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監督RJが殺された理由
監督のRJを殺したとき、パールは自分自身が若いと錯覚した状態にあり、セックスを断られて逆上して殺したと思われます。
パールがRJを誘ったのは単純に見た目がタイプだったからで、殺したあとに踊ったのはパールの支配欲や独占欲が満たされたからです。
別の視点で見ると、RJは映画好きだからこそ『定番』へのこだわりが強く「古き良きを守ろう」志向の保守派です。
スプラッター映画の定番では、最後に生き残るのはいつも「性格が良い人」か「純粋な人」のどちらかなので、RJはガールフレンドのロレインに対しても「良い子」であることを求めます。
そんなRJに対し、いわゆる革新派のウェインは「良い子などいない」と否定します。
その前の会話では、彼氏以外の男とセックスすることについてロレインが疑問をぶつけると、マキシーンは「古臭い伝統に縛られてたら何も出来ない」と答えます。
これらの会話にも挑戦的な姿勢が見られますし、制作陣が革新派であることを示すためにも保守派のRJは早くに退場させる必要があったのです。
また、スプラッター映画の定番には「セックスした登場人物は死ぬ」という設定がありますが、RJは登場人物の中で唯一セックスしていないのに一番最初に殺されます。
そういった「あるある」を覆してスプラッター映画好きにも「次は誰が死ぬか」を予想できない展開にしていることにも新鮮さを感じました。
ラスト考察:マキシーンがパールを殺した理由
ホラー映画の定番には「ファイナルガール」という人物が存在します。
ファイナルガールとはその名の通り、ホラー映画で生き残るキャラクターのことで、必ず女性というわけではないですが女性であることが多いのでそう呼ばれています。
例えば映画「キューブ」(2004)のファイナルガールは知的障害の男の子カザン、映画「13日の金曜日」(1980)のファイナルガールは主人公の女性アリスです。
一般的なファイナルガールはいわゆる「良い子」ですが、マキシーンはファイナルガールでありながら「良い子」ではないことを示すためにパールを残酷に殺します。
オマージュシーンとインスパイアされた作品紹介
映画『X エックス』のオマージュシーンと影響を受けたとされる他作品を紹介します。
『シャイニング』/1980
地下室に監禁されたロレインが割れたドアの隙間から顔をのぞかせるシーンは、スタンリー・キューブリック監督の映画『シャイニング』の最も有名なシーンのオマージュです。
『サイコ』/1960
RJがシャワーを浴びるシーンはアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『サイコ』のオマージュです。
『サイコ』ではシャワーを浴びる女性マリオンはこの直後に殺されてしまうので、RJが最初の被害者になることを仄めかすシーンでもあります。
他にも『エックス』でジャクソンが池に沈められた車を発見するシーンも『サイコ』でマリオンの車が沼地で発見されるシーンのオマージュだろうと言われています。
『ブギーナイツ』/1997
マキシーンが鏡に向かって「私はセックスシンボル」と自分に言い聞かせるシーンは、ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画『ブギーナイツ』のオマージュです。
『ブギーナイツ』は70年代後半~80年代初頭のアメリカでポルノ映画界の繁栄と衰退を描いたヒューマンドラマです。
『ブギーナイツ』のこのシーンは、マーティン・スコセッシ監督の映画『レイジング・ブル』のワンシーンのオマージュのようです。
その他の影響を受けた作品紹介
・『悪魔のいけにえ』/1974/トビー・フーパー監督
過去に実際に起きた殺人事件を元に、旅行中の若者たちがテキサスの田舎町で殺人鬼一家に襲われる話です。
『X エックス』の老人ハワードのルックスは『悪魔のいけにえ』のグランパがモチーフではないかと言われています。
以上です。読んでいただきありがとうございました!
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