倫期間は数か月ありましたが人目を忍んでのデートだけで、一緒に暮らしたことはありません。
2つ目は経済力です。
トムは誰もが羨むアメリカ有数の億万長者の子息で、怪しい商売にも手を出していない、いわゆる堅気でした。
一方ギャツビーもトムに負けない経済力を持っていたように見えましたが、それはウルフシャイムなど裏社会の人間と関わりを持ち、違法な手段で得ていた金でした。
それはギャツビーの後ろ暗い部分で、経済的な部分ではトムが圧倒的に優勢です。
3つ目は家族との問題です。
トムとの離婚を両親が許すはずがないので、デイジーはもしギャツビーを選ぶ場合は家族と縁を切る覚悟もしなければなりません。
デイジーと家族の仲はわかりませんが、デイジーはもし家族の反対を押し切ってギャツビーを選んだとして、その後 万が一ギャツビーと別れることになれば、彼女はすべてを失うことになります。
それ以前にデイジーは家族を捨てる勇気は元々無かったのではないでしょうか。
4つ目は性格的な欠点についてです。
ギャツビーはウルフシャイムとの関わりをデイジーに知られるとまずいため激怒したわけですが、その怒りがデイジーを怯えさせてしまいます。
恐らくデイジーは怒るギャツビーを見た時に、デイジーの中の『理想のギャツビー』が崩れたのです。
デイジーはギャツビーこそが完璧な運命の人のような幻想を抱いていましたが、ギャツビーも普通の男と変わらないのだと思い知ったのではないかと思われます。
一方デイジーは今までトムの浮気癖や差別主義的な傾向などの欠点ばかり目についていたようですが、離婚話が本格的になった時に初めてトムに愛情があったことに気付きました。
また、トムはデイジーの浮気を責めたりせず、逆に今までの自分の行いを謝ってこれからもっと大切にすると約束しています。
この離婚騒動で、デイジーにとってトムはマイナスからのプラス(欠点ばかりが目についていたが、離婚騒動で良い点が改めて見えた)になりましたが、ギャツビーはプラスからマイナス(完璧な男のように見えていたが、離婚騒動で欠点が見えた)に評価が変わったのです。
かなり想像も入っていますが、デイジーはここ数年浮気ばかりするトムを見て愛されている自信を無くしていた可能性があります。
もしそうだとすると、デイジーはギャツビーとの事件で、トムが必死にデイジーを取り戻そうとする様子を見て安心したのかもしれません。
デイジーが自動車事故を起こしてピンチになった時、これらのことからトムの方が安心して身を任せられると計算したと思われます。
素直に自首せず男に頼って罪から逃げようとする所はデイジーの自己中心性を示していますが、デイジーを犯罪者にしたくないトムとギャツビーは彼女のずるさに気付かず、気付いたのはニックだけでした。
ギャツビーがウルフシャイムと手を組んでいた理由
ギャツビーはウルフシャイムと手を組んで密造酒や違法取引などで大金を儲けていました。
ギャツビーは裏社会と繋がっていることはデイジーに知られたくないはずなのに、なぜ繋がっていたのか疑問でした。
恐らくギャツビーはデイジーと再会するまでに手っ取り早く大金を手にしようとウルフシャイムと手を組んで、少なくとも数年は何不自由なく暮らせる位のお金を貯めようとしていたのではないでしょうか。
ギャツビーはデイジーが駆け落ちする決意をするのを待って、駆け落ち出来次第ウルフシャイムと関係を絶とうとしていたと思われます。
お金さえあれば逃亡した先でまた何かまともな事業を始めたりすれば良いので、ギャツビーは実質的にはデイジーとの駆け落ち資金を貯めていたことになります。
恐らくギャツビーはデイジーにウルフシャイムとの関わりを明かすつもりはなく、もし聞かれたらお金は親の遺産と言い張る気だったと思われます。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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