映画「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
「事件の犯人と概要おさらい」「火だるま死体の正体は?」「エメリッヒはなぜ自殺した?」などについて書いています。
制作年:2004年
本編時間:100分
制作国:フランス
監督:オリヴィエ・ダアン ※代表作:映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」など
脚本:リュック・ベッソン
原作小説:「パープル・リバーズ」ジャン=クリストフ・グランジェ著
キャスト紹介
ピエール・ニーマンス…ジャン・レノ
パリ警察の殺人課の敏腕警部。
犬恐怖症を克服して小型犬を飼っている。
修道院で死体が壁に埋められていた事件を捜査する。
※ジャン・レノの他出演作…映画「ダ・ヴィンチ・コード」「レオン」など
レダ…ブノワ・マジメル
若き警部補。ニーマンスとは警察学校時代の知人。
重傷を負っていたイエス・キリストのコスプレ男を保護したことから事件に関わることになる。
※ブノワ・マジメルの他出演作…映画「地下室のヘンな穴」「愛する人に伝える言葉」など
エメリッヒ・V・ガルテン(ドイツの宗教担当大臣)…クリストファー・リー
修道院長…セルジュ・リアブキン
キリスト男…オータスティン・ルグラン
キリスト男の妻…ガブリエル・ラズール
フィリップ・エゼキタールの弟…ジョニー・アリディ ほか
あらすじ紹介
あらすじ①:
パリ警察の殺人課警部ピエール・ニーマンス(ジャン・レノ)は「壁から血が出てきた」と通報を受けてドイツとの国境近くにあるラボーデュー大修道院に出動します。
修道院を調べると、壁の中から死体が発見されました。
死体は失踪届けが出されていたフィリップ・エザキダールという中年男性だとわかりますが、修道院とは無関係の人物で殺された理由も不明です。
ニーマンスは修道院長にも話を聞きますが、容疑者に繋がる情報は得られません。
真っ黒なロングケープに身を包む修道士たちは全員『沈黙修行』の最中らしく取り調べすらできませんでした。
ニーマンスはフィリップ・エザキダールの実家に行き、フィリップの弟から「兄は熱心なキリスト教信者だった」と情報を得ます。
ニーマンスは宗教に詳しい人物の応援を要請しました。
次にニーマンスはエザキダールの友人男性の自宅を訪ねますが、友人の男は3か月前から失踪していました。
ニーマンスはその男の妻から「夫は熱心なキリスト教信者の男たちと度々集会を開いていた」と聞きます。
ニーマンスは友人の妻が保管していた「夫と11人の仲間たちの集合写真」をもらいます。
その写真はイエス・キリストと使徒12人の絵画『最後の晩餐』を真似たものでした。
使徒が11人しかいないのは、1人が撮影係をしたからです。
その日の夜、レダ刑事(ブノワ・マジメル)はどこからか飛び出してきたイエス・キリストそっくりの男を車で轢いてしまいます。
男は轢かれた後も錯乱状態で走り続けた挙句に倒れてしまいました。
キリスト男が銃で撃たれているのに気づいたレダは、救急車を呼んで病院に搬送しました。
キリスト男は身元がわかる物を持っておらず「犯罪歴もなく失踪届けが出されている人物でもない」程度しかわかりませんでした。
翌日、レダが病院に様子を見に行くと、キリスト男は何者かに殺されかけていました。
レダは病院から逃げようとしていた全身真っ黒な修道士を追いかけますが、修道士は超人的な身体能力で逃げてしまいました。
その修道士の風貌はラボーデュー大修道院の修道士と酷似していました。
あらすじ②:
同じ頃、ニーマンスは使徒の1人でレンガ職人のトマ・デュレに会うため、彼の仕事場であるマジノ線の地下トンネルに行きますが、デュレは2週間も無断欠勤していると知らされます。
ニーマンスがトンネル内を見て回ると、壁に不自然に張られていた木板の向こうからトマ・デュレの死体が出てきました。
どうやら殺人犯は集合写真に写るキリスト男と使徒たちを皆殺しにしようとしているようです。
その後、ニーマンスは「キリスト男」が入院していると連絡を受け、病院で知人警官のレダと8年ぶりに再会します。
ニーマンスがキリスト男に記憶が鮮明になる薬を注射すると、男は「最後の審判の日が近い 黙示禄の天使たちが来た」などとうわごとを言いました。
その後、捜査の協力者として宗教学の専門家マリー(カミーユ・ナッタ)が来てくれて、聖書の黙示禄について教えてくれます。
キリスト男の言う「最後の審判」とは、黙示禄にある「七つの封印が解かれると世界が破滅する」という予言、『黙示録の天使』は、黙示録に登場する『七つの封印を解く天使』のことだとわかりました。
その後すぐ、近くの古物商店で店主のユダとシモンが惨殺されているのが見つかります。
この2人もまた集合写真に写るキリスト男の使徒でした。
被害者情報に目を通したマリーは、使徒に扮する彼らは聖書にある本物の「12人の使徒」と名前と職業が一致していることに気付きます。
その後、使徒の1人である空港の税関員の男が惨殺されていたことがわかりました。
現時点ではキリスト男は生きていて、使徒の5人は殺され、残り7人の生死はまだ不明です。
あらすじ③:
ニーマンス、レダ、マリーは『使徒の4人は漁師』という情報を元に、使徒の4人組が所有する湖沿いの小屋を訪ねます。
しかし時すでに遅く、小屋の外で使徒4人のバラバラ死体が見つかりました。
死体を見つけた直後、小屋に隠れていた黒い修道士が飛び出してきました。
ニーマンスは車で追いますが、修道士はマジノ線に残っていた古いバルカン砲でニーマンスを攻撃して姿をくらましました。
犯人集団はマジノ線の地下トンネルとその設備を使いこなしていたのです。
その後、使徒の1人が食料品店で管理職をするバルテルミー・ドゥベルノーだとわかります。
ニーマンスとレダが店に行くと、店内には黒い修道士4人がいてまさにバルテルミーを狙っている最中でした。
ニーマンスとレダは修道士を捕まえようとしますが、修道士たちはものすごい身体能力でバルテルミーを刺し殺して逃げてしまいます。
ニーマンスは乱闘の末に残った修道士の人差し指と血を鑑識に回しますが、男の身元はわかりませんでした。
ニーマンスたちが警察署に戻った直後、また別の使徒が警察署の前で焼殺体で見つかりました。
ここまでで使徒11人が殺され、残るは1人だけです。
あらすじ④:結末
警察はラボーデュー大修道院の捜査令状を取って院内を強制捜査します。
このときニーマンスは、修道院とドイツの宗教担当大臣エメリッヒ・ガルテン(クリストファー・リー)が繋がっていることを知ります。
しかし修道院から犯罪の証拠になりそうなものは出てきませんでした。
その後、集合写真が撮られた教会がわかったのでニーマンスとレダとマリーで行ってみます。
教会に向かう道中、マリーは「最近『封印』と呼ばれるロタール二世の宝が盗まれた」と話します。
ロタール二世は西暦800年代中頃の中部フランク王国の王で、『封印』は彼の財宝が隠されているとされるお墓を開けるカギです。
教会には12使徒の最後の一人の神父シモンが生きてそこにいました。
シモンの発言から、ニーマンスはシモンが『封印』を盗んだ張本人だと気づきます。
シモンは「書を守らねばならない」と言い、ニーマンスに『封印』を見せた時、ここでも修道士集団が現れて『封印』は奪われ、神父シモンは殺されました。
その日の夜、ニーマンスは修道院長をだまして『扉(墓)』が開かれるのは明日だと口を割らせます。
修道院長は部外者に情報を漏らした責任を感じて自殺しました。
同じ頃、大臣のエメリッヒは部下を引き連れてマジノ線の地下トンネルに入りました。
同じころ、ニーマンスはラボーデュー大修道院には鐘堂があるのに鐘の音を聞いていないことから『扉』は鐘堂の近くにあると推理し、レダと突撃することにしました。
マリーには病院にいるキリスト男に付き添ってもらい、必要な時には無線で会話できるように準備しました。
ニーマンスとレダは鐘堂からロープで真下に降りていくと、マジノ線の地下に続く壁穴が見つかりました。
2人が降りた部屋には修道士の装備や武器に加え、アンフェタミンという薬物がありました。
アンフェタミンは身体機能と集中力を増幅して痛みを感じにくくする作用があり、戦時中にはドーピング剤として使用されてきましたが、現在は法律で禁じられている薬物です。
修道士たちの超人的パワーの秘密はアンフェタミンでした。
ニーマンスとレダはアンフェタミンの小瓶を1つずつポケットに入れました。
その直後、ニーマンスとレダは修道士たちに見つかって拉致され、ロープで拘束されてロタール2世の墓の前に連れてこられました。
ここに事件の首謀者であるエメリッヒが現れて、ニーマンスにこれまでの経緯を語ります。
エメリッヒは第二次世界大戦中にドイツ軍兵としてマジノ線に入った時、要塞内で偶然このお墓を見つけました。
その後ドイツは敗戦してエメリッヒは帰国しましたが、その後長い年月をかけてお墓を調べ、ここにロタール二世がバチカンから賜った秘宝が眠っていることを知りました。
エメリッヒが動き始めた頃には『封印』はキリスト男たちにより盗まれた後でした。
エメリッヒはラボーデュー大修道院に協力を求め、墓の秘密を知るキリスト男ら13人を次々に暗殺していたというのが連続殺人事件の真相でした。
エメリッヒが『封印』を使って墓の扉を開くと、中には大きめの書物が入っていました。
会話を聞いていたマリーは「その本を動かすと罠が発動する」と警告しますが、エメリッヒはかまわず本を手にとって夢中で吟味します。
数分後、部屋全体から徐々に水漏れを起こし、湖の水が浸水してきました。
エメリッヒはお墓も書物も水没したのを見届けると、銃を取り出して自殺してしまいました。
エメリッヒの部下たちも全員溺死しました。
ニーマンスとレダはなんとかロープをほどいて逃げ、最後はアンフェタミンを飲んで地上に脱出しました。
騒動が片付くと、ニーマンスとレダは一緒にキリスト男のお見舞いに行きました。
男はまだ目覚めませんが、表情は穏やかです。
病室を出たニーマンスは、レダに「俺のペットの犬の名前はレダにする」と冗談を言って笑いました。
解説・考察・感想など
ご都合主義な演出、死体のそばの印の意味、目次録と絡めた意味を感じないなど若干の残念感はありましたが、次々に登場する死体や映画そのものの雰囲気は前作と似ていて楽しめました!
以下事件の概要や疑問点をまとめました。
連続殺人事件の犯人と概要おさらい
前作よりはわかりやすかったですが、今回の事件もなかなか複雑だったので時系列順に整理します。
この事件の主犯であるエメリッヒ(クリストファー・リー)は第二次世界大戦中にドイツ軍としてマジノ線に赴任し、偶然高貴なお墓を発見します。
エメリッヒは終戦で帰国した後もお墓が忘れられず、地道に調べてロタール二世のお墓と秘密にたどり着きます。
エメリッヒがお墓の秘密を調べている間に、キリスト男と12人の使徒はラボーデュー大修道院が所有していた使われていない修道院の1つを安値で買い取り、改修している最中にたまたまロタール二世のお墓を発見しました。
神父シモンがロタール二世のお墓の秘密に気づき、慌てて『封印』を盗んで大切に隠し持っていました。
エメリッヒは『封印』が先に盗まれたことで自分の他にもロタール二世のお墓の場所と秘密を知っているものがいると察し、キリスト男と使徒12人がお墓の秘密を知っていることを突き止めます。
エメリッヒはロタール二世のお墓を我が物にするためラボーデュー大修道院と結託して売った修道院も買い戻させ、キリスト男と12人の使徒を皆殺しにしたのが事件の流れです。
ちなみに『封印』を持っていた神父が殺されたのが最後だったのは、ニーマンスの「惨殺な殺し方は脅しをかけているから」という発言から、修道院としては神父を殺すのに抵抗があったので、神父以外の使徒を次々に殺していくことで「封印を渡して仲間になれ」と神父に言葉なき脅しをかけていたのでしょう。
キリストの絵とくり抜かれた目玉
古物商の2人が殺されたとき、キリストの絵にくりぬかれた目玉が置かれていました。
これはラボーデュー大修道院からシモン神父への「『封印』を盗んだのは(または持っているのは)お前だと知っているぞ」という脅しのメッセージだったと思われます。
焼き殺されたのは誰?
使徒は12人もいるわ、死体は次々出てくるわで被害者が誰が誰だか混乱した方も多かったのではないでしょうか。
まず多くの人が「こいつ誰?」と思ったであろう警察署前で火だるまにされた被害者は、消去法でマリーが使徒の職業のくだりで触れていた「無職のシモン」だと思われます。
残りのメンバーも簡単にまとめます。
2人目のマタイは税関員で、空港で磔にされ刺殺
3人目のトマはレンガ職人で、死体がトンネルの壁に隠される
4、5人目のユダとシモンは商人(古物商)で、目玉をくりぬかれ刺殺
6〜9人目のペテロ、アンドレ、ヨハネ、ヤコブは漁師で、バラバラ死体
10人目のバルトロマイは管理職で、スーパーで刺殺
11人目のシモンは無職で、警察署前で火だるま
12人目がもう1人のシモンで神父、教会でボウガン
正確には聖書から職業が分かっている使徒は5〜6人だけ(漁師4人と徴税人のマタイと、シモンは「恐らく漁師」)で他のメンバーの職業は不明であり、何でも屋、管理職、商人などの職業は映画の脚色だと思われます。
エメリッヒはなぜ自殺した?
エメリッヒは何年もかけてロタール二世の墓の秘密を突き止め、人殺しまではたらいて本を手にしたのにあっさり自害してしまったのが疑問でした。
普通なら書物を持って必死に生き延びようとしていたはずです。
なのでまともな思考で自殺したとは考えにくいので、自殺直前の不敵な笑み、沈んでいくお墓と書物、電球の点滅などの描写から、エメリッヒは墓を暴いたことでロタール二世の怒りに触れ、霊的な何かにとり憑かれて自殺したのではないかと解釈した方が個人的には筋が通ってスッキリしました。
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