『MEN 同じ顔の男たち』男の出産の意味は?アダムとイブの林檎との関係は?など徹底解説考察 | 映画の解説考察ブログ

『MEN 同じ顔の男たち』男の出産の意味は?アダムとイブの林檎との関係は?など徹底解説考察

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MEN 同じ顔の男たち ダークファンタジー

映画『MEN 同じ顔の男たち』の解説・考察をしています!
『リンゴを食べる意味』『廃トンネル』『教会の石像』『男たちが同じ顔だったのはなぜ?』『タンポポの種』『男の出産の意味』『ラスト考察』などについて書いています。

鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

men 同じ顔の男たち

英題:Men
制作年:2021年
本編時間:100分
制作国:アメリカ
監督・脚本:アレックス・ガーランド

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キャスト紹介、あらすじ紹介

ハーパージェシー・バックリー
中年未亡人女性。
夫ジェームズの転落事故死を目撃して心に深い傷を負う。
慰安旅行で訪れたイギリスの田舎町のペンションで不思議な出来事に遭遇する。

ジェフリーロリー・キニア
ハーパーが利用したペンションの管理人。
ハーパーが会う少年や神父、警官もジェフリーと全く同じ顔をしている。

ジェームズパーパ・エッシードゥ
ハーパーの夫。ハーパーと大喧嘩した直後にアパートの上の階から落下事故を起こして亡くなっている。

ライリーガイル・ランキン
ハーパーの友人。
ハーパーの休暇中テレビ電話やチャットで頻繁に連絡を取り合っている。

あらすじ紹介

夫の死亡事故を目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は心の傷を癒すため、イギリスの田舎町にある豪華なペンションを借りて2週間滞在することにしました。

ペンションの快適さに大満足のハーパーでしたが、散歩した廃トンネルで全裸の男に追いかけられたり、村で出会った管理人、少年、牧師、警察官などの男たちは全員同じ顔だったりと不気味な現象が続きます。

 

解説・考察・感想など

難解映画に分類される本作は謎なシーンに対して答え合わせ要素が少なく、重要な要素を観客が想像しなければいけない部分が多く、個人的にはここまでわかりにくくしなくても・・・と思ってしまいました(笑)

本作の監督・脚本を務めたアレックス・ガーランドと言えばレオナルド・ディカプリオ主演『ザ・ビーチ』の原作者として広く知られ、最近は『エクス・マキナ』、『アナイアレイション』などのSF映画を中心に映画監督、脚本家として活動を広げています。

 

リンゴを食べちゃうハーパー

MEN 同じ顔の男たち

(C)2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

コットソン村のペンションにたどり着いたハーパーは、庭の中央に生えていた大きなリンゴの木からリンゴをもいで食べてしまいます。
このシーンから旧約聖書の『アダムとイブ』を連想された方も多いでしょう。

食べることを禁じられていた「知恵の実」を食べてしまったアダムとイブはエデンの園(楽園)を追放され、苦痛が存在する世界で生きていかなければならなくなります。

ここでポイントになるのは、イブ(人類最初の女性)が神様から与えられた罰の内容です。
神は禁じられた実を食べた罰として、イブに『夫となる男に支配され、妊娠出産が苦痛となる罰』を与えています。

この映画は全体を通して妊娠・出産を連想する描写が非常に多く、さらにハーパーは夫ジェームズに支配されていたのも明らかなので、神がイブに与えた罰は本作のテーマに繋がっていると思われます。

ハーパーがペンションに着いてすぐにリンゴを食べたのは観客にテーマの提示をしていたからと思われますが、キリスト教に馴染みが薄い地域には伝わりにくいかもしれません。




散歩で廃トンネルに行くハーパー

MEN 同じ顔の男たち

(C)2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハーパーは荷物の整理を終えると散策に出かけ、廃トンネルにたどり着きます。
この廃トンネルは他作品で例えると(ジブリばっかりですが)『千と千尋の神隠し』や『崖の上のポニョ』に登場するトンネルに近いものがある気がしました。

このトンネルは異世界(ハーパーの精神世界)に繋がる道だったり、産道を連想させるためのものだったのではということです。
ハーパーはトンネルに入った時から「リンゴを食べた罰の世界」に迷い込んだのではないでしょうか。

 

ピアノを弾くハーパー

ペンション滞在2日目、ハーパーはピアノを弾きます。
この時、ハーパーは管理人ジェフリーに「ピアノは弾けない」と嘘をついていたことがわかります。

恐らくですが、ジェフリーが面倒くさい男だと第一印象で思ったハーパーは、弾けると言うと「演奏聞かせてよ」と言われるかもしれないので、面倒を避けるために弾けないと答えたのでしょう。
友人ライリーには素直に「弾ける」と答えていた点からしても、ジェフリーに対するウソはハーパーの男性への警戒心の強さも表していたのではないでしょうか。

 

教会の石像

MEN 同じ顔の男たち

(C)2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

教会の祭壇の前に置かれていた聖杯型の石像は、葉に覆われた男性の顔の彫刻、真裏側には股を開いた女性の彫刻が表裏一体になっている不思議なデザインでした。

男の彫刻は葉に覆われていることから『グリーンマン』、女の彫刻はその特徴から『シーラ・ナ・ギグ』であることがわかります。

グリーンマン

グリーンマンは中世の教会にはよく用いられるモチーフだったようですがモデルや起源は謎が多く、モデルの候補となっているのは植物神ディオニュソス(ギリシャ神話)、海の神オーケアノス(ギリシャ神話)、森の精霊シルウァーヌス(ローマ神話)など諸説あるようです。

本作は美しい森林が多く登場したのでディオニュソスと絡めて考えると、ディオニュソスはゼウスと人間の女性との間に生まれた半神で、支配的で選民意識の強い性格だったようなので、ハーパーが悩まされていた『支配的な男性』を象徴するものとして置かれていたように感じました。

また、海の神オーケアノスと絡めてみても、オーケアノスは3000以上の子孫がいるとされる超絶子沢山な神様なので生殖機能としての「種」を連想したり、
オーケアノスの領域とされる海域は「地の果て」と呼ばれていたようなので、ハーパーの滞在した村が異世界的だった点とも類似性を感じます。

シーラ・ナ・ギグ

MEN 同じ顔の男たち

(C)2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

グリーンマンの彫刻の真反対側には、裸の女性の彫刻がありました。
この彫刻は『シーラ・ナ・ギグ』と呼ばれ、こちらも中世の教会ではよく見られるモチーフで魔除けとして置かれていたようです。

注目したいのは、このシーラ・ナ・ギグの顔がハーパーにそっくりという点と(顔が写っている画像用意できずすみません)、像が手を添えている部分には赤ちゃんを抱いた女性らしき姿が彫られている点です。
ハーパーが抱える悩みの核の部分には子どもが絡んでいるのではと思えてしまいます。

次のページに続きます!

2ページ目は『男たちが同じ顔だった理由』『全裸男の正体』『タンポポの種』『ハーパー夫婦に何があった?』『男の出産の意味』『ラスト考察』などです。




2ページ目

男たちが同じ顔だったのはなぜ?

ハーパーが村で出会った男たちは、全裸の男も警官も少年も神父も、バーの店主から客まで全員同じ顔をしていました。
髪型だけでも雰囲気かなり変わりますし、ロリー・キニア氏がキャラごとにしっかり演じ分けされていたこともあり、邦題「同じ顔の男たち」が無ければ気付かなかったかもしれません(笑)

同じ顔だと気付きにくい大きな要因は、ハーパーが男たちが同じ顔であることに特に違和感を感じていない風だったことです。
普通だったら驚いて友人ライリーに報告していても良いはずなのに、ハーパーは異常事態に気づいてすらいない雰囲気でした。

これは、前提としてハーパーは不思議な世界(ハーパーの価値観や無意識が反映されている世界)に迷い込んでいるので、ハーパーが男性全般に対して感じていることがコットソン村の男たちに反映されていて、それ自体にハーパーが違和感を感じていない・気づいていないからだと思われます。
例えば夢だと明らかに異常なことが起きてもおかしいと感じず受け入れてしまうことが多々ありますが、そんな感覚に似ているのかもしれません。

ハーパーが常日頃思っている『男は皆同じ』『男は全員クソだ』みたいな嫌悪感が村の男たちの姿や言動に現れていたのでしょう。
なので男たちの顔は、ハーパーが過去に知り合った中でも最も嫌だった男に似ていた可能性もあります。

 

ハーパーがイラッとした男たちの言動

ハーパーがイラついた男たちの言動の数々を振り返ります。

まず管理人ジェフリーはハーパーの荷物を運ぶ時、ハーパーが「手伝いましょうか?」と何度か声をかけても断って1人で荷物を運んだのに、運び終えてから「こんなに荷物が多いとは」などと小言を言います。
ハーパーが聞くだけでなく最初から手伝っていればよかったのではとも思いますが、どちらにしろジェフリーは自分の意思で1人で運んだのだから後で嫌味を言うのは無しですよね。

ちなみに意味深だった「ご婦人は流すものに注意を 浄化槽に限界が」は、髪の毛は詰まりの原因になるので出来るだけ流さずゴミ箱に捨ててくださいという一般的な注意かと思っていたのですが、本作のテーマを考えると堕胎を連想させる言い回しだったのかなと後で思いました。

次は教会で少年に遊ぼうと言われてハーパーが断ると、それだけで少年は「くそ女」と罵倒しました。
この時驚いたのはハーパーが「少年が罵倒したのは神父だ」と思い込んでいる発言をした点です。
この指摘するほどではない微妙な齟齬が人間関係のすれちがいを生むんだろうなと思いました。

神父との会話では、ハーパーは夫ジェームズとの出来事を打ち明けます。
神父はハーパーの膝を触って何となく気持ち悪い雰囲気になり、何を言うかと思えば「男が女を殴ることは時々ある あなたは謝罪の機会を与えたのか?」「あなたが適切に対応していれば彼は死ななかったかも」など、なぜか男性サイドに立ってハーパーを責めました。

暴力沙汰からジェームズ転落までの回想を見てもあの時に落ち着いて話すのは無理な状況でしたし、何よりも神父は男の暴力を棚上げして「許さない女が悪い」と男尊女卑丸出しで、殴られた側の気持ちが軽視されています。

その後のバーでは、管理人ジェフリーは全裸の男がいたと聞いた時、ハーパーに「お楽しみだったんですか?」と超絶不謹慎な冗談を言います。
さらに全裸男が釈放された話題では、ハーパーがストーカー被害を訴えても警官は「あなたの勘違いかもよ」と取り合ってくれませんでした。
警官としては釈放してしまった後で再逮捕もできないのでこんな言い訳しか出来なかったのかもしれませんが、あまりにも楽観的過ぎて呆れてしまいます。

ざっと思い出せたのはこれ位ですが、コットソン村での不快な出来事も全てハーパーが現実で経験して不快だった出来事とよく似ているのかもしれません。

 

全裸の男の正体は?

MEN 同じ顔の男たち

(C)2022 MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ハーパーを恐怖に陥れた無口な全裸男は、特徴から『リンゴ(知恵の実)を食べる前のアダム』を象徴するキャラクターであることは間違いないです。
この男の存在する主な目的が、観客に『アダムとイブ』を強く意識してもらうためだったような気がします。

この男が森に住む浮浪者(無職)だったのも、知恵の実を食べる前のアダムは神様から労働を義務付けられていなかったからなのでしょう。

最終的に全裸男は教会の石像グリーンマンとそっくりな風貌になったので、立ち位置的には現実と異世界の間に立つ精霊的な存在であり、映画のテーマを表現する役目があったように感じました。




神父の「私は白鳥だ」の意味は?

コットソン村の神父はハーパーの足を触ったり、卑猥な発言をするなど簡単に言うと色欲神父でした。
この神父にはハーパーのセックスに対するイメージが反映されていた上に、ハーパーの性に関するトラウマも詰め込まれていたと思われます。
ハーパーは男性不信の傾向が強いので、性に対する嫌悪感や苦手意識も強かったと思われます。
セックスと妊娠は関連が強いので尚更です。

ハーパーは男嫌いなのでセックスも無視できるならしたいのでしょうが、恐らく彼女にも性欲は少なからずあり悩みのひとつになっているのでしょう。
そこに生じる矛盾や虚しさが神父のキャラクターに反映されていたような気がします。

ハーパーが寝室で神父に襲われた時、神父は「私は白鳥だ」と意味不明な発言をします。
ここで思い出すのがギリシャ神話の「レダと白鳥」です。
主神ゼウスは人間の女性レダに恋をします。
浮気が妻ヘラにバレることを恐れたゼウスは白鳥に化けてレダに近づき、レダも気付かない内に目的を果たし(怖)その後レダは卵を2つ産み、半神半人の子が生まれています。

この時神父が言いたかったのは純粋に「神父にだって性欲はある」ということなのかと私は思っていますが、隠された深い意味があるとしたらすみません。

 

豆知識:アガメムノンとは?

神父の発言の中にアガメムノンが登場します。
アガメムノンはギリシャ神話に登場するギリシャ軍の総大将です。
英雄とされる一方で所有欲が非常に強い冷酷な人物で、惚れた女性が既婚者とわかると夫を殺して略奪婚してみたり、自分の娘を生贄に捧げるなどの逸話があります。

この話からもハーパーの心にある「男に支配される恐怖」がにじみ出ていたのではないでしょうか。

 

タンポポの種

タンポポの綿毛がハーパーの行く先々でふわふわ飛んでいたり、全裸男がタンポポの綿毛を吹きとばしたりと印象的に使われていました。

一般的には種は『成長』『進化』の象徴です。
タンポポはキリスト教において、花も茎も根も全てが薬になることから『癒し』のシンボルとされている一方で、キリストが処刑された時にそばに咲いていたことから『受難(苦しみや災いを受けること)』の象徴でもあるとされています。

聖書に出てくる「四つの種」も連想します。
「四つの種」は簡単に言うと、良い種でも適さない場所にまくと育たず死んでしまうが、良い場所にまけば後に多くの利益をもたらしてくれるという話で、転じて「どんなに良い名言・格言も、聞く者が素直に受け入れなければ意味がない」という意味のたとえ話です。

また、タンポポの綿毛には『別離』という花言葉があるようです。
タンポポの花には花で『幸せ』『神託』などまた別の花言葉があります。

ハーパーが森を歩いていた時にふわふわと待っていたタンポポの種は、ハーパーの『癒されたい』という気持ちと、これから起きる『受難』の前触れの両方を暗示していたように見えますし、鹿の死体にタンポポの種が入った後に腐敗が進むシーンの意味は分かりにくいですが、これも『受難』の前触れだったのかな?と解釈しています。

一番印象的だったのは全裸男がタンポポの種をハーパーに吹き付ける場面です。
このシーンは全裸男からの「本格的な『受難』始めるぞ!!」というサインだったり、種を飲み込んだ後のハーパーが男たちの出産からジェームズと話すなど始終冷静だったことから、彼女にトラウマを克服する覚悟(ジェームズの話を聞く覚悟)が出来たことを意味していたのかなと感じました。

 

ジェームズとハーパーに何があった?

ジェームズとハーパーの関係の終盤(口論と事故)の回想はありましたが、2人の関係が悪化したきっかけや原因は明かされませんでした。

もしかしたらジェームズに支配され続けるのが嫌になって離婚を切り出したらジェームズが大反対して・・・というハーパーが完全な被害者だった可能性もありますが、私はそれだけではないんじゃないかと想像しています。
コットソン村での出来事にハーパーの苦悩が表現されていたという点、妊娠・出産のメタファーも絡めて考えると、ハーパーはジェームズとの間で子どもに関するトラブルや大きな価値観の違いがあったのではないかと推測してます。

例えばハーパーは妊娠してジェームズに相談せず勝手に堕ろしてしまったことがあったとか、ハーパーは子どもを望んでいないのにジェームズは子どもを欲しがっていて深刻な溝になったとか、そういう類の何かです。

私はハーパー堕胎説が濃厚なんじゃないかと勝手に思ってます。

 

男たちの出産は何を表現していた?

この映画で最もグロテスクだった同じ顔の男たちが次々に出産し、最後にジェームズが登場するシーンについてです。

ハーパーが男たちの出産を目の当たりにする瞬間は、ハーパー自身がトラウマや心の問題と向き合っている瞬間の場面だったと解釈しています。
ということは「男の出産」にはハーパーの抱える問題が詰め込まれています。

このシーンを最初に見た時、多くの女性が一度は思ったことがあるであろう「なぜ出産は女にしかできないのか 男も産む苦しみを知るべきだ」という感情が映像化されたものなのかな?と思いました。
男が子どもを産んだら痛みに耐えきれずショック死するという話もよく聞きますし、そういうif話が詰め込まれていたようにも思えます。

ハーパーも妊娠出産に疑問もしくはトラウマを持つ人物だったので、彼女の抱える心の問題が男の出産という形で具現化していて、それをタンポポの種を飲みこんで受難を受ける準備の出来たハーパーが冷静に見ている(自分自身の問題と向き合っている)という状況です。

また、豆知識としてキリスト教の古い風習が残る一部の地域では、男性が出産を演じる儀式(成人の儀式の一種)があるそうです。(現在も残っているかはわかりません)
しかしこの儀式は当時の男たちが「男は女よりも優れた存在である」という男の優位性・完全性を示すための儀式でもあったらしく、この儀式は地域の女性陣からは内心茶番劇と思われていたそうです。

この話、男たちの出産と、それを冷めた目で見るハーパーに似ていませんか?
男の出産は男尊女卑を象徴していて、ハーパーは夫からの支配を始めとする「男たちに傷つけられた過去(男嫌いの根底にあるもの)」とも向き合っていたと捉えられます。

まとめると、男の出産は神がイブに与えた罰「夫(男)による支配と出産の苦しみ」であり、それはハーパーの悩みそのものでもあり、それらと向き合っていたのだと解釈しています。

ちなみにですがハーパーが持ち出す斧についてです。
斧には新訳聖書において神の怒りを象徴し、斧で処刑された者は神の裁きを受けた者とされていました。
西洋の処刑に斧が多用されるのもそのためです。

神からの「正しく怒れ(怒っても冷静であれ)」にというメッセージが斧に込められていたのかな?と感じました。

 

ジェームズの言う「愛」とは?

男たちの出産の最後に死んだはずの夫ジェームズが現れました。
ジェームズは死してなおハーパーに「僕の死は君のせいだ」と罪を着せる言葉を浴びせ、しまいには「愛が欲しい」と口にします。

そんなジェームズにハーパーはただただ呆れている様子です。
ジェームズが求めていたのは無償の愛であり、それは人間誰にでもある欲求ではありますが、ジェームズは精神的にあまりにも幼稚です。

ハーパーの呆れ顔には「愛されたいなら殴ったり脅したりするなよ」という突っ込みや、「私が好きになるのはこんな男ばっかり」という落胆が込められていたのでしょう。

しかし、心理学的にはいわゆる似た者同士ほど恋愛関係になりやすいとされています。
そう考えるとハーパーにもジェームズに負けない位の幼稚性や癇癪持ちなどの人として至らない部分があったはずです。
ハーパーの呆れ顔の後のきりっとした表情には、そういった自分に対する気付きや反省があったように見えました。

 

ラスト考察

MEN 同じ顔の男たち

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庭に座っていたハーパーの元に友人ライリーが駆けつけてくれました。
ライリーが来れたのでハーパーは不思議の国から現実に戻っているのでしょうが、首元に血が付いたままなのは同じ顔たちの出来事も夢ではなかった証拠です。

ここで注目したいのはライリーも妊婦さんであることです。
ライリーの姿がハーパーの未来を暗示していたようにも見えました。
ハーパーにとってパートナーや子ども(家族)が幸せを構成する要素であるならば、トラウマを乗り越えて新しい恋を探すしかないのです。

ライリーを見た時のハーパーのすっきりした表情には、トラウマを克服した清々しさがありました。

しかしペンションで起きたことの一部が現実だったとするなら、ハーパーは少なくとも流血事件の重要参考人です。
管理人ジェフリーは多分車で暴走して死亡しているし、神父も生死不明です。

ハーパーは神父を刺したので、神父が死んでいても生きていてもハーパーは殺人か殺人未遂の疑いをかけられてしまいます。
(下手に生きていたら罪をなすり付けられそうで怖いですが)
この後ハーパーは罪人になるのか正当防衛が認められるのか、気になって仕方ないです。

以上です。この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^ ^)




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参考サイト様一覧

映画『MEN 同じ顔の男たち』公式サイト

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