映画『ナイル殺人事件』(2022)のあらすじ紹介と解説、考察をしています!
エジプトの景色が美しいのと、ポアロさんが食べるスイーツとエマ・マッキーさんが可愛くて見ごたえ十分でした!
ただ冒頭のダンスだけは卑猥すぎてドン引きました(笑)
鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2022年
本編時間:114分
制作国:アメリカ
監督:ケネス・ブラナー
脚本:マイケル・グリーン
製作:リドリー・スコット、マーク・ゴードン、サイモン・キンバーグ、ケネス・ブラナー、ジュディ・ホフランド
原作小説:アガサ・クリスティー著『ナイルに死す』
主要人物紹介
© 2022 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
エルキュール・ポアロ…ケネス・ブラナー
『世界一の名探偵』を自負する元警察官の探偵。
エジプト観光中に出会ったリネットとサイモン夫婦のハネムーン旅行に同行し、殺人事件に遭遇する。
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ブーク…トム・ベイトマン
ポアロの友人の青年。
前作では国際寝台車会社『ワゴンリ』の重役だったが、勤務態度が悪くクビになり現在は母親のすねかじり中。
富豪のイギリス人リネットの知人でハネムーンパーティーの参加者。
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リネット・リッジウェイ…ガル・ガドット
イギリス人の大富豪。
サイモン・ドイルとスピード結婚して世間を騒がせる。
彼との結婚で元親友ジャッキーに恨まれている。
エジプトでのハネムーン旅行中に殺されてしまう。
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サイモン・ドイル…アーミー・ハマー
リネットのハートを射止めた大柄な男。
リネットの親友ジャッキーは元婚約者。
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ジャクリーン・ド・ベルフォール(ジャッキー)…エマ・マッキー
サイモンの元婚約者。
リネットとは学生時代からの親友だったが、彼をリネットに奪われてから夫婦にストーカーのように付きまとう。
ウィンドルシャム医師(リネットの元婚約者)…ラッセル・ブランド
ロザリー・オッタボーン(サロメの姪でマネージャー)…レティーシャ・ライト
サロメ・オッタボーン(歌手)…ソフィー・オコネドー
アンドリュー・カチャードリアン(リネットの財産管理者)…アリ・ファザル
ミセス・バワーズ(スカイラーの看護師)…ドーン・フレンチ
マリー・ヴァン・スカイラー(リネットの名付け親)…ジェニファー・ソーンダース
ルイーズ・ブルージェ(リネットのメイド)…ローズ・レスリー ほか
エドワード・ヘンリー・マスターマン(ラチェットの執事)…デレク・ジャコビ ほか
あらすじ紹介
前半
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1937年。世界的に有名な名探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、エジプト観光中に友人のブーク(トム・ベイトマン)と再会して、イギリスで著名な大富豪リネット・リッジウェイ(ガル・ガドット)と、夫サイモン・ドイル(アーミー・ハマー)のハネムーン旅行兼お披露目パーティーに加わることになりました。
ポアロはドイル夫妻から「サイモンの元恋人ジャッキー(エマ・マッキー)がストーカー化して困っている」と相談を受けますが、ジャッキーはつい数か月前までサイモンの婚約者だったことをポアロは知っていたので「もし彼女が周辺にいるだけで危害を加えていないなら、できることは無い。身の危険を感じるなら旅行はやめるべきだ」と答えました。
その後、夫婦はジャッキーを遠ざけるために客船でナイル川を下りながら旅行を続行しますが、ジャッキーは船にまで乗り込んできました。
夫婦は旅行を中断して明日帰宅することに決めますが、翌朝、リネットは銃殺死体で発見されました。
リネットはジャッキーが所持していた銃と同じ22口径の銃で撃たれていました。
後半
ポアロは真っ先にジャッキーを疑いますが、彼女は昨夜サイモンと口論になった末に取り乱したので、睡眠薬を大量に与えられ朝までぐっすり眠らされた上に、ナースのバワーズが彼女を寝ずに見張っていたのでアリバイがありました。
サイモンはジャッキーと口論した時に足を撃たれ、リネットの死亡推定時刻の午前0~2時はウィンドルシャム医師が看病していたので同じくアリバイがあります。
乗客全員に聞き込み調査をする中、リネットのメイドで死体の第一発見者だったルイーズも殺されてしまいました。
ポアロは彼女が犯人を知っていたのだと確信します。
その後、ポアロはブークの挙動が怪しいことに気付き問い詰めると、彼はルイーズが殺される瞬間と犯人の顔を目撃していたことが発覚しました。
ブークは実はリネットのネックレスを出来心で盗んでいて、それがバレるのを恐れて黙っていたのです。
ブークは観念して白状しようとしますが、口を開いた瞬間に何者かに撃たれて死んでしまいました。
ポアロはブークと彼の母ユーフェミア(アネット・ベニング)の恨みを晴らすためにも、証拠と証言をかき集めて犯人を特定しました。
結果、リネットを殺したのはサイモン、ルイーズとブークを殺したのはジャッキーだったことがポアロの口から明かされます。
ジャッキーとサイモンの恋愛関係は続いていて、サイモンがリネットと結婚したのも殺したのも財産目当てでした。
ジャッキーはサイモンへの愛ゆえに共犯者になりましたが、犯人が暴かれた直後にジャッキーはサイモンを撃ち殺し、彼女自身も銃で自殺しました。
半年後。ポアロは事件の始まりとなったレストランに行き『愛』について思いを馳せました。
事件概要と真相
諸事情が端折られていて小説読んだ人向けだったなとも感じましたが、個人的には前作より容疑者が少なかったのもあり、容疑者が覚えやすく理解しやすかったです。
映画で語られていなかった点を原作小説で補完しながら事件の全容を整理します!
リネット殺害の概要
エジプトでハネムーン旅行中だったリネットが、ナイル川に浮かぶ客船カルナック号の中で殺されてしまいました。
死因は拳銃でこめかみを22口径の銃で一発撃たれていて、死亡推定時刻は0~2時の間です。
彼女のベッド脇には高価なティファニーのネックレスが置かれていましたが、彼女の遺体が発見された時にはなくなっていました。
なお、ポアロは睡眠薬を盛られていて事件が起きた夜は眠り込んでいて、翌朝のメイドのルイーズの悲鳴で目覚めました。
リネット殺害のトリック
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事件の犯人はサイモン・ドイルとジャッキーだったことがわかりました。
2人の関係は切れておらず、サイモンは最初からリネットの財産狙いで結婚していました。
犯行方法はまず、サイモンがポアロの飲み物に睡眠薬を仕込んで一晩ぐっすり眠らせます。
犯行推定時刻、サイモンとジャッキーは喧嘩して、喧嘩の後にサイモンは足を怪我、ジャッキーはモルヒネで眠らされてアリバイがありましたが、喧嘩そのものが2人が容疑者から外されるための演技でした。
ジャッキーがサイモンを撃った銃は空砲で、彼は無傷でした。
サイモンは事前にユーフェミア(ブークの母)から盗んでいた赤い絵具で怪我を装いました。
乗客たちの意識はジャッキーに集中し、ブークがウィンドルシャム医師を探している間サイモンは1人になります。
この短時間でサイモンはジャッキーがわざと落とした銃を拾い、全速力でリネットの部屋に行き彼女を射殺しました。
その後、旅行中に盗んでいたスカイラーのスカーフで銃を包んで(消音のため)本物の弾で彼自身の足を撃ち、怪我の偽装がバレないように銃弾を1つ補充してからスカーフごと川に捨てて元居た場所に戻り、ウィンドルシャム医師が来るのを待って治療を受けました。
映画ではリネットとドイルのハネムーンパーティーはリネットが招待して催されたものでしたが、原作小説ではハネムーンは2人きりで行っていて、船に乗り合わせた乗客たちは偶然だったり、リネットと話すために集まったことになっていました。
メイドのルイーズはなぜ殺された?
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ルイーズはリネットに恋人と別れさせられた過去があり個人的な恨みを持つ人物でした。
彼女はサイモンがリネットを殺す一部始終を偶然目撃していたためにジャッキーに殺されてしまいました。
彼女は犯人を目撃したことをポアロに報告せず、サイモンに口止め料を要求しました。
サイモンがジャッキーにこの件をメモで伝え、ジャッキーがルイーズを呼び出してウィンドルシャム医師のメスで殺して川に遺棄しました。
ちなみに原作小説では、ルイーズの恋人の秘密は借金ではなく既婚者だったことでした。
ブークは何をした?
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ブークはジャッキーとサイモンの喧嘩の現場に居合わせていて、ジャッキーが発砲した直後にウィンドルシャム医師を探しに行きました。
この時、ブークは既に就寝していたリネットにも知らせようと部屋に入って、彼女が殺されているのを発見しました。
つまり、本当の第一発見者はブークです。
ブークは死体に慌てた直後、彼女のベッド脇にあったとても高価なティファニーのネックレスに心を奪われ、死体を見たことを内緒にしてネックレスを盗んでしまいました。
ブークが盗みをしたのは、母ユーフェミアの束縛から離れて恋人ロザリーと結婚したかったからです。
ブークは無職のすねかじり状態でロザリーを嫌う母に強く言えない状態でした。
ブークにはリネットのネックレスが、全てのしがらみから解放してくれる魔法のネックレスに見えたのでしょう。
しかし、その後「いずれ全てポアロに暴かれてしまうだろう」と冷静に考え直し、ネックレスをユーフェミアの荷物に紛れさせて返却しました。
さらに、ブークはジャッキーがルイーズを殺す現場も目撃していましたが、盗みがバレるのを恐れて口を閉ざしていました。
ポアロとブークの話し合いに同席していたサイモンは、部屋の外で銃を持って待機していたジャッキーに合図を送り、ブークが口を割るまえに殺してしまいました。
ちなみに原作小説にブークは登場せず、別の乗客の設定がブークにあてられています。
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後半は『犯行動機』、『その他の容疑者たちとリネットの関係』、『写真の女性カトリーヌの正体』などです!
感想などお気軽に(^^)
最後の銃のやつは正直いい気分がしなかった。前作もそうだけど、どちらかと言うとダークミステリーって感じなのかね。 見てもすっきりとしないで、ずっとモヤモヤしてる感じ。