映画『アムステルダム』のあらすじ紹介、解説、考察をしています!
第一次世界大戦後の新時代を懸命に生きる帰還兵のバートとハロルドが、ある殺人事件をきっかけに壮大な陰謀に巻き込まれる。
鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2022年
本編時間:134分
制作国:アメリカ
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル
主要キャスト
バート・ベレンゼン…クリスチャン・ベイル
退役軍人を専門に診る医師。妻ベアトリスとは別居中。
戦争で右目を失い、コルセット無しでは姿勢を保てない体になっている。
ハロルドとヴァレリーとはWW1で命を助け合った親友。
ハロルド・ウッドマン…ジョン・デヴィッド・ワシントン
バートの親友の弁護士。バートとは戦争で出会い、共に戦った盟友。
元上司だった少佐の娘からの依頼で、少佐の死の原因を探る。
WW1の終戦後からバートとヴァレリーと一緒に暮らし、ヴァレリーとは恋愛関係にあった。
ヴァレリー・ヴァンデンバーグ…マーゴット・ロビー
バートとハロルドを戦地で看病してくれた看護師。
芸術をこよなく愛するアメリカ人女性。
バートが帰郷したタイミングでハロルドにも何も告げずに消えてしまい音信不通になっていた。
トム・ボウズ(ヴァレリーの兄)…ラミ・マレック
リビー(トムの妻)…アニャ・テイラー=ジョイ
イルマ(検視官)…ゾーイ・サルダナ
ポール・カンタベリー(MI6)…マイク・マイヤーズ
ヘンリー(MI6)…マイケル・シャノン
リズ(少佐の娘)…テイラー・スウィフト
ベアトリス(バートの妻)…アンドレア・ライズボロー
ゲトワイラー刑事…マティアス・スーナールツ
ヒルツ刑事…アレッサンドロ・ニヴォラ
ミルトン(帰還兵)…クリス・ロック
ネヴィンズ(5人委員会)…リーランド・オーサー
バートの秘書…ボニー・ヘルマン
ビル・ミーキンズ将軍…エド・ベグリー・ジュニア ほか
あらすじ紹介
あらすじ①:
第一次世界大戦中、医師のバート(クリスチャン・ベイル)は妻のベアトリスと義理の両親に頼まれて兵士として戦地に赴き、そこで出会った黒人兵士のハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)と看護師ヴァレリー(マーゴット・ロビー)と親友になりました。
WW1が終わると、3人はヴァレリーの知人でMI6のポール(マイク・マイヤーズ)とヘンリー(マイケル・シャノン)に住居を用意してもらい、オランダの首都アムステルダムで3人で暮らし始めます。
しばらくは気ままに楽しく暮らしますが、バートは故郷にいる妻ベアトリスが恋しくなり、2人の反対を押し切ってベアトリスのいるニューヨークに帰りました。
バートは帰国してパークアベニューの一等地に構えるクリニックで診療を再開しますが、退役軍人を診察するとベアトリスの父が激怒して勘当同然に追い出されてしまいます。
ベアトリスの父はNY医療界に権力を持つ著名な医師で、富裕層向けのはずのクリニックに退役軍人が出入りするのを嫌ったのです。
バートはロサンゼルスのダウンタウンに移住して闇医者同然に退役軍人の診察を続けていましたが、モルヒネの使い過ぎで警察に保護されたことをきっかけに違法な医療行為が浮き彫りになり逮捕・収容されてしまいました。
バートはベアトリスを頼れず、ハロルドとヴァレリーに手紙で助けを求めました。
ハロルドとヴァレリーはバートが去ってからもアムステルダムで暮らしていましたが、バートからの手紙で2人にも変化が起きました。
ヴァレリーの父親は特権階級者らしく、彼女の父に頼んだおかげでバートは即釈放されました。
しかし、元々ヴァレリーは実家から家出してヨーロッパに住んでいたことが発覚し、今回のことで居場所がバレて実家に戻らざるを得なくなり、バートの釈放と同時に、ヴァレリーはハロルドの前から姿を消しました。
ハロルドはヴァレリーを諦めてアメリカに行き、将来の夢だった弁護士になるために勉強を始めました。
あらすじ②:
時は経ち1933年。 バートはロサンゼルスにクリニックを構えて退役軍人をメインに診療を続け、ハロルドは弁護士としてニューヨークで活動していました。
バートとハロルドはアムステルダムで別れて以来会っていませんでしたが、2人が尊敬するミーキンズ将軍が亡くなったことをきっかけにニューヨークで再会します。
ミーキンズ将軍の他殺を疑った娘のリズ(テイラー・スウィフト)が調査をハロルドに依頼し、ハロルドがバートに将軍の解剖を依頼したのです。
バートが医療関係者の旧友イルマ(ゾーイ・サルダナ)と一緒に将軍を解剖すると、毒殺されていたことがわかりました。
バートとハロルドがリズに解剖結果を伝えようとすると、リズは突然何かに怯えるように逃げはじめ、突然現れた赤ら顔の男に突き飛ばされて車に轢かれて死んでしまいました。
赤ら顔の男は「そこの2人(バートとハロルド)が殺した!」と大声でわめいて逃げたので、バートとハロルドはリズ殺しの容疑者として警察に追われる身となってしまいます。
バートとハロルドはゲトワイラー刑事とヒルツ刑事に逮捕されかけますが、バートの妻ベアトリスが止めてくれたおかげで無罪の証拠を集める時間をもらえました。
赤ら顔の男は明らかに何かの組織の一員です。
バートとハロルドは赤ら顔の男の正体を探るため、リズから名前が出ていた超資産家のボウズ家に行ってみると、そこで意外にもヴァレリーと再会します。
ヴァレリーはずっとバートとハロルドには隠していましたが、彼女はボウズ家の長女だったのです。
ミーキンズ将軍の死の件で、リズにハロルドを紹介したのもヴァレリーでした。
ヴァレリーとヴァレリーの兄トム(ラミ・マレック)と話しても赤ら顔の男については何もわかりませんでした。
リズが死の直前に「父は恐ろしい何かを見てしまい、世間に公表しようとして殺されたに違いない」と言っていたのをヒントに、バート、ハロルド、ヴァレリーはミーキンズ将軍の友人だったギレンベック将軍(ロバート・デ・ニーロ)に会ってみることにしました。
解説・考察・感想など
終戦後のアメリカの陰謀絡みのノンフィクションで面白かったですが、冒頭の『この物語はほぼ実話です』のテロップが『(内容普通だけどノンフィクションだから許してね)』と言いたかったのかと思えてしまうくらい、豪華キャスト陣とポスターの独特な雰囲気に対して内容が負けてしまっている気がしました。
マーゴット・ロビーが演じたヴァレリーの芸術作品が独特で美しかったので、演出でもう少し不思議な雰囲気が出ていれば個人的にはもっと楽しめたかもしれないと感じました。
バートがヒルツ刑事の扁平足をバカにするのはなぜ?
扁平足は、土踏まずの無い平べったい足のことです。
扁平足の足は運動に不向きで激しい運動をすると足を痛めやすいため、扁平足だと徴兵を免除される場合があり、ヒルツはまさに扁平足で徴兵を免除された男でした。
扁平足になる原因は遺伝も関係しますが、運動不足や太り過ぎが原因の場合もあります。
『扁平足で兵役免除になった』ことは『国から一人前の男として認められなかった(もしくは使えない奴認定された)』と解釈する人々もいるため、扁平足で徴兵免除になるのは若干恥ずかしいことでした。
バートは昔からヒルツが嫌いだったようで、ヒルツが扁平足にコンプレックスを持っていることを知っているため、わざと扁平足と何度も口にしていたのです。
リズとミーキンズ将軍を殺した黒幕は?
ミーキンズ将軍と娘のリズの殺害の黒幕は『5人委員会』という秘密結社でした。
ヴァレリーの兄のトム・ボウズ(ラミ・マレック)は5人委員会の構成員の1人で、赤ら顔の男たちを使ってミーキンズ将軍とリズを殺しました。
トムの会内での地位がよく分かりませんでしたが、トムはトップと思われる3人組(リーランド・オーサーたち)よりもかなり若かったので幹部候補生だったのかもしれません。
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