映画「ちはやふる 上の句」あらすじ結末ネタバレ・句の解説

ちはやふる 上の句DVDパッケージ

大人気の少女漫画を映画化したシリーズ第1作目。
千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は幼馴染み。幼いころはいつも3人で競技かるたで遊んでいた。
ある日、新が家庭の事情で故郷の福井へ帰ってしまい、それをきっかけに3人は離れ離れになってしまった。
時は経ち、高校生になった千早は相変わらずかるたに夢中だった。
そして高校で再会した太一と共に、部の立ち上げに必要なメンバー5人をかき集め、”かるた部”を立ち上げた。
個性的な部員たちと共に、さっそくかるたの全国大会団体戦の優勝を目指す。

制作年:2016年
本編時間:111分
制作国:日本
監督:小泉徳宏
脚本:小泉徳宏
原作:漫画/末次由紀『ちはやふる

ちはやふる 上の句|出演者・キャスト

広瀬すず(綾瀬千早) 野村周平(真島太一) 真剣佑(綿谷新) 上白石萌音(大江奏) 矢本悠馬(西田優征) 森永悠希(駒野勉) 國村隼(原田 秀雄) 清水尋也(須藤暁人) 坂口涼太郎(木梨浩) 津嘉山正種(綿谷始) 松田美由紀(宮内妙子) 広瀬アリス(綾瀬千歳) ほか

 

ちはやふる 上の句|鑑賞者たちの感想(5点満点)

 

rinaの感想・評価|4.0
青春。
とにかく袴がすてき♡ (出典:Filmarks

 

ナオキの感想・評価|4.1
ザ・嫌いなタイプな映画だと思い、避けてたけど、公開中評判がよかったので観に行った。
説明的なセリフが多くて、最初はアレルギー反応を起こしたけど、一人一人のキャラクターが魅力的でのめり込んでいった。
何より机くんは最高です。 (出典:Filmarks

 

羊男の感想・評価|3.6
飛び抜けた役者や演出や展開は無いけれど、最期の盛り上げ方がとても上手い! (出典:Filmarks

 

以降はあらすじ詳細でネタバレ含みます。

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あらすじ詳細①起

千早「業平が詠んだ激しい恋の詩。でも今の私には”ちは”しか見えない。」

綾瀬千早(広瀬すず)と間島太一(野村周平)と綿谷新(真剣佑)は幼馴染みで、小学生の頃は”府中白波会”というかるたの会のに所属しており、いつも3人でかるたをして遊んでいた。
新はもともと福井から東京に引っ越してきたのだが、家庭の都合で再び福井へ戻ってしまった。
新の引っ越しをきっかけに3人は会う機会が少なくなり、高校生となった今は、お互いがどこの高校に行ったのかも知らないほど疎遠になっていた。
春。入学したばかりの千早と太一は再会し、同じ高校・東京都立瑞沢高等学校に入学していたことを知った。

千早は高校生になっても競技かるたが大好きだった。
高校では必ず”かるた部”を作ると決めており、入学早々 部員集めに励んでいた。
千早の姉は、マガジンの表紙を飾るほどの人気アイドル綾瀬千歳(広瀬アリス)であることが入学早々、校内で噂になった。
噂通り可愛い千早を見て、当初は男子の入部希望者が群がったが、千早のかるたの本気度にドン引き。
一瞬で入部希望者はゼロになってしまった。
千早は顔は可愛いが性格は子どもっぽくて色気もなく、モテたことはなかった。

太一は家はお金持ちで頭脳明晰、入学試験をトップの成績で入学した生徒だった。
おまけにイケメンで、入学してすぐに女生徒から告白されるほどの人気者だった。
太一は中学に入学してからサッカーをはじめ、かるたをしていたことは中学時代から周りには明かしておらず、高校でもサッカー部に入るつもりでいた。
千早と再会した太一は、千早に「当然かるた部に入るよね!」と誘われたが「俺はサッカー部に入るつもりだし、かるたは卒業した」とサラっと断った。
つれない太一に千早は「バカ太一!」と叫んだ。

翌日、ホームルームで入学届が配られ、先生から「この学校では部活に必ず所属しなければならない」と説明があった。
放課後。かるたの全国大会の決勝戦は近江神宮で開かれる。
「これは”カルター”にとっては夢のような場所」と目を輝かせる千早に、太一は「お前みたいなかるたバカ、この学校にお前しかいねぇよ」と笑った。
千早は怒り「この土曜日にある大会で私が優勝したら、太一はかるた部に入部!約束だよ!」と勝手に宣言されてしまった。

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太一は家に帰る途中、分梅神社を通りかかり、この神社で3人で最後に遊んだことを思い出した。

小学生の頃、3人でこの神社で遊んでいたとき、新が福井に引っ越しすることを2人に告げた。
「多分、もう会えない」と泣き出す新に、千早と太一は「かるたをしていれば、きっとまた会えるよ」と手を差し出した。
だが2人と新は結局、それから疎遠になってしまっていた。

土曜日。太一は千早の様子を見に会場に来た。
そこで原田先生(國村隼)と再会した。
原田先生は分梅神社の神主であると共に、白波会の会長で、千早と太一の師匠だ。
原田先生は太一を”まつ毛くん”、新のことは”メガネ君”というあだ名で呼ぶ。
千早を見ると、決勝戦まで残っていた。
百人一首は、読み手が句を詠んでいるとき、下の句を読み始めるまではかるたを取ってはいけないというルールがある。
千早はとても耳が良く、読み手が下の句を読み始める最初の吐く息を聞き取り、素早く札に手を伸ばしていた。
原田先生は「千早ちゃんはとても良い耳をしてる。これからもっと伸びるよ」と笑顔で太一に話した。

見事、千早は県大会で優勝した。
千早は対戦相手と読み手にお辞儀をし、その恰好のまま動かなくなった。
太一が部屋に入り千早に声をかけるが、千早は倒れて白目をむいている。眠ってしまっていた。
原田先生いわく、試合の後はいつもこうなってしまうらしい。
千早は全く起きる気配がなく、太一は仕方なく千早をおぶって帰ることに。
太一が体力の限界に近付いていたとき、千早が目を覚ました。
千早は「もうかるた部のことはいいよ。私の手元に残ってた札、※”たれをかも”だった」と太一につぶやいた。
※たれをかも:”友だちはもういなくなってしまった”という意味の句の上の句。
続けて千早は「私、瑞沢高校をかるたの名門にしたい。
もっとかるたの楽しさや熱さを、色んな人に知ってほしい」と話し、再び寝落ちした。
太一は千早のかるた熱に心を打たれ、もう少しおんぶを頑張ることにした。

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あらすじ詳細②承

放課後。部室にする予定の部屋でひとり かるたを並べる千早。
そこに太一が畳を持って入って来た。
「茶道部から古いやつもらってきた。手伝え」と言う太一に、千早は喜んで手を貸した。

それからは順調に部員を5人揃えることが出来た。
3人目の部員、西田優征(矢本悠馬)はかるた経験者で、当初はテニス部に入部予定だった。
だが早くもテニスに飽きてしまい、校庭で千早と太一を見かけて、すぐにかるた部入部を決めた。
豚まんが大好きで、あだ名は”肉まん”

4人目は駒野勉(森永悠希)。
どこにも入部していない最後の1人だった。
駒野は群れるのが嫌いで、学校では本をスーツケースに何冊も入れて持参し、いつも教室で机に向かっている変わり者だ。
陰で呼ばれているあだ名は”机”だった。
高校入試の成績は、太一に次ぐ2位の成績で入学している。
駒野は学校の決まりで入部しなければならなかったため、仕方なく入部した。

最後の5人目は大江奏(上白石萌音)。
初めは弓道部に入っていた。
彼女は”和の文化”が大好きで、ポスターに描かれていたおかしな着物を見ていたのがきっかけで千早に追いかけられた。
初めは競技かるたを”はしたない”と受け入れなかったが、千早のかるたに対する熱意には同調し、ある条件付きで転部を決めた。
百人一首の句は誰よりも理解しており、ちはやに”ちはやぶる”の句に隠された恋心のことを教えた。

千早たちがカラフルな手書きの部員名簿を持って行くと、顧問となる宮内先生(松田美由紀)から無事に正式な部として認められた。
千早は、自分が部長を務めようと思っていたが、先生は太一を部長にすることに決めた。
千早はリーダーから外されて拍子抜けしたが、さっそく6月にある都大会の団体戦で優勝しようと意気込んだ。

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千早と太一が帰りの電車を待っているとき、千早は突然「電話する」とスマホを取り出した。
千早はかるた部を立ち上げたらに電話をすると決めていたらしく、緊張しながら新の自宅の電話番号を開き、発信ボタンをタップした。
電話が繋がり、千早と新は久しぶりに話すことが出来た。
突然の電話に新は驚いていて、昔と変わらず福井弁だった。
千早がかるた部のこと、都大会に出ることを話すと、新は「すごいね」と笑った。
嬉しくなった千早は「都大会で優勝したら、かるた部の皆に会いに来て!」と新を誘った。

新の父親は夜の仕事をしており、父が不在の間は祖父・(津嘉山正種)の介護の手伝いを新がしていた。
祖父は脳の病気を患っており、歩けないこと以外はいたって元気な状態だが、いつ容体が変わってもおかしくない状態であった。
祖父の部屋に飾ってある幼い頃の千早、太一、新の写真を眺める新に、祖父は「ごめんな、わしの面倒見させてしまって」と謝った。
新は「そんなこと気にしなくていいし、かるたを続けていたら、また会えるから大丈夫」と笑った。

部活動中。経験者3人が、奏と駒野に競技かるたを教えていた。
句の組み合わせの覚え方の説明で、「語呂合わせで覚えると良い」と、千早は源頼朝の”うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを”を、上の句”うかり”と、下の句”はげし”を”うっかりハゲ”と例に出した。
それを聞いた奏は倒れ込み「この句は切ない片思いの詩なのに、こんな覚え方は嫌だ!」と悲しんだ。

皆それなりに楽しく活動していたが、ただ1人、駒野だけはかるたに興味を持てないようで部員たちとも馴染もうとせず、毎日何があっても同じ電車に乗って帰ってしまう日が続いた。
その日も、途中で抜けて帰っていく駒野を千早は追いかけて「駒野君じゃないとダメだから!GWの合宿には絶対参加してね!」と叫んだ。
駒野は歩みを速めて帰ってしまったが、友人が少ない駒野にとって、この言葉が嬉しくないわけがなかった。

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あらすじ詳細③転

GWの強化合宿は、白波会の合宿に参加させてもらう形だった。
そこには駒野の姿もあった。
駒野は千早に言われた言葉が嬉しくて、かるたをする気になったのだ。
合宿は順調に進み、初日の昼には5人はすっかり打ち解けていた。

お昼の時間。奏は合宿所に飾ってある3人の写真を目にして、千早と太一の横にいる男の子のことを聞いた。
西田が「そいつは新で、伝説の綿谷名人の孫だ。そいつもとても強くて、大会ではいつも優勝していた」と説明した。
千早が「太一はメガネを外した新にも勝てなかったもんね」と補足した。
太一は覚えていないふりをしたが、駒野が詳細を聞いた。
駒野「メガネを外した?ハンデでもつけてもらったのか?」
千早「小学校のかるた大会の決勝が新と太一だったんだけど、決勝の開始前にメガネがなくなったの。
新、メガネないと全然見えないはずなのに、それでも太一は勝てなかったんだよね」
西田「何それ?実は太一が隠したんじゃねぇの」
千早「太一がそんなことするわけないじゃん。ね、太一」
太一「…おぅ。」

練習中。太一は白波会の坪口選手との試合を原田先生に見てもらい、太一の改善点を話し合っていた。
横では奏が見学していた。
太一は先生と坪口から「改善点と言うより、がない」と言われてしまった。
坪口は”ちはやぶる”の札を目にして千早のことを想いだし、「そういえば太一、千早と同じ高校に入ったんだって?よかったね」と言った。
太一は焦って坪口を止めようとしたが、奏は気づいてしまった。
太一は千早のことが好きだったのだ。

その日の夜、布団でおしゃべりしていた千早に奏は探りを入れてみた。
話をよく聞いてみると、千早に”ちはやぶる”の句を教えたのは新で、千早は気付いていないようだが、千早も新を好きなようだ。
このことを知った奏は「※…うっかりはげ」とつぶやいた。
※太一の恋は片思いだという意味

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翌朝。太一と西田は試合の見学に行った。
千早には合宿所に選手を呼び、練習試合をすることになった。
千早の相手は、毎年全国大会に出場している名門 北央学園のエースで※A級選手の須藤暁人(すどうあきひと/清水尋也)だった。
試合前の挨拶の際、須藤と千早は頭をぶつけた。
「すみません」と言った千早に、須藤は「ごめんなさいは?」と訳のわからない要求をしてきた。
彼はその性格から、通称”ドSの須藤”と呼ばれている。
※かるたの選手はかるた協会でA~Dにランク付けされており、それは個人試合に出て勝ち進むことで決まる。作中に千早たちのランクは特に出てこない。

同日。新は帰宅する時間になっても帰ってこない父親の心配をしていた。
父の帰りが不定期なことで祖父が心配になった新は「今回も大会出るのはやめておく」と祖父に話すと、祖父は「強くなりたいんだろ、わしのことは何も心配いらん!」と新の背中を押してくれた。
祖父に背中を押され、新は大会に出ることを決意した。

太一と西田は会場に着き、そこで新と再会した。
試合前、新は太一に携帯番号を渡して「千早にも教えといて」と会場に入っていった。

小学校のかるたの試合の時、新のメガネを隠したのは太一だった。
校舎の外から窓際に置いてあった新のメガネをとったのだ。
太一がメガネをこっそり取って歩き出すと、視線を感じた。
校内の隅に置いてあったお地蔵様に見られていた気がした。

太一は自分が運に見放されたのはその時からだと確信していた。
準決勝。太一は相手とほぼ互角に戦い、札が最後の一枚ずつになった。
この状態は”運命戦”と呼ばれていて、勝敗は運で決まることになる。
自分の手元にある札が読まれた方の勝ちだ。
だがこの時も、太一の札は読まれなかった。
落ち込んでいる太一とは反対に、西田は決勝まで勝ち上がっていた。
西田の相手はもちろんだ。
決勝戦では新の圧勝だった。
ギャラリーからは「さすが名人の孫だ」、「相手の子も実力はあるが、相手が悪すぎたな」とささやかれた。

須藤は得意の※囲い手で次々に札を取り、千早に圧勝した。
須藤は「お前がちゃんと謝らないからだ」と札を千早の前に置き「これじゃかるた同好会と変わらない。
こんな連中が優勝狙おうなんて、俺たちもなめられたもんだ」と言い捨てて部屋から出ていった。
※囲い手:下の句が読まれる前に札を見付けて手を札に置き、手出しさせないようにする取り方

GW明けの放課後。
試合で負けた3人はまだ落ち込んでいた。
彼らの様子を見て、駒野は「自分より強い相手がいないとでも思ってたの?」と呆れた。
そして3人に個別にウィークポイントをアドバイスして、駒野自作の”かるたアプリ”を皆に見せた。
そのアプリには選手たちを観察し、その特徴をグラフ化したものがズラリと並んでいた。
3人はこれを見て駒野を褒めたたえ一気にやる気を出し、大会当日までの1カ月間、各々が毎日練習に励んだ。
この件を機に、駒野は生まれて初めて”仲間・友達”の良さを実感した。

大会の日まで残り約一週間。5人は体力づくりのため山登りにきた。
頂上に着くと美しい富士山が見え、千早と西田ははしゃいで走り回り、駒野は体力が尽きて倒れた。
太一は奏に「俺が神様に見放された原因、もうわかってるんだ」と話した。
奏は「わかってるなら、充分じゃないですか」と励まし、ついでに「恋は身近にいる方が有利だと思います」と応援した。

大会前日。5人は遅くまで部室で最後の練習に励んでいた。
読み手をしていた奏が静かな校舎を振り返り、”もろともに”の詩を出した。
”もろともに あはれと思へ 山桜 花より外(ほか)に 知る人もなし”
ざっくり訳すと『花である山桜も愛おしく感じるほどに、私は孤独だ』という意味である。
この句は、僧がひとりきりで厳しい修行を行っていたときに、近くに一本あった桜の木に「独りぼっち同士仲良くしよう」と投げかけ孤独を噛みしめた詩とされている。
奏は「淋し気な詩ですね」と言った。
千早は「私には、強い絆の詩に聞こえる。
”あなたが居るから私は頑張れる。
だからもっともっと、分かり合いたい”って」と、千早ならではの解釈をした。
千早「絶対勝とうね、明日」

千早と太一は一緒に帰り、別れ際。
千早「太一、ありがとね。かるたを好きでいてくれて。それが一番嬉しい」
太一「おぅ。頑張ろうな」
千早が見えなくなった後、太一は新の携帯番号の書かれた紙を出し、ため息をついた。

太一は分梅神社の前で立ち止まり、太一に気付いた原田先生が袴姿でやって来た。

先生「いよいよ明日だな。私も応援に行くから。」
太一「先生、”ちはやぶる”って、神様のことなんでしょ」
先生「まぁそうとも言えるな。
”機動戦士”と言えば”ガンダム”みたいなもんだ。なんでそんなことを?」
太一「俺、新に会いましたよ、この間の大会で。
それではっきりわかったんです。
青春全部懸けたって、あいつには勝てないって」
先生「それは、かるたのこと?」
太一「それもだけど、新は千早を俺と新の2人のもんだと思ってる。
それなのに俺はあいつを追って瑞沢入って、かるた部だって、別にかるたが好きとかじゃ…
先生にこんなこと、すみません。」
先生「…なんとなく気が付いてたよ」
太一「俺、そういう奴なんです。
出し抜いて、騙して、盗んで、隠して。
いくらお願いしたって、そんな奴に”ちはやぶる”は振り向いてくれませんよね」
先生「まつ毛くん。”このたびは”って詩、知ってるだろ。
お供え物を用意できなくて、代わりにモミジを置きますから、あとのご判断は神様にお願いします。って詩。」
太一「このたびは ぬさも取りあへず たむけ山 紅葉の錦 神のまにまに」
先生「”神様”だの”運”だのに頼っていいのは、やれることを全部やり切ったやつの特権なんじゃないかな。
青春全部懸けたって勝てない?
まつ毛くん、懸けてから言いなさい!」

太一は先生の言葉にハッとした。

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あらすじ詳細④結

アナウンス『間もなく、開会式を開始いたします。選手、役員の方は速やかにグラウンドに集合してください。』
ついに都大会の日がやって来た。
選手たちがTシャツとジャージ姿で並ぶ中、瑞沢高校かるた部は、全員が袴姿で並んでいた。
これが奏の出した条件だった。
奏の実家の呉服屋の宣伝も兼ねて、かるた部は全員和装で参加して、さらにパンフレットまで作成していた。
瑞沢高校かるた部は浮きまくっていた。
開会式が始まると、千早が戦って惨敗した須藤が優勝旗を持って前に出てきた。
須藤の北央学園が前回の優勝チームだったのだ。

初めに行われたのは団体戦だった。
1対1の対戦を5組同時に行い、勝った人が多いチームが勝ちとなる。
緊張に包まれる中、千早チームは1、2回戦を無事に勝ち進んだ。
だが駒野は緊張のせいか全然札を取ることが出来ず、まだ1回も勝てていなかった。

お昼休み。次からA級選手が1人居るチームと当たることになり、千早たちは選手の順番を相談していた。
西田が「一番強いやつを駒野に当たらせよう。そうすれば勝率が上がるから」と、駒野を捨て駒にする作戦を提案した。
それも立派な一つの作戦ではあるが、駒野は傷つき、西田以外の全員がその作戦には気乗りしなかった。
だが西田は周りを気にすることなく、それを加味したオーダー表を本部に提出してしまった。

3回戦目準決勝。西田の読みは当たり、駒野がA級選手と当たった。
駒野は試合開始前からすでにやる気を失っていた。
試合が終わり、千早チームは決勝へ進むことができ、西田は「俺の読み、ドンピシャだったろ!」と上機嫌だった。
駒野は試合後「もう帰るよ。試験も近いし」と素早く帰り支度をして帰ろうとした。
4人は駒野を追いかけたが、駒野は「…数合わせだったんだろ。調子良いこと言って、結局誰でもよかったんだ。かるたなんてやらなければよかった」と4人に怒りをぶつけた。
「そんなことない」と言う千早と奏。
「僕には才能が無いし、きっと皆の役に立てないよ」と泣き出す駒野に、太一が口を開いた。

太一「才能なんて俺もねぇよ。辛くても必死でやってんだよ!やり続ければ、越えられる気がするから」

駒野は帰るのをやめ、とりあえず試合には出ることにした。

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決勝戦。相手は北央学園だった。
試合前には、今まで活動に一度も顔を出さなかった顧問の宮内先生も来ていた。
宮内はこの大会で原田と知り合い、原田からかるたを簡単に教わった。
太一は千早に話した。

太一「俺たちは、個人戦の気持ちでチーム戦に挑んでたんだよ。まだチームになり切ってない」

選手の順番が発表され、北央代表の須藤とは千早が当たった。
須藤は千早に「”ごめんなさい”言えるようになったの?」とSっ気たっぷりに笑った。
北央チームは強くて結束力も固く、フェイントをかけたりと様々な手で札を取っていく。
千早チームは奏がお手付きをしてしまったり、駒野は全く札を取ろうせず、厳しい状況だった。
原田は試合を見ながら「気持ちが負けている」と呟いた。

駒野の様子を気にする千早に須藤は言った。
「周りばっかり気にしやがって。なめてんの?」
千早は悔しいが、返す言葉がなかった。
だが次の札は千早が取ることが出来た。
その札は飛び、動かない駒野の顔に当たった。
それは”もろともに”の取り札”はなよりほかに”だった。
この札を見て、駒野は千早が『絆の詩に聞こえる』と言っていたのを思い出した。
取り札を拾いに来た他のメンバーたちも、駒野の肩に手を置いて自分の場所に戻った。
こんな自分に優しくしてくれて泣き出す駒野を見て、太一が千早に行った。

「もう大丈夫だから、自由になれ!」

千早は太一の言葉を聞き、深呼吸して、集中モードに突入した。

駒野はここからやる気を取り戻して健闘したが、最初の敗者になってしまった。
続いて奏も負けてしまい、あと一人でも負けたら千早チームは負けてしまう。
だが千早チームの勢いは衰えることなく、最初に勝ったのは西田だった。
千早も詠み手の癖を覚え、次々に札を取っていく。
豹変した千早を見て、次第に須藤に焦りの色が見え始めた。
次の札が読まれ、須藤は確実に取りに行こうと得意の囲い手をした。
だが千早は特訓してもらった”囲い手対策”で須藤の囲い手を制して、札を取った。
これが決めてとなり、千早は見事須藤に勝った。
そして試合の後はお決まりの白目入眠に突入した。

チームの勝敗を分けることになった太一の試合は”運命戦”になっていた。
原田は宮内に「この運命戦でまつ毛くんの札が読まれたのを、私は見たことがない」と解説した。
太一は心の中で「来い!」と強く願ったが、あることに気付いて考えが変わった。
そして、相手の札を取る素振りを始めた。
太一は、”来ないとわかっているなら、相手の札を取りに行けばいい”と気が付いたのだ。
対戦相手は太一が取りに来るとわかり焦ってしまい、お手付きをしてしまった。
これで太一の勝ちが決まり、瑞沢高校かるた部の団体戦優勝が決まった。
太一は千早にハグされ、部員たち4人に囲まれながら心の中でつぶやいた。

『業平が詠んだ激しい恋の詩。でも今の私には”ちは”しか見えない。』

優勝旗を持ってはしゃぐ千早を引き留めて、太一は新の連絡先の書かれた紙を渡した。
「報告してやれ。お前の口から」と促し、千早は新に電話して優勝を報告した。
千早は嬉しそうに新としばらく話し、太一に電話を替わった。
太一は新に、小学校の試合の時にメガネを隠したことを打ち明けた。

新「お前、卑怯なやつやな」
太一「千早にかっこいいとこ見せたかった」
新「それなら、気持ちわかるわ」

そして太一は、千早が好きなことと、かるたでも新に勝ってみせると新に宣言した。

だが新は「俺、かるたやめた」と呟いた。
新の言葉に太一は驚いた。

主題歌:Perfume『FLASH』

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