映画「藁の楯」あらすじ結末ネタバレ・見どころ

藁の楯

制作年:2013年
本編時間:125分
制作国:日本、台湾
監督:三池崇史
脚本:林民夫
原作:小説/木内一裕『藁の楯』

藁の楯 (講談社文庫) [ 木内一裕 ]

藁の楯|出演者・キャスト

大沢たかお(銘苅一基警部補) 松嶋菜々子(白岩篤子巡査部長) 岸谷五朗(奥村武警部補) 伊武雅刀(関谷賢示巡査部長) 永山絢斗(神箸正樹巡査部長) 本田博太郎(大木係長) 高橋和也(西野/めぐみの父親) 伊吹剛(高峰警視正) 音尾琢真(公安の男) 余貴美子(由里千賀子/タクシードライバー) 藤井恒久(アナウンサー) 菅谷大介(アナウンサー) 桝太一(アナウンサー) 藤原竜也(清丸国秀) 山崎努(蜷川隆興) ほか

藁の楯|あらすじ紹介

経済界の大物、蜷川氏(山崎努)の7歳の孫を殺害した清丸国秀(藤原竜也)は、指名手配されていたが、現在も見つかっていなかった。
蜷川氏は新聞やネットに『この男を殺してください。御礼に10億円お支払いします』と前代未聞の広告を出し、清丸は全国民から命を狙われる存在となり、身を守るために福岡の警察署に出頭した。
警察庁は清丸を生かしたまま、福岡から東京の警察庁に移送させるため、SPの銘苅(大沢たかお)と白岩(松嶋菜々子)、捜査一課の奥村(岸谷五朗)、神箸(永山絢斗)に清丸の警護を任命した。

藁の楯|見どころ

・藤原竜也演じる清丸のクズっぷり

・開始序盤からクライマックス並みの爆破シーン

・揺さぶられる倫理観

以降はあらすじ詳細でネタバレ含みます。
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あらすじ詳細①起

『この男を殺してください。清丸国秀 29歳 御礼として10億円お支払いします。』
この広告を新聞一面に掲載したのは蜷川隆興(にながわたかおき/山崎努)という男性だ。

この広告が掲載される3カ月前、7歳の少女、蜷川ちかちゃんが殺されて用水路に捨てられる事件が発生した。その容疑者として浮上したのは、清丸国秀(きよまるくにひで/藤原竜也)だった。清丸は8年前にも少女を殺害して服役し、仮出所したばかりだった。
清丸殺害依頼の広告を載せた新聞社の一部の者たちは、この新聞が出回った直後全員が辞表を出し、警察の取り調べに対して一切口を開こうとしなかった。

被害者の祖父で、広告を掲載した蜷川氏は元経団連の会長で、資産1000億円を超えると言われている経済界の大物だった。
またネットには”清丸サイト”と呼ばれるものも立ち上げられており、蜷川氏の動画がアップロードされていた。

蜷川は年を取り、心臓も患っていて先が長くない。さらに愛する孫を殺されて生きる意味を失ったため、この依頼を出したと動画で語り、10億円受取りの条件について話した。

1.清丸国秀に対する殺人罪、もしくは傷害致死で有罪判決を受けた者。複数可。
2.国家の許可を持って清丸国秀を殺害した者。

清丸サイトはサーバーが海外にあるため日本の法が通用せず、閉鎖出来ないものだった。
また警察の調べでも、2の”国家の許可”の意味が分かっていなかった。

この報道を見て「犯人を逮捕して昇任する」と意気込む警察SPの白岩巡査部長(松嶋菜々子)。同じくSPの銘苅警部補(めかり/大沢たかお)は「俺は警護課ですから」と犯人逮捕には興味を示さなかった。

銘苅は自宅に戻り、仏壇に和菓子を供えていた。仏壇に飾ってあるのはの写真だった。
仏壇の前でお茶を飲んでいた銘苅に、上司の大木係長(本田博太郎)から電話があった。清丸殺害依頼のニュースが報道されてすぐに清丸は、彼をかくまってくれていた、服役中に知り合った男に殺されかけ、守ってもらうため警察の福岡南署に出頭してきたそうだ。
そして清丸は48時間以内に警察庁への移送が決まり、警察庁は蜷川氏の報道のことがあり、異例だが清丸にSPをつけることになった。大木は銘苅に清丸の警護を頼んだ。
大木「銘苅、クズの弾除けになる覚悟はあるか?」
銘苅「・・・はい。」

清丸の警護に、警視庁からは警護課の銘苅白岩、捜査一課から奥村警部補(岸谷五朗)と神箸巡査部長(永山絢斗)が就くことになり、顔合わせをした。
刑事部長からは「この移送は今までに例を見ない。日本国民1億2000万人全てが敵になりうるという覚悟を持って任務を遂行してもらいたい。諸君が守るのは犯罪者ではなく、日本警察そのものだ。国家の威信にかけて、絶対に清丸を生きたまま連れて帰ってこい」と言葉をもらった。

顔合わせの後、白岩銘苅に「清丸のような人間を警護することをどう思いますか?」と聞いた。銘苅は「上から言われれば誰でも守る。それが俺たちの仕事だ」と答えた。

神箸は家では妻に尻にしかれ、外ではでかい顔をする男だった。4人はロビーで再び顔を合わせるなり、神箸は銘苅と白岩にため口で話しかけた。
奥村は事前に銘苅と白岩のことを調べていた。白岩は逮捕術、射撃の腕もトップレベルで剣道5段に語学も堪能だった。シングルマザーでなければ間違いなく幹部候補だった。
銘苅は3年前にある事故で妻を亡くしていて子どももおらず、現在はひとり身だった。

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あらすじ詳細②承

清丸殺害依頼の報道後、清丸を殺害しようとした男性、田中が警察に出頭したことを受けて、蜷川氏が清丸サイトで”田中を蜷川ガバナンスで採用し、1億円を支払うことを約束する”と宣言した。この報道から国民全体が蜷川氏の依頼を信じた。

田中は清丸とは刑務所で出会い、清丸に隠れる場所を提供していた男だった。


清丸警護隊の4人は東京から福岡南署へ向かう途中、清丸が留置係の警察官から切り付けられて怪我をし、病院に搬送されていたことを知り、4人は清丸を引き取るため病院へ向かった。
病院では移送に同行する、福岡県警の捜査一課、関谷巡査部長(伊武雅刀)と出会った。
関谷は4人を清丸の所へ案内した。清丸は同行する5人の警察官を見て「これだけで大丈夫ですか?」と言い、殺されそうになっている不安を口にして暴れまわった。
病院の者に鎮静剤を打つよう頼むと、看護師が注射器に準備していたのは毒物だった。これに気が付いた銘苅白岩に看護師を取り押さえさせた。

清丸は飛行機で移送する予定だったが、航空会社の整備士が、清丸が乗る予定だった飛行機に細工をしようとして逮捕されたため、移送手段を検討することになった。
警察庁が指定したのは”威圧型移送”で、清丸は何台ものパトカーに囲まれた大型護送車で移送することになった。また、清丸の乗っている車の特定を避けるため、フェイクの護送車も4台同行していた。神箸は「税金の無駄遣いだ」と呟いた。
銘苅「警察庁は全然わかっていない。一般の市民は脅威じゃない。武器の入手も困難だし、なにより訓練されていないからだ。怖いのは、武器を持ち訓練された者だ」
銘苅は、清丸がいつ警察官に襲われてもおかしくないと危惧していた。
やがて護送車は高速に入った。しばらくして車が急停止し、内線で『大型トラックが高速の出口から逆走して入ってきた』と連絡があった。
爆薬のニトログリセリンを積んだトラックは、パトカーを押しのけて先頭の護送車にある程度近づいたところで、運転手は車ごと爆発した。
だが清丸の乗っていた護送車からは離れていたため清丸も銘苅たちも無傷だったが、道路を片付けるため車は立ち往生してしまった。
車内で待機していると、ヘリが一台、ずっと付いてきていることに気が付いた。爆発音を聞きつけてやって来たと思われる一般人たちもこっちを見ている気がする。
白岩が清丸サイトを見てみると、サイト上の地図に清丸の現在位置がGPSでもつけられているかのように載せられていた。同時に奥村に電話が入り、警察庁の清丸移送の総責任者である高峰警視正から『待機しろ』と指示があった。奥村は部下たちに「この車両に誰も近づけるな」と指示した後、銘苅たちに「移動手段の再検討と、恐らく情報漏洩に関することだろう」と言った。
いつ襲われてもおかしくない切羽詰まった状況の中、清丸銘苅に「結婚してるんですか?小さな娘さんとかいませんか?」と質問した。銘苅と周りにいた全員は清丸に殺意を覚えた。
その時、車の外に武装した警察官2人が「高峰警視正から話がある」と近づいてきた。ドアを開けた瞬間に清丸は襲われ、銘苅はこのとき清丸を守って撃たれた。警官2名は取り押さえられ、清丸は無傷だった。

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あらすじ詳細③転

銘苅警部補は防弾チョッキを着ていたため無事だった。
高峰警視正(伊吹剛)が護送車に到着し「現状での移送は危険であるため、本日の移送は中止する」と命じたが、銘苅の提案により別の方法での移送が始まった。
銘苅の出した案は、350人の移送部隊をおとりとし、清丸とSPたちは新幹線で移動するというものだった。救急車で駅まで移動中、白岩巡査部長が清丸サイトを確認すると、清丸の位置はフェイクの護送車を示しており、一同は安心した。
新幹線に乗り込むと、車掌に命じてひとつの車両から乗客を全員移動させた。銘苅が奥村警部補神箸巡査部長に「車両のドアを見張って乗客を来させないようにしてくれ」と指示を出した。
神箸は「指示は俺たちが出す」と反論したが、奥村に「銘苅の言う通りだ」と抑えられてしぶしぶ指示に従った。
銘苅白岩が清丸のそばに座り、前方と後方のドアの見張りを奥村神箸関谷巡査部長が別れて担当した。

それぞれが配置につき、白岩が清丸サイトを見ていると、なんと既に位置情報が更新されていて、新幹線に乗っていることも、乗っている号車までも特定されていた。
すぐ5人にこのことを知らせると神箸は全員の携帯電話を回収しようとしたが、白岩銘苅は「神箸が犯人じゃない証拠がない」と反論し、対立した。
奥村は皆の前で、「銘苅には、清丸のような男を殺してやりたいという強い動機がある」と言い、銘苅の過去を話し始めた。
銘苅のは3年前、飲酒運転をしていた男の車に轢かれて亡くなった。犯人の男は以前にも飲酒運転で人を轢いたことのあった男で、男は出所後、無免許で再び飲酒運転をして、その時の被害者が銘苅の妻だったという。
銘苅は「いくらでも調べろ」と言い、所持品を全て奥村と神箸に渡した。だが何も見つからなかった。
奥村「その運転手、許したのか?」
銘苅「許してはいないが、仇を討っても死んだ妻は戻ってこない」
神箸「どうして割り切れる?俺は蜷川ちかちゃんの遺体を見たんだよ。本当に無残な遺体だった。忘れられねえんだよ、あの遺体が。俺はあの子の親じゃねえが、正直清丸を殺してやりたいと思ってるよ」
清丸は神箸の言葉を聞いてにやにやしていた。
銘苅「割り切っちゃいない。死んだ妻に『人を守るのがあなたの仕事でしょ』と言われたんだ。その言葉がなかったら、俺は犯人を殺しに行ってたかもしれない。この言葉だけが、この3年間の俺を支えてる」
清丸は銘苅の話を聞いてつまらなそうな顔をした。
神箸は引き下がり、白岩に自分のボディチェックを頼み上着を渡し、銘苅に謝罪した。

奥村は、「高峰警視正の後ろにいた公安の男(音尾琢真)が妖しい」と推理した。

各々持ち場に戻ってしばらくすると、スーツを着たやくざ風の男性3人が、奥村と神箸側のドアを開けた。神箸が銃をだして威嚇すると、男たちは引き下がるフリをして銃を発砲した。
神箸は撃たれて倒れた。銃撃戦が始まり、銘苅と白岩は清丸をトイレに押し込み男たちを倒した。
銃声を聞いて飛んできた車掌に銘苅は、最寄り駅に救急隊員を手配しろと指示した。

神箸は重症だった。相生駅で新幹線は停車し、神箸は治療を受けた。
神箸は銘苅に言った。

「なんであんなクズのために俺たちが命をかけなければいけない?俺がいなくなったら、母ちゃんがひとりになっちまう・・・」
言葉を失う銘苅の前で神箸の心臓は動きを止めた。

清丸は楽しそうに「誰か死んだの?あのキレやすいお巡りさん?やっぱりバチって当たるんだね」とはしゃいだ。
新幹線には兵庫県警から警察官が数名来ていて、姫路駅で現場検証が行われることになり、乗客は姫路駅で全員降ろし、駅にはすでに兵庫県警が待機しているということだった。
話を進めていると、聞いていた車掌が「姫路駅で停車は出来ません」と発言した。姫路駅では清丸サイトの影響で大勢の人が集まり大混乱しているため、列車は姫路駅を通過して新神戸駅に向かうことになった。そして「会社の判断で、新神戸駅で全員下車してもらう」と言った。
車掌は続けて「新神戸駅には120人の機動隊員が待機しているらしいですから、大丈夫ですよ」と言った。
だが白岩がSPを代表して「それが困るんですよ」と答えた。

銘苅たちは乗客に紛れて機動隊員たちから逃れることにした。だが駅に着くとホームには誰もいなかった。
車掌が「乗客のことを考えて無人のホームに停車し、誰もホームに上がってこられないようにしてある。列車はこのまま車庫に入る」と伝えた。
新幹線は新神戸駅に停車し、乗客たちが一斉に降り始めた。清丸を連れて新幹線を降りた時、包丁を持った作業着の男性が「清丸を出せ!」と近づいてきた。
清丸を車内に戻し、銘苅が威嚇射撃をすると、男は近くにいた女の子を人質にとった。
男を落ち着かせようと関谷が近づこうとしたが、銘苅は「俺たちの任務じゃない」と言った。だが関谷は放っておけなかった。
泣き叫ぶ少女を見て、清丸は「不細工なガキ」とつぶやき新幹線のカーテンを下げた。

機動隊が清丸のいるホームに近づいてきていた。奥村は「機動隊を近づけるな!」と言い、兵庫県警から来た警部たちを車両の外へ押し出し、車両に清丸白岩奥村の3名になった時、白岩が突然清丸に銃を向けた。
白岩「これであの子の命も助かって、こいつもいなくなります。奥村さんは『銃が暴発した』と証言してくれればいい」
清丸「撃てないでしょ。僕を怖がらせようとしているだけだ」
白岩は「10億は分けましょう」と奥村に言い奥村は息をのんだ。
清丸→奥村「ダメですよ引っかかっちゃ。あなたを試そうとしているのかもしれません」
白岩「殺せば、神箸さんのような被害者はもう出ない」
奥村「・・・やめてくれ」
白岩「そうですか、残念です」
白岩は銃をしまってその場を離れた。

外では関谷が少女を人質に取っている男に説得を試みていた。だが男は「清丸を殺すしかもう後がないんじゃ!」と言い少女と包丁を離さない。
関谷は「その子を見てみんさい。震えとるやなかか」と男に言うと、男は女の子を見て少し冷静さを取り戻し、包丁を持ったまま下におろした。関谷は続けて「よかよか。さ、包丁ばこっちへ」とさらに男に近づこうとした。
だが男は再び興奮し、「騙されんぞ!どいつもこいつもコケにしやがって!」と言い、包丁を振り上げた。関谷は危険を感じ、銃を出して男を説得したが、男には聞こえていなかった。関谷は男に向けて銃を撃ち、男は倒れた。
少女は母親に抱かれて逃げていった。
銃声が聞こえて再びカーテンを上げた清丸は、関谷にグッドサインを送った。
関谷は駆けつけた兵庫県警に連れられて去っていった。

銘苅白岩奥村は乗っていた新幹線をハイジャックしてノンストップで東京まで向かうよう命令した。
新幹線は走り出したが、しばらくして突然急停車し、車掌が「7キロ先の線路に障害物が置かれている」と伝えに来た。
仕方なく新幹線を降りたSPは清丸に紐を結んで奥村が引きながら、車を探して歩いた。

夜通し歩き続け、朝になった。清丸は「もう歩けない」と言い地面に座り込み、「もっと計画立てて行動してくださいよ」とSPたちに言った。
どうしようか考えていると、道路の向こうからのくる音が聞こえて来た。車に乗っていたのは男1人だった。銘苅は車を停めさせ男を銃で脅して助手席に乗せ、奥村の運転で先に進むことになった。

清丸は車に乗ると「のど湧いたなぁ。お腹もすいた。人権侵害ですよこれは」と発言した。誰も返事をしなかった。
奥村はバックミラーで白岩が携帯をいじっているのを目にした。
車の所有者の男(高橋和也)は「一般人の車を無理やり奪うほど大事な事なんですか?」と聞いた。銘苅は「”公務”としかお伝え出来ません」と返した。
男は銘苅をにらみつけ「こんな男を守るのが本当に大事なことなんですかって聞いてるんですよ!」と叫んだ。はダッシュボードに隠していたナイフで清丸を切りつけようとした。
銘苅と奥村が慌てて男を取り押さえ、白岩は清丸を連れて車の外に出た。取り押さえられた男は「何でこんなやつを守って、めぐみを守ってくれなかった!」と叫んだ。
男は清丸が殺した最初の女の子の父親だった。
話を聞いて、清丸は少女を思い出した。
清丸「あぁ、めぐみのお父さんか。あの子よかったなぁ、ぷりぷりしてて。僕、めぐみのね…」
男が暴れだし、奥村は「黙れ!」と清丸に怒鳴った。

様子を見ていた白岩は「銘苅さん、清丸が誰かに殺されるとしたら、この人が1番ふさわしいんじゃないでしょうか。清丸サイトにまた位置情報が漏れています。もう時間の問題かもしれません」と言った。
清丸は「いちいちうるせぇんだよクソババァ!」と叫んだ。銘苅は白岩に清丸を車に戻すよう指示した。

車をいったん止め、SPは清丸を車に残して外に出た。
白岩奥村に「犯人はあなたしかいない」と詰め寄った。奥村は「車で携帯つついていただろう」と白岩に反論した。
銘苅は「可能性を潰していくしかない。携帯を見せろ」と白岩に命令した。白岩は携帯を出し、銘苅に渡した。子どもにメールを送った履歴が残されていた。
奥村も「俺にも見せろ」と白岩に近づいたが、銘苅と白岩は奥村を取り押さえ、「発信機を出せ」と命令した。銘苅は奥村の発信機を所持品から探したが、何も出てこなかった。奥村は「公務執行妨害でパクッてやるからな」と恨めしそうに2人に言った。
銘苅は奥村が右手を触っていることに気が付いた。奥村の右手を見ると、手首に小さな切り傷があり、奥村は手首にマイクロチップを仕込んでいたことが分かった。
奥村は「これをつけることで、誰が清丸を殺しても俺には10億入ることになっていた。逮捕されずに金が手に入るわけだ。それに、俺がこの話を持ち掛けられたのは清丸警護が決まるよりも前の話だ。」と話した。
銘苅「刑事としての誇りは無いのか?」
奥村「あるよ。銘苅、あんたは立派な警察官で立派なSPだ。人間としても正しい。そんなあんたが命を懸けて守る価値が清丸にあるか?もし清丸が死刑にならずに出所したら、またすぐに少女を殺すぞ。その時あんたはその少女に何と言って詫びるつもりだ?」
銘苅は答えられなかった。
奥村「清丸を生かしておいたことをいつか後悔する日がくる。取り分の半分をやる。」
銘苅「奥村さんは不思議だ。金の話が出てくると、全部言い訳にしか聞こえなくなる。」
銘苅と白岩は奥村をその場に置き去りにして、清丸を連れていった。

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あらすじ詳細④結

銘苅警部補たちが静岡に着いた頃、銘苅の携帯に大木係長から電話があった。電話を取ると大木は小声で「銘苅、無事か?」と聞いた。
銘苅が変に思って話を聞くと、あの後警察に保護された奥村警部補は警視庁に『清丸が銘苅と白岩の2人を人質に取っている』と報告していた。
警視庁は奥村の報告を基に、”人質となっている銘苅と白岩の救助を最優先とし、清丸の射殺もやむを得ない”と警察全体に通達を出したという。
この時銘苅と大木は蜷川氏が言っていた条件の2つ目”国家の許可を持って清丸を殺害した者”の意味を理解した。警視庁(国家)が清丸射殺の許可を出した今、警察官が清丸を殺害した場合も10億円がもらえると言う意味だ。
大木は「静岡県警は全力でお前たちを探している。すぐに清丸を警察署に連れていけ」と言ったが、銘苅は断った。大木は「じゃぁ応援を寄こそうか?」と聞いたが銘苅はそれも断り電話を切った。もう誰も信用できない。
大木が携帯をしまった後、振り返ると公安の男が2人のやり取りを聞いていた。
男「なぜ銘苅に居場所を聞き出さない?」
大木「これ以上、人が殺されるのは耐えられない!」
男「・・・病気のお子さんのことを考えて」
大木「あいつの病気は治らない。俺は蜷川の指示通り、銘苅と子どものいる白岩を任務に就けた。俺の仕事はそれで終わりだったはずだ。」
男「今更後戻りはできませんよ。金で魂を売った私たちのことが表沙汰になれば、あなたも破滅ですよ」
公安の男は大木の肩を叩いて去っていった。

銘苅たちは駅周辺に車を乗り捨て、電車に乗ったように見せかけた。顔が割れているため公共機関は使わず、一般車両を奪うことにした。
若者が鍵をかけずに車を降りて建物に入ったのを見て、銘苅は車を取りに行き、白岩は清丸の見張りをしていた。
清丸は遠くを見つめ、白岩に「誰かいる」と言った。白岩が道路の向こうを見ている間に清丸は逃走した。
逃走した清丸が民家の間を通っていると、ベランダの窓から少女が寝ているのが見えた。清丸は周りを見渡し、石を持って自宅に侵入しようとした。
そこに銘苅白岩が駆けつけた。
銘苅「どうするつもりだった?」
清丸「どうせ僕は殺される。だったら最後にちょっと位いたずらしたっていいじゃないですか。あなたたちは僕を守っていればいいんでしょ?邪魔しないでよ」
白岩「・・・銘苅さん、警視庁から通達がなされた以上、私にも清丸を殺す権利はあるんですよね」
白岩は清丸に銃を向けた。
銘苅「お前に清丸は撃てない。撃てばお前に10億円が入ってしまう。そんなことはお前のプライドが許すはずがない」
銘苅は優しく白岩に言うと、白岩は銃をしまった。
清丸は2人の様子を見て、「もし2人のどちらかが10憶円を手に入れたら、僕の母ちゃんに少しでいいから分けてやってほしい。女手一つで俺を育ててくれたのに、親孝行らしいこと何ひとつしたことがないんだ。」
清丸の突然の人の子らしい発言に銘苅は耳を疑った。「だからせめて、老後の支えになるお金を渡してやってくれませんか?お願いします」

一般車両を探して歩いていると、突然3人の目の前にタクシーが止まった。女性の運転手(余貴美子)が「乗っていきなよ」と3人を誘った。
タクシーに乗った銘苅たちは運転手に「なぜ乗せた?」と聞いた。運転手は「タクシーだから。あんたたちは有名人だし、今日客少なくてね」と呑気に答えた。
運転手は報道で見聞きした、今まで清丸を殺そうとした人たちの情報を話し始めた。
新神戸駅で少女を人質にとった男は中小企業の社長で、借金で首が回らなくなっていて、それでも母親の介護をしながら泣きごとも言わず頑張っていたという。
留置係は奥さんが病気で入院中で、看護師は夫がリストラ。機動隊員の2人はギャンブルが原因で金に困っていたという。
「ギャンブルは自業自得だけど」と笑いながら運転手は続けた。
結局みんなお金に困っていて、でも自分が捕まっても家族にだけは残そうとしていた。
「蜷川という富豪が仕掛けたゲームに貧困者が参加しているという構図になってるんだよね。蜷川がいくら持っているのか知らないけど、お金があれば何でも出来るの?」
運転手は呆れたように笑った。そして「あ、料金はちゃんといただきますよ」と付け加えた。

車で東京へ向かうにしてもあちこちで検問が行われていた。銘苅たちは運転手のアイディアで、白岩を運転手に、銘苅を乗客に変装させ、清丸をトランクに隠した。
『乗客が乗っているタクシーには検問が甘い』と言っていた運転手のアドバイス通り、銘苅たちは無事に検問を突破した。

そのままタクシーで東京へ向かっている途中、ラジオの速報で、清丸の母親が自宅のアパートで死亡していたのを確認したと放送があった。部屋には遺書が残されており、自殺とみられていると告げ、さらに遺書には『国ちゃんへ。お頼み申します。これ以上人様を傷つけるようなことはせんでください。母は先に逝って待っています。』と記されていたと流された。
聞いていた清丸は涙を流し、「車を停めてください」と訴えた。

銘苅たちは休憩を取ることにした。田んぼ脇に車を停めると、清丸は車から出てきて泣き崩れた。清丸を眺めていると、銘苅の携帯が鳴った。出てみると、電話の相手は蜷川だった。
蜷川「君には20億だそう。30億でもいい」
銘苅「あなたのやり方は間違っている」
蜷川「正しいやり方などありはしない」
銘苅「なぜ関係ない人間を巻き添えにする?」
蜷川「何を言っても無駄だ。ただ私は清丸を抹殺したい。ただそれだけだ。もし、君の妻を殺した運転手を殺したいなら私が探そう。君と私は同じじゃないか」
清丸は、白岩が銘苅の会話に夢中になって自分を見ていないことに気が付いた。田んぼ脇に落ちていた鎖を拾い、白岩に殴りかかり、銃を奪った。
銘苅「蜷川、これ以上他人を巻き込むな。自分の恨みは自分で晴らせばいい。人を使っている限り、俺はあんたを認めない」
銘苅は電話を切った。と同時に銃声が響いた。銘苅が慌てて様子を見ると、白岩が倒れ、清丸は銃を投げ捨ててから銘苅の方を振り向き、笑みを浮かべた。

怒った銘苅は清丸を思いきり殴り、白岩の様子を見た。白岩は腹に銃を浴びていて虫の息だった。
「すみません。油断しました・・・まだ死ねないです・・・子ども1人残して・・・まだ3年生・・・キャッチボール・・・約束・・・」
そう言って白岩は動かなくなってしまった。
動かなくなった白岩を見て、清丸は「死んじゃった?」と呟いた。銘苅は立ち上がった。
銘苅「お前のこと、命がけで守ろうとしたんだぞ?なんでだ?」
清丸「だって、この人おばさん臭いんだもん。車の中も臭かったし・・・」
銘苅は我慢できずに清丸を何度も殴り、銃を頭に押し当てた。
清丸「殺せよ。でも死んだ奥さん悲しむだろうなぁ・・・”人を守るのがあなたの仕事でしょ?”」
清丸は笑った。銘苅はこみ上げる衝動を我慢して歯を食いしばった。
銘苅「妻は、そんなこと一言も言ってない!俺が心の中で勝手に作った物語だ。こんな作り話でも信じなきゃ、俺は生きていくことができなかったんだよ!俺に子どもが居るか聞いたな?いたよ・・・妻のお腹の中に、女の子がな。俺はその運転手を刑務所に入ってでも殺そうと思った!何度も頭の中で殺したよ!仕事がなきゃ、俺はあいつを殺してた。仕事じゃなきゃ、お前も真っ先に殺してたよ!・・・教えてやろうか。あの5人の中で一番お前を殺したかったのは、この俺だ!」
銘苅はそう言って撃鉄を引いた。清丸は笑い転げた。
銘苅は銃を清丸の口に押し込み、叫んだ。

銘苅は警視庁にたどり着いた。
警視庁は大勢の警察とマスコミが取り囲んでいた。銘苅の到着を待っていた全員が考えていることは同じだった。清丸は生きているのか、死んでいるのか。
銘苅は後部座席から清丸を引きずり出した。清丸は生きていた。歩くのもままならない清丸を銘苅は無理やり歩かせ、大木係長の前に差し出した。
銘苅「清丸を連行しました」
大木「銘苅、俺はな・・・」
その時、車が一台警視庁にとまり、中から出てきたのは蜷川だった。見ていたスーツの警察官は「蜷川を確保!」と叫び、部下たちが蜷川の方に走ったが、銘苅が立ちはだかった。
大木は「お前は清丸を警視庁に連れて来た。お前の仕事は終わりだ」と言った。銘苅は「蜷川が10億円の依頼を取り消さない限り、清丸は誰かに殺されます。そうなれば私たちのやったことが無駄になってしまう。そうなれば、白岩たちに申し訳が立たないんです」と言った。大木はうつむいた。

銘苅「私が説得します」
蜷川は杖をつきながら、ゆっくりと清丸の方へ歩いていく。銘苅は蜷川の前に立った。
銘苅「大切な人を失う気持ちは、私にも少しはわかるつもりです。」
蜷川「どうしてこいつのやったことを許すことが出来る?同じ思いをしたんだろ?」
銘苅「蜷川さん、死んだ人間の声に耳を傾けてください。ちかちゃんは”この男を殺してくれ”と言ってますか?」
蜷川「死んだ人間は喋らない。この男が生きていて、ちかがいない。そんなことは許せない」
蜷川は杖に仕込んでいた日本刀を取り出し、清丸に襲い掛かろうとした。しかし銘苅に抑えられ刀を落としてしまい、その場に倒れた。
清丸は落ちた刀を見て、起き上って拾い、蜷川に襲い掛かった。だが清丸を止めようとした銘苅に刀が刺さり、清丸は「スゲー」と呟き、清丸は大勢の警官に取り押さえられた。
銘苅は担架に乗せられ、清丸警護の最高責任者、高梨警視正は「この男の命を何よりも最優先にしろ!」と叫んだ。
蜷川は殺人を教唆した容疑で逮捕され、10億円の依頼も取り消された。

後日、起訴された清丸に死刑判決が下った。
最後に言い残すことはないかと問われた清丸は
「後悔、反省しています。どうせ死刑になるなら、もっとやっとけばよかったかな、って」

傷が回復した銘苅白岩の息子と待ち合わせしており、一緒に歩きだした。

終わり。

主題歌:氷室京介『NORTH OF EDEN』

 

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