映画『ノック 終末の訪問者』解説考察|ラストの解釈、黙示録との関連、バッタの意味など | 映画の解説考察ブログ

映画『ノック 終末の訪問者』解説考察|ラストの解釈、黙示録との関連、バッタの意味など

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ノック終末の訪問者 スリラー
(C) 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

映画『ノック 終末の訪問者』の解説考察をしています!
アポカリプスのルール、訪問者4人と黙示録の四騎士の関係、バッタ、ラスト解釈などについて書いてます。

どんでん返しがあることで有名なシャマラン監督ですが、本作は特に驚く展開が無いのが逆に印象的です。
究極の選択とヨハネの黙示録をベースに展開するあらすじは個人的には好きでしたが、驚きを求めて観るとがっかりするかもしれません。

鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

ノック終末の訪問者

原題:Knock at the Cabin
制作年:2022年
本編時間:100分
制作国:アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン、スティーヴ・デスモンド、マイケル・シャーマン
原作小説:『THE CABIN AT THE END OF THE WORLD(終末の訪問者)』ポール・トレンブレイ著

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キャスト紹介

M・ナイト・シャマラン監督の代表作
映画『シックス・センス』(1999)、映画『オールド』(2021)など

レナードデイヴ・バウティスタ
休暇中の3人家族が過ごすキャビン(小屋)に押し込んだ大男。
世界の終末を防ぐため家族に究極の選択を迫る。
※デイヴ・バウティスタの代表出演作…映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ドラックス役、映画『マイ・スパイ』JJ役など

エリックジョナサン・グロフ
キャビンで家族と休暇を過ごしていた男性。
敬虔なカトリック教徒。レオナルドたちの終末論を徐々に信じ始める。
※ジョナサン・グロフの代表出演作…映画『アナと雪の女王』クリストフ役、映画『マトリックス・レザレクション』スミス役 など

アンドリューベン・オルドリッジ
エリックのパートナー。職業は弁護士。
性格的にはエリックと正反対で無神論者で論理的で怒りっぽい。
レオナルドたちに果敢に立ち向かう。
※ベン・オルドリッジの代表出演作…ドラマ『Pennyworth/ペニーワース』トーマス・ウェイン役など

ウェンリンクリステン・クイ
エリックとアンドリューの養女9歳。動物好きで賢い。
エリックとアンドリューが大好き。

レドモンド(訪問者、ガス会社職員)…ルパート・グリント
サブリナ(訪問者、看護師)…ニキ・アムカ=バード
アドリアーネ(訪問者、コック)…スターリング・マケル・ジュニア
通販番組の司会…M・ナイト・シャマラン ほか

 

あらすじ紹介

ペンシルバニア州に暮らす同性カップルのエリック(ジョナサン・グロフ)、アンドリュー(ベン・オルドリッジ)と9歳の養女ウェン(クリステン・クイ)が大自然に囲まれたキャビン(ログハウス)で休暇を過ごしていると、キャビンに突然謎の4人組が押し入ってきました。

彼らはエリックとアンドリューを椅子に縛り付けてから1人ずつ自己紹介を始めます。
1人目はリーダー格の男で教師のレナード(デイヴ・バウティスタ)、
2人目はガス会社職員で前科者のレドモンド(ルパート・グリント)、
3人目は看護師のサブリナ(ニキ・アムカ=バード)、
4人目は料理人のアドリアネ(スターリング・マケル・ジュニア)です。

レナードたちは数日前に4人とも同じ「世界の終末(アポカリプス)に関するビジョン(未来予知)」を見て、インターネットを通じて知り合い、神に選ばれた3人がいるこのキャビンに来たと言います。
レナードたちは「間もなくアポカリプスが訪れる 君たち3人の誰か1人が自ら進んで犠牲になればアポカリプスは防げる もし誰も犠牲にならなければ、君たち3人以外の全人類が死亡する 我々はアポカリプスを止めたいので誰が犠牲になるか相談して決めてくれ」と言います。

エリックとアンドリューは当然レナードたちの言い分が信じられず、一刻も早く逃げようと奮闘します。

 

解説・考察、感想など

バッタ

ノック終末の訪問者

旧約聖書にも新約聖書にもバッタ(いなご)が起こす災いが登場することは知っている方も多いと思います。

この映画と原作小説は新約聖書の『ヨハネの黙示録』が題材になっていて、この黙示禄にもバッタ・いなごの災いが登場します。
黙示禄にはアポカリプス(世界の終末)の前触れとなる「7つのラッパを吹く7人の天使」が登場するのですが、そこでは第5のラッパが吹かれた時に悪魔の使いのバッタ(いなご)が現れて額に神の印が無い人々を5か月間苦しめます。

バッタの登場は7つのラッパの5番目なので、この映画においてもバッタの登場はアポカリプスの前触れと、その前触れがもうすぐ終わる(アポカリプスがもうすぐ始まる)ことを暗示しています。
さらに、バッタ・いなごは神が認めたスーパーフードでもあるので『人類に残された可能性』も暗示されているのかなと思いました。

また、登場人物が7人なのは、この「7人の天使」に見立ててあるのかなとも思いました。

 

ビジョンとは?

レナードたちが何度も口にする『ビジョン』は未来予知の総称であり、神の啓示とも言います。
4人はアポカリプスに関する全く同じビジョンを見たため、アポカリプスに関して重要な役割を持つエリック、アンドリュー、ウェンの前に現れました。

後半になるとエリックもビジョンが見えるようになりますが、エリックが見たビジョンはアポカリプスを止めた後の未来に関するビジョンです。

本作の題材になっているヨハネの黙示録も、ヨハネが見たビジョンを元に書かれた預言書です。

 

訪問者4人の目的は?なぜ1人ずつ死んだ?

レナードたちの目的はアポカリプス(世界の終末)を止めることでした。
アポカリプスの進み方と止め方を振り返ります。

アポカリプスを止める方法は1つしかなく、それはエリック、アンドリュー、ウェンの誰か1人が自ら犠牲になって殺されることです。
訪問者側が死ぬ前にキャビンの3人の誰かが犠牲になっていれば、それでアポカリプスは止められて訪問者4人は誰も死ぬ必要なくなります。
しかしキャビンの3人は訪問者側の言い分を信じられないので時間だけが過ぎてしまい、最初のタイムリミットを迎えます。

最初のタイムリミットではレドモンド(ルパート・グリント)が犠牲になります。
訪問者4人はいわゆる「神の本命」ではないので、アポカリプスを遅らせられても止められはせず、時間稼ぎにしかなりません。
訪問者が犠牲になった直後に大災害が起こるのは、訪問者たちにはアポカリプス全てを止める力がないからです。

訪問者が全員犠牲になってもアポカリプスは止められず、結局はキャビンのエリック、アンドリュー、ウェンの誰かが犠牲にならなければ終わりません。

 

訪問者4人と黙示禄の四騎士

ノック終末の訪問者

(C) 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

訪問者のレナード、レドモンド、サブリナ、アドリアネはヨハネの黙示録に登場する四騎士だと言われていました。

ヨハネの黙示禄は新約聖書の一番最後に収録されている預言書です。
キリストの弟子の1人ヨハネが書いたもので、内容は『ヨハネが見たアポカリプスの始まりから終わりまでの流れ』であり、人類の罪深さに怒った神が人類に大きな災いをもたらす話です。

黙示禄の四騎士は、イエス・キリストが神から与えられた七つの封印を解く過程で現れます。
レナードがキャビンの戸を7回叩くのには、この七つの封印に由来しているような気がします。

1人目の騎士は第一の封印が解かれた時に現れる白い騎士で、支配する者です。
2人目の騎士は第二の封印が解かれた時に現れる赤い騎士で、戦争を起こす者です。
3人目の騎士は第三の封印が解かれた時に現れる黒い騎士で、飢饉をもたらす者です。
4人目の騎士は第四の封印が解かれた時に現れる青い騎士で、死をもたらす者です。

黙示禄の四騎士は恐怖をもたらす恐ろしいイメージですが、レナードたちは本来の四騎士とは真逆のポジティブな性質を持っているのが面白いです。

白い騎士(支配)に該当するのはレナードです。
レナードは立派な教師であり、皆のまとめ役を担っていました。
赤い騎士(戦争)はレドモンドです。
レドモンドは気性が荒い所があり真逆とまでは言えませんが、過去の自分の罪を悔い改めていましたし、エリックが「光がまぶしい」と言った時はカーテンを閉めてあげようとするなど優しい所もありました。

黒い騎士(飢餓)はアドリアネです。
アドリアネは料理人であり、ウェンに料理を振舞っていました。
青い騎士(死)はサブリナです。
サブリナは看護師であり、人々の命を助ける仕事に長年従事していました。
疑問なのはサブリナ以外の3人は騎士の色と服の色が合っているのに、サブリナだけ青じゃなくて黄色い服で、むしろ青い服を着ていたのがエリックだったのが地味に気になっていますが理由がわかりません。

 

原作小説とは結末が違う

ノック終末の訪問者

(C) 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

原作小説では、アンドリューが銃を持ってきてレナードたちと戦っている時にウェンが死んでしまいます。
しかしウェンは自ら進んで犠牲になったのではなく事故死なので、アポカリプスを止めるための「犠牲」には該当しませんでした。

訪問者4人が全員死んだあと、エリックとアンドリューはどちらも犠牲にならず一緒に生き抜くことに決め、レナードたちが乗って来た車で家に向かって走り始めます。
その後、レナードたちの言う通りアポカリプスが本当に起きたのかはわからないまま終わります。

映画では、シャマラン監督や脚本家たちの意向でウェンを殺すのは絶望的過ぎるということになり、ウェンは生き残るシナリオに変えられました。
インタビューを拝見すると、ウェンが生き残ったことがポイントになり、自然とエリックが犠牲になるラストになったそうです。
もしアポカリプスが本当だとしたら、3人だけ生き残っても将来的にはウェンが1人になってしまいますし、社会が存在しない世界ではウェンは普通の夢も叶えられませんし、生涯を共にするパートナーも友人も得られず、そんな世界を与える決断は親として出来なかったからです。

この大胆な変更に、原作著者のポール・トレンブレイは「そのシナリオは最初に思いついたやつ(ボツ案)だった」とコメントをしています。
トレンブレイは主体性を大事にしてほしいというメッセージを込めてアポカリプスの真偽を曖昧にしたらしく、その辺が映画ではなくなっていて残念そうな雰囲気でした。

また、映画では訪問者の中で最後に死んだのはレナードでしたが、小説では最後に死ぬのはサブリナです。
これに関してはレナードのキャラクターをシャマラン監督が気に入ったため、活躍を増やすために変更したそうです。
もっと細かい違いも気になる方は原作をぜひ読んでみてください。

 

物議をかもす映画版のラスト

犠牲を迫られる人物が同性愛カップルであることがポイントになり、特に海外では賛否両論が飛び交っているようです。

キリスト教を主な宗教とする国では、神が同性愛を禁じたという理由で古くから同性愛者への差別や排除思想が根強く残っていて、同性愛からは子どもが産まれないことを理由に『同性愛は悪魔が人類を滅ぼすために生み出した趣向である』とも言われています。
日本でも同性愛差別はそれなりにありますが、キリスト教が主な国と比べるとまだマシなのかもしれません。

映画のラストでは同性愛者であるエリックが死んで世界が救われます。
制作側が伝えたいのは同性愛者も救世主になる(性的趣向は関係ない)ということなのでしょうが、見方によっては同性愛者が死ぬことで世界が救われたようにも見えるので、モヤモヤが生じやすいラストになってしまっているのではと思う部分があります。

 

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参考サイト様一覧

キートンのキリスト教講座:【終末】ヨハネの黙示録の意味とは?わかりやすくクリスチャンが解説

感想などお気軽に(^^)

  1. いる より:

    原作改変されてるならそりゃ意味不明な内容になる訳だわ、記事読んで納得した
    原作の良い所の1つって「結末が読み手」に委ねられてる点(映画「哭声/コクソン」が良い例)
    そこを映像制作者達の勝手な解釈と感情で、その良い所を完全に潰してる時点で失敗だなぁ
    せめて同性愛者じゃなくて、男女の夫婦にするべきだった
    それはそれで時代が時代だから、どっちが生き残っても賛否両論あるかもしれないが
    俳優もかなり豪華だし、俳優で釣ってる感じもあるのもマイナス点かな

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