『NOPE/ノープ』ネタバレ解説考察|チンパンジー、馬の暴走の意味、隠されたメッセージ、ナホム書など | 映画の解説考察ブログ

『NOPE/ノープ』ネタバレ解説考察|チンパンジー、馬の暴走の意味、隠されたメッセージ、ナホム書など

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ノープ SF

映画『NOPE /ノープ』のあらすじ紹介、解説考察をしています!

前作『ゲットアウト』『アス』とは毛色の違う作品で過去2作寄りの作品を期待するとがっかりするかもしれませんが、未確認飛行物体系が好きな方や、ピール監督独特の隠されたメッセージを読み取るのが好きな方はハマるんじゃないかなと思いました。
この記事では気になった点や印象に残った点などを考察します。

鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください(__)

ノープ

原題:NOPE
制作年:2022年
本編時間:131分
制作国:アメリカ
監督・脚本:ジョーダン・ピール

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主要キャスト紹介

ノープ
©2021 UNIVERSAL STUDIOS
オーティス・ヘイウッド・ジュニア(OJ)…ダニエル・カルーヤ
牧場主の父が『空からの落下物』が直撃して突然死するという不幸な奇跡に見舞われ、突然牧場を継ぐことになった。
馬は大好きだがシャイで人付き合いが苦手なため、父の死後は営業活動を妹のエムに頼り切り。

 

ノープ
©2021 UNIVERSAL STUDIOS
エメラルド・ヘイウッド(エム)…キキ・パーマー
OJの妹。俳優、歌手、ダンス活動などで生活費を稼ぎ、ヘイウッド牧場の運営には家族のよしみで力を貸している。
無口なOJとは対照的に口が達者で交渉は得意。
兄と一緒に父が死んだ謎の原因を探る。

 

エンジェルブランドン・ペレヤ
OJとエムが利用した家電量販店の店員。
2人がUFOの撮影をしようとしていることを知り、好奇心から協力する。

 

リッキー・”ジュープ”・パクスティーブン・ヤン
元子役俳優の男。ヘイウッド家の牧場付近で個人経営の遊園地『ジュピターズ・クレーム』を営んでいる。
1998年に彼が出演したドラマ『ゴーディーズ・ホーム』の撮影中、共演したチンパンジーがスタジオで突然暴れて人間がチンパンジーに殺される現場を目の当たりにした。

 

アントラーズ・ホルストマイケル・ウィンコット
映画俳優。OJとエムが撮影協力を依頼する。
オーティス・ヘイウッド・シニア…キース・デイヴィッド
メアリー・ジョー・エリオット…ソフィア・コト
ネッシー(家電量販店店員)…バービー・フェレイラ
ボニー・クレイトン…ドナ・ミルズ
ゴーディー…テリー・ノタリー ほか 
 

あらすじ紹介

ノープ

空を見上げるOJとエムの父 ©2021 UNIVERSAL STUDIOS

アメリカ カリフォルニア州の僻地アグアドゥルセにある『ヘイウッド牧場』は、映像技術が発明された初期から映画やドラマ、CM撮影のための馬のレンタルをメインに商売している牧場です。
牧場主のオーティス・ヘイウッド、シャイな跡継ぎ息子のOJ、自由奔放な妹のエムの3人はそれなりに仲良く生活していました。

そんなある日、日課の馬の世話をしていたオーティスに空から落下してきた何かが直撃して倒れ、そのまま亡くなってしまいます。
病院で調べてもらうとオーティスの頭部にめり込んだ落下物はコインだったと判明し、飛行機からの落下物だろうということで片付けられました。

それから半年後。OJは父の牧場を受け継ぎましたが、営業が苦手なせいか全然仕事がありません。
お金に困ったOJは過去の取引先をあたり、CM撮影に使う馬を貸し出す仕事をゲットしました。
OJとエムは撮影スタジオに馬ラッキーを連れて行って仕事をしますが、スタッフが突然出した鏡にラッキーが驚いて大きなキックを繰り出してしまいます。
怪我人は出ませんが撮影道具が壊れ、馬の近くにいたスタッフと女優は危険な目に遭ったため、OJは「お父さんが信頼出来たから仕事を頼んだのに残念だ お前にはまだ早い」と告げられクビになってしまいました。

OJは牧場近辺にある『ジュピターズ・クレーム』という小さな遊園地を経営するジュープが馬を買いたがっていることを知り、苦肉の策でラッキーを含めた馬を10頭ほど売りました。
OJが「大事な馬だから、お金が貯まったら馬を買い戻したい」と言うと、ジュープは「わかった」とは答えますが表情は雲っています。
この時、OJとエムはジュープが元子役俳優だったことを知り、1990年代に流行ったコメディドラマ『ゴーディーズ・ホーム』にジュープが出演していたことを知りました。

『ゴーディーズ・ホーム』は人気番組だったものの、ドラマの要だったチンパンジーのゴーディーが撮影中のスタジオで突然暴走し、出演者を殺して打ち切りになった恐しい逸話のあるドラマです。

ジュープはゴーディーが暴れた時に唯一襲われなかった出演者でした。
ジュープは現在も『ゴーディーズ・ホーム』のグッズを制作・販売したり、本を出版したりしてコアなファンからの支持を得ています。

その日の夜、OJの愛馬ゴーストの様子がおかしいので外に出てみたOJは、夜空に空飛ぶ謎の円盤を目撃しました。
円盤が現れる前後に電気系統が乱れ、ゴーストは何かを恐れるように牧場から逃げてしまい、そのまま戻ってきませんでした。

翌日、エムが「未確認飛行物体を撮影してひと儲けしよう」と言い出したので、2人は電気屋さんに行って監視カメラを購入し、牧場の要所に設置しました。
監視カメラの設置をしてくれた電気屋店員のエンジェルは、2人が未確認飛行物体を狙っていることを知ると興味本位で仲間に加わりました。

数日後、エムはUFOをおびき寄せるために『ジュピターズ・クレーム』から等身大の馬の模型を拝借して放牧地に設置してみると、狙い通りにその日の夜、巨大な円盤型の飛行物体が現れて模型の馬を吸い込みました。
しかし、肝心の瞬間にはカメラの前にカマキリが鎮座していたため撮影は出来ませんでした。




解説・考察・感想など

タイトル『NOPE』の意味

NOPE』は何かを否定する時に使う『NO』のスラングで、友人や家族同士のフランクな場面で使われます。
映画『ブレット・トレイン』ではブラピがわかりやすく「Nope」と言っていたのが個人的に印象的でした。

この映画は『ホラー』ジャンルでありながら怖いシーンがほぼなく、どちらかというと社会風刺に力が入っているように感じるので、ピール監督が皮肉を込めてつけたタイトルと言われています。

 

謎の飛行生物Gジャンの正体は?

ノープ

©2021 UNIVERSAL STUDIOS

OJ達が『Gジャン』と名付けた例の飛行物体は、動物や人間を食べる肉食動物でした。
Gジャンは模型の馬を本物と間違えて食べてしまう位なので知能はそこまで高くないと思われます。

地球外生命体のようにも見えますが、『旗やビニールを食べると呼吸出来なくなる』『半年以上同じ場所にとどまっている』という情報から、Gジャンはもしかしたら人間がまだ見つけていなかった新種の動物だった(地球外生命体ではなく地球で生まれ独自に進化した動物)可能性もある気がします。

目が合うと攻撃(捕食)される』という性質も、地球の動物の多くに備わっている『敵意、殺意のある時だけ相手を見つめる習性』と似ているので、地球の生き物っぽさを結構感じます。

筆者にとって身近な動物である犬も、敵意が無いことを相手に示すためにわかりやすく目をそらす習性がありますし、おサルさんも一緒で『野生の猿と目を合わせてはいけない 目が合うと攻撃される』とよく言われるのは、野生の猿にとって視線は敵意、殺意の意味を持つからです。
野生動物にとっては『視線を感じる=命を狙われている』ことになるので視線に非常に敏感ですし、気付くと本能的に逃げるか戦うかどちらかの行動を取ります。

動物園やペットで人慣れしている動物は見られることにも慣れて人間の視線に攻撃性はないと学習していますが、野生動物は動物同士のルールだけで生きているので、動物ルールの『目を合わせる=敵意』を人間にも当てはめてしまうのです。

キャトルミューティレーションや、空から降ってくる変な物の正体の可能性を広げてくれた点や、一般的に『空飛ぶ円盤』とくれば『UFO(宇宙人の乗り物)』ですが、そういう先入観も覆して円盤に純粋な興味を抱かせてくれたピール監督さすがです。

また、クラゲのように変形して緑色のヒラヒラを広げていたのは、恐らく威嚇行動だったと思われます。




Gジャンが牧場付近に留まっていたのはなぜ?

ノープ

©2021 UNIVERSAL STUDIOS

Gジャンがヘイウッド牧場近辺から動かず、馬を好んで食べていたのはジュープが餌付けしていたからです。

ジュープは早くからGジャンの存在に気付いていて、あれを見世物にするために馬で餌付けして飼いならそうとしていたのです。
Gジャンは定期的に馬を食べさせてもらえるから、ジュピターズ・クレームと、餌である馬がいるヘイウッド牧場周辺に野良猫ばりに居ついていたのでしょう。
OJたちの牧場に落ちてきて父に直撃した硬貨も、元は『ジュピターズ・クレーム』の収益金の一部だったのではないでしょうか。

 

ナホム書の引用

わたしはあなたに汚物をかけ あなたをはずかしめ あなたを見せものとする

冒頭に登場したナホム書は、旧約聖書に登場する予言書のひとつで、エジプトの都市の滅亡が暗示されている内容です。
GジャンによってOJ達の地域で大量殺人が起こることの暗示にも思えます。

また、引用の『汚物をかけ』は、Gジャンが『ジュピターズ・クレーム』で吸い込んだ人々の消化後の残骸や、消火出来なかった無機物類をOJとエムの家の上でひねり出すシーンの暗示です。

はずかしめ』は、ナホム書の中で『裸を公衆の面前にさらすこと』が最も屈辱的な行為だったことから、Gジャンを撮影して世に広めようとしていたOJとエムの撮影計画の暗示だと思われます。

最後の『見せもの』はジュープが観客を集めてGジャンが馬を捕食する瞬間をエンタメショーにしようとしていたことの暗示だと思われます。
書き出してみると『はずかしめ』と『見せもの』の違いがよくわからなくなってきます。

また、ナホム書の第1章には『主の道はつむじ風と大風の中にあり、雲はその足のちりである』という一節がありGジャンの特徴と一致するので、この映画はナホム書を元に考案されたのかもしれません。

 

チンパンジーのゴーディーとGジャンの関係は?

ジュープの子役時代の恐怖体験である『ゴーディーズ・ホーム事件』は、エムたちが『Gジャン』と名付けた例の未確認飛行物体とどのような関係があったのでしょうか。

よく思い出してみると、ちょこちょこ出て来た動物の登場シーンは全てGジャンに繋がるヒントでもありました。
馬が鏡を見て驚くシーン』には、動物は目を合わせることに脅威・敵意を感じる習性があり、Gジャンも同様だったこと、
ホルストが見ていた肉食動物や爬虫類の捕食映像集』も『UFOに吸い込まれる=キャトルミューティレーション=宇宙人が地球の動物や人間をさらって未知の実験対象にする』という先入観を払拭し、Gジャンが純粋に食べるために馬や人間を吸い込んでいたことを暗示、強調するためのものです。

ゴーディーの事件もまたGジャンに関する補足だとすると、ジュープは偶然でしたがチンパンジーの敵意を刺激しない(目を見ない)行動が取れたおかげで襲われずに済んでいたことから、Gジャンに対しても対応の仕方によっては襲われずに済む方法があるということの暗示だったのではないかと解釈しています。

次のページに続きます!




感想などお気軽に(^^)

  1. クリス より:

    とてもスッキリしました!ありがとうございます!特にゴーディ関連が全然ピンと来なかったのでありがたかったです。

    まだ1点引っかかってるのは、ゴーストの役回り。あの子はなんだったのでしょうか。

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