アニメ「マイマイ新子と千年の魔法」ネタバレと感想|テーマについて考察 | 映画鑑賞中。

アニメ「マイマイ新子と千年の魔法」ネタバレと感想|テーマについて考察

ヒューマンドラマ(青春)

昭和30年の山口県防府市を舞台に、おでこにマイマイ(つむじ)を持つお転婆で妄想遊びが得意な新子の日常を描く。
新子はおじいちゃんが教えてくれた”この町の千年前の風景”を想像しながら町を走り回る毎日を送っていた。

制作年:2009年
本編時間:93分
制作国:日本
監督:片渕須直
脚本:片渕須直
原作:小説/高樹のぶ子『マイマイ新子

声の出演・キャスト

青木新子(あおきしんこ)…福田麻由子


(引用:http://blog-imgs-31.fc2.com

昭和30年の山口県防府町で暮らす、空想好きでお転婆な小学3年生。
両親と祖父母と妹と一緒に暮らしている。
幼い頃から祖父に教わってきた、ここ防府町の千年前の街並みや人々の暮らしを想像したり、現在に残っている昔の事がわかるような跡を探すのが大好き。

 

島津貴伊子(しまづきいこ)…水沢奈子


(引用:http://ameyamasblog.seesaa.net

東京から防府町に引っ越してきた女の子。
母親を病気で亡くし、医者の父親の転勤で新子の通う中学校に転校してきた。
服装・髪型などから都会育ちの雰囲気を漂わせている。

 

諾子(なぎこ)…森迫永依


(引用:http://0309ks.blog98.fc2.com

千年前の平安時代、歌人の父親・清原元輔と一緒に京都から周防(現在の防府町)に移住した少女。
清少納言なのではないかと言われていて、清少納言に関する本には彼女の名前が登場する。

 

千古奥田風花


(引用:https://twitter.com

諾子の屋敷で働く諾子と同い年の下女。
母親や兄妹が病気がちのため、彼女が大黒柱として日々黙々と働いている。

 

鈴木タツヨシ…(江上晶真


(引用:https://twitter.com

新子の家の近所に住む小学5年生の男の子。
父親は警察官で、父親の木刀をいつも持ち歩いている。
普段は寡黙だが、大事な所ではビシッと行動するリーダータイプ。
新子の同級生の男子たちとよく一緒にいる。

 

青木小太郎野田圭一


(引用:http://www.animecharactersdatabase.com

新子の母方の祖父で元教師。
千年前の防府町の人々の暮らしを新子が幼い頃から教えている。

その他のキャスト

ひづる先生(保健室の先生)…脇田美代
多々良権周防介(千年前の住人、地方豪族)…小山剛志
清原元輔(諾子の父)…塚田正昭
青木光子(新子の妹)…松元環季
シゲル(新子の同級生)…中嶋和也
ヒトシ(同級生、小柄)…川上聡生
ミツル(5年生、大柄)…西原信裕
青木長子(新子と光子の母)…本上まなみ
青木東介(新子と光子の父)…竹本英史
青木初江(新子と光子の祖母、長子の母)…世弥きくよ
鈴木巡査(タツヨシの父、警察官)…瀬戸口郁
バー・カリフォルニアの女…喜多村静枝
やくざの親分…関貴昭
考古学者…久賀健治
一平(同級生、映画館の息子)…冨澤風斗 ほか

スポンサーリンク

あらすじ:起

昭和30年の山口県防府市。おでこにマイマイ(つむじ)をもつ小学3年生の青木新子は、両親の東介、長子、祖父母の小太郎、初江、妹の光子と一緒に暮らす、いたずらっ子で空想好きの少女だった。

新子はおやつを盗んで家からこっそり抜け出して、家の周りにある広い麦畑の中や、元教師の小太郎が作ってくれたツタのハンモックの上で過ごしながら、小太郎が教えてくれた『千年前の街の風景(平安時代当時の風景や人々の暮らし)』を思い描きながら毎日を過ごしていた。


(ハンモックに揺られる新子 引用:http://soko-tama.cocolog-nifty.com

ある日。新子の通う中学校に、東京から島津貴伊子という女の子が転校してきた。
喜伊子はまだ制服ができていないため、よそ行きのワンピース姿に香水をつけて登校してきたので、クラスメイト達は喜伊子のあまりの都会っぽさに「香水くさい」などと警戒して誰も話しかけようとしなかった。
喜伊子は母親を亡くし、父親の転勤を機に新子の住む街に引っ越してきた子だった。

その日は担任の先生の奥さんに子どもが産まれるということで、1限目が自習になった。
日本地図の色塗りが課題として出され、それぞれが課題をしたりお喋りしたりする中、あるクラスメイトが、喜伊子が他の生徒よりも沢山の種類がある色鉛筆を持っていることに気が付いた。
喜伊子のまわりに生徒達が集まって、28色ある色鉛筆をうらやましがった。
その様子を見ていた、ペットのカメをひもにくくり付けて学校に連れて来ている男子のシゲルが、喜伊子に「水色の色鉛筆を貸してほしい」とねだった。
喜伊子から見るとシゲルは身なりがとても汚くて嫌だったが、喜伊子は断われずに水色の色鉛筆を貸してしまった。

シゲルは案の定、力強く色鉛筆を塗りつけて芯を何度も折っては、自前のナイフで鉛筆を削ることを繰り返した。
鉛筆が無くなってしまう危険を感じた喜伊子は色鉛筆を返してもらおうとしたが、シゲルは暴れていやがった。
そこに担任の先生が登場し、シゲルは廊下に立たされた。

放課後。喜伊子が気になっていた新子は、1人でとぼとぼと帰っている喜伊子の後をつけて、踏切で立ち止まった喜伊子に「なんでシゲルだけが立たされたんじゃ?」と聞いた。
喜伊子は返事をしたが、その声は電車が通過する音にかき消されて聞き取れなかった。
新子は喜伊子の後をついていき、喜伊子の住む社宅にたどり着いた。

社宅と言っても庭付きの一戸建てで、庭には木や花が多く植えられている洋風のおしゃれな家だった。
喜伊子は新子を家に入れてくれて、新子は家の中にある階段を「私の住むあたりじゃどこにもない!」と珍しがりながら登り、洋風の家具やフランス人形のある喜伊子の部屋に入った。

緊張のせいか特に会話がなく数分が過ぎて15時の時計が鳴ると、喜伊子が「牛乳を飲もう」と言い、新子を1階のリビングに案内した。
台所にはガス式の冷蔵庫が置かれていたので、新子は感動した。
新子や周りの家の冷蔵庫は、まだ氷屋から氷を買って冷やすタイプのものだったからだ。
牛乳をコップに注ぐ喜伊子に、新子が「お父さん、偉い人なんか?」と聞くと、喜伊子は「ううん、お医者さん」と答えた。
喜伊子は「香水なんかつけて行くんじゃなかった」と呟きながら、戸棚に香水を戻した。
戸棚には亡くなった母親の写真が飾られていて、香水は母親のものだったらしい。
新子は慰めたかったが、喜伊子が香水をつけていたせいでクラスで浮いていたのは事実だったので、かける言葉が浮かばなかった。
リビングに置いてあったオルゴールを開けると、音楽と共にピンクや青の綺麗な色が天井にうつり、新子は幻想的な光景に見とれた。

その日のうちに、今度は新子が喜伊子を自宅に招待した。

新子は喜伊子に畑と祖父母を紹介してから、庭の地面に隠していたグリコのおまけなどを集めた透明な宝箱を喜伊子に見せてから自宅に入った。


(喜伊子を自宅に連れていく新子 引用:https://ameblo.jp

玄関には光子がいて、1人で人形遊びをしていた。
光子は喜伊子の持っていた紙袋に入れてあるお土産を見て、新子と喜伊子について来た。

喜伊子が持ってきたのは、お父さんの机の上に置いてあったというウィスキーボンボンで、3人はそれを食べて酔っ払ってしまった。
光子が「喜伊子ちゃんのお母さんは?」と聞くと、喜伊子は「私のお母さん、肺に水が溜まって死んじゃった!」と答えて笑い出した。
3人で笑っていたところに、新子の母親 長子が帰宅して、3人の様子を見ると大慌てで祖父母を呼んだ。
だが特になす術もなく、祖父母と長子は酔っぱらった3人を眺めながら、残っていたウィスキーボンボンをかじった。
※当時、ウィスキーボンボンはあまりお目にかかれない高級品だった。


(酔っぱらった新子、喜伊子、光子 引用:https://ameblo.jp

新子と喜伊子は酔い覚ましにハンモックで風に吹かれ、やがて酔いが覚めた新子は喜伊子に、おじいちゃんから教えてもらった『千年前と変わっていない道や川』を紹介した。

新子は「千年前の風景を思い浮かべるときは、必ずマイマイがざわざわするんだ」と熱く語った。
喜伊子は新子の話を不思議がりながらも興味を持ち、新子に連れられて一緒に麦畑の中を通って周防国衙跡に行ったりして空想遊びを楽しんだ。

新子は川が直角に曲がっている場所を見付けると、喜伊子に「こういう場所は昔、建物があった証だよ」と教えて、一緒にどんな建物があったのか想像を膨らませた。
その空き地では歴史学者たちが遺跡の発掘をしていて、新子は空き地の外から大きな声で、人形が出てくるかどうか聞いた。
歴史学者は「それは土に残らんから出てこんけど、おったかもしれんね~、君たちと同じ年頃の子が!」と答え、新子と喜伊子は喜んだ。

その日の夜。喜伊子は千年前の少女がどんな子どもだったのか想像しようとしたが思い浮かばず、新子のようなマイマイが欲しくなった。

スポンサーリンク

あらすじ:承

舞台は千年前に変わる。平安時代に暮らすお姫様、諾子(なぎこ)は、歌人である父親の清原元輔と一緒に周防に移住してきた。
「同じ年頃の女の子がいる」と聞いていたので、一緒に遊ぶ人形を作ったりして女の子が訪ねてくるのを待っていたが、その女の子はいつまでたっても訪ねてこなかった。
諾子は退屈しのぎに、人形を作って余った折り紙の端切れを川に流した。


(外をぼんやり眺める諾子 引用:http://soko-tama.cocolog-nifty.com

ある日、地方豪族の多々良権周防介が、ずっとひとり遊びしている諾子を心配して声をかけると、諾子は自分と同じ年頃の女の子がいると聞いていたのに、いつまで待っても訪ねて来ないと話した。
多々良は諾子に、その女の子が亡くなってしまったことを説明すると、諾子は悲しんだ。
多々良の一族は鉄を作ることを生業としており、最も良い鉄が流れ星からとれるため、流れ星を追いかけてここ周防にたどり着き、それ以来何百年もここで鉄を作り続けている。

場面は新子の時代に戻る。
喜伊子はクラスにもだいぶなじみ、新子と喜伊子は毎日のように一緒に遊ぶようになった。
ある日、新子と喜伊子が2人で遊んでいたとき、新子の友人のクラスメイトシゲル、同級生で体の小さいヒトシ、5年生で何かと新子たちの親分になりたがるミツル、寡黙でいつも木刀を持っている親分肌の5年生タツヨシと出会い、男の子たちと一緒に小さな川でダムを作って遊んだ。

やがて、子どもが作ったにしては立派なダムが出来上がった。
子どもたちはダムに水が溜まるのを待ってから流そうとしたときに、赤い折り紙のような金魚がどこからか流れてきて、新子たちはびっくりした。
ダムの中の一部に囲いを作り、金魚をその中に入れて皆で飼うことにした。

家に帰って金魚のことをおじいちゃんに話すと、おじいちゃんは新子たちがダムづくりをした川も、千年前は大きな川で、昔は舟も通っていたはずだと新子に教えた。

翌日。保健室の優しくて美人なひづる先生に千年前の少女のことを話すと、先生は”清少納言”の文献を見て、少女に関することを教えてくれた。
少女の名前は諾子(なぎこ)と言い、父親が和歌を詠む人で、周防守になって京都からやってきたと記されているという。
この時、新子と喜伊子は先生が誰かに手紙を書いていたのを目撃した。

放課後。新子と喜伊子はひづる先生の手紙を「恋人宛てかな?」と予想して盛り上がりながら、ダムに金魚がちゃんと生きているかどうか見に行った。
金魚は元気にダムで泳いでおり、ダムにはダムづくりをした全員が給食のパンを持って集まっていた。
この時、金魚はミツルの提案で『ひづる』という名前になった。


(金魚を見る新子と喜伊子 引用:https://ameblo.jp

金魚を見終わってから、6人は映画館の息子の一平にこっそり映画館に入れてもらい、恋愛映画を見た。
映画を観終わった後、新子は「私も思春期になったら、あんなこと(キス)に興味を持つようになるのかな?」と顔を赤くし、喜伊子は「ひづる先生には幸せになってもらいたいな。私のお母さんに似てる気がする」と空を見上げた。
男子たちはキスシーンのマネをしてふざけ合っていた。

同じ日の放課後。ひづる先生は机に置いていた未完成の便箋を破り捨て、引き出しから同じ宛名の大量の手紙を取り出すと、全て焼却炉に捨てて火をつけた。

やがてダムにはダムを作ったメンバー6人だけでなく、他のクラスメイトたちや、光子とその友達などが集まるようになり、喜伊子にも友達がたくさん出来た。
喜伊子は金魚を眺めながら、学校に馴染むことができたことを新子に感謝した。
すると新子は「あともう1人友達になりたい子がおる。私、諾子と友達になりたい!」と言うので、喜伊子も笑ってうなずいた。

スポンサーリンク

あらすじ:転

場面は千年前になる。諾子は相変わらず ひとり遊びしながら退屈な毎日を過ごしていた。
ある日、諾子は地方豪族の男の子たちを連れて山へ行き、きれいな白い花の枝を男の子たちに切らせて牛車の屋根いっぱいに飾り付けて町中を通った。
花びらの舞う牛車の姿は美しく、町民たちの目を引いた。
この時、諾子は町中で、諾子の屋敷で働いている少女の千古を見かけた。
千古は普段は全く喋らず、ただ黙々と毎日仕事をこなしている少女だった。
諾子は小さな声で千古に向かって「遊ぼうよ」とささやいた。

諾子は屋敷に帰ってきてから男の子の1人に、上げ土門の屋根の上の土に植物の種を植えさせた。
千古は男の子が種を植える様子を不思議そうにながめていた。

場面は新子の時代に戻る。新子たち6人と光子は、誰が言い出したか知らないが『山洞窟の中に山賊がいる』という噂を確かめるため、洞窟に山賊退治に向かった。


(洞窟に着いた新子たち 引用:https://yaplog.jp

洞窟をのぞき込むと、穴の中に光る目が見えたので、新子、喜伊子、ミツル、シゲル、ヒトシは悲鳴を上げて逃げ出した。
タツヨシは驚かず、皆が逃げていった後をゆっくりと追いかけていった。
新子について洞窟に来ていた光子は、光る目の正体が猫だったことに気が付いており、猫を捕まえて「怖くないじゃん」とぼやいた。

新子たちは麦畑の近くまで戻ってきて「怖かったね~!」と笑っていると、新子の母・長子が「光子はお昼寝の時間だから家に帰してね~」と新子に言った。
新子は返事をして周りを見まわして、光子を山に置いてきてしまったことに気が付いた。

新子たちは慌てて来た道を戻って探したが光子は見つからず、新子は偶然会ったひづる先生に光子のことを聞いたが、先生も光子を見ていなかった。
全員がいったん新子の自宅前に戻ってきたとき、玄関にタツヨシの父親がいた。
タツヨシの父親は警察官だ。
新子が恐るおそる玄関をのぞいてみると、光子は猫をつれて戻ってきていた。

山からゴルフ場に入り込んでゴルフボールを拾おうとしていたところを、タツヨシの父親が保護してくれたという。
一同は安心してタツヨシの父親にお礼を言った。
タツヨシの父親は、子どもたちの前で木刀をかっこよく一振りした後、タツヨシに「(木刀を)持ち出すのはえぇけど、ちゃんと戻しとけよ」と言うと、自転車で去っていった。
こどもたちも新子のおじいちゃんもタツヨシの父親を褒めたので、タツヨシは照れた。

新子が光子を撫でまわしていたところに、「見つかってよかった」と言いながらひづる先生が現れた。
先生も光子を探してくれていたようだ。
新子と光子は途中までひづる先生を送っていたとき、先生が左手の薬指に指輪をしていることに気がついた。
先生は新子だけに、「結婚することになったから、来週の月曜日で学校を辞める」と打ち明けた。
新子は驚いてお祝いを言い、相手がどんな人なのか聞いた。
先生の結婚相手は大学時代の同級生で、東京に住むラグビー選手だと言う。
結婚したら東京に行くことになっていると新子に話した。

後日。新子が喜伊子だけにひづる先生の結婚の話をすると喜伊子はとても喜んで、原っぱに花をたくさん摘みに行った。
その時、喜伊子には諾子の「遊ぼうよ」と言うささやき声が聞こえ、喜伊子は力強くうなずいた。

喜伊子と新子は花をたくさん摘んで、ダムの中の金魚のひづるがいる場所にお祝いの花をいっぱい飾り付けた。
シゲルとヒトシはビー玉を持ってきて、ひづる金魚の囲いの中に入れると、赤や青のビー玉でひづる金魚の周りはとても綺麗になった。

その日の夜、新子は押入れの中から碁石を見つけ出し「これも(金魚の)ひづるの所に飾ろう」と光子と話しながら眠りについた。

翌朝。新子は平安時代の教育係の女性たちに「もう遊んではいけない」と怒られる夢を見た。
どうして遊んではいけないのか理解できず、新子は涙を流しながら目を覚ましたが、目覚めた瞬間に夢を忘れてしまったので、なんで泣いているのかわからなかった。

その後、新子と光子が碁石を持ってダムに行くと、男の子たちはダムの前で立ちすくみ、喜伊子がひづる金魚の囲いの上に立ってうつむいていた。
新子と光子が様子を見てみると、ひづる金魚は死んでしまっていた。
喜伊子は金魚の囲いの中に母親の香水を瓶ごと入れて飾っていたのだが、いつの間にか栓が緩んでしまい、香水が囲いの中に充満して死んでしまったのだ。

新子たちは周防国衙跡の裏にひづる金魚のお墓を作り、皆でお葬式をした。
シゲルが「ちゃんとお祈りすれば天国に行って、8月15日(お盆)に返って来るでのう」と光子に説明していると、聞いていた喜伊子は「帰ってくるわけない!私のお母さんは帰ってきたことない!」と言うと1人で先に帰ってしまった。
新子は帰っていく喜伊子の後姿を見つめることしかできなかった。

新子は家に帰ってから、おじいちゃんに金魚のことを説明して「”千年の魔法の土地”やて言うとった国衙跡に埋めたから、金魚生き返るよね?生き返って、次は千年生きるよね?」とおじいちゃんに聞いたが、おじいちゃんは困ったように黙ってしまった。

翌日。新子の所にシゲルが走ってきて、シゲルの家の近くの川で、ひづる金魚にそっくりの金魚を見たと報告した。
ひづる金魚が生き返ったんだと確信した新子は、すぐに喜伊子にそのことを伝えると、放課後6人で集まって金魚探しをした。
だが、喜伊子は皆の後に黙ってついてくるだけだったし、結局金魚も見つからなかった。

土手で休憩していた時、ミツルがひづる先生の『噂』を話し始めた。
それは、ひづる先生は本当は既婚男性と付き合っていたけれど、その人が奥さんと別れてくれずやけくそになり、別の男性と結婚したという噂話だった。
ミツルは「それを聞いちゃったら、金魚に付けた”ひづる”って名前も汚い名前のような気がする」とつぶやいた。
皆が黙っていると、タツヨシが「金魚は明日必ず見つかる。この木刀がそう言うんじゃ。だから明日また集まって、皆で笑おう!喜伊子も笑え!」と叫び、木刀を天にかざした。
タツヨシの言葉で皆が元気になり、その日は暗くなったので解散した。


(木刀をかざすタツヨシと元気づけられた新子たち 引用:https://shufu-blog.com

解散して数時間後。新子の家に突然タツヨシが訪ねて来た。
新子が玄関に出ると、タツヨシは「残念なことになった。明日になったらわかると思う。俺だって悔しいんや」と言うと、悔しそうに新子に背を向けた。
新子は「なんのこと?わからんよ!」と言ったが、タツヨシは行ってしまった。

そのすぐ後、おばあちゃんがご近所さんから聞いた情報を台所で長子に話していたのを新子は聞いた。
タツヨシの父親が警察署で首をくくって自殺していたのが見つかったらしいのだ。
なんでも、タツヨシの父親は『バーカリフォルニア』という飲み屋の女性に入れあげていて、同じバーの2階にたむろしていた港町のやくざから何十万円もの借金をしていたらしい。
さらに、『責任を取る』という遺書も残されていたという。
※昭和30年頃の会社員の平均月収は約3万円
長子はとても驚いてため息をつき、居間で隠れて聞いていた新子もショックで座り込み、心の中で叫んだ。
『バラバラになりかけていた私たちが同じ明日に希望を持てたのは、タツヨシのお父さんの木刀のおかげじゃったのに・・・。無実の罪じゃ!そうに決まっとる。助けておじいちゃん』

そこに、お風呂から上がったおじいちゃんが現れたが、長子とおばあちゃんの話を聞いて「よくある話じゃ」とコメントした。
新子は、おじいちゃんがタツヨシの父親の噂話を鵜吞みにしたことが許せなかった。
新子は大人たちに「喜伊子に約束したおもちゃを届けてくる」と言うと、蔵から米を持ち出してタツヨシの家に走った。

タツヨシの家の玄関を叩いても誰も出てこず、新子は縁側から部屋に入ってタツヨシを呼んだ。 タツヨシは新子に気が付くと「明日になれば、大人たちから『もう俺と遊ぶな』と言われるぞ。明日の約束も、もう無しじゃ」とぶっきらぼうに言った。
新子は「だから今日、ひづるを探そう!私、家出してきた。大体、何でもうタツヨシと遊んだらいけんのよ?悪いのはバーの女なんでしょ?」と答えた。
新子はタツヨシの母親が今日帰ってこないことを知ると、これからタツヨシの父親の敵討ちに行くことにした。

スポンサーリンク

あらすじ:結

『拝啓 喜伊子さま うちはこれから遠くへ行ってお金持ちに拾われるかもしれんし、悪いギャングに捕まってしまうかもしれません。
うちは、千年の魔法なんかはもうやめて、私の想像で喜伊子を引っ張りまわすのはやめます。今までごめんなさい。』
新子は喜伊子に手紙を書いて玄関に入れ、タツヨシとバーカリフォルニアに向かった。
喜伊子はすぐに手紙に気が付き、玄関を開けて辺りを見たが新子はもうおらず、喜伊子は部屋に戻って新子のことを考えた。
『よくわかんないよ。でも、わからなくなる位、離ればなれになっちゃってたのかな。
どうしてかな、私がもうお母さんのことなんて考えないって決めちゃったから?
でもね新子ちゃん、それじゃあ新子ちゃんしか知らない千年前の女の子がかわいそうだよ。
新子ちゃんが居なくて私ひとりだと、もう絶対あそこには行けないなぁ』

喜伊子は新子と麦畑で遊んだ日々を思い出して、ひとりベッドにうずくまった。
そして喜伊子が目を開けると、喜伊子は見たこともない大きな屋敷の中に居た。
傍に鏡があったので見てみると、喜伊子は千年前の姫君、諾子の姿になっていた。

驚いて慌てているうちに、地方豪族の男の子たちが喜伊子を呼びに来たので外に出てみると、上げ土門にはピンク色の綺麗な花がたくさん咲いていて、喜伊子はその様子に見とれると同時に、前にもこの景色を見たことがある気持ちにもなった。
周りの景色を見回すと、喜伊子が新子たちと盗賊退治に行った山が見えたので、喜伊子はここが千年前のこの街なんだと気が付いた。
そのままこっそり男の子たちと一緒に町に繰り出すと、職人たちが鉄を打つ音がいたるところから聞こえ、町は生き生きとしていた。
『すごいよ、ここは千年前の町だ!やっぱり諦めちゃだめだよ!新子ちゃん!』

やがて喜伊子は男の子たちに連れられてボロボロの家に来た。
家の中では千古とその家族がおり、千古以外は病気か何かで寝込んでいるようだった。
喜伊子が中に入ると、千古の母親が出てきて、お腹を壊して仕事に出られなかったことを土下座して謝り始めた。
喜伊子は千古にもお腹が痛いのかと聞くと、千古は黙って首を横に振った。
喜伊子は千古に笑って欲しいと思い、屋敷の門で摘んだピンクの花を千古に差し出した。
その後、喜伊子は千古の幼い兄妹たち2人に人形劇をして見せて、千古にも手伝わせると子どもたちはすぐに笑顔になった。

やがて子どもたちは人形を抱えて眠り、喜伊子は千古に「明日も遊ぼうよ」とささやき、千古は微笑んでうなずいた。

その頃新子とタツヨシは、港町の夜の店が並ぶ路地にたどり着き、タツヨシの記憶を頼りにバーカリフォルニアを探していた。
路地裏の人けのない通りにその店はあった。
新子とタツヨシが恐るおそる階段を上がっていくと、部屋の中から男と女の声が聞こえ、やがてドアから金髪の女と、サングラスをかけた柄の悪そうな男が現れた。
新子は勇気を振り絞って「おばさんがバーカリフォルニアの女ですか?おじさんが、博打ば打ちよるヤクザですか?」と聞くと、金髪の女は「そうよ。お姉さんがバーカリフォルニアの女よ」と答え、男は「こんな小便くさいガキは、親の代わりにワシらがシツケしてやろう」とすごんだ。
気が付くと、新子とタツヨシの後ろにもう1人ヤクザが現れて、2人にじりじりと近づいてきた。

タツヨシは新子を背に守って木刀をヤクザに向けてにらみつけたが、新子はなおも金髪の女に「タツヨシがお父さんの敵討ちに来ました!タツヨシのお父さんはまじめなお巡りさんで、金髪の女の人に引っかかって自殺したから!うちらの明日の約束を返して!」と涙声で叫んだ。
新子の叫びを聞くと、金髪の女は驚いた顔をした。

新子とタツヨシがここに来た理由を察した金髪の女は、2人を店内に入れた。
女がタツヨシの前で座ってうつむくと、タツヨシは女に近づいて頭に軽くゲンコツした。
女は「まさかこないなことになるなんて・・・」と泣きじゃくり始めた。

ヤクザが「鈴木巡査(タツヨシの父親)はベーゴマのことになると、急に子どもみてえになったなあ…」とタツヨシの父親の思い出話を始めたとき、どこからともなくピンク色の花びらが落ちてきて新子のラムネのコップに入った。
タツヨシは昔、父親に「ベーゴマの削り方を教えてやる」と言われた時に嫌がって父親に殴られたことがあり、その時とても酒臭かったと話し、やがてタガが外れたように泣き出した。
新子はタツヨシの様子を、マイマイをざわつかせながら見守った。

しばらくするとタツヨシは叫びながら店を飛び出し、新子もタツヨシに続いた。
2人は叫びながら走り続けて、来た道を戻っていった。
やがて2人は見慣れた川や麦畑の道まで戻ってきて足を止めた。
タツヨシは、明日から母親の実家の大阪に行くことを明かすと「将来自分に子どもが出来たら、ベーゴマの削り方や凧のあしのつけ方、ちゃんと教える!」と力強く言った。
新子に木刀を譲り渡して帰ろうとしたタツヨシに、新子は「いっぱい遊ぼうや!子どもたちに色んな遊び教えれるように、いっぱい遊ぼうや!」と叫んだ。
タツヨシは「へへッ」と初めて笑顔を見せると、走って帰っていった。

タツヨシが帰った後、新子はしばらくその場でタツヨシの笑顔を思い出していた。
もう帰ろうとしたとき、新子はそばの川の中に金魚を見付け、喜伊子の家に走った。
喜伊子に金魚のことを伝えると、喜伊子は新子よりも早いスピードで川に向かって走り出した。

美しい天の川の夜空の下で、新子と喜伊子は金魚を見付けることができた。
やがて懐中電灯の電池が切れてしまったが、新子と喜伊子はしばらく蛍の飛ぶ川のそばで天の川を眺めていた。
しばらくすると、新子の父親 東介が新子を迎えに現れた。
新子と喜伊子は手をつなぎながら歩き「明日も遊ぼうね!」と約束した。

月曜日。ひづる先生は退職していき、地味に先生の悪口を言っていたシゲル、ヒトシ、ミツルも結局は泣きながらひづる先生を見送った。

その後も、新子と喜伊子は相変わらず毎日のように一緒に遊びながら、おじいちゃんに色々なことを教えてもらった。
冬の終わりにおじいちゃんが亡くなり、春になって、今度は新子が父親の働く大学の近くの町に引っ越すことになった。

新子の引っ越しの日。よく一緒に遊んだ6人全員が新子を見送りにきた。
シゲルはペットのカメを、喜伊子は美味しいと評判のお店のたい焼きを新子にプレゼントした。
新子と喜伊子は草笛を吹きながらお別れした。
千年前、諾子と千古も、どこかで草笛を一緒に吹いていた。

主題歌:コトリンゴ『こどものせかい

『マイマイ新子と千年の魔法』関連商品(楽天)

スポンサーリンク

解説・考察や感想など~

ほんのりファンタジーの効いた、優しくてちょっと切ないお話でした。
冒頭の音楽が特に独特だったので、新子登場のシーンは新子よりも音楽に聞き入ってしまいました。

本作は当初 小規模での劇場公開で宣伝もほとんど行わなかったため、お客さんが入らず約1か月で上映終了となっていましたが、作品を観たファンによる宣伝と署名活動が行われ、上映を再開して約2年間のロングランになった作品です。

この作品は結構沢山の『死』と『空想』が出てきました。
なので、本作のテーマは『身近な人との別れの辛さ、淋しさをどう乗り越えるか』、『想像力の大切さ』だったんじゃないかと感じました。

母親の死を受け止められていなかった喜伊子は、新子の持つ想像力の影響を受けたおかげで母親の死を乗り越える(受け止める)ことが出来ました。
父親が自殺したタツヨシは、新子の想像と行動力のおかげで父親の人となりをきちんと思い出して、泣いたり笑ったりすることが出来るようになっていました。
新子も一番大好きだったおじいちゃんを失くします。
この過程はあまり描かれていませんでしたが、新子は持ち前の想像力のおかげで「おじいちゃんはいつも私のそばにいる」と思うことが出来たのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました