映画「グランドフィナーレ」あらすじ結末ネタバレ・見どころ

グランドフィナーレ

原題:YOUTH
制作年:2015年
本編時間:119分
制作国:イタリア、フランス、イギリス、スイス
監督:パオロ・ソレンティーノ
脚本:パオロ・ソレンティーノ
関連書籍:パオロ・ソレンティーノ『グランドフィナーレ』

 

出演者・キャスト

マイケル・ケイン(フレド・バリンジャー) ハーヴェイ・カイテル(ミック・ボイル) レイチェル・ワイズ(レナ・バリンジャー) ポール・ダノ(ジミー・ツリー) ジェーン・フォンダ(ブレンダ・モレル) アレックス・マックイーン(イギリス特使) マダリーナ・ゲネア(ミス・ユニバース) エド・ストッパード(ジュリアン) ロバート・ゼータラー(登山家) パロマ・フェイス ほか

 

グランドフィナーレ|概要紹介

世界的に有名なイギリス人音楽家フレッド(マイケル・ケイン)は指揮も作曲も引退し、友人の映画監督ミック(ハーヴェイ・カイテル)、娘のレナ(レイチェル・ワイズ)と共にセレブが宿泊するアルプスの高級ホテルで休暇を過ごしていた。

休暇中も映画制作に奮闘するミックとは対照的に、フレッドは娘から見れば無気力で、英国女王からの記念の演奏依頼も断ってしまっていた。だがフレッドには演奏をしたくない理由があった。

 

グランドフィナーレ|見どころ

・景色・人・音楽など全てが美しい

・贅沢なリゾートホテルのラグジュアリーな演出

・登場人物それぞれの悩みや葛藤

・ハーヴェイ・カイテルさん演じるミックが良いこと言いすぎ!

 以降はあらすじ詳細でネタバレ含みます。

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あらすじ詳細①起

自身の制作曲”シンプル・ソング”で名声を得た音楽家のフレッド・バリンジャー(マイケル・ケイン)は現在は仕事を引退し、親友の映画監督ミック・ボイル(ハーヴェイ・カイテル)と娘のレナ(レイチェル・ワイズ)共にスイス、アルプスの豪勢なホテルで休暇を過ごしていた。

フレッドの元にイギリス女王の特使(アレックス・マックイーン)が来て、フレッドへの表彰と、授賞式の日には王子の誕生日のお祝いにシンプル・ソングの指揮を依頼されるが、フレッドは「もう引退したんだ」と断った。特使に粘られるも「私事でシンプル・ソングはもう演奏しないんだ」と再度断ると、「女王へそのまま伝えます」といい特使は帰っていった。

また娘のレナにはフランスの編集者から毎日のようにフレッドの回想録を出版したいと依頼が来ていたが興味を示さず、断るようレナに言った。そんな父親を見てレナは「パパは無気力になってる」と言い、夫との2週間の旅行のため出かけていった。

フレッドは仕事のやる気は起きなかったものの、音楽への愛は忘れていなかった。フレッドはホテルの近くにあるお気に入りの場所、牛たちが草を食む草原と林の境目で切り株に座り、牛や鳥の声、木々のざわめきを楽器にして指揮を執るのが彼の日課だった。

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ホテルには役者のジミー(ポール・ダノ)が役作りのため滞在していた。イギリス特使の依頼を断ったフレッドに「あなたと僕は同じ悩みを抱えている」と話した。

ジミーはある映画でロボットの役を演じて人気となった役者だった。「多くの監督たちから声がかかるが、誰も僕の顔を覚えてない。僕は今でもロボット役の”ミスターQ”と呼ばれてる。あなたは”シンプル・ソング”で、他にも素晴らしい曲を生み出しているのに、それ以外は忘れ去られてる」と話した。
ホテルからはどこからともなくバイオリンの練習音が聞こえ、その音はとてもぎこちなく、フレッドとジミーは微笑んだ。

親友のミックはフレッドとは対照的に、彼の最後の”遺言”とも言える最後の映画を作ろうと、精力的に若いスタッフたちと構想を練っていた。主演にはミックと長年仕事を共にしてきた女優のブレンダ・モレルに決まっていた。ストーリーの大筋は決まったものの、ラストを決めかねていた。

フレッドとミックは毎日出た小便の量を「今日は何滴出た」と報告し合ったり、レストランで食事するときは必ず、いつも一緒に食事に来ている初老の夫婦が”会話をするかしないか”で賭けていた。毎回夫婦は会話することなく席を立ち、毎回フレドが勝っていた。

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あらすじ詳細②承

夜、フレッドが部屋に戻ると旅行に行ったはずのレナが戻ってきていてベッドで大号泣していた。フレッドが話を聞くと、出発直前になって夫が「他に好きな人ができた」と告白してきたらしい。レナの夫はミックの息子ジュリアン(エド・ストッパード)だった。
フレッドはミックにこのことを伝え、ミックはすぐ息子に電話してホテルに呼んだ。

翌日。ジュリアンは「もう離婚の意志は固まっている」とフレッドとミックの前で話し、新しい恋人パロマ(パロマ・フェイス)も一緒に連れて来ていた。職業はポップシンガー。
ミックは怒って「レナは賢くて美人で申し分ない、お前にはもったいない女だ。あんな女のどこがいいんだ?」と問い詰めた。父親と義父の前でジュリアンは少々言うのをためらったが、「彼女はベッドで最高なんだ」と打ち明けた。
さらにパロマとは、レナと離婚が成立したらすぐに結婚する気だとのこと。父親2人は呆れてしまった。

フレッドはレナと散歩しながら、ジュリアンのことをレナに報告していた。レナは新しい恋人の名前と職業を聞き、父親は「すぐ別れるだろう」と慰めたが、レナは自分の夫がパロマの何が良かったのかを父親に問い詰めた。
フレッドは言わないつもりだったが、レナから白状するよう強要されて「ベッドで最高だそうだ」とそのまま教えると、レナは「知りたくなかった!」と叫んでホテルに戻っていった。

夜。フレッドはレナと全身泥パックの施術を受けながら、レナに「お前の気持ちはわかる」と励まそうとした。だがレナからは子どもの頃からの父親へのうっぷん‐父親の興味は音楽だけでレナに無関心だったこと、フレッドが幾度となく繰り返した女性や”男性”との浮気を母親が見て見ぬフリをしてずっと耐えていたこと、母親が入院してから10年間、1度もお見舞いに行っていないこと‐などをこれでもかとぶつけられ、「2度と”わかる”なんて言わないで!」と言われ、フレッドに返す言葉は無かった。

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翌朝。食事の席でフレッドとミックはいつもの夫婦を眺めていた。その日はレナも食事の席に同席していた。レナが席に着くのを登山家の男性(ロバート・ゼータラー)が見つめていた。夫婦は言葉を交わす様子はなかったが、妻がおもむろに立ち上がり、夫にビンタを一発食らわせて席を離れた。
その日、フレッドとミックは「今日はたくさん小便が出た」と報告し合いながら散歩していた。そして昔2人が夢中になった女性の話や、色んな事がどんどん思い出せなくなっていくこと等を話していると、林に入っていく、言葉を交わさない初老の夫婦を見かけた。
2人が夫婦を尾けて行くと、林の中で2人は激しく愛し合っていた。フレドとミックはその一部始終を見て呆然とした。

夜。フレッドとレナは毎晩外の広間で行われているショーを観ながら、まだ突っかかろうとしてくるレナにフレッドは言った。
「私は音楽は理解できるが、君を理解できない。母親はもういないんだよ」
レナは涙をためてフレッドの言葉を聞いていた。

深夜。レナは夫の浮気相手のパロマの悪夢で目が覚めた。レナが飛び起きたので、隣で寝ていたフレッドもびっくりして目覚めた。レナはフレッドに言った。「ジュリアンは馬鹿よ。私もベッドで最高だわ」
フレッドは「知ってるよ。お前は私の娘だし、私もベッドで最高だ。」と答えて2人は笑った。

翌日。フレッドはぎこちないバイオリンの音がする部屋を見付けて中に入ると、バイオリンを弾いていたのは男の子だった。フレッドは「それは私が作った曲だよ」と言うと、男の子は驚いた。
「この曲はとても美しいです」と言いバイオリンを弾く男の子の肘の位置をフレッドが少しだけ直してやると、音は格段に良くなった。
フレッドが部屋から出ると、レナがフレッドを探していた。
部屋に戻るとイギリス女王の特使が再びフレッドを訪ねていた。特使は「女王にあなたが演奏できない理由を伝えたが、女王は納得されなかったので、どうにかして出てくれないか」と頼みに来ていた。
フレッドは「私事で出来ない。それ以上は言えない」と断り続けたが、イエスをもらうまで帰れない特使はしつこく食い下がった。何度も理由を尋ねる特使にフレッドは「シンプル・ソングは妻のために作った曲で、妻以外が歌うシンプル・ソングで指揮は執りたくない!妻はもう歌えないんだ!」と特使に涙声で怒鳴った。
フレッドの真剣な表情を見た特使は謝罪して部屋を出ていった。聞いていたレナは涙を流していた。

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あらすじ詳細③転

ミックは映画スタッフたちと山登りをしていた。頂上に着くと望遠鏡が設置してあり、スタッフの1人に覗くよう促した。スタッフの女性が「とても近い」と言うと、ミックは「これが君たち若者が見ている”未来”だ」と言った。
そして望遠鏡を逆さまにして覗かせて「今度はどう見える?」と聞いた。女性は「遠くなった」と答え、ミックは「これが私たち老いぼれが見ている景色”過去”だ。」と話した。そして展望台の上で映画完成を願って乾杯した。

ミックはジミーに、ミックが認める名女優ブレンダ・モレルについて語った。ブレンダはミックの監督作品に出演して成功した女優で、今ではオスカーを2つも受賞する大女優になっていた。
ミックは彼女の成功の秘訣は”彼女の生い立ち”にあると話した。ブレンダは過去に路上生活を送っていた時期があり、そこで生きるために『盗む』ことを覚えた。彼女は他の俳優たちの良いところを盗むことで成功出来たんだ、とジミーに語った。

昼食。レナはまたフランスの出版社から連絡が来たとフレッドに伝えた。フレッドは「”俺のことは忘れろ”と伝えてくれ。俺の仕事と人生は終わったんだ」と言った。悲しい顔をするレナ、隣にいたミックは「終わったなんて言うな。お前は人々に驚きと感動を与えたんだ」と叱った。フレッドは「感動は過大評価だよ」と返した。

夜。ジミーの所にミス・ユニバース(マダリーナ・ゲネア)と名乗る女性が現れた。彼女はジミーの大ファンで、ミスターQに夢中になったとジミーに言った。また”ミスターQ”と言われてうんざりしたジミーは彼女に皮肉を言うと、彼女からこう返された。
「私はミス・ユニバースに出れて幸せだわ。あなたはミスターQを演じて幸せ?」
ジミーは彼女に返事をしなかった。横で聞いていたフレッドは「彼女は賢い女性だ」とジミーにささやいた。

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翌朝。フレッドとジミーは時計屋にいた。ジミーの元に女の子がやってきて、「映画で見たことある」と言った。ジミーは「君もミスターQが好き?」と返したら女の子は「違う。”14歳の自分の子供と初めて会った父親”の役よ。あの映画好きなの」と言った。初めてミスターQ以外の役のことに触れられたジミーは、見てくれている人がいたことに感動した。
夜。ジミーはスタッフたちをホテルに呼び髪を切らせ始めた。
ミックはスタッフたちとラストシーンのセリフを考え、フレッドは眠るレナを見つめた。

翌日、ジミーヒトラーそっくりの姿でレストランに現れ食事をした。レストランに居る全員がジミーの一挙一動を見つめた。

朝食後。レナはミックから息子ジュリアンのことを謝罪された。
ミック「息子のことは申し訳ない。父親として何とかすべきだった」
レナ「お義父さんのせいじゃない。彼は自由の匂いを嗅ぎつけたのよ。そういえば、パパはイギリス女王の申し出のこと何か言ってた?」
ミック「聞いてないよ」
レナ「変な友情。女王が父のシンプル・ソングの指揮を見たいという申し出を断ったの」
ミック「変じゃないよ。良い友情は良い話しかしないもんさ。女王のことは彼の中で違ったんだろう」
レナ「父は特使にシンプル・ソングを歌うのは母しかいないと断ったの」
ミック「今になってやっと甘い言葉が言えたか」
2人は笑った。
レナ「父が最近、寝ている私のことを見てるの。この間、初めて頬に触られた。寝たふりをしたけど」
ミック「子どもの寝たふりを親はわかるもんだ」

昼。フレッドとミックはリフトで山に登った。リフトの中でミックはフレッドに奥さんに会いに行かないのか聞いたが、フレドは答えなかった。頂上に着き、フレッドは言った。
「私とお前の違いが何かわかるか?私は自分の人生を愛していなかった」

夕方。ジミーはヒトラーの姿のままミックに語った。「僕はホテルで色んな人を観察してわかりました。演じる価値があるのは”恐怖”じゃなくて”欲望”だって。恐怖に時間を浪費するなんて無意味だ。僕にヒトラーは演じられない。

欲望で人は生きてる。純粋で不道徳で手に入れがたいものを、僕は演じたい。」

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あらすじ詳細④結

翌日。フレッドとミックが温泉に入っていると、同じ湯船にスタイル抜群の美人が身体を隠すことなく入ってきた。フレッドは気が付かなかったが、ミックはわかっていた。彼女が数日前、ジミーの元に来たミス・ユニバースだと。あの時は全然彼女が美人に見えなかったため、フレッドは驚いた。
2人してミス・ユニバースに見入っていた時、ミックに来客があるとホテルのスタッフが伝えに来た。ミックは美女鑑賞に夢中だったため断ろうとしたが、来客がブレンダ・モレルだと聞いて急いで湯船から出ていった。
ミックはブレンダ(ジェーン・フォンダ)と会い「今日も最高に美しい」とほめちぎり、脚本を渡そうとしたが、ブレンダは映画の出演を断りに来ていた。

ブレンダがミックの映画を断る理由は単純にギャラだと彼女は言った。彼女に最近オファーが来た、3年契約のテレビドラマを優先して受けたいそうだ。
ブレンダのドラマでの役は”アル中の老婆”というひどい役だったが、そのギャラは”薬中の息子の更生施設代と、離婚する夫の借金を全額立て替えても家が買えるほど余るほどだという。
加えてブレンダはミックに「直近のあなたの3作ははっきり言ってクソだ」と散々罵り、「あなたを愛しているから言うけど、もう映画作りはやめなさい」と言った。
ミックは怒って言い返したが最後には諦めて、ブレンダなしで撮ると言った。ブレンダはさらにやめるよう勧めたが、ミックは聞く耳を持たなかった。ブレンダは「映画がなくても人生は進むのよ」と言い残してホテルから出ていった。

夜。ミックはジミーに、ブレンダから降板されたことを嘆いていた。”女優を育てる名監督”と言われ50人以上も女優を撮ってきたのに、育てた女優から恩を返してもらえなかった。落ち込むミックにジミーは言った。
「あなたは”女優を育てる名監督”じゃない。ただの”名監督”ですよ」

翌朝。レナ登山家とホテル施設にあるボルダリングの壁の前に立っていた。「君も登ってごらん」と言う男に、レナは「私はベッドで最高なのよ」とささやいた。

ミックは駅でブレンダが降板してしまい落ち込むスタッフたちを励ましていた。ミックは「代わりの女優が決まり次第撮影を始めるから、心配するな」と言った。
スタッフたちは「あなたの映画よりドラマが大事なんて」と言ったが、ミックは「ブレンダを悪く言うな。”遺言映画”なんて自己満足の代物さ」周りと自分を納得させるように言い聞かせた。
スタッフたちは電車に乗って帰っていった。1人きりになったミックの目に今まで撮ってきた女優たちが浮かぶ。そこにはブレンダもいた。彼女だけはアル中の老婆の姿だった。

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ホテルに戻ったミックはフレッドに、ブレンダが映画に出なければプロデューサーから援助金が出してもらえないと話した。フレッドは黙って聞いていた。
ミック「さて、もうすぐ休暇は終わる。お前はどうする?」
フレッド「家に帰って普段通り生活するよ。お前は?」
ミック「俺に”普段”なんてない。別の映画の製作に取り掛かるよ。」
ミック「俺がお前の音楽活動が”感動”と表したことをお前は『過大評価だ』と言ったが、そんなこと言うな。お前は”感動”そのものだ」
ミックはそう言って立ち上がり、ホテルのベランダから飛び降りた。外で人の叫ぶ声が聞こえる。フレッドは椅子に腰かけたまま硬直していた。
ミックが飛び降りたことを知ったブレンダは飛行機から降りようとして乗務員たちに抑えられ、飛行機の中で大暴れした。

フレッドは牛たちの居る草原で何とか心を落ち着けた。
ホテルに戻ると、医者がフレッドを待っていた。健康診断の結果を伝えるためだ。フレッドの身体は「馬並みに元気だ」と医者は言った。

後日。フレッドは妻メラニーのお見舞いに行った。
メラニーは病室の窓際から外を見ていてフレッドの方を見ようともしない。妻に向かってフレドは自分たちがであった頃の話や、娘のことなどを話し続けた。

そして彼と妻だけが知っていること「シンプル・ソングは私たち自身の歌だ」と妻に語りかけた。

だがメラニーはずっと目も口も開けたまま外の方を向いている。生きているのか死んでいるのかもわからない。メラニーは精神疾患を患っていた。

英国のコンサートホール。客席にはイギリス女王や特使やジミーが居る。皆が拍手を送る中、指揮者としてフレッドは壇上に上がり、シンプル・ソングの演奏が始まった。

レナは山の崖にぶら下がり、ルカと見つめあっていた。

病室で歌うかのように口を動かすメラニー
フレッドは人生最後の指揮、シンプル・ソングを完璧に指揮した。

演奏が終わると、その素晴らしさにホール内は静まり返った。フレッドが振り返ると、客席から盛大な拍手が巻き起こった。

主題歌:Sumi Jo 『simple song』
エンドロール挿入歌:Trio Mediaeval『just』

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