映画『キャラクター』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
「ラスト考察」「4人家族殺しにこだわる理由」「辺見と両角の関係」「両角がターゲットを変えたのはなぜ?」など書いてます。
鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
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キャスト、キャラクター紹介
©2021映画『キャラクター』製作委員会
山城 圭吾…菅田将暉
売れない漫画家。
漫画家をすっぱり諦めようとしていた矢先に本物の殺人現場と犯人を目撃し、漫画に描いた所大ヒットする。
漫画家としての成功を掴むが、モデルにした殺人犯に命を狙われるかもしれないと怯えるようになる。
©2021映画『キャラクター』製作委員会
両角 修一…Fukase
山城が目撃した連続殺人犯。4人家族ばかりを狙って家族全員惨殺する。
連載された山城の漫画『34』を読み自分がモデルにされたことに気付き、山城の『共同制作者』として漫画の内容と現実をリンクさせようとする。
©2021映画『キャラクター』製作委員会
清田 俊介…小栗旬
捜査一課の中堅刑事。
礼儀知らずだが刑事としての勘が鋭い男。
先輩刑事の真壁に才能を買われて事件の捜査を進める。
©2021映画『キャラクター』製作委員会
真壁 孝太…中村獅童
清田の先輩刑事。暴走しがちな清田をコントロールする。
©2021映画『キャラクター』製作委員会
川瀬 夏美…高畑充希
圭吾の婚約者。
圭吾の漫画家としての成功を喜ぶが、圭吾が異常な程用心深くなったことや雰囲気が変わったことに疑問を抱く。
本庄勇人(漫画家)…宮崎吐夢
奥村(課長代理)…小木茂光
浅野(刑事)…テイ龍進
辺見敦(元殺人犯)…松田洋治
山城由紀(圭吾の母)…小島聖
山城健太(圭吾の父)…橋爪敦
山城綾(圭吾の妹)…見上愛
加藤一郎(編集長)…岡部たかし
清田の祖母…ヨネヤマママコ ほか
あらすじ紹介
あらすじ①:1件目の事件、山城圭吾と両角の出会い
魅力的な悪役キャラを生み出せず、漫画家の夢を諦めることにした青年 山城圭吾(菅田将暉)は、長年続けていた売れっ子漫画家アシスタントのバイトも辞めることにしました。
バイト最終日の10月24日、圭吾は『幸せな家族が住んでいそうな家』のスケッチを頼まれて、夜の住宅街を見回って目についた一戸建てをスケッチします。
そこで圭吾はその家に住む4人家族が惨殺されていることに気付き、しかも逃げようとしていた殺人犯 両角修一(Fukase)を目撃しました。
警察に通報して事情聴取を受けた圭吾は、とっさに「犯人は見てない」と嘘をつきました。
その後、圭吾はとり憑かれたように一家殺害現場の光景や、目撃した犯人を元にサスペンス漫画を描きます。
圭吾が目撃した事件は『船越一家殺害事件』と名付けられ、捜査一課の真壁(中村獅童)と清田(小栗旬)が担当になりました。
その後、被害者家族の近所に住んでいた辺見敦という50代の男が「船越一家は自分が殺した」と自首してきました。
辺見は16歳の時に近所に住む家族4人を皆殺しにした前科があります。
しかし、辺見は事情聴取で「犯行当時の記憶はないが、私がやったと思います」と曖昧な供述を繰り返します。
真壁と清田は真犯人は別にいると確信するものの、事件の早期解決を望む警察上層部は辺見を犯人と断定して捜査は幕を閉じました。
あらすじ②:2件目の事件、漫画と現実の一致
船越一家の事件から1年後。
圭吾が作ったサスペンス漫画『34(さんじゅうし)』は大手出版社の目に留まり、圭吾はあっという間に売れっ子漫画家になりました。
圭吾は実際に見た殺人犯の両角修一をそのまま悪役にすることで魅力的な悪役を描くことに成功し、漫画家としても大成功しました。
圭吾は恋人の夏美(高畑充希)と結婚して妊娠もわかり公私ともに充実しているはずですが、売れっ子の仲間入りしてからは住まいを防犯対策万全のマンションに引っ越したりと非常に用心深くなりました。
そんな中、神奈川と山梨の県境の山中で4人家族が惨殺される『原一家殺害事件』が起こります。
圭吾の漫画『34』の愛読者だった清田は、原一家の事件がこの漫画で描かれている殺人事件と酷似していることに気付きます。
事件発生現場も、被害者が4人家族ということも、凶器(包丁)が車の天井裏に隠されていたことまで漫画と事件が一致していました。
清田と真壁は圭吾を取り調べしますが、圭吾は黙秘を貫きます。
あらすじ③:辺見の無罪放免、圭吾の告白
警察上層部は辺見敦を誤認逮捕と認めて捜査再開を真壁に命じました。
数日後、居酒屋でひとり息抜きしていた圭吾の前に突然 両角が現れました。
この頃から、圭吾が考えて漫画に書いた殺人事件を両角が現実で再現するようになり、圭吾本人も警察も愕然とします。
両角の異常行動に耐えられなくなった圭吾は、その日の夜に全てを夏美に打ち明け、翌日には清田刑事にも打ち明けました。
清田は圭吾の情報を元に両角の捜索を始めますが、『両角修一』という名前は借金のカタに売られた戸籍であり、圭吾が見た「ピンクの髪に緑のジャージに黒いコートの男」は両角修一に成りすましている別人だとわかりましたが、正体に繋がる手掛かりは無く捜査は行き詰まります。
一方、圭吾は『34』の連載を辞めさせてほしいと編集長に直談判に行った結果「せめて最終回は書いてほしい」と言われて休載することになりました。
あらすじ④:両角の正体
数日後。清田は両角の手がかりを求めて圭吾の自宅を訪ね、圭吾は『34』で描いた事件の元ネタを話しました。
昔、宗教団体まがいの集団が廃村だった九条村を利用して独自のコミュニティを作り、20組の4人家族が暮らしていました。
彼らは『4人家族であることが最大の幸せ』という概念を持っていて、家族は必ず4人でなくてはならないという決まりがありました。
1989年、内部告発でそのコミュニティの子供たちに戸籍が無いことがわかり、検察が動いてコミュニティを強制解散させようとしました。
するとリーダーだった男は集団自殺を図り、メンバーほぼ全員を殺害して自殺しようとしていた所を逮捕されたそうです。
この事件を知った清田は、両角修一はこのコミュニティの生き残りで、家族を奪われた復讐を世間にしているのではないかと予想しました。
しかし、清田は圭吾と別れた後、待ち伏せていた両角と辺見敦に殺されてしまいます。
清田の死を知った圭吾は責任を感じ、『34』を使って両角を逮捕に導こうと決意しました。
あらすじ⑤:結末
圭吾は急いで『34』の最終回を描き、夏美に読んでもらいます。
圭吾が考えたのは、圭吾自身の家族(父、母、圭吾、妹)の殺人事件を漫画に描いてオトリにし、圭吾の実家に現れた両角を警察が逮捕するというシナリオでした。
警察が圭吾の実家に集まり、圭吾も防刃ベストを着て実家で待機していると、両角から電話がかかってきました。
両角は「先生が描いた4人家族は幸せじゃない 僕は本物の家族を狙う」と言って電話を切ります。
不審に思った圭吾が夏美に電話すると、夏美は双子を妊娠していたことがわかりました。
両角が狙う4人家族が『圭吾、夏美、お腹の双子』だと知った圭吾は夏美のいる自宅に走ります。
圭吾は自宅マンションのエントランスで待ち伏せていた両角に捕まり、両角は圭吾に刃物を突きつけて圭吾の部屋に入ります。
そこで両角は圭吾の漫画を描く道具たちに夢中になりました。
圭吾は両角が道具に夢中になっている間に夏美を逃がそうとしますが、気付いた両角は夏美の脚を刺しました。
圭吾は両角が油断した隙に包丁を奪い、両角の腹と肩を刺して戦闘不能にします。
そこに遅れてきた真壁が駆けつけますが、圭吾は両角を殺そうとしていたので、真壁は圭吾を気絶させました。
両角は逮捕され、圭吾は入院して療養生活を送ります。
共犯の辺見はまだ捕まっていません。
圭吾は仕事を休むため今より賃料の安いマンションに引っ越すことにして、一足早く回復した夏美が引っ越しの準備を進めつつ双子のお世話もしています。
その後の捜査と裁判の証言などで、両角の正体は清田が推測した通り『九条村コミュニティの生き残り』だと判明します。
両角は無戸籍で公的書類は一切無く、本名はわからないままでした。
また、両角と辺見は昔から繋がっていたこともわかり、両角は「最初は僕が辺見のファンだったけど、いつの間にか立場が入れ替わっていた」と証言しました。
ラストでは両角と圭吾にも何らかの「入れ替わり」が起こること、夏美の身に危険が迫っていることが暗示されます。
解説・考察
今どき感満載、世にも奇妙的な不思議さもあり、少々演出に疑問を感じた所以外は楽しく見れました。
作中に登場した漫画を担当していた古屋兎丸さんの絵のうまさにはいつも驚かされてます。
以下、気になった点や疑問を考察しました!
清田と真壁の関係
©2021映画『キャラクター』製作委員会
・真壁が清田を更生させて警察に誘い、試験をパスするコツを教えた
最初の殺人事件が起きた時、捜査チームに清田を入れようとした真壁に、奥田(小木茂光)は「清田って暴走族上がりなのに上手く県警の試験をパスしたって本当か?」と噂話をします。
真壁は清田の葬式の後、圭吾に「あいつは族上がりだが、刑事として優れていた」「俺が所轄に居た頃、不良だった清田を俺が何度も補導した」と打ち明けました。
真壁は当時暴走族だった清田に警察官としての素質を見て、警察官になることを勧め、県警の試験をパスするコツを教えた調本人だったのです。
清田が真壁に対して兄弟のようにくだけた態度なのも、2人は若い頃から付き合いがあったからでした。
山城圭吾はなぜ犯人を見たことを隠した?
山城は船越一家殺人事件で犯人の両角を目撃したにも関わらず、事情聴取の時は「犯人は見なかった」と答えました。
これは山城が売れない時期に、漫画関係者たちに「殺人現場を見た経験も、人を殺した経験も無いからリアルさがない」「お前は良い奴だから魅力的な悪役が描けない」と言われ続け、世間に認められる漫画を描きたいあまり殺人事件に関する経験や悪人になることを内心求めていたことと関係しています。
山城は殺害現場と犯人を見たことで、普通では経験できず、かつ描きたい漫画に生かせる貴重な体験をしました。
なので「この貴重な経験を刑事に喋ってしまうのはもったいない」「早く帰って、記憶が鮮明なうちにこの事件を描きたい」と思ったから見てないと言ったのでしょう。
また、刑事に虚偽の供述をするのは犯罪です。
山城はこの事情聴取で清田に嘘を言うことで、山城自身が求めていた『悪い奴』にも一歩近づいたのです。
辺見と両角の関係は?
©2021映画『キャラクター』製作委員会
・辺見は清田を殺したのが初犯だったのではないか
まずは作中に登場した辺見についてのヒントをまとめてみます。
・上の事件で逮捕され、医療少年院に12年間収容(1986~1998年頃まで)され、28歳頃に出所した
これらの情報をから、両角は35年前に辺見が起こした『4人家族殺害』を知って辺見のファンになり、辺見と文通で親交を深めていたようです。
両角と辺見が文通していた時期は、消印が平成4年(1992年)だったので辺見が施設に収容されていた頃だと思われますが、辺見が書いていた発送元の住所が神奈川県横浜市のアパートらしき住所で、少年院からではない点が変ですが、ここはそっとしておきます。
ただ『辺見の16歳の時の事件』そのものも、辺見が真犯人かどうか怪しい感じでしたよね。(両角の罪をかぶった時と同じ『覚えてないけどやったと思う』発言をしていたので)
なので、もし『辺見16歳の時の事件』も冤罪だとしたら、この事件もまた当時辺見が憧れていた別の人間が起こした事件で、辺見は忠誠心から罪をかぶっただったのかもしれません。
つまり辺見は『人を殺してみたい願望があり、本当に人を殺したことのある人に心酔するが、実際には殺人したことがない男』だったのではないでしょうか。
もし殺したことが無いとしたら、辺見は殺人について詳しく語れませんし、本物の殺人鬼である両角と立場逆転するのもわかります。
両角は辺見とやり取りする中で辺見が人を殺したことが無いことに気付き、逆に辺見は両角が本物の殺人犯であることに気付き、いつの間にか立場が逆転したのです。
両角は辺見との関係を切らず『アシスタント(手駒)』としてがキープしました。
次のページにつづきます。
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