解説・考察2ページ目
エリがホーカンを殺した理由
エリとホーカンがどれくらいの期間一緒に居たのかは明かされませんが、最後の2件の殺人が失敗していた所を見ると、ホーカン自身が人殺しを続けることや終わりのない逃亡生活に疲れていたからなのかもしれません。
また、ホーカンは逮捕されそうになった時は身元を特定されないように硫酸を被って死ぬつもりだったようですが、硫酸をこぼしてしまって予定通りには死ねず、中途半端になってしまいました。
エリは顔が半分解けた状態で生きながらえてしまったホーカンを哀れに思い、殺したんだと解釈しています。
エリは死体を隠そうとしないことから彼女自身の保身は考えていないようなので、エリ自身のためではなくあくまでもホーカンのために殺したと考えて良い気がします。
エリの股間のモザイクについて
エリは下着を着ておらず、オスカーはエリの着替え中に丸出しの股間をちらっと目撃しました。
このシーン、モザイクがかかっていて当然だと思っていましたが、多くの解説記事で「エリの股間には男性器を除去した跡があった」と書かれていて驚きました。
モザイク無しバージョンの画像がアップされているのを見つけたので、手術痕なので閲覧注意かもしれませんが見ても大丈夫な方は以下をご覧ください。
※リンク先は海外の方が運営されている映画ブログにアップされている画像です。
imgbox.com:Let the right on in 2008
解説を読むまでは、オスカーが初めて性を意識したシーンだとばかり思っていたのですが、エリが男の子だったとなると解釈が変わってきます。
エリの「私は女じゃない」という発言はそのままの意味であり、その後オスカーがエリと旅立つのも、エリがヴァンパイアであり女ではないことも知った上での行動ということになります。
日本語版ではエリが男の子だった事実は抹消され、本来のストーリーも意図も変えられていることが悲しいです。
ガラスに触れるオスカー
(引用:http://www.let-the-right-one-in.com)
冒頭からオスカーがガラスに触れるシーンが何度かあり、印象的でした。
真冬のガラスはとても冷たいので普通ならあまり触りたくないはずですが、あえて触れるのは、何となくオスカーは自分が生きているかどうかをガラスに残る手の体温の跡や、ガラスの冷たさで確認していたように見えました。
オスカーの心が真冬のガラスのように冷えきっていたことも示唆していたように思えます。
ラスト近く、オスカーはエリとキスした後でガラスに触れてキスしていました。
この時オスカーが硝子にキスしたのは、恐らく真冬のガラスがエリの体温に近かったからで、彼女とのファーストキスを思い出していたのです。
冒頭では生きているかどうかの確認のために触っていたガラスが、ラストではエリの体温を思い出す道具に変わっている所に何とも言えない趣を感じました。
エリはなぜオスカーをヴァンパイアにしないのか
ホーカンも人間でしたが、エリはオスカーも仲間(ヴァンパイア)にする気は無いようでした。
エリが恋人を求める理由は孤独が嫌だったからのようなので、それなら恋人を同じヴァンパイアにすれば一生一緒に居られるのに、しないので不思議でした。
それでもエリがあえて恋人を仲間にしない理由として思い浮かぶのは、彼女が長年の経験から愛が永遠ではないと感じたからか、彼女の恋愛対象がヴァンパイアではなく人間だったからのどちらかではないかなと思いました。
ラストの解釈とオスカーのその後
ラスト、オスカーはバッグを持って列車に乗っています。
オスカーの隣にある大きな荷物の中にはエリが入っていました。
オスカーがモールス信号でエリに送ったのは、メモにも出てきた『良い夢を』だと思われます。
2人が列車に乗っていた時は恐らく早朝で、エリは眠る時間だからです。
オスカーはプールでエリに助けられた時、彼女の手紙の通り一緒に遠くに行くことに決めました。
同級生とコンニの兄が惨殺され、エリに対して恐怖心を抱いてもおかしくない所ですが、オスカーはとびきりの笑顔を見せました。
オスカーの願いをエリが叶えてくれたからです。
このシーンで、オスカーは真っ白な雪のような純粋さを持つ一方で、命の尊さなどの倫理観が欠如している様子が良くわかりました。
イジメられたことへの深い恨みや心の傷が倫理観の欠如に繋がっていたのでしょう。
エリが求めていたのはホーカンにとって代わる新しい人間の恋人で、彼女の生態上、愛のためなら簡単に一線を越えられるタイプである必要があります。
そしてオスカーはまさにエリにとってぴったりの恋人だったのです。
エリがお腹が空いていても我慢してオスカーを生かしていたのは、長年の経験からオスカーがパートナーにふさわしい性格だと見抜いていたのかもしれません。
オスカーとエリは逃亡生活を始めて、オスカーはこれからホーカンのようにエリに尽くして生きていくのでしょう。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
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