ジブリ映画『もののけ姫』の解説・考察をしています!
『アシタカはなぜ泣いた?』『ラスト考察』『神が呪いを解かない理由』について書いています。
鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
本編時間:135分
制作国:日本
監督・脚本・原案:宮崎駿
キャスト紹介
アシタカ…cv 松田洋治
エミシの村に住む青年。
タタリ神から呪いを受けてしまい、呪いを解くためタタラ場の村に行く。
サン…cv 石田ゆり子
タタラ場の森でオオカミの群れと生きる人間の娘。
自然破壊するエボシを憎み、命を狙う。
エボシ御前…cv 田中裕子
タタラ場の村の女村長。
ジコ坊…cv 小林薫
シシ神の首を狙う男。神の祟りを避けるためエボシにシシ神殺しをさせようとする。
乙事主/エミシの老人…森繁久彌
ゴンザ(エボシの側近)…上條恒彦
甲六…西村雅彦
トキ…島本須美
タタリ神(ナゴの守)…佐藤允
牛飼いの長…名古屋章
ヒイ様(エミシの村のまじない師)…森光子 ほか
あらすじ紹介
エミシの村の青年アシタカは、タタリ神になった巨大猪を倒した時に右腕に死の呪いをもらってしまいます。
アシタカは巨大イノシシが西の森から来たことを知り、
呪いを解く方法を求めてアカシシのヤックルと一緒に西の森に旅立ちます。
アシタカは西の森で、人間でありながら森で狼と生きる少女サンを見かけ、ひと目で心を奪われました。
その後アシタカはタタラ場という村にたどり着き、
巨大イノシシがタタリ神になった原因が村人たちによる自然破壊にあることや、
タタラ場のリーダーのエボシは謎の組織「唐傘連」「石火矢衆」と組んで
森の神様であるシシ神の首を狙っていることを知りました。
アシタカは人間たちにも森の主たちにも「争いをやめて共存する道を探すべきだ」と言いますが、どちらも争いをやめる気はありません。
どちらも助けたいアシタカは争いをとめようと奮闘します。
解説・考察・感想など
サンがアシタカをシシ神の池に連れてきた理由

©1997 Studio Ghibli.
アシタカはサンとエボシの戦いをやめさせた時、撃たれて致命傷を負います。
サンはアシタカを楽にしてやるため一度は殺そうとしましたが、
シシ神の住処のお池に連れてきました。
サンがアシタカをシシ神の池に連れてきたのは、
サン自身がアシタカに助けてもらった恩もあり殺すことができず、
アシタカの生死を森の神に委ねることにしたからです。
シシ神はアシタカを生かしたので、
サンも神様の意思に従ってアシタカを助けることにしました。
アシタカはなぜ泣いた?

©1997 Studio Ghibli.
アシタカはサンとシシ神に命を助けてもらったときに泣いています。
アシタカが泣いた理由は私が思いつく限り3つあります。
①瀕死状態から奇跡的に生還して緊張がほぐれた涙
事故に遭いそうになるなど恐ろしいことが起きた直後、
助かった安心感と極度の緊張状態から解放された反動で腰が抜けたり涙が出たりした経験はありませんか?
身近な例だと、例えば迷子になった子どもが親を見つけた直後に大泣きする現象です。
アシタカにも同じ現象が起きていたように見えます。
アシタカは胸を撃たれ、サンや山犬に殺されかけて3回位死の恐怖を味わい、
最後はシシ神様に傷を癒されて生き残ります。
アシタカは生きていると実感した時に安心感から涙が出てしまったのでしょう。
②シシ神が傷は癒やしても呪いは解いてくれなかったことを知り、神の厳しさに泣いた
アシタカは表には出しませんが、内心は呪いに苦しめられることを恐れています。
呪いで死ぬよりも、失血死した方が死に方としては楽です。
シシ神はアシタカを生かしましたが、
呪いを残したことを踏まえると楽な死に方は許さなかったとも言えます。
これはシシ神からの『死にものぐるいで生きろ』というメッセージでもあるので、アシタカは神の厳しさに泣いたようにも見えました。
③弱い者の気持ちや助けてくれる人がいる有難さが身に染みて泣いた
アシタカ自身は今までずっと「助ける側」でしたが、
恐らくこの時初めて「助けられる側」になりました。
アシタカは助けられる側になったことで、手を差し伸べてくれる人がいることのありがたみを実感してうれし涙が出たのではないでしょうか。
また、アシタカは常に強く立派であることを求められてきて弱さを見せられる相手はいなかったと思われるので、
弱い自分でも受け入れてくれる大自然とサンに安心した涙もあったような気がします。
シシ神はなぜアシタカの呪いを解かなかった?
シシ神がアシタカの傷を癒しても呪いを解かなかった理由は、
アシタカのセリフ「呪いがわが身を喰いつくすまで苦しみ生きろ」に込められています。
振り返ると、シシ神はラストで死ぬまでは誰の呪いも解いていません。
ナゴの守は放置、モロはエボシに撃たれた傷をシシ神に癒してもらったようですが、モロの体に入ったままの鉄のつぶては取りのぞいてもらえず、
タタリ神になった乙事主は命を吸い取られます。
乙事主が命を吸い取られたのは、呪いに喰い尽くされていてこれ以上苦しむ必要はない(自我を失い執念だけで体が動いていた)と判断されたからだったように見えます。
ラスト考察:シシ神は死んだ?呪いはなぜ解けた?
アシタカとサンはシシ神の首を返した直後、朝日が昇ってシシ神は倒れて消えてしまいます。
個人的な解釈ですが、シシ神は首を奪われてから倒れるまでは「死のエネルギー」のみで動いていて、
倒れた直後に起きた大きな風は、神が死んでまた生まれたときの「生命の息吹」だったように見えました。
神もまた生と死を繰り返しながら存在しているのです。
アシタカもサンもハンセン病患者も、神の生命の息吹を浴びたから呪いが解けたのかな?と解釈しています。
この記事は以上です。②に続きます。
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