映画「クリムゾン・リバー」ネタバレ解説考察|事件の真相、轢かれた子は誰?犬が怖い理由など | 映画の解説考察ブログ

映画「クリムゾン・リバー」ネタバレ解説考察|事件の真相、轢かれた子は誰?犬が怖い理由など

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クリムゾン・リバー サスペンス

映画「クリムゾン・リバー」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
「ファニーとジュディットの過去考察」「被害者が殺された理由」「深紅なる川の意味」などについて書いています。

クリムゾン・リバー

制作年:2000年
本編時間:105分
制作国:フランス
監督:マチュー・カソヴィッツ ※代表作:映画「ゴシカ」など
脚本:マチュー・カソヴィッツ、ジャン=クリストフ・グランジェ
原作小説:「パープル・リバーズ」ジャン=クリストフ・グランジェ著

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キャスト紹介

ピエール・ニーマンスジャン・レノ
パリ警察の殺人課の敏腕警部。犬恐怖症。
アルプスの麓にある小さな村ゲルノンで猟奇殺人事件が起こり、特別捜査班として捜査に来た。
※ジャン・レノの他出演作…映画「ダ・ヴィンチ・コード」「レオン」など

マックス・ケルケリアンヴァンサン・カッセル
ゲルノン村の近くにあるサルザック地区の若き警部補。
サルザックで起きた墓荒らしと小学校で起きた不法侵入の捜査を担当する。
※ヴァンサン・カッセルの他出演作…映画「美女と野獣」「ブラック・スワン」など

ファニー・フェレイラ/ジュディット・エロー…ナディア・ファレス
シェルネゼ(眼科医)…ジャン=ピエール・カッセル
レクター(ゲルマン大学学長)…ディディエ・フラマン
ユベール(学長秘書)…ローラン・ラフィット
ダーマン刑事…カリム・ベルガドラ
病理学者…フランソワ・レヴァンタル
警官…オリビエー・ルーセット、トニオ・デッサンヴェル
交通事故資料管理の男…フィリップ・ナオン
修道女…ドミニク・サンダ ほか

あらすじ紹介

あらすじ①:

クリムゾン・リバー

(C) 2000 Gaumont – StudioCanal

フランスのアルプス山脈で男の全裸死体が発見されました。
死体の身元はアルプスの麓にあるゲルノン村のレミー・ケロア32歳で、村唯一の大学「ゲルノン大学」の図書館司書だった人物です。

ケロアは両手を切断され目玉をくり抜かれるなどの拷問の末に殺されていて、村では異例の猟奇殺人事件として、パリから殺人課の敏腕警部ピエール・ニーマンス(ジャン・レノ)が応援に駆けつけました。

ニーマンスはゲルノン村の眼科医シェルヌゼ(ジャン=ピエール・カッセル)に話を聞きに行き、ゲルノンでは風習で近親婚が続いていて、ここ2世代前から遺伝子が弱り何らかの疾患を持つ村人が増えているという情報を得ました。

一方、ゲルノンの近くにあるザルザック地区に配属されたばかりの警部補マックス・ケルケリアン(ヴァンサン・カッセル)は、近所で起きた墓荒らし小学校への不法侵入を担当します。

墓荒らしの被害にあったのは、1982年に10歳の若さで交通事故死した女の子ジュディット・エローのお墓でした。
不法侵入があった小学校から盗まれたものは、記録保管室に保管されていたジュディットの記録と集合写真でした。

 

あらすじ②:

ゲルノン大学の歴史は古く、学業面でもスポーツ面でも世界有数の質の高さを誇っています。
ニーマンスはゲルノン大学で最初の被害者ケロアについて聞き込みしますが、大学全体が捜査に非協力的です。
イラついたニーマンスは大学寮内にあったケロアの部屋をぶち破り、ケロアが博士論文のテーマで遺伝子について書いていたことがわかりました。

その後、ニーマンスはケロアの死体を見つけたゲルマン大学教授で雪崩研究が専門のファニー・フェレイラ(ナディア・ファレス)に聞き込みしますが、警戒され特別な情報は得られませんでした。

ファニーと別れた直後、ニーマンスはケロアの眼孔にたまっていた水の検査結果を知らされます。
それは酸性雨でしたが、この地域で酸性雨は80年代になってから降っていないらしく、謎は深まります。

同じ頃、マックスは修道院にいたジュディットの母親に会いに行くと、母親は「ジュディットは悪魔に殺された」「悪魔がジュディットの生きていた証拠も消そうとしている」と語ります。
マックスとのやりとりで、母親はゲルノン村出身だとわかりました。

翌日、マックスは不良グループ「スキンズ」に事情聴取に行き、ジュディットの墓が荒らされた時間帯に怪しい男が白いラダ(車種)で墓地から走り去るのを見たと目撃情報を得ました。
その後の調べで、フィリップ・セルティスという男がゲルノンで白いラダを所有する唯一の人物だとわかります。

一方、ニーマンスはファニーと一緒にアルプス山脈の雪の層から水のサンプル(ケロアの目から出た水と同成分と思われるもの)を採取した後、氷でできた洞窟の中で全裸の男の遺体を発見しました。
遺体の身元はゲルノン村に住むフィリップ・セルティスという29歳の産科医でした。




あらすじ③:

ニーマンスとマックスはセルティスの自宅捜査で鉢合わせ、お互い警察官である上にマックスがニーマンスのファンだったこともあり協力し合います。
セルティスの自宅地下室からは犬で何かの実験をしていた痕跡と、小学校から盗まれたジュディット・エローの資料が見つかりました。

セルティスの死体もまた両手と両目がなく、眼孔には義眼が入れられていました。
義眼が次の犯行のヒントだと悟ったニーマンスは眼科医のシェルヌゼ医師の所に走りますが、シェルヌゼも既に殺されていました。

その直後、シェルヌゼの自宅に隠れていた黒ずくめの人物が逃走し、体力に自信のあるマックスが全力で追いかけたにも関わらず逃げられてしまいました。
黒ずくめの人物は逃げる際にニーマンスの銃に素手で触りました。
銃に着いた指紋を検査すると、ヒットしたのはなぜか死んだはずのジュディット・エローの指紋でした。

その後、ニーマンスとマックスはお互いの担当事件を話し合い整理すると、連続殺人事件の裏にはゲルノン大学の陰謀が関わっていると考えざるを得ませんでした。

マックスと別れた後、ニーマンスは事情聴取を終えた所だったファニーを自宅に送ります。
この時の会話で、ファニーはシェルヌゼの娘であり、ゲルノン大学長の息子で学長秘書のユベールが婚約者だったものの、親もゲルノンの風習も嫌いになって婚約を破棄していたことがわかりました。

ニーマンスはファニーが犯人像に近いとは思ったものの、拷問殺人できるタイプではないと判断してファニーと別れました。

同じころ、マックスはジュディット・エローの墓の中を確認し、棺に置かれていた少女の写真を手に入れました。

 

あらすじ④:結末

翌日。ニーマンスは再びゲルノン大学の図書館を訪れます。
この図書館では教室のように生徒一人一人が使う席が決められていて、向かいの席を使う異性の生徒が婚約者でもあります。

ケロアの論文には、かつてナチスも試みた優生学とほぼ同じ内容が書かれていて、ゲルノン大学の闇が想像以上に深いことを知りました。

大学を出てマックスと合流したニーマンスは、ジュディット・エローの墓にあった写真を見せてもらい、それが幼い頃のファニーの写真とわかると慌てて車でファニーの元に向かいます。

ゲルノン大学では優生学に基づいて「完璧な人間」を生み出す研究が行われていて、近親交配も厭わないカップリングを続けた結果、遺伝子が弱り身体のどこかしらに疾患を持つ子どもが頻出しました。
そこで大学は村の産科医フィリップス・セルティスと共謀して研究により生まれた疾患を持つ赤ちゃんを、村の誰かが生んだ健康な赤ちゃんとすり替える行為をしてきました。

ニーマンスは、ファニーとジュディットもかつて入れ替えられた赤ん坊であり、連続殺人の犯人はファニーで間違いなかったと推理しました。
その時、ニーマンスとマックスが乗る車に作業用トラックが襲いかかります。
2人は殺される寸前でトラックの運転手を撃ち殺して何とか生き残ります。
トラックの運転席で死んでいたのはゲルマン大学長の息子ユベールでした。

大学は警察に研究のために犯した罪が明るみになることを恐れ、真相に近づいた2人を消そうとしたのです。

ニーマンスとマックスはファニーがいるアルプスの雪山に向かいます。
手榴弾を持つファニーをニーマンスが夢中で説得していると、背後からファニーと瓜二つの女が現れてニーマンスとマックスを襲います。
ファニーは実は一卵性の双子であり、連続殺人の主犯は双子の片割れであり凶暴な性格のジュディットで、ファニーはゲルノンに対する憎しみからジュディットを手伝っていたのです。
殺された男たちはみな大学の研究と赤ん坊のすり替えに関わっていた人物でした。

もみ合いの末に手榴弾が爆発して雪崩が起こり、ジュディットは死に、ニーマンスとマックスとファニーは雪に閉じ込められました。
数時間後、救助隊が駆けつけてニーマンス、マックス、ファニーは助けられました。

事件を通じてマックスに心を開いたニーマンスは、犬恐怖症になった理由をマックスに打ち明けます。




解説・考察・感想など

ジュディット・エローの犯行とゲルノン大学の犯行が入り混じっていて複雑だったので私なりに整理してみます。

ジュディット・エローとファニーの過去を推測

クリムゾンリバー

(C) 2000 Gaumont – StudioCanal

ただでさえ複雑な内容に、ラストでトドメのようにファニー双子落ちとなり混乱の中でエンドクレジットを迎えた私のような方も多いのではないでしょうか。
事件の流れを理解するためにジュディットとファニーの生い立ちを推測します。

ファニーとシェルヌゼ医師の子の入れ替え

まずジュディットとファニーの母親は修道院にいた盲目の女です。
盲目だったので、おそらく彼女もゲルノン大学の優生学研究で生まれた人物です。

盲目の女がジュディットとファニーを産んだ日とほぼ同時期にシェルヌゼ医師(眼科医)にも女の子が生まれますが、シェルヌゼ医師の子どもには恐らく目に異常がありました。

そこで産科医のフィリップ・セルティスの父親が大学の決めたルールに則ってシェルヌゼの子どもとファニーを交換します。
双子の片割れを交換するのはいかがなものかと思いますが、近い日に生まれた女の子が双子しかいなかったか、双子の母親が盲目なのでバレないと思ったのでしょう。

そしてファニーはシェルヌゼ医師の子として育てられ、ジュディットとシェルヌゼ医師の子『S子』(仮にS子と表記します)が双子の母親に育てられることになります。

ジュディットの暗殺 事故死した子は誰?

ファニーたちが10歳になった頃、大学はジュディットの暗殺を計画します。
3人が学校に通い始め、ファニーとジュディットが似過ぎていたこと、ジュディットとS子が似ていないなどで村で噂が立ったか、
元々赤ん坊を入れ替えた時点でジュディットは殺す予定だったのに何らかの理由で殺せず、ジュディットが生きていることに大学が気づいたのがその時だったのか、わかりませんがその辺が暗殺の理由と思われます。

大学は交通事故死に見せかけてジュディットを暗殺しようとしましたが、大学の狙いに気づいた双子の母親はジュディットを守るために彼女の指を切り落とし、事故が起きた後にジュディットの指を警察に渡して身元の割り出しに使わせました。

双子の母親がこんな行動を取ったのは、ファニーとS子が入れ替えられたことに気づいていたからです。
そしてトラックに轢かれて死んだのはS子(シェルヌゼの子)でした。
暗殺を任されたのも恐らく大学内部の人間でプロではないでしょうから、轢いたのがジュディットかS子かちゃんと確認しなかったのではないでしょうか。(遺体はぐちゃぐちゃで確認できなかったのかもしれませんが)

双子の母親は入れ替えられたとわかっていてもわざとS子を殺させるほど残酷ではないと思うので、暗殺係が殺す相手を間違えて、母親が狙いに気づいて「このままでは2人とも殺される」と思い、ジュディットを死んだことにした線が濃厚ではないかと勝手に思ってます。

事故死したのはS子でしたが、母親の機転で世間的にはジュディットが死んだことになり大学は静かになりました。
その後ジュディットがどうやって生きてきたのかわかりませんが、学校にも通えないし顔見知りにも会うとバレる恐れがあるので母親と一緒に修道院で育ったか、どこか別の地域で施設に入ったか位しか想像できません。

ファニーとジュディットが出会う

ファニーとジュディットが出会った時期や経緯はわかりませんが、何となくジュディットが本当の双子が別にいることを母親から聞いてファニーを見つけたのではないかと想像しています。

ファニーは本当のことを子供の頃から知っていたらゲルノン大学に入学も就職もしていないだろうなので、ジュディットと出会って真実を知ったのは恐らく大学就職後です。

真実を知ったファニーはヌベールとの婚約を破棄し、家を借りて双子が一緒に住み始め、怒りのおさまらないジュディットが関係者を全員殺すことを提案したのでしょう。
ファニーも計画に同意(?)して関係者を調べた結果、図書館司書のレミー・ケロア、産科医のフィリップ・セルティス、眼科医のシェルヌゼは恨みが深いため1人ずつ殺し、他は雪崩で村ごと消すことにしたのでしょう。

次のページに続きます!

2ページ目は「被害者が殺された理由」「墓荒らしと小学校侵入の犯人は?」「学長の息子がニーマンスとマックスを襲ったのはなぜ?」「深紅なる川の意味」「ニーマンスが犬恐怖症になった理由とは?」です。




感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    超分かりやすくて助かりました。ありがとうございました。

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