映画「パフューム ある人殺しの物語」あらすじ結末ネタバレ・感想

パフュームパッケージ

 

ヨーロッパの人気小説を映画化した作品。
「ラン・ローラ・ラン」「クラウド・アトラス」のトム・ティクヴァ監督。
18世紀のパリの魚市場で生まれた男の子ジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)は天性の嗅覚の持ち主だった。
「匂い」だけが友達で愛を知らずに育ったグルヌイユはある日、究極の香りと出会う。それは女性の匂いだった。
その香りを保存する方法を知るためにグルヌイユは香水店で働き始め、試行錯誤を繰り返す。

原題:PERFUME: THE STORY OF A MURDERER
制作年:2006年
本編時間:147分
制作国:ドイツ・フランス・スペイン
監督:トム・ティクヴァ
脚本:トム・ティクヴァ、アンドリュー・バーキンほか
原作:小説/パトリック・ジュースキント「香水 ある人殺しの物語

出演者・キャスト

ベン・ウィショー(ジャン=バティスト・グルヌイユ) ダスティン・ホフマン(ジュゼッペ・バルディーニ/香水師) アラン・リックマン(リシ) レイチェル・ハード=ウッド(ローラ・リシ/リシ氏の1人娘) カロリーネ・ヘルフルト(柑橘売りの娘) コリンナ・ハルフォーフ(マダム・アルニュルフィ/香水師見習いたちの師匠) ポール・ベルロンド(ドリュオー/アルニュルフィの夫) ジョン・ハート(ナレーション) ほか

 

パフューム ある人殺しの物語|感想

匂いフェチの変態な僕のお話。
中間が若干長く感じたけど最後は意外とあっけなかったです。
元々はフランスの人気小説が原作だったみたいですね。観た後に知って話しの流れに納得しました。
性的趣向な殺人のやつかなーと思っていたのですが、見ていくと違いました。愛でした。
気に入った女性を追いかける姿はただのストーカーだったけど、女性のそばに立つ姿は母親を求める子供のようで怖くなくて、その辺でベン・ウィショーの演技力の高さが際立って感じました。
誰からも愛されず、愛することもできず、物事の良し悪しの区別もできない子どものまま育ってしまったんですね。
本当は何が欲しいのか、わかった時には遅かった。ここは共感できます笑
人をあれだけ陶酔させる香水ってどんな香りかかいでみたいです。
この映画で初めてベン・ウィショーさんを見ました。私の気になる俳優さんの一人に追加されました。
ホフマン氏の白塗りの顔が可愛かった。
リックマンさんをハリポタ以外で久しぶりに見た。もう彼の新作が見れないと思うと残念です。

 

以降はあらすじ詳細でネタバレ含みます。

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パフューム ある人殺しの物語|あらすじ詳細①起

舞台は18世紀のフランス。牢獄から1人の若い男が看守に引かれて群衆の前に現れるた。
その男は香水師のジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。
彼は群衆の前で十字架にはりつけにされ、鉄の棒で12箇所の骨を砕かれ絶命という残酷な刑を宣告された。興奮し、沸き立つ観衆たち。

グルヌイユが生まれた時代は町のどこもかしこも悪臭がひどく、中でもパリは特にひどかった。
その中でもさらにひどかった場所、パリの魚市場で1738年7月17日、彼は生みおとされた。

母親は魚市場で働く女性だった。彼女は屋台のすぐ裏、大量の魚の死体と内臓の上でグルヌイユを産み落とし、そのまま放置した。
今までも彼女は何人かの子を産んだが死産かすぐに死んでいた。だからその子もすぐに死ぬと思った。

だがグルヌイユは違った。大声で産声を上げたのだ。
村の人々はすぐに赤ちゃんの泣き声に気づき、母親は子殺しの罪で絞首刑となった。
グルヌイユは生まれてすぐに孤児になりその後、裁判所の命令でマダム・ガイヤールの育児所に引き取られた。

グルヌイユは5歳になり、まだ喋れなかったがその才能は徐々に目覚め始めた。
彼は人よりも嗅覚がずば抜けて鋭かった。それは神が与えたギフトと言えるほどの感覚だった。
他の子どもたちはグルヌイユが異質な存在であると感じ、誰も彼に近づかなかった。

グルヌイユは青年になり話せるようにはなったが、彼は嗅覚がもたらす感情の虜だった。
それは日常的な言葉では表現できなかった。
13歳になり、グルヌイユからお金が取れなくなったマダム・ガイヤールは、皮なめし屋の親方にグルヌイユを売ることにした。
グルヌイユを渡し、その後すぐにマダム・ガイヤールは物取りの男たちに襲われ、金を奪われ殺された。

皮なめしの仕事はとても過酷な労働環境だったが、グルヌイユの身体はとても丈夫で新しい環境にすぐに順応し、毎日15.6時間、骨身を惜しまず働いた。
グルヌイユはここに来てから、まだ彼の知らない様々な香りがあることを知り、いつかそ理想の香りに出会えることを夢見ながら働き続けた。

グルヌイユはやがて品物を届ける仕事を任されるようになった。これは彼がずっと待ち望んでいたことだった。
街に行けば様々な香りをかぐことが出来る。
初めて街を歩いた日、グルヌイユは初めての香りを沢山感じ、街にあふれる何万種類という香りを一つずつ分類していった。
品物を届けて親方が買い手と話している間、グルヌイユはある香水店の香りに夢中になった。
店内では男性店員が女性客に、新作の香水”愛と精霊”を試させていた。

その時ふと、彼は香水とは別の魅力的な香りを感じ取る。
それは柑橘売りの娘(カロリーネ・ヘルフルト)の香りだった。
グルヌイユは我を忘れて娘を追いかけ、娘の作業場までやって来た。
彼に気づいて驚いた娘は悲鳴をあげ、同時に人の気配が。びっくりしたグルヌイユは娘の口をふさぎ、人が去るのを待ったが、その間に娘は窒息して死んでしまった。
グルヌイユは動揺したが、娘の服を脱がせてその肌の香りを嗅ぎ続けた。
それは彼にとって何とも言えない至高で甘美な香りだった。
だが死体のそばに長居はできず名残惜しみながら店へと戻り、怒った親方に殴られた。

その日の夜、グルヌイユは彼自身が今日まで生きている理由を理解した。
彼はあの忘れがたい崇高な香りを保存する方法を学ぶために生まれてきたのだと確信した。

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パフューム ある人殺しの物語|あらすじ詳細②承

パリに香水店を出して30年になるジュゼッペ・バルディーニ(ダスティン・ホフマン)は、若いころは素晴らしい香水を世に出し財を築いたが、現在は時代に取り残され、店には閑古鳥が鳴いていた。
バルディーニには今、街で大流行しているペリシエの香水”愛と精霊”に似たものを作ってほしいと伯爵から依頼が入っていた。

”愛と精霊”を超える作品を伯爵様へ送ってやると意気込み、バルディーニはお店を店番のシェニエに任せて店の奥にある自宅兼仕事部屋にこもった。
地震も無いのに時たまガタガタと揺れる家だったが、そんなことはバルディーニ本人も気にしていなかった。
バルディーニは”愛と精霊”を取り出して香りの成分をかぎ分けようとするが、細かいところがわからず苦戦していた。

夜になり、バルディーニの家にグルヌイユが商品を届けにやって来た。
香水が作りたかったグルヌイユは、何とかバルディーニに取り入ろうと彼から香った”愛と精霊”を、彼の目の前で見事に調合して見せた。
驚くバルディーニに「俺ならもっといい香水を作れます」と、もうひとつ香水を調合したが、キャパオーバーしたバルディーニは「ここで働きたい」と必死に頼むグルヌイユを一度帰させた。
グルヌイユを帰した後、彼が調合した香水を試したバルディーニはその香りに心を奪われた。

バルディーニは大金を払ってグルヌイユを買い、親方は大喜びでそれに応じた。
その後、皮なめし屋の親方は海辺で足を滑らせ、コンクリートに頭を打ち付け海に落ちて死んだ。

グルヌイユを雇ったバルディーニの店はふたたび人気を取り戻し、それはかつての賑わいを凌ぐほどだった。
グルヌイユが知りたいのは『匂いを永遠に保存する方法』だと聞いたバルディーニは、ある伝説をグルヌイユに話して聞かせた。

かつてエジプトで発掘された香水があり、それは作られてから何千年も経っているはずなのに、瓶の蓋を開けると古さを全く感じさせない、楽園に居るのかと錯覚するような香りが辺り一面に漂ったそうだ。
その後、香りの成分が調べられたが香水を構成する13種類の香油の中の最後の一種類だけが今だにわかっていないという。

バルディーニはこの話は「おとぎ話だ」と念を押したが、グルヌイユはその技術を手に入れようと強く思ったのだった。

ある日、グルヌイユは柑橘売りの娘を嗅いだ夜のことを夢に見た。
目が覚めたグルヌイユは「香水をいくらでも作るから、香りを保存する方法を教えて欲しい」とジュゼッペに頼んだ。
後日、バルディーニはグルヌイユに、自身の作った器械でバラの香りを抽出して見せた。
それはバラを煮て、出た蒸留水を集める『蒸留法』というやり方だった。
その際バルディーニは、『香りの集まる町』と呼ばれるグレースという土地があることをグルヌイユに教えた。
家全体から軋む音がしてガタガタと揺れる。
グルヌイユは、バルディーニのやり方で様々な香りを抽出したが、ガラスや銅、生き物の香りは抽出出来なかった。実際に猫で試したのだ。
このことに驚いたバルディーニは正気を疑った。
バルディーニは怒ってガラスや生き物の香りは抽出できないと教えると、グルヌイユはショックで気絶した。

グルヌイユは原因不明の病気にかかった。
「今死なれるわけにはいかないのに」とグルヌイユの寝ている横でバルディーニは困り果てた。
病気の床でグルヌイユは、またあの柑橘娘の夢を見て目を覚ました。

「蒸留する以外に方法はありますか?」と聞くグルヌイユに、バルディーニは「グレースに行けば教えてもらえるだろう」と答えると、その後、グルヌイユの病気は1週間で完治した。

グレースで働くには『香水調合師の職人証明書』が必要だった。
バルディーニはグルヌイユに「100種類の香水の処方を書き残したら証明書を書いてやる」と約束した。
そんなことはグルヌイユにとって朝飯前だった。

グルヌイユがバルディーニの元から旅立った日、バルディーニは幸せな気持ちで眠りについた。
これだけの香水の処方があれば、もう香水作りで苦労することもお金に困ることもない。
幸せな気持ちでバルディーニは眠りについた。そして再び目覚めることはなかった。
バルディーニが眠った後、彼の家はついに崩壊してなくなった。


グレースへと一歩ずつ近づくほど、グルヌイユの幸せは増した。
グルヌイユは道のりを最短距離の険しい道を選んで進んだが、道中、岩に囲まれた小さな洞窟の中で香りの全くない場所を見つけた。
グルヌイユは初めてそこで自分の居場所を見つけたように感じ、生まれて初めてリラックスできた。

彼は長い間その洞窟にこもり、旅の目的を忘れかけていた。
だがある日、またあの柑橘娘の夢を見た。
今度は娘は死体ではなく生きていて、気配を感じて振り返るが、グルヌイユのことが見えていなかった。
目が覚めたグルヌイユは急いで自分の匂いを確かめる。だが、彼自身の体臭を感じることができなかった。
グルヌイユはこのとき初めて自分に体臭が無いことを知った。
香りが何よりも大切なグルヌイユにとって、それは自分の存在が無いようなものだった。
彼は旅の目的を思い出し、決意を新たに再び歩き出した。
自分の存在が無ではないこと、自分が特別な存在だと世に知らしめるために。

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パフューム ある人殺しの物語|あらすじ詳細③転

やっと舗装された道まで出てくることができた。そこで彼は女性の香しい匂いを感じ振り返った。
通りの向こうから一台の馬車がやって来て、中には美しい赤毛の女性が乗っていた。
グルヌイユは我を忘れて走って馬車を追いかけ、グレースの町に入ることが出来た。

グルヌイユはそのまま大きな貴族の屋敷にたどり着き、彼女の名前がローラ・リシ(レイチェル・ハード=ウッド)ということ、父親のリシ氏(アラン・リックマン)と住んでいて、母親はすでに亡くなっていることを知った。

グルヌイユはグレースでの修行も完璧にこなし、指導者のマダム・アルニュルフィ(コリンナ・ハルフォーフ)から一目置かれていた。
だが夫のドリュオー(ポール・ベルロンド)はグルヌイユをよく思っていなかった。

そこでは香りを抽出する蒸留法以外のもう一つの方法『冷浸法』を学ぶことが出来た。
冷浸法は、まず対象物を煮込んで動物の脂を塗り、匂いが脂に染みるよう温める。
その後、冷却装置に入れて冷やし、脂をこしてからアルコールを加えるという方法だ。
その冷却装置は人間が1人や2人は丸ごと入るほどの大きな円筒型の装置だった。

夜になり、グルヌイユと同じく香水調合の修行にきている若い男女二人が納屋でイチャついていた。
女性が肉体関係を拒んだことで男が怒り、男が納屋から出ていった。
女性は1人で納屋から出られず男が帰ってくるのを待つが、やって来たのはグルヌイユだった。
グルヌイユは女性を殺してそのまま冷却装置に入れてみたが香りは抽出できず、失敗してしまった。

再び、グルヌイユは殺人を行う。
娼婦を一晩買い、宿で腕に脂を塗って試そうとしたが娼婦が脂をそぎ取る道具を見て怯え、帰ろうとしたため殺害した。
髪をそぎ落として全身を脂で包み、脂をそぎ落とした後は全裸の死体を放置して帰宅した。
犯行を目撃したのは彼女が飼っていた犬だけだった。
グルヌイユは帰宅後、香油を抽出し小瓶に入れた。

翌日、娼婦の死体が宿から運び出された。
グルヌイユは死体が運ばれるのを眺めている犬の近くで、娼婦で作った香油を手に一滴たらすと、犬は匂いを嗅ぎつけ喜んで香油をなめた。
ついにグルヌイユは人間の香りの抽出に成功した。
今までの苦労が結果に表れた瞬間だった。グルヌイユは13種類の香油が入る香油ケースを嬉しそうに眺めた。


ある夜、グルヌイユはリシ家の庭に隠れてローラを眺めていた。
その日はローラの誕生日パーティが催されており、ローラに好意を寄せる伯爵からプレゼントがあったりと和やかな雰囲気だった。
そして若者たちは広い庭でかくれんぼをしようということになり、若い男女たちがいっせいに庭へとかけていく。
ローラを手に入れるチャンスだと感じたグルヌイユは庭でローラを探した。
だが伯爵がローラをずっと見ているため手が出せず、諦めたグルヌイユはかくれんぼに参加していた別の双子の娘に手をかけた。

グルヌイユが帰宅して香油を完成させると明け方になっていた。
頼んだ仕事の準備を忘れていたグルヌイユに怒った亭主ドリュオーが怒鳴り込みに行くが、彼の気配を感じたグルヌイユは出来たばかりの双子の香油を一滴手に垂らしてた。
亭主がグルヌイユはに近づくと怒りの表情が消え、かしこまった態度に変わった。
香油の香りが、香りの元となった人間に応じた態度へと無意識に変わってしまったのだ。

街では、昨夜の双子で3人目の被害者が出たことで市の緊急会議が開かれ、街への外出禁止令が検討されていた。
「仕事がまわらなくなる」と反対派が多い中、リシ氏は娘が心配で外出禁止を強く願い出た。
当初は反対派が多くリシ氏の意見は通らなかったが、被害者は4人5人と増えていき、ついに外出禁止令が発せられることとなる。
だがグルヌイユの犯行は終わらなかった。
疑われることなく、彼女たちの隙をついて順調に美女の香油は集められ、とうとう12種類まで集めることが出来た。
最後の13個目はもちろん、ローラのものでなければならない。

その頃、街は大混乱におちいっていた。住民たちは疑心暗鬼になり、少しでも怪しい男は全員投獄された。
ある日ついに『犯人が捕まった』という報告が街中に伝わり、住民たちは安堵したが、その男はグルヌイユではなかった。
街のこれ以上の混乱を避けるためか、警察が投獄した男性の1人を拷問し、無理やり自白させたのだ。
これに気づいたリシ氏は捜査を続けるよう求めたが、「もう事件は解決した」と警察は動かなかった。
リシ氏はまだ危険であると考え、娘を連れてグレースの街から離れた場所に身を隠すことにした。
ローラとリシ氏がグレースから立った朝方、グルヌイユは匂いでそれを感じ取り、匂いを頼りにローラを追いかけていった。

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パフューム ある人殺しの物語|あらすじ詳細④結

グルヌイユがいなくなった後、殺された娼婦の犬が彼の作業場にやってきて地面を掘り、何かを引っ張り出した。
それは娼婦が着ていた衣類だった。見つけた亭主ドリュオーは慌てて警察に連絡した。
グルヌイユの作業場の地面から12人分の髪の毛と衣類が発見された。
警察はグルヌイユが真犯人だと確信して、彼の居場所を探し始めた。

ローラとリシ氏は海沿いの民宿へ到着していた。明日の朝に近くの孤島にある僧院に身を隠す予定だった。
ローラの部屋に鍵をかけ、別室でリシ氏は眠りについた。ローラの部屋の鍵はリシ氏の枕元に置いていた。

次の日の朝。リシ氏が娘の部屋を開けると、ベッドの上でローラは今までの女性たちと同じ、全裸に丸坊主の姿で殺されていた。
こうしてグルヌイユは民宿から少し離れた野外で香水を完成させたが、同時に警察に捕まった。


場面は冒頭に戻る。牢に入れられたグルヌイユは牢から出るとき、隠し持っていた香水の栓を開け、それと同時に看守たちの表情が変わった。
処刑上の周りには大勢の人が集まり加害者の到着を待つ中、貴族の服を身にまとったグルヌイユが処刑場に現れた。
彼が馬車から降りた瞬間から見ていた観衆たちの表情が変わっていく。
処刑場に登った時、処刑人は目出し帽を脱ぎ捨てて叫んだ。
「彼は無罪だ!」
グルヌイユは香水をハンカチに染みこませ、大きく何度か振った。香りが瞬く間に辺りに広がっていく。
それは高みで見物していた司教まで届き、司教は叫んだ。
「彼は人間ではない。天使だ!」
ひれ伏す人々の中、リシ氏だけは正気を保ち剣を持ちグルヌイユに近づくが、グルヌイユが両腕を広げると、リシ氏はひざまずき涙を流した。
「我が息子よ!」
リシ氏に抱きしめられたグルヌイユは、そのとき違和感を覚えた。求めていたのは何?

そのとき柑橘売りの娘が思い出される。その映像でグルヌイユは、生きているその娘と笑顔で抱き合っていた。
グルヌイユが求めていたのは人間を人並みに愛し、愛されることだった。だが香水はその能力を持っていなかった。
香水をかいだ人たちは、服を脱ぎ捨てて近くにいる者と見境なく愛し合い始めた。
絶望したグルヌイユはそのまま処刑場を立ち去り、誰も彼を止める者はいなかった。

翌日、再び事件の再調査が行われ香水農場の亭主ドリュオーが逮捕された。
長時間にわたる拷問で彼は罪を認め絞首刑となり、これでこの事件は解決となった。
そのころ、グルヌイユは生まれ故郷のパリへ向かっていた。
彼が望めば世界も手に入れられただろうが、人間というものに嫌気がさした彼は何もする気が起きなかった。
グルヌイユが生まれたパリの魚市場へと戻ってきた1766年6月25日の夜、浮浪者たちが集っているのを見たグルヌイユは、彼らのすぐそばで残りの香水をすべて頭からかけた。
においに気付いた浮浪者たちは振り返り、歓喜の表情でグルヌイユに集まった。
だがその陶酔は次第に彼をとり込みたいという欲望へ変わり、あっという間にグルヌイユは浮浪者たちに食べつくされて跡形もなくなってしまった。グルヌイユを食べ終えた浮浪者たちは幸せに満たされていた。

翌日、いつもと変わらない市場のにぎわいの中、残っていたグルヌイユの服を子どもたちが持ち去った。
傍らに残された香水瓶から最後の一滴が地面に落ちた。

 

主題歌:オリジナルサウンド

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