映画『楽園』の「善次郎が村八分にされた理由」「善次郎が土を食べた理由」「土から出て来たのは誰の骨?」について解説考察しています!
ネタバレありきの記事なので、まだ見ていない方はご注意ください。
本編時間:129分
制作国:日本
監督・脚本:瀬々敬久
原作小説:『犯罪小説集

キャスト:綾野剛(中村豪士)、杉咲花(湯川紡)、佐藤浩市(田中善次郎)、村上虹郎(広呂)、柄本明(藤木五郎)、片岡礼子(久子)、黒沢あすか(中村洋子)、根岸季衣(藤木朝子)、モロ師岡(洋子の恋人)、嶋田久作(リサイクル店員)、品川徹(区長、久子の父)、吉村実子(久子の母)、石橋静河(田中紀子)、渡辺哲(町民)、田中要次(刑事)、三浦誠己(ヤクザ)、諏訪太郎(町民)、テイ龍進(刑事) ほか
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※本ページの情報は2025年8月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
善次郎はなぜ村八分にあった?

(C)2019「楽園」製作委員会
善次郎の話にも閉鎖的な村の老人たち特有の悪意を煮詰めたものを見せられたような気持ち悪さが残りました。
村に引っ越してしばらくは村人たちと良好な関係を築いていた善次郎でしたが、
村おこしをきっかけに区長(品川徹)とトラブルになり
最終的に村八分にされてしまいました。
善次郎が村おこしの提案をして、区長が「いいじゃないか」と言った時
周囲が困った顔をしたのは、恐らく区長を良く知る人たちは
区長が「心にもないことを言ってる」ことがわかっていたからです。
区長の裏表のある発言で後にトラブルになることは過去にも度々あったのかもしれません。
善次郎は区長の発言を受けて「区長から村おこしの許可を得た」と当然思ったでしょう。
善次郎が1人で役所へ行ったのは多分「先輩方」の手をわずらわせないようにと考えただけですが、
区長は「俺に相談も無しに役場に行くなんて、メンツが潰れた」と怒り、
補助金がおりそうと聞くや
「修繕が必要な場所がいっぱいあるから、金がもらえるなら先にそっちに使う」と言い出してしまいます。
たしかに補助金申請は事前に区長に話しておいた方が良かったのではとは思いますが、善次郎なりの気の使い方だったのでしょうね。
恐らく区長は以前に村の修繕費が欲しいと役所に頼んで断られていたのでしょうね。
そもそも修繕費助成と村おこしの補助金は全く別物なので
一緒くたに考えてはいけないと思うんですけどね。
そもそも村おこし反対派(というよりやる前から諦めている人々)が多かったようなので、
善次郎のような向上心と行動力のあるタイプは嫉妬の対象にもなり叩かれてしまうんですね。
しかし10年以上も良好な関係だったのに、村おこしひとつでイジメが起きてしまうなんて怖すぎます。
土から出て来たのは誰の骨?
イジメで精神を病んだ善次郎は、
養蜂に使っていたスペースに森の雑木を植えますが、
この行為は農地法違反にあたるため見かねた役場の職員が元に戻していました。
木を掘り返したとき、土に骨が混ざっているのが見えました。
善次郎は木の根元に亡き妻の紀子の遺骨を埋めて樹木葬しようとしたので
出て来たのは紀子の骨です。
恐らく善次郎はお墓に落書きされて「汚された」と思い
お墓に入れていた紀子の遺骨を出して村人がわからない場所に埋葬し直そうとしたのでしょう。
ちなみにたとえ自分の土地であってもお墓以外の場所に人骨を埋葬するのは墓埋法違反です。
皆さまの感想や考察を拝見していると、土から出て来た骨は愛華ちゃんの骨だったのではという意見がちらほら見られました。
善次郎が愛華ちゃんの誘拐殺人犯かもしれないということです。
他にも愛華ちゃんがいなくなった頃に善次郎が車を買い替えていたなど、
善次郎も怪しいと思わせる設定がありました。
ひとつ前の記事にも書きましたが、私は愛華ちゃんの誘拐犯は犬を捨てた青い車の持ち主だと思うので、善次郎は犯人ではないと思っています。
確かに12年経てば埋めた肉体は骨になるでしょうが、
もし愛華ちゃんの骨だとしたら土がこびりついていなかったのは変ですし、
そもそも愛華ちゃんと同じ場所に紀子の遺骨を埋めようとは思わないでしょう。
善次郎が土を食べたのはなぜ?

(C)2019「楽園」製作委員会
善次郎が妻の遺骨を埋めたのは「絶対にここから出ていかない」という決意の表れだと思いますが、
この頑固さが善次郎も「老人」であることを物語っていた気がします。
役所の職員が善次郎の植えた木を引っこ抜いた時、
善次郎は何を思ったか土を食べてしまいます。
このシーン、まさか本物の土じゃないよね?
土っぽく加工したチョコとかだよね?
本物だったら菌まみれでシャレにならんよと思いながら目をそらしたくなるのを我慢して見てました(^^;)
善次郎はお墓から骨を動かしたくて自分の土地に埋葬し直したもののそれも撤去されてしまい、
どうしようもなくなったものの骨を拾わずにはいられないので
「腹に入れるしかない」と思ったのかもしれません。
この時の善次郎は村八分を我慢し続けて精神状態の悪化がかなり進んでいたので
「狂気が生まれた瞬間(あいつら殺してやると思った瞬間)」が土を食べる行為に表現されていたのかもしれません。
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