映画『孤狼の血』解説考察|上早稲、大上の死の真相、嵯峨の目的、美人局の理由など | 映画の解説考察ブログ

映画『孤狼の血』解説考察|上早稲、大上の死の真相、嵯峨の目的、美人局の理由など

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クライムドラマ

映画『孤狼の血』の解説・考察をしています!
「タイトルについて」「上早稲(駿河太郎)はなぜ殺された?」「大上の瞳に映る炎」「大上のジャケットの汚れ」「大上が捜査から外された理由」「大上はなぜ殺された?」「大上の日記を嵯峨に渡した理由」「大上が日岡に美人局を仕掛けた理由は?」
について書いてます。

ネタバレありきの記事のため、まだ観ていない方はご注意ください。

孤狼の血

制作年:2018年
本編時間:126分
制作国:日本
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
原作小説:柚月裕子 著『孤狼の血

本作はR-15の年齢制限があります。
刺激の強い殺傷流血描写がみられるためです。(映倫参照)

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解説、考察、感想など

タイトル『孤狼の血』

『孤狼の血』は、死んだ大上の正義の意志を、日岡が受け継ぐことを示唆したタイトルです。
『大上(おおがみ)』という名前も『狼(おおかみ)』を意識して付けられた名前なのでしょう。

大上の血を受け継いだ日岡が見れるのは自作のレベル2なので楽しみです!

上早稲二郎はなぜ殺された?


©2018「孤狼の血」製作委員会

上早稲は加古村組のフロント企業『呉原金融』の経理係でした。

彼は常日頃から加古村組の若頭 野崎を主導に搾取されていて、暴力に怯え要求されるまま金を渡していました。
野崎達は上早稲がちょっと脅すだけですぐに金を出すのを面白がり、上早稲に呉原金融の利益以上の金を要求しました。
上早稲は「これ以上は会社がつぶれてしまう」と言いますが、野崎達は脅しを止めません。
困り果てた上早稲は、呉原金融の本店ホワイト信金の金を着服して渡してしまいました。

ホワイト信金を経営していたのは五十子会長だったので、上早稲は五十子の金を盗んだことになります。
言い直すと五十子の金を上早稲に盗ませたのは野崎達です。

着服を知った五十子は、加古川組に上早稲を懲らしめるよう命じます。
野崎達は上早稲を豚小屋で拷問すると同時に、ホワイト信金の金が野崎達に流れたことは黙らせて拷問だけで済ませようとしますが、五十子は最終的に上早稲を殺すよう命じました。

野崎達は五十子の指示にためらいますが反論もできず、彼らの罪を全て上早稲に着せて殺してしまったということです。
五十子が真相に気付いていたかどうかは不明ですが、知った上であえて殺させて殺人という罪を彼らに負わせることで、暗に野崎達にお灸をすえたのかもしれません。
この事件の流れそのものに大上や瀧井が彼らを「ノータリンのヤクザ」と称する理由が表れています。

大上の目に映る炎

大上が連れ込み宿に放火した時、大上のサングラスに炎が映っていたのが印象的でした。
あの炎には、大上が抱く『正義感』が表れていたように見えました。

放火は犯罪なので、放火した炎で正義感ってわけわからん気もしますが、日本の法律も警察も信用していなかった大上は彼なりの正義を土台に動いていて、そこには日本が定めた法律は関係無いということを意味しているのでしょう。

宿が仁生会を盾にして大上に証拠を渡さなかったのも、簡単に証拠を渡してしまうと、後で仁生会にバレたときに責められるのが怖いからです。

大上は宿側が証拠を渡さない理由も『極道に対する恐怖』からだと知った上で、あえて証拠を盗みました。
大上が盗めば、後で仁生会にバレても怒りの矛先は大上で、宿の経営者たち(一般人)が責められることはないからです。

ちなみに連れ込み宿は和風のラブホテルのことです。

大上のジャケットの白い汚れ


©2018「孤狼の血」製作委員会

上早稲を探しに無人島に行った時、大上が着ていた上着だけコンクリートのシミのような汚れが付いていたのが気になりました。
上着自体は他の人達のとは違ってロゴやステッチが入っていたので、支給品ではなく大上の私物なのでしょう。

模様にも見える位綺麗に上着全体に付いていたのでちょっと不思議でしたが、演出としての意味があった気がするので考えると、あのシミは大上の死期が近いことを示唆していたように見えました。

特に背中のシミがドクロのように見えたからですが、大上が多くの県警上層部や極道達から疎まれていたことの隠喩だったように感じました。

 

大上が捜査から外された理由

大上が突然捜査から外されてしまったのは、安芸新聞の高坂が大上の不正情報をリークしたからですが、その裏には県警上層部の思惑が動いていました。

やっちゃれ会での会話で明らかになった『県警上層部も尾谷組を潰したがっていた点』を考えると、県警上層部は尾谷組と加古村組に抗争して欲しかったことがうかがえます。
しかし、大上は一ノ瀬との約束の3日間の内に加古村組の上層部を逮捕して抗争を起こすまいと必死に働いて、上早稲の死体が見つかったことで加古村組の逮捕にリーチが掛かりました。

抗争を起こしたかった県警上層部は、嵯峨に指示を出してマスコミに大上の不正をリークさせて公式に自宅謹慎処分を出して、一ノ瀬との約束が果たせないようにしたのです。

なぜ県警上層部が尾谷組を潰したかったのか理由は語られませんでしたが、県警上層部の誰かが尾谷組に弱みを握られていたり、何か事情があったのでしょう。

 

大上はなぜ殺された?

大上が殺されてしまったのは『知り過ぎてしまったから』です。

大上は県警上層部に対してクラブ梨子の従業員を使って美人局を仕掛けて、彼らの犯罪歴などの弱みをの彼女達に探らせてノートに記録していました。

保身のために集めたつもりの情報でしたが、恐らく大上は情報を集めすぎたことが裏目に出て(県警の暗部を知り過ぎて)、『日記』も回収出来ていなかったのもあり、殺してしまおうと決めたのでしょう。

県警は大上を解雇したくても、大上がノートを持っている限り情報を武器にするので上層部は暴露を恐れて何もできません。
そしておそらく、大上を殺すことを上層部に提案したのは五十子です。
養豚場の善田が五十子会の一員になっていたことが、五十子がやった証拠です。

五十子にとっても大上は目の上のたん瘤のような存在だったので、上層部と結託して暗殺の費用を上層部達からむしり取った上で大上を殺したのではないでしょうか。

そう考えると、県警上層部は弱みを握られた対象が大上から五十子に変わっただけなので、五十子が死んだのは彼らにとっても利点になったのでしょう。

 

日岡が嵯峨に大上の日記を渡した理由

日岡が大上の日記を渡したのは、上司から与えられていた仕事をまっとうするため(日岡が警察官でいるため)の行動でしょう。
新しいページにしっかり嵯峨の『警察官としてあるまじき行為』を書き足すことで、暗に嵯峨に脅しをかけるためでもあります。

 

大上は日岡に美人局を仕掛けて何をしようとしていた?

ラスト、日岡の恋人的な存在だった桃子が大上の指示で日岡に近づいていたことが判明しました。

大上の美人局はよくある詐欺行為のための美人局ではなく、その人物の弱みを握るための行為でした。
大上は日岡が県警からの差し金と知っていたので、恐らく桃子に日岡の身辺を探らせておいて、もし日岡が本当にただの上層部の差し金だった場合は握った弱みを使って脅そうとしていたのではないでしょうか。

ただ、桃子が日岡の弱みを見つけたかどうかは不明です。
もし桃子そのものを弱みにするとしたら、桃子は実は夫と別居だけで離婚はしていない(=不倫)などになるのでしょうか。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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