映画「ゴーン・ガール」ネタバレ解説考察|エイミーがキレた本当の理由、自殺についてなど | 映画の解説考察ブログ

映画「ゴーン・ガール」ネタバレ解説考察|エイミーがキレた本当の理由、自殺についてなど

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ゴーン・ガール クライムドラマ

映画「ゴーン・ガール」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
考察内容は「エイミーが怒った本当の理由」「自殺しようとした理由」「自殺をやめて帰った理由」「デジーと別れた理由」「タイトルの意味」などについて書いています。

鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

ゴーン・ガール

制作年:2014年
本編時間:149分
制作国:アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ギリアン・フリン
原作小説:「ゴーン・ガール」ギリアン・フリン著

この映画はR15+の年齢制限があります。
刺激の強い刃物による殺傷、肉体損壊、出血の描写がみられるためです。(引用:映画倫理機構

キャスト紹介

ニック・ダンベン・アフレック
地元ミズーリで双子の妹マーゴと飲食店「ザ・バー」を経営する男。元はNY在住の雑誌ライター。
ニューイヤーパーティーでエイミーと恋に落ち逆玉の輿結婚する。
※ベン・アフレックの他出演作…映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」、映画「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」ほか

エイミーロザムンド・パイク
ハーバード大学卒の秀才。
母親の本「アメイジング・エイミー」のモデル。
※ロザムンド・パイクの他出演作…映画「パーフェクト・ケア」、映画「アウトロー」ほか

デジー・コリングスニール・パトリック・ハリス
エイミーの高校時代の恋人で元ストーカー。
今だにエイミーを愛し定期的に手紙を送る。
※ニール・パトリック・ハリスの他出演作…映画「マトリックス レザレクション」、映画「ダウンサイズ」ほか

マーゴ・ダン(ニックの双子の妹)…キャリー・クーン
タナー・ボルト(弁護士)…タイラー・ペリー
ボニー刑事…キム・ディケンズ
ギルピン巡査…パトリック・フュジット
メアリーベス(エイミーの母)…リサ・ベインズ
ランド・エリオット(エイミーの父)…デヴィッド・グレノン
アンディ(ニックの浮気相手)…エミリー・ラタコウスキー
グレタ(逃亡先の隣人)…ローラ・カーク
ジェフ(グレタの彼氏)…ボイド・ホルブルック
トミー・オハラ(エミリーの元恋人)…スクート・マクネイリー
ノエル(三つ子の母)…ケイシー・ウィルソン
ショーナ・ケリー(アメイジング・エイミーのファン)…キャスリーン・ローズ・パーキンス
ビル(ニックの父)…レナード・ケリー=ヤング
警察官…リー・ノリス
エレン(ニュースキャスター)…ミッシー・パイル
シャロン(司会者)…セーラ・ウォード ほか

 

あらすじ紹介

あらすじ①:

ゴーン・ガール

2012年7月5日、ミズーリに住む主婦のエイミー・ダン(ロザムンド・パイク)が、バー経営者の夫ニック(ベン・アフレック)との5年目の結婚記念日に失踪しました。

エイミーの母親は世界的に有名な児童文学「アメイジング・エイミー」の作者であり、エイミーは生まれた時からずっと絵本の主人公のモデルです。
そのためエイミーの失踪はすぐに全米が知る事件になり、エイミーの両親は失踪2日目にボランティア団体を設立してエイミーを探し始めます。

エイミーの事件を担当することになったボニー刑事ギルピン巡査はニックに対して不信感を抱きます。
ニックから通報を受けて家に行った時、リビングにあった「乱闘の形跡」は意図的に作られたものであることがすぐにわかったり、床に大量の血を拭いた跡があったり、エイミーの生命保険の受取額が大幅に引き上げられたばかりであることなどがわかったからです。

それにニックは妻が失踪したというのにどこか呑気で、本気で心配しているようには見えませんでした。
ボニーとギルピンはニックが保険金欲しさにエイミーを殺した可能性があると見て捜査を進めます。

 

あらすじ②:

一方でニックはエイミーを殺してなどいませんが、実は2人の関係は結婚3年目以降から最悪で、ニックには愛人もいて離婚を真剣に検討していた矢先の出来事だったので、とても嫌な予感がしていました。

ニックとエイミーは仲良しだった頃から毎年記念日に2人だけの宝探しをしていて、エイミーは失踪する直前にも結婚記念日用に宝探しのヒントをいくつか残していました。
エイミーの失踪から数日後、ニックはそれらのヒントから、エイミーはニックの不倫に気づき、復讐のためにニックを妻殺しの殺人犯に仕立て上げようとしているのではないかと推理します。

ニックがエイミーの元恋人トミーから話を聞くと、トミーはエイミーと別れた直後に身に覚えのない強姦罪で裁判を起こされ、刑務所行きは免れたものの性犯罪者の前科を付けられて、今でも前科のせいでまともな生活も恋人もできず困窮している様子でした。

震え上がったニックは親友の双子の妹マーゴ(キャリー・クーン)と、冤罪事件に強い有名弁護士タナー・ボルト(タイラー・ペリー)に依頼して、身の潔白を証明する方法を考えます。

ニックはボルトの提案で、愛人アンディの存在を自ら公表して謝罪しようとにしますが、番組などでエイミーへの愛を語るニックに怒ったアンディが先にメディア出演して愛人だとバラしてしまい、ニックはふられました。

さらに、エイミーの親友だという主婦ノエルは「エイミーはDVを受けていると私に打ち明けてくれた 最後に会った時は妊娠のことで相談に乗った」と言い出し、警察がエイミーのかかりつけ医に確認すると、妊娠していたという検査結果が出ます。
世間も「エイミーはニックに殺されたのでは」と思いはじめ、ニックの印象は最悪です。

これらの状況に加え、ボニー刑事とギルピンが半分焼けたエイミーの日記を見つけます。
日記はニックとの出会いから、最近の日付けには「私はニックに殺されるかも」と書かれていました。
そしてマーゴの家の納屋からエイミーの血が付いた鈍器が見つかったことが決定打となり、ニックはエイミー殺害の容疑で逮捕されました。

ボニー刑事はニックを逮捕しましたが、一方で次々に見つかる証拠の不自然さが気になっていました。

 

あらすじ③:

ここからはエイミー視点での話になります。
エイミーはニックと結婚して最初の2年は本当に幸せでしたが、2009年の秋頃にニックとエイミーがほぼ同時に職を失ってから2人の関係は急激に冷めました。

ニックは就活もせずエイミーの資産(エイミーの母からもらえる印税)を頼りに怠けてばかりで、エイミーはストレスを溜めていきます。

そして2010年秋頃にニックの母に末期癌が見つかると、ニックはエイミーに相談もせず彼女の貯金を勝手に使って地元ミズーリに一戸建てを購入&引っ越して母親の世話を始めます。
エイミーは不満だらけでしたが、黙ってニックについて行きました。

その後ニックの母はあっという間に亡くなりますが、ニックはその後も働こうとしません。
2011年の秋、見かねたエイミーはニックと暮らしていたNYのマンションを売却し、そのお金でニックにバーを買い与えてマーゴと一緒に経営するよう促しました。

また、エイミーは子どもを望んでいましたが、ニックの浮気はこの頃からすでに始まっていたこともありニックは子どもを望みませんでした。

そして2012年の新年、エイミーは外でニックと10代後半の女の子アンディがキスしているのを目撃します。
この時エイミーの堪忍袋の尾は切れ、復讐を決意しました。

ハーバード大学卒の秀才だったエイミーは綿密な計画を立て、復讐の準備に取り掛かります。
エイミーとニックの日常を書き綴った日記(2人が出会った頃から直近までの分)を数ヶ月かけて書き溜め、2月には売人の男から銃を買いました。
銃は実際に使うのではなく「銃を隠し持ちたくなるほどニックを怖がっていたのでは」と、のちに捜査する警察に想像してもらうためです。

ニックの金遣いの荒さも強調するために、エイミーはニックの名前で高価な物を買いあさるなどして散財します。
さらにエイミーはご近所の主婦ノエルと仲良くなってDVと妊娠に関する嘘をつき、妊娠を偽装するために本物の妊婦と仲良くなってこっそり尿を採取しました。

そして計画を実行する5年目の結婚記念日になると、エイミーはリビングを不自然に荒らして採血した自分の血をキッチンの床に撒いてから拭き、凶器となる棒に血をつけて拭いてから納屋に隠すと、用意していた中古車で逃亡しました。

エイミーはしばらくロッジに潜伏してニックが社会的に抹殺されていくのを見届ける予定でしたが、失踪から6日目、エイミーは隣のロッジに滞在していた若いカップルに強盗され、逃走資金を奪われてしまいました。

 

あらすじ④:結末

全財産を失ったエイミーは、苦肉の策でお金持ちの元恋人デジー・コリングス(ニール・パトリック・ハリス)に連絡します。

当時デジーはエイミーに振られた後ストーカーになり、ニックと結婚した後も定期的にラブレターが届くほどエイミーに心酔しています。
デジーはエイミーの元に駆けつけて「いつか絶対戻ってくれると思ってた」と喜び、別荘にエイミーを匿ってくれました。

エイミーはひとまず安全な隠れ家を手に入れますが、デジーの性格は交際当時と変わらず、常にエイミーに「完璧」を求める上に、仕事以外ではエイミーから離れず、別荘に監視カメラをいくつも設置してエイミーを監視します。
エイミーは早くも嫌気がさしますが、我慢してデジーを愛しているフリを続けました。

エイミーは当初の計画では、ニックの失脚を見届けた後は湖かどこかで他殺にみせかけて自殺し、最終的にはニックを死刑においやるつもりでしたが、ニックがテレビ出演して懸命に「生きているなら戻って来てほしい 罪は償う」と言う姿に心打たれて自殺するのをやめました。

失踪から21日後の7月26日、マーゴとボルトの働きでニックが保釈されました。
その頃エイミーはデジーとの潜伏生活を続けつつ、ニックの元に帰る準備を始めます。
エイミーはデジーが仕事に行った後、別荘周辺の監視カメラによく映る場所で「激しい暴力を受けて流産したかのように見える演技」をしました。

失踪29日後の8月3日の夜、エイミーはデジーを誘惑してセックスの最中にカッターで喉を切り裂いて殺しました。
翌朝、エイミーは血まみれのままニックのいる自宅に帰ってきます。
ニックは報道陣がいる手前エイミーを抱きしめつつ、耳元では「くそ女」と囁きました。

エイミーは病院で治療と診察を受けた後、警察に「デジーに誘拐されていた」と語りました。
以下、エイミーの作り話をまとめます。
・結婚記念日にニックが出かけた後、デジーが自宅に来てエイミーは誘拐・監禁された
・監禁されている間、エイミーはデジーに繰り返し暴行・強姦されて流産した
・デジーが油断した隙にカッターで攻撃してそのまま逃げ帰ってきた

ボニーは話の矛盾に気づいて疑問をぶつけますが、ボニーの上司はエイミーを気遣って深く突っ込まず、事件は「ストーカーのデジーが起こした誘拐事件」となって幕を閉じます。
こうしてニックは無実が証明され、エイミーがデジーを殺した件は正当防衛として処理されました。

翌日からニックとエイミーの夫婦生活が再開します。
2人は揃ってテレビ出演して「様々な試練を乗り越えて絆が深まった夫婦」を演じて世間を安心させますが、ニックは尋常じゃない復讐を受けてエイミーが怖くなっていました。

エイミーの帰宅から5週間後、事件をメディアが取り上げることも減り、だいぶ落ち着いてきました。
ニックはエミリーをデジー殺害で逮捕できないかとボニー刑事と弁護士ボルトに相談しますが、ボニーとボルトはもう何もできません。

エミリーの失踪事件は書籍化が決まり、マーゴとニックのバーは客が急増してフランチャイズ化することになったため、ニックはボルトから「むしろエイミーに感謝しろ」とすら言われてしまいました。

エイミーの帰宅から約7週間後、ニックとエイミーは家族や友人を招いてエイミーお帰りパーティーを開きます。
パーティーが始まる直前、ニックはエイミーに離婚したいと言いますが、エイミーは「もしあなたが去ったら私は全力であなたを社会的に抹殺する それに、本当に妊娠したから絶対離婚は許さない」と答えます。

ニックとエイミーは1年程セックスレスですが、エイミーは失踪事件の前にニックの許可を取って精子の検査を産婦人科に依頼していて、検査が終わり返送されてきた精子を使って妊娠したと言います。

ニックは運良くエイミーから離れられたとしても、少なくとも子どもが大きくなるまでは親としての責任を背負い、エイミーとも完全に縁を切るのは不可能になります。
ニックは絶望しながらも、パーティーが始まるとエイミーの手を握って良き夫を演じます。




解説・考察・感想など

エイミーがニックに復讐した理由

ニックは自己中心的でエイミーをATM扱いした上に不倫するというクズ男なのでエイミーの怒りも復讐も当然と言えば当然ですが、エイミーはニックの具体的にどんな所に怒ったのか振り返ります。

エイミーが逃亡して潜伏用のコテージにたどり着くまでの語りには、復讐の動機が詰め込まれていたので引用します。

お互い別人を演じて幸せだった 世界一幸せな2人 幸せじゃないなら意味がない
でもニックは怠け 願い下げの男に成り果てた
それなのに無条件で私の愛を求め お金もないのに私を故郷に連れてきた
そしてこともあろうに 若い巨乳の「いい女」に乗り換えた
私を破滅させ ニックだけ幸せに? 冗談じゃない 勝ち逃げはさせない

エイミーの復讐の理由を、ニックは不倫が90%位占めているだろうと思っていたでしょうが、エイミーにとって1番大きかったのは恐らくニックが理想の男を演じてくれなくなったことです。

エイミーは生まれた時からアメイジング・エイミーのモデルで、幼少期から両親のために理想の人物を演じてきました。
人間誰しも演じなければならない場面は少なからずあり、演じると疲れる人が大半だと思われますが、エイミーの中では恐らく「本性を隠し演じて生きること」は当たり前の行為であり、愛されるためには当然必要な努力なのです。
そこにはもはや本心は関係ないのかもしれません。

恐らくエイミーはエイミーの両親(特に母親)から、理想の子どもでなければ愛してもらえなかったのではと思われます。

なのでエイミーの理想は交際していた時のような、お互いがお互いの理想を演じ合う状態でありそれこそが至高だったと思われますが、結婚3年目頃からニックだけが演じるのをやめてしまいました。
逆にニックの素の姿を見ると、交際期間含めて4年も演じたのは彼なりにかなり努力はしたんだろうと思います。

ニックだけが演技ごっこから脱落してもエイミーだけはニックに愛されるため、愛を取り戻すためにも演じ続けますが、エイミーはいつの間にか「いい女」から「都合の良いATM」に変わってしまいました。
そしてニックがアンディという新しい「いい女」を見つけていたことを知った時、我慢に我慢を重ねていたエイミーはついに切れて失踪事件につながります。

 

次のページに続きます!

2ページ目は自殺をしようとした理由と自殺をやめて戻った理由、エミリーがデジーと別れた理由です。




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