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騙し絵④:宮藤和生(佐藤史郎)の失脚
宮藤の失脚は、表向きは速水が東松に命じられて仕組んだことに見えますが、速水が惟高と内通していたことを踏まえると、惟高からも命じられていたと思われます。
惟高は若いので宮藤を切りにくいですが、同世代の東松ならスムーズだからです。
宮藤は惟高派の人物でしたが、周囲に対する高圧的な態度などから、宮藤は惟高が薫風社の社長になった後は目の上のたんこぶ的な存在になる可能性が高く、そのため惟高は東松に一時的に権力を与えて排除するよう仕向けたと思われます。
騙し絵⑤:東松龍司(佐藤浩市)の失脚
速水が東松に忠実なふりをしていたのは、速水のバックに惟高がいることを悟らせないためでした。
東松が惟高に社長の席を譲るつもりがないことは明らかだったので、惟高と速水は東松が油断している隙に社長の座から引きずり下ろす準備(恐らく幹部陣の抱き込み)をしておいて、惟高が帰国後すぐに社長になれるようにしていたのでしょう。
喜之助の死後、東松がスムーズに社長になったのは宮藤を排除してもらいたいという惟高の意図があったからでした。
逆に言うと、東松に求められたのは宮藤の排除だけです。
会議中にタバコを吸うことなどから旧体制側(古い人間)であることは明らかです。
東松が先代の伊庭喜之助と考えたという「プロジェクトKIBA」も、温めすぎてもう古いと一蹴されてしまう残念な結果に終わってしまいました。
東松の失脚も「小説薫風」の廃刊も、出版業界において時代の波に乗れない者は淘汰されてしまう厳しい現実が描かれていたようにも見えます。
ラスト解説:高野の戦略、出し抜かれた速水
高野は速水に黙って薫風社を辞めた7カ月後、父がたたもうとしていた書店を引き継いで「出版もする本屋」に改装・リニューアルオープンしました。
高野の書店の目玉商品は定価3万5千円の神座詠一の新作「非Aの牙」です。
高野は神座とトリニティに連載する「バイバイを言うとちょっと死ぬ」の打ち合わせをしていた時、神座に父親の書店の改装案を打ち明けると、神座は「そっちの方が難しくて面白そう」と言って誰にも出していなかった新作「非Aの牙」を高野に渡してくれました。
高野は神座の新作小説の独占販売に成功し、高野の書店は大繁盛します。
一方、速水は神座から「バイバイを言うとちょっと死ぬ」をお休みされてどうしたもんかと思っていた時に神座と高野が組んでいたことをネットニュースで知り悔しがります。
高野は速水が示してくれた「面白い方が勝ち」の姿勢から学び、速水を出し抜くことに成功したのです。
また、速水と惟高が頑張ってルート構築したアマゾンでのネット販売は、恐らく書店に本を置かないことで大幅なコスト削減には成功したものの、惟高が速水に「まだ逃がしませんよ」と言うのは売り上げが伸び悩んでいるからです。
速水はまたバズる企画を考えなければならず、刑務所にいる城島咲に「何か書いてくれ」と頼みに行きました。
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