映画『ザ・バットマン』の解説、考察をしています!
両親を殺されたブルース・ウェインが復讐を誓い、バットマンになって丸2年が経過したハロウィンの日。
リドラーと名乗る謎の男がゴッサム市長を殺害し、その後も次々に権力者を襲ってはバットマンにクイズを残していく。
ゴードン刑事とともにリドラーを追うバットマンは、クイズを特に連れてゴッサムの裏社会で起きていた壮大な悪事を知ることになる。
制作年:2022年
本編時間:176分
制作国:アメリカ
監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、マットソン・トムソン
ED曲:『SOMETHING IN THE WAY』ニルヴァーナ
主要人物紹介
© 2022 WBEI TM & © DC
ブルース・ウェイン/バットマン…ロバート・パティンソン
架空都市ゴッサムの富豪ウェイン家の当主。
幼い頃に両親を殺され、復讐のためバットマンとなり悪を成敗しながら犯人を捜して2年が経った。
なぞなぞ好きな連続殺人犯リドラーに絡まれる。
© 2022 WBEI TM & © DC
セリーナ・カイル/キャットウーマン…ゾーイ・クラヴィッツ
ブルースの捜査線上に突如現れた謎の美女。
裏社会の権力者ペンギンが経営するナイトバーの店員。
© 2022 WBEI TM & © DC
リドラー…ポール・ダノ
権力者ばかりを狙う正体不明の連続殺人犯。
犯行現場に必ずバットマン宛てのナゾナゾを残し、SNSで権力者たちの不正や黒歴史を暴露していく。
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ペンギン(オズ)…コリン・ファレル
高級ナイトクラブ『アイスバーグ・クラブ』を経営する謎の男。
『ドロップ』という合成麻薬を売買して客にも提供している悪人。
アルフレッド(ブルースの執事)…アンディ・サーキス
コルソン検事…ピーター・サースガード
ベラ・リアル新市長…ジェイミー・ローソン
ピート・サヴェージ(本部長、ゴードンの上司)…アレックス・ファーンズ
市長…ルパート・ペンリー=ジョーンズ
不良少年…ジェイ・リクルゴ
麻薬捜査課の刑事(鼻骨折)…コン・オニール
セリーナの友人…アンバー・シエナ
アーカムの囚人…バリー・コーガン ほか
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あらすじ紹介
あらすじ①:バットマン2年目のブルース・ウェイン
© 2022 WBEI TM & © DC
舞台はアメリカの架空都市ゴッサムです。
幼い頃に両親をチンピラに殺されたブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は、両親を殺した犯人への復讐を誓い、バットマンという自警活動を始めて2年が経ちました。
ブルースは犯罪者を見つけては撃退しますが、いくら悪人を倒しても犯罪が減ることはありませんでした。
復讐に執着して会社経営にも友人や恋人作りにも無頓着なブルースを、執事のアルフレッド(アンディ・サーキス)は心配してますが、ブルースは「お前は父親じゃない」と耳を貸しませんでした。
あらすじ②:政府要人の連続殺害とキャットウーマン
© 2022 WBEI TM & © DC
ハロウィンの10/31。
ゴッサムの市長が惨殺される事件が起きました。
市長の頭にはテープが巻かれ、『NO MORE LIES(嘘はもうたくさんだ)』と書かれ、親指が切り取られていました。
バットマンはゴードン刑事(ジェフリー・ライト)と共に、リドラーと名乗る犯人が現場に残したナゾナゾと暗号を解読し、市長の車内でUSBを発見します。
USBには切り取られていた市長の親指がキーホルダーのように付いていました。
USBの中身は市長の不倫現場の証拠写真で、ファイルを開くと同時にSNSで自動拡散されてしまい、大スキャンダルになりました。
ブルースは市長の不倫相手アニーを探し求めて、彼女が働いている高級ナイトクラブ経営者のペンギン(コリン・ファレル)に会いに行きました。
ペンギンからアニーの情報は得られませんでしたが、彼はクラブで『ドロップ』と呼ばれる麻薬を客に提供していることがわかりました。
さらに、クラブで働いていた美女セリーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)がアニーの友人であり、悪人専門の盗人キャットウーマンであることが判明しました。
ブルースはバットマンとしてキャットウーマンに接触した直後、アニーが行方不明になってしまいました。
この時、セリーナが自宅に置きっぱなしにしていた携帯もどこかに消えていました。
今度はリドラーが警察上官のサヴェージ本部長を殺害する動画を配信して大混乱が起きました。
サヴェージ本部長は麻薬売買の王と呼ばれた犯罪王マローニを逮捕した功績で出世した人物ですが、リドラーによって本部長が裏で麻薬売買に関与していたことが明かるみになりました。
リドラーが残したなぞなぞと暗号をバットマンとゴードン刑事が解くと、『ネズミ(スパイ)』の存在が浮かび上がりました。
あらすじ③:事件とペンギンの関係
ペンギンのナイトクラブ内に秘密クラブがあると知り、バットマンはネズミ探し、キャットウーマンはアニー探しのために協力し合うことになりました。
キャットウーマンがセリーナとして秘密クラブに潜入すると、有名検事のコルソンや医師などが違法ドラッグと女遊びを楽しんでいました。
麻薬取締課の刑事が秘密クラブの用心棒をしていた他、ゴッサムの裏社会の親玉ファルコーニが出入りしていることもわかりました。
一方でセリーナはアニーの手がかりを探ろうとしますが、クラブで働く女性は「深入りすると殺される」と何も教えてくれません。
この時、ファルコーニがセリーナに親しげに声を掛けていたので、ブルースは2人の関係を知りたがりますが、セリーナは明かしませんでした。
市長の告別式にブルースも参加しました。
会場前には、リドラーの暴露騒ぎでゴッサムに不満を持った市民が集まって『NO MORE LIES』の看板を掲げてデモを起こしています。
多くのマスコミや各機関の上層部も集まる中、会場に1台の車が突っ込んできました。
運転していたのは、リドラーの罠に嵌められたコルソン検事で、彼の首には爆弾が仕掛けられています。
ブルースはバットマンに変身して現場に戻ると、コルソンが持たされた携帯にリドラーからテレビ電話が入ります。
リドラーは「謎々に答えたら爆弾の解除キーを教えてやる」と言い、コルソンにクイズを出題します。
その内容から、コルソンは多額の賄賂を受け取って数々の犯罪をもみ消してきたことが明らかになりましたが、「誰の指示だ?」という質問には口をつぐみ、死を選びました。
爆破をもろに受けたバットマンは耐火スーツのおかげで無事でしたが気を失ってしまい、警察署に捕えられてしまいます。
バットマンは尋問を受けますが、ゴードンがうまいこと逃がしてくれました。
ペンギンがネズミではないかと考えたバットマンとゴードンが、ペンギンの麻薬取引現場の近くで待機しているとキャットウーマンが現れました。
キャットウーマンはペンギンの部下のバンにアニーの遺体が積まれているのを発見した後、麻薬取引のための金を奪って逃走しました。
バットマンはカーチェイスの末にペンギンを捕まえて尋問した結果、彼はネズミではないことがわかります。
ペンギンの発言からリドラーの暗号の読み間違いが発覚し、暗号の正しい答えから、今は廃院になっているゴッサム孤児院に向かいました。
あらすじ④:狙われるブルース・ウェイン
孤児院はドロップ常習者のたまり場になっています。
バットマンとゴードンが広間に入ると、リドラーが残していったであろう映像が壁に映し出されます。
それは、ブルースの父トーマス・ウェインが市長選に出馬していた当時、ゴッサム再開発のための財団を設立し、自ら10億ドルを寄付すると発表した時の映像でした。
同じ部屋の壁には『親の罪は子が償う』と書かれています。
次のターゲットはブルース自身と悟った時には、ウェイン家に届いていたリドラーからの小包みが爆発した後でした。
郵便物を開けたのはアルフレッドで、幸い命に別状は無かったものの入院することになりました。
その後、リドラーがSNSでウェイン家とアーカム精神病院の関わりを暴く暴露動画を投稿します。
その昔、ブルースの母マーサの両親が無理心中し、心を病んだマーサが一時期アーカム病院に入院していた過去がありました。
その過去を知ったある記者がトーマスの市長選の直前に記事にしようとしていたところ、トーマスはファルコーニと組んで記者を暗殺した、というものでした。
ブルースがファルコーニに真相を聞きに行くと、ファルコーニは認めた上で「君の両親を殺したのは、トーマスが私と組んだことに危険を感じたマローニだと思うが、真実はわからない」と言いました。
(ファルコーニとマローニは敵対関係にあります)
ショックを受けたブルースがアルフレッドに真相を確かめに行くと、アルフレッドは「当時トーマスは血迷ってファルコーニに相談したが、殺人の依頼は絶対にしていない。トーマスはファルコーニに相談したことを後悔して自首しようとしていた。自首されたら困るファルコーニが殺したと私は思っているが、真相はわからない」と答えました。
ブルースは、当時の真実を知るのはもう難しいのではないかと思い知らされます。
あらすじ⑤:キャットウーマン(セリーナ)の正体
その後、キャットウーマンと話をしたバットマンは、彼女がファルコーニの実の娘だと知りました。
この時、バットマンとキャットウーマンは恋愛関係になり、アニーが殺された理由を知りたがるキャットウーマンに協力することにしました。
キャットウーマンは、紛失していた彼女の携帯を『アイスバーグ・クラブ』で用心棒をしていた麻薬取締課の刑事が持っていることを突き止めて奪い返しました。
彼女の携帯にはアニーが死の直前に残した会話記録が残っていて、アニーは市長とファルコーニが裏取引していたことを知ったために、ファルコーニに殺されてしまったことがわかりました。
それは、リドラーが示唆していた『ネズミ』がファルコーニであることも意味していました。
「ファルコーニを殺す」と言うキャットウーマンをバットマンは止めようとしますが、彼女はファルコーニのアジトに行ってしまいます。
その直後、アニーの会話記録を入手していたリドラーが再びSNSで拡散しました。
あらすじ⑥:結末
キャットウーマンを追いかけたバットマンとゴードンは、彼女を説得してファルコーニを殺人容疑で逮捕してゴードンに預けますが、ファルコーニは建物から出た直後にリドラーが射殺してしまいました。
その後、リドラーがファルコーニを狙撃した部屋は彼の自室だったことが判明し、リドラー本人は近くのカフェであっけなく逮捕されます。
11/6。リドラーの部屋に残されていた謎を解くと、トーマス・ウェインが設立した再開発財団の金はトーマスの死後、再開発には使われず、暴力団組織や金目当ての各機関上層部が全て着服した上、財団そのものがマネーロンダリングなどに悪用されていたことが発覚しました。
その後、バットマンはリドラーに呼ばれてアーカム精神病院で初めて対面しました。
リドラーはかつてトーマスが経営していた孤児院の入居者だったと告白します。
彼は劣悪な環境に育ち、トーマスの死後、孤児院の運営にも使われるはずだった財団の金は消えてなくなり、孤児院も廃業し、リドラー達は世間から忘れられてホームレス同然に育ったと生い立ちを語ります。
そんな中、いつも世間の注目を浴びる特別恵まれた孤児だったブルースは、孤児達の中でもいつも憧れの的だったと言いました。
成長したリドラーは必死で勉強して会計士の資格を取り、ウェインの再開発財団の金があの後どうなったのかを調べて真相を知り、また、ブルースが両親の復讐のためにバットマンとして活動していることも知り、彼もまた復讐心からこの事件を計画したと明かしました。
リドラーの発言から、彼がまだ大きな計画を隠していることを知ったバットマンが焦って問い詰めると、リドラーは「まだわからないのか?あなたは思ったより賢くないようだ」と答え、目から輝きが消えました。
リドラーの部屋に戻って手がかりを探していると、床に貼られたカーペットの下にゴッサムの地図が描かれているのを発見します。
バットマンが地図の海岸付近の7か所がマークされているのを見つけた瞬間、その7か所が次々に爆発し、ゴッサムに大洪水が起きました。
その日はゴッサムの新市長が女性議員ベア・リアルに決まり、街の中央にある巨大ホールで新市長の大規模なお祝いが行われていました。
ゴッサム市民たちは次々に巨大ホールに非難する中、リドラーに共感して徒党を組んだ武装軍団が現れ、リアルを始めとするゴッサム市民を皆殺しにしようとします。
ホールに駆け付けたバットマンはキャットウーマンやゴードンと協力して武装軍団を撃退し、洪水に襲われた人々の救助活動を始めました。
その後『復讐』は何も生まないと知ったバットマンは両親を殺した犯人捜しをやめて、リアル市長が再建する新しいゴッサムシティを守り続けることに決めました。
一方でキャットウーマンはゴッサムから出ることを決め、2人は別々の道を歩むことを選びます。
一方、洪水の被害を受けなかったアーカム精神病院で新しい『友人』を見つけたリドラーは、力を合わせてバットマンに復讐することを誓いました。
解説・考察、感想など
© 2022 WBEI TM & © DC
初めて予告編を見た1月頃からずっと楽しみにしていて、ついに観てきました!
いまだにペンギンがコリン・ファレル氏だったことが信じられません(汗)
リドラーを演じたポール・ダノのねっとりした語り口調が私は割と好きでした。
元祖リドラーを演じたジム・キャリーとはキャラクターが対照的でしたが、両方好きです!
今までのキャットウーマンは妖艶でスーツも可愛いイメージがあったんですが、本作のキャットウーマンはマスクが安っぽいせいでこそ泥感が強くて、せっかく美人な女優さんだったからこそ残念でした。。
あとは割とどうでもいいかもですが、バットモービルと発煙筒は「それどっから出した?!なぜそこから?!」と疑問でした(笑)
以下、わかる範囲で本作の謎などを考察しました!
テーマは『復讐』
マスクをかぶって登場する人物全員が復讐のために生きていたことが印象的でした。
まずバットマンは両親を殺した犯人への復讐を誓い、バットマン活動を始めて2年目で、冒頭は完全に復讐に燃えていました。
キャットウーマンは自分と母親を捨てた父親に対する復讐のために盗みを働いていました。
そしてリドラーもまた、彼を忘れ去った世間に対する復讐のために一連の事件を計画、実行しました。
バットマンは復讐の鬼と化しているリドラーを目の当たりにして嫌悪感を抱き、両親の死の真相を知る術が無いと知ったことをきっかけに、今後は社会貢献に尽力しようと考えなおしました。
バットマンはリドラーに仲間(同類)だと思われていたことがショックで目が覚めたというニュアンスも感じられます。
キャットウーマンはファルコーニの死で復讐を果たせなくなり、ゴッサムから旅立つ道を選びました。
ゴッサムから出た後も悪人から盗み続けると発言したのは、彼女がまだ父ファルコーニに対する恨みや怒りを乗り越えられていないからなのかもしれないし、盗みで生きていく術しか知らないからなのかもしれません。
リドラーは復讐心に捕われたまま、アーカム病院で新たな友人と共に復讐の道を歩み続けることを選びました。
マローニ逮捕の真相
マローニとファルコーニはバットマンシリーズでは有名なマフィアのボスで、この2人は常に敵対関係にあります。
ファルコーニは懇意にしていた警察や検察にマローニの麻薬取引情報を流してマローニを逮捕させ、警察と検察はマローニの逮捕を出世の材料にしました。
しかし実際にはファルコーニがマローニの麻薬売買ルートを独占しただけで何も変わっていません。
リドラーが暴いた罪の整理
・市長…ペンギンの秘密クラブの常連客で、妻子ある身にも関わらずクラブの従業員アニーを麻薬漬けにして悪趣味な女遊びをしていました。
ファルコーニに肩入れしてマローニの逮捕に関与していたと思われます。
・サヴェージ本部長…ファルコーニと手を組みマローニを逮捕して出世した刑事でした。
その後はファルコーニがマローニに代わって麻薬売買を行うことを黙認しています。
・コルソン検事…ファルコーニから賄賂を受け取り、指示されるまま多くの犯罪をもみ消してきました。
具体的な内容は明かされませんでしたが、主にはファルコーニの犯罪や警察の汚職のもみ消しをしていたと思われます。
・トーマス・ウェイン…リドラーが暴いたのは、市長選挙の前にウェイン家にとって都合の悪い記事を書こうとした記者をトーマスが暗殺したという内容でした。
アルフレッドが「絶対に違う」と発言していたので、恐らくトーマスは悪い事は何もしていません。
強いて言うなら彼の罪はファルコーニに助言を求めてしまった(弱みを見せた)ことです。
なぜトーマスが職業柄を考えても最も交流を避けたいはずのファルコーニ(マフィア)にあえて相談したのか経緯が曖昧だったので、個人的にはせっかく3時間あるならここも描いて欲しかったです。
アルフレッドの話では、記者を殺したのはファルコーニで、意図的にトーマスに弱みを作って支配するためと語られていたので、アルフレッドの話を信じると、リドラーはファルコーニの策略を見抜けず、トーマスが記者を暗殺したと信じていたのでしょう。
また、トーマスが殺されてしまう少し前に立ち上げていた再開発の財団もキーになっています。
トーマスがゴッサムに貢献するために立ち上げたはずの財団は、彼の急逝で宙に浮いてしまい、そこに投資されていた10億ドルが悪意ある人々や金の亡者に奪われて、トーマスの意図に反して悪人たちの財布を潤す結果になってしまいました。
さらに、再開発の対象だったゴッサム孤児院に資金が行かず、リドラーをも生み出してしまいました。
・ファルコーニ…ファルコーニは街の権力者を裏で支配していたすべての悪事の根源でした。
マローニ逮捕計画の発案者で、権力者たちに出世と金をちらつかせて言いくるめ、マルコーニを失脚させてゴッサムの裏社会を牛耳りました。
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次はリドラーの目的、ネズミは誰?、バットマンがクイズをスラスラ解ける理由、ラスト考察などです。
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