『機動警察パトレイバー the Movie』ネタバレ解説|帆場の自殺理由など考察 | 映画の解説考察ブログ

『機動警察パトレイバー the Movie』ネタバレ解説|帆場の自殺理由など考察

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SF

劇場版『機動警察パトレイバー THE MOVIE』の解説、考察をしています!
産業用ヒト型ロボット『レイバー』が普及し、都市開発が進みつつある東京。
『HOS』という新しいOSを搭載したレイバーが暴走する事件が多発し、警視庁特殊車両二課の篠原遊馬巡査は原因究明に奔走する。

制作年:1989年
本編時間:99分
制作国:日本
監督:押井守
脚本:伊藤和典
原作漫画:『機動警察パトレイバー 』ゆうきまさみ著

 

キャスト&キャラクター紹介

篠原 遊馬 | 機動警察パトレイバー公式サイト
(引用:https://patlabor.tokyo
篠原遊馬(しのはら あすま)…古川登志夫
警視庁特殊車両二課第二小隊の巡査。
レイバーを操縦する同僚(主に泉野明)の指揮(バックアップ)を行う。
『篠原重工』の社長 篠原を父に持ち、コンピューターシステムに詳しい。
父親との確執があり、篠原重工絡みの何かが起こると真相究明に熱中し、篠原重工に落ち度があれば責任を追求しようとする。

 


(引用:https://patlabor.tokyo
泉野明(いずみ のあ)…富永みーな
篠原と同期で同部署の巡査。遊馬の指示のもとレイバーを操縦する。
強い正義感を持つ明るい性格で、遊馬とは理解し合う存在。
レイバーに対してペットに近い愛情を抱いている。
『零式』を始めて目にした時、ただならぬ不安を感じた。

 


(引用:https://patlabor.tokyo
後藤喜一(ごとうきいち)…大林隆介
特車二課第二小隊長の警部補で、遊馬、野明の直属の上司にあたる人物。
一見やる気がなく掴みどころが無いが、実はかなりの切れ者。
元は公安所属だったが、頭が良すぎたために特車二課に左遷されたと刑事の松井が語っている。
「命令や強制は嫌いだ」と語っているものの、部下を思惑通りに動かすために情報操作を行ったり巧みな話術で誘導するなど、ずる賢い事を平気でする。
 

(引用:https://patlabor.tokyo
南雲しのぶ(なぐもしのぶ)…榊原良子
特車二課第一小隊長の警部補。
常に冷静で真面目で、自分の意思表示はしっかりする。
 

©️1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA
帆場映一(ほば えいいち)
篠原重工のプログラマーでHOSの開発者。
重要参考人として名前があがった時には既に自殺していた。
本籍、経歴不明、年齢は30歳と見られるが実年齢は不明。
病歴を含むその他身体的特徴も一切不明。

篠原重工の従業員リストはおろか、戸籍なども消去されている。

太田功(第二小隊長巡査)…池水通洋
榊清太郎(特車二課整備課長)…阪脩
実山(篠原重工の社員)…辻村真人
松井(警視庁捜査課の刑事)…西村知道
片岡(松井の部下)…辻谷耕史
シバシゲオ(整備班主任)…千葉繁
香貫花・クランシー(第二小隊員)…井上瑤
進士幹泰(第二小隊員)…二又一成
山崎ひろみ(第二小隊員)…郷里大輔
海法部長(警視庁警備部長)…小島敏彦
福島(特車二課課長)…小川真司
指揮官…平井隆博
おっちゃん…立木文彦
警官…西村智博
お天気お姉さん…林原めぐみ
技師…佐藤政道子安武人
警視庁幹部…菅原正志
パイロット…梁田清之
アナウンサー…中嶋聡彦 ほか

 

あらすじ紹介

あらすじ①:


(パトレイバー『零式』 引用:https://patlabor.tokyo

1999年の日本。産業用歩行式作業機械のレイバーシステムが一般社会に普及し、レイバーが人間に代わって重労働を行う世界です。
人間はレイバーに乗り込んで操縦することで、どんな重労働も楽にこなすことができるようになりました。

現在日本が国をあげて進めている『バビロンプロジェクト』で、レイバーは大活躍しています。

バビロンプロジェクトと方舟
バビロンプロジェクトは、東京湾を埋め立てて木更津~川崎間を結ぶ巨大都市の建設計画。
完成すれば首都圏を一周する大環状線も開通し、人口増加に伴う住居問題も解決すると言われている。
そのための土木工事作業には約3600台のレイバー(日本が所有するレイバーの約45%)が使用され、急ピッチで工事は進んでいた。
3600台のレイバーは、プロジェクトに伴い設置された『方舟』と呼ばれる、海上に建てられた多層構造の保管庫で一括管理されている。


(方舟 引用:https://image.itmedia.co.jp

警察が使用するレイバー(パトレイバー)は、市民の安全を守るために使用されています。
この度 新しいパトレイバー『零式(ぜろしき)』の導入が決まりました。
零式は、篠原重工が開発した最新OS『HOS(Hyper Operating System)』が組み込まれることを前提として設計された機体です。
零式の導入に伴い、特車二課の隊員達は操縦訓練に明け暮れていました。

篠原遊馬巡査が所属する特車二課第二小隊は、第一小隊が『零式』の操縦訓練に専念する間の留守を任されていました。

HOS(Hyper Operating System)
主人公の篠原遊馬の父が経営する篠原重工が開発した最新OS。
旧OSと比べて30%以上性能が上がる画期的なシステム。
既に日本にある全レイバーの80%以上がHOSを導入している。
 

そんな中、巷では土木作業用のレイバーや陸上自衛隊が保持するレイバーまでもが勝手に暴れ出す原因不明の事件が相次いでいました。
操縦者の操作ミスによる誤作動が原因と見られていましたが、暴走した陸上自衛隊のレイバーには「誰も乗っていなかった」ことが判明し、原因が全くわからなくなってしまいます。
どの暴走機体も動きを封じるために破壊されたため、機体を調べることも出来ません。

暴走したレイバーの唯一の共通点は、全て『HOS』が装備されていたことでした。
『零式』にも当然HOSが搭載されているため、警察の上層部は隊員達には事情を知らせず、第一小隊の訓練期間を延長することで『零式』の実用開始時期を遅らせます。
上層部の判断を知った第一小隊長の南雲しのぶと第二小隊長の後藤喜一は、レイバー暴走の原因を探ることにしました。




あらすじ②:


(HOSの暴走に驚く遊馬 引用:https://image.itmedia.co.jp

その後、後藤の調べでHOSを開発したのは篠原重工に籍を置く帆場映一という天才プログラマーだったことがわかります。
しかし、帆場は5日前に『方舟』から海に投身自殺していて、遺体は現在も見つかっていませんでした。
後藤は友人の刑事松井に帆場の身辺調査を依頼しました。

一方、HOSとレイバー暴走の関連性を探るため、遊馬も独自に調査をしていました。
遊馬は篠原重工に忍び込み、HOSのホストデータを発見したので閲覧しようとしたところ、ウィルスが作動してパソコンの画面は赤文字の『BABEL』で埋め尽くされ、工場中が大騒ぎになりました。

同じころ、松井刑事は部下の片岡と共に帆場が住んでいた場所に行ってみると、職業柄高給取りなはずの帆場が住んでいたアパートは廃墟同然のボロアパートでした。
しかも、帆場は過去2年間に似たような住居に26回も引っ越しした履歴がありました。
過去の経歴や戸籍は公的機関から綺麗に削されていたのに、住所と引っ越しの履歴だけはなぜか残っていたのも妙でした。
松井は、帆場が住んでいた部屋の壁に旧約聖書の一節が書き残されているのを発見しました。

一方、遊馬はレイバーの暴走が起きた地点をチェックしていると、レイバーは首都圏の各所に点在しているにも関わらず、暴走が発生した個所は3か所に限られていることに気付き、また「犬は人間には聞こえない音も聞こえている」ことから、レイバー暴走の原因が大都市特有の構造から自然発生する低周波が引き金になっていることを突き止めました。

遊馬は仲の良い篠原重工の重役 実山(通称『じっちゃん』)に会い、篠原重工から通産省に『HOSに重大な欠陥があることが判明した』と報告してもらいました。
すると、上層部は混乱を避けるため欠陥の件は市民には知らせず、全てのレイバーのOS書き換えを行うことで穏便に済ませることにしました。
一般には『無償でOSをグレードアップする』と発表していましたが、実際に行われたのは旧OSへの書き換え作業でした。

 

あらすじ③:


(台風の接近を知ったシバシゲオ 引用:https://patlabor.tokyo

同じ頃、遊馬は待機命令中の無断外出やノンヘル運転したことなどが課長の福島にバレてしまい、2週間の自宅謹慎処分を受けました。

処分を受けた直後、ちょうど海外から戻ってきた整備班主任のシバシゲオに既存のパトレイバーのOS書き換え作業の依頼をすると、シバは「元々パトレイバーはHOSに更新していないから書き換えは必要ない。後藤には既に報告している」と答えたので、遊馬を始め一同が驚きます。
後藤は遊馬にHOSのことを調べさせるためにわざと隠していたのです。 

その後、自宅でシバと共にレイバーと低周波の関係性について調べていた遊馬は、方舟に風速40m以上の風が吹くと大規模な低周波が起こり、首都圏にある8000体以上ものレイバーが一斉に暴走する可能性があることに気付きました。
天気予報では現在 大型の台風が接近していて、近日中に風速40m以上の風が起こる可能性が非常に高い状態です。

全レイバーのOS書き換え作業はほとんど終わっていたものの、一度HOSをダウンロードしたことのあるレイバーは漏れなくウィルスに感染している可能性がありました。
後藤は上層部に報告し、緊急会議でレイバー暴走の引き金となる方舟を台風という天災に乗じて破壊してしまう許可を取りました。

このまま何もせずに大量のレイバー暴走が起きれば、特車二課は暴走を未然に防げなかったことで責任を問われるし、方舟を調べて破壊しても、帆場が犯人である証拠を見付けられなければ、その場合も特車二課は方舟を壊したことについて責任を問われます。
後藤たちは市民の安全を優先して方舟を破壊する方向で進めることにしました。

後藤は『どの道バビロンプロジェクトは大きく後退する。これが帆場の狙いだったのかもしれない』と推理しました。

 

あらすじ④:結末

後藤がコネを駆使して関係各所から空挺レイバーや武器を調達し、天才的な戦闘技術を持つ香貫花クランシーを派遣先の国外から呼び戻し、特車二課は台風の接近に合わせて方舟の制御室に向かいました。
後藤は部下たちを見送った後、少しでも事態を穏便に運ぶために関係各所に言い訳をして周ることにしました。

方舟の地下にある制御室を占拠した遊馬たちは、最上階にあるサブ制御室に誰かが居ることに気付きます。
その人物が制御室に入るときに使用したIDは、死んだはずの帆場のものでした。
サブ制御室は普段は使われておらず、音声での通信すら不可能だったため、遊馬は野明にサブ制御室を確認するよう命じました。

その頃、警視庁に残っていたしのぶは、シバと榊から「HOSと一度接触したレイバーやパソコンなどのシステムは、その後OSの書き換えなどをしても意味がなく、もれなくウィルスに感染している」と報告を受けました。
つまり、全国規模で行なった無償のOS書き換え作業には意味がなく、日本にある8割以上のレイバーがいまだウィルス感染したままで、いつ暴走するかわからないのです。
さらにしのぶは、方舟のメインコンピューターにもHOSが使われていることに気が付きました。

同じ頃、風速はまだ40m未満だったにも関わらず、多くのレイバーが勝手に起動して方舟に集まっていました。
太田は暴走レイバーと戦闘を開始し、クランシーは一度警視庁に戻って『零式』を勝手に持ちだして太田の援護に回ります。

その頃、野明はサブ制御室の中を確認してみると、そこには人間はいませんでしたが、沢山の白いハトと、帆場のIDである『666』のプレートを着けた1羽のカラスがただずんでいました。
そして、カラスが鳴くと同時にメインコンピューターのウィルスが作動して方舟が制御不能になりました。

遊馬はサブ制御室の真下に点火線があることを突き止め、近くにいる野明に導火線に点火してから逃げるように指示します。

野明は点火線に点火し、崩壊し始めた方舟から逃げようとしていた矢先、ウィルスにより暴走した零式が野明に襲い掛かりました。
野明は激闘の末、何とか零式の動きを止めることに成功します。
隊員達の命に別状はなく安心した一同の元に、ヘリで後藤、しのぶ、シバが駆けつけました。
遊馬と野明は笑顔で後藤たちに手を振りました。

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※このページの情報は2022年3月時点のものです。最新の配信状況はサイトにてご確認ください。




解説、考察、感想など

原作漫画やアニメは未読です。
押井監督作品は基本小難しいので覚悟はしてましたが、本作は犯人の情報が少なすぎるし大事なこともあまり教えてくれないしで理解するのに苦しみました(笑)

劇場版の攻殻機動隊を彷彿とさせるシーン(帆場の住居巡り)や、子供の頃から聞き覚えのある声優さん達が沢山活躍されていて楽しめました!

帆場映一やレイバー暴走の原因究明が主な内容なのでアクションは少な目でしたが、個人的には帆場映一についてもう少し掘り下げて欲しかったです。
解釈が特に難解だった犯人の帆場暎一をメインに気になった点を考えます。

後藤にハメられた遊馬


(引用:https://patlabor.tokyo

アメリカから帰ってきたシバに、遊馬がパトレイバーのOSを元に戻す依頼をした時、シバは元々HOSに不信感があったため書き換えしておらず、書き換えしたように見える処置をしていて、それは後藤に報告していたと答えると周囲は呆然として、遊馬は悔しがります。

遊馬が必死でHOSを調査していた理由のひとつは、遊馬はパトレイバーのOSがHOSに更新されたと思い込んでいて、実際にパトレイバーを操縦する野明などの同僚たちが危険にさらされると思っていたからです。

後藤は篠原工業に簡単に忍び込める遊馬にいち早くHOSの中身を調べてもらうために、わざと遊馬にパトレイバーにHOSが搭載されていないことを教えていなかったのです。
『カミソリ後藤』の片鱗をうかがわせる状況です。

 

帆場映一の犯行動機

パトレイバー

©️1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA

帆場の転居先を1箇所ずつ調べていた松井刑事は、帆場が住んでいたアパートに残されていたカレンダーの裏に旧約聖書の一節が書かれているのを発見します。

彼 天より降りる エホバ 天を垂れてくだりたもう 御足のもと 暗きことはなはだし

簡単に訳すと『エホバという名の神様が地上に来てみたら、地上はひどい有様だった』というような意味です(多分)。

後の松井刑事と後藤隊長の会話からも、帆場は日本が一昔前の町並み(過去の創造物)をゴミ同然にして、次々に都市開発していることが許せなかったのが犯行動機のひとつだと推測できます。

ちなみに、上の一節の続きは後藤隊長が語ってくれていました。

エホバくだりて かの人々の建つる街と塔を見たまえり
いざ我らくだり かしこにて彼らの言葉を乱し 互いに言葉を通ずることを得ざらしめん
故にその名はバベルと呼ばる

『互いに言葉を通ずることを得ざらしめん』は、エホバが言語をいくつも作ってコミュニケーションを取るのを難しくしたという意味だと思われますが、消えてしまった帆場本人から真実を聞くことが出来ない状態とも通じる気がしました。

次のページに続きます!




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